30 / 93
第30話●しっぽと耳
しおりを挟むエルフの里があった大森林を出るとしばらく広大な麦畑の中の街道をすすむ。
ところどころに教会とそれを取り囲むように出来たこじんまりとした町がある。
どこも同じ様な作りの町なので同じところをぐるぐる回っているような錯覚に陥る。
ようやく麦畑が途切れると大小の雑木林のある草原地帯をすすむ。
小高い丘があったり川があったり起伏に富んだ地形だがギド達の乗っている馬車には関係ない。
先行する馬車が盗賊に襲われているようだ。
ギドは馬車の速度を上げて救援に向かう。
「盗賊っていくらでもいるのね。」
ギド達の移動距離と速度が速いから感じるだけで普通でそんなに遭遇していたら物流が成立しない。
とはいえ見つけたら潰しておかないと皆が安心して生活できない。
Gみたいなもんだな?
たどりつくと先行していた馬車は横倒れになっている。
護衛の冒険者は既に殺されたのか逃げたのか数人の騎士が馬車を守っているだけになっている。
盗賊が圧倒的な数で取り囲んでほくそ笑んでいる。
ギド達の馬車が1台ぐらい増えても戦力的に何の足しにもならないと思っているのだろう。
馬車の屋根の上に子供の男女が見えているが世間知らずの貴族の子供でただのカモにしか見えていない。
横倒しになった馬車には貴族の紋章が入っている。
ギドの馬車にもマスターの紋章とマジタリア魔法国の王家の紋章が入っているけれど多分見てもどこの紋章だか判別出来る人はあんまりいないと思う。
取り囲んでいる盗賊を容赦なく範囲魔法で始末する。
サンダーやらかなり規模を小さくしたメテオやコキュートスなど学園の課題のお披露目みたいにやりたい放題。
オーバーキルとか何にも考えていない。
阿鼻叫喚。
盗賊が逃げ惑っている。
冷静にただ魔法の構築と効果を分析しながら攻撃している。
盗賊1人1人を人間としては見ていないし彼らの苦痛や死に何の感慨も持っていない。
見た感じどっちが悪者かわからない。
だからと言って魔法師達はサイコパスでも精神異常者でもなんでもない。
普通の子供達だ。
60人程いた盗賊は3人を残して全滅。
死体を残しておくとアンデッドやレイスになって大変なので消し炭になるほどファイアで燃やし尽くした。
この3人はアジトを調べるために残しただけ。
イサンドロとヴァシュとルトラウデ、ピコがアジトを潰しに行った。
「マジタリア魔法国の魔法師?」
騎士のひとりがそう言う。
「間に合わなかった?」
レテが言う。
ギドが馬車を起こす。
馬は逃げてしまった様だ。
貴族の馬車の扉を勝手に開ける訳にもいかないので馬車ごとヒールをかける。
レテのヒールは強力なのでなんでも治っちゃう。
馬車の扉が開いて従者が女の子の手を引いて降りてくる。
周囲の状況を確認しているのだろうキョロキョロしている。
「マジタリア魔法国の王家の方?」
紋章がわかるのか?
「オールドマスターウィザードよ。」
レテが胸を張る。 まだないけど。
レテにジロリと見られた。
ミルグラス王国の貴族グアレ・フォン・リネカー伯爵の養女テイヨと侍女のクニラだそうだ。
獣人族の里に行く所だったらしい。
護衛がかなり居なくなってしまってこのまま旅を続けるのは難しいけどそれはミルグラス王国に戻るのも同じ。
ギドは別に急いでいないし獣人族の里にも興味があるからついていってあげればいいんじゃないかと思う。
レテがジーっとギドを見ている。
「テイヨの耳としっぽが気になっているんでしょ。あの猫耳触ってみたいでしょ。あー、しっぽなでたいって思っているでしょ。」
レテ、こーわ。
1
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説
分析スキルで美少女たちの恥ずかしい秘密が見えちゃう異世界生活
SenY
ファンタジー
"分析"スキルを持って異世界に転生した主人公は、相手の力量を正確に見極めて勝てる相手にだけ確実に勝つスタイルで短期間に一財を為すことに成功する。
クエスト報酬で豪邸を手に入れたはいいものの一人で暮らすには広すぎると悩んでいた主人公。そんな彼が友人の勧めで奴隷市場を訪れ、記憶喪失の美少女奴隷ルナを購入したことから、物語は動き始める。
これまで危ない敵から逃げたり弱そうな敵をボコるのにばかり"分析"を活用していた主人公が、そのスキルを美少女の恥ずかしい秘密を覗くことにも使い始めるちょっとエッチなハーレム系ラブコメ。
転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜
上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】
普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。
(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
異世界転移は分解で作成チート
キセル
ファンタジー
黒金 陽太は高校の帰り道の途中で通り魔に刺され死んでしまう。だが、神様に手違いで死んだことを伝えられ、元の世界に帰れない代わりに異世界に転生することになった。
そこで、スキルを使って分解して作成(創造?)チートになってなんやかんやする物語。
※処女作です。作者は初心者です。ガラスよりも、豆腐よりも、濡れたティッシュよりも、凄い弱いメンタルです。下手でも微笑ましく見ていてください。あと、いいねとかコメントとかください(′・ω・`)。
1~2週間に2~3回くらいの投稿ペースで上げていますが、一応、不定期更新としておきます。
よろしければお気に入り登録お願いします。
あ、小説用のTwitter垢作りました。
@W_Cherry_RAITOというやつです。よろしければフォローお願いします。
………それと、表紙を書いてくれる人を募集しています。
ノベルバ、小説家になろうに続き、こちらにも投稿し始めました!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。
異世界ハーレム漫遊記
けんもも
ファンタジー
ある日、突然異世界に紛れ込んだ主人公。
異世界の知識が何もないまま、最初に出会った、兎族の美少女と旅をし、成長しながら、異世界転移物のお約束、主人公のチート能力によって、これまたお約束の、ハーレム状態になりながら、転生した異世界の謎を解明していきます。
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる