17 / 52
第17話●異端審議会
しおりを挟む「わざわざご足労いただいて申し訳ございません。」
ソッペ・カヤ神教の神官さんが言う。
「いえいえ、昨日は教会まで案内してもらって助かりました。ところで今日は何の御用ですか?」
レテが言う。
やっぱり神様に関わる人は敬わないとね。
「はい、私共ソッペ・カヤ神教では魔法使いを見つけた時は異端審議会と言う行事を開催する決まりがあります。」
「魔法使いっていっぱいいるでしょう?」
「いえ、それが今たくさんおられる魔法使いというのはいわゆる魔術師で魔法使いと言うのはかつて魔女達が使っていた魔法が使える人つまりオールドマスターのことです。」
「ああ、わかりました。それならギドがそうですね。
レテが軽く言う。
「あ、あれ?認めちゃうの?」
「ダメなの?」
「ええ、このあと自白してもらうための道具や手順がいろいろガイダンスに書いてあるんですが。どうしよう。」
ガイダンスには針で眼球を刺すとか、爪を剥がすとか、火で炙る、水に漬けるなどいろいろな方法が図解入りで掲載されている。
「ええっと、自白した時は断罪するって書いています。」
「断罪って何?」
「ちょっと待ってください。」
神官さんはガイダンスの目次を見て断罪の方法を調べている。
「あれ?載ってない。おっかしいなー。」
「どうしたのだ?」
アルテラット神官長がやって来る。
「断罪ってどうするのかの記載がないんです。」
「ああ、君は補習を聞いていなかったんだな。」
「えーっと。」
と言って神官さんは言葉に詰まってしまった。
「もう1000年位異端審議会なんてやってないからね。昔は魔法を無効にするアーティファクトなんかがあって魔女に対抗出来たんだけどそれも失われて久しい。」
「ファルコ・イエンツに完全に弱体化させられたからね。」
「補習では断罪証明書にサインをお願いしてお土産を渡してお帰り頂くって教えているんだよ。本当にオールドマスターウィザードなら誰にもどうしようもないからね。」
「えーっと。それなら別に異端審議会なんてしなくてもいいんじゃないかな?」
「儀式だよ、儀式。元々は理由があったんだけど時間や歴史の変遷の中で意味を失ってしまった儀式っていっぱいあるでしょう。」
「えーっ。それでいいのかなぁ。」
「大丈夫、これはソッペ・カヤ神教では1000年ぶりの快挙だよ。きっとボーナスが出るよ。」
神官長が言う。
「うわー。温泉に行けるかな。」
若い神官は大喜びだ。
完全にギド達をそっちのけで盛り上がっている。
もうダンジョンに行こうか?
神官長から断罪証明書とマスターリングって言う指輪をもらった。
ソッペ・カヤ神教の他の異端審議官が見て断罪済みってわかる印みたいなものだって。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
11
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる