16 / 93
第16話●教会
しおりを挟む「なんで魔法使いがいるんだ?」
ソッペ・カヤ神教の神官長アルテラットは言う。
「盗賊に攫われていた女子供を連れて来たみたいですよ。」
この地の神官が答える。
「ここに女子供を保護する施設はあるのか?」
「ヤルマル・ホルクネッラ教の教会と思っているんじゃないかな?一般人にすれば教会ならどこの宗派でも一緒だろうし。」
「ヤルマルの教会を案内してやれ。それからあの魔法使いを見張れ。」
そう言ってアルテラットは客室に戻った。
この街には珍しくソッペ・カヤ神教の神殿がある。
ソッペ•カヤ神教の本拠地はヘイルウッド共和国で他国には稀にしかない。
かつては異端審議会が猛威を奮って魔女裁判によって魔法使いを絶滅させた歴史を持つ。
その後国教となった大聖女エリミリアの属するヤルマル・ホルクネッラ教で教会を改革した魔術師ファルコ イエンツによってソッペ・カヤ神教の教会は弱体化された。
今は少数の信者で形だけ残っているに過ぎないと言われている。
「教会って言ってもいろいろあるのね。」
トラウデがピコの手を引いてついて来る。
「この神官さん親切ね、宗派の違う教会に案内してくれるなんて。」
レテが言う。
まあ貴族のお嬢様が来てるのに変な扱いは出来ないよね。
ヤルマルの教会まで来たところで
「後の手配はこの地の役人が引き継ぎますのでお嬢様方は宿にご案内します。」
とプリニーが言う。
宿の食堂で食事を済ませるとやっと解放された。
「明日お迎えにあがります。」
そう言って従者とともに近所の安宿に向かう。
安宿と言っても安全のためにはそれなりのレベルが必要だが。
お嬢様は別に構わないとはおっしゃるがなかなかそうはいかない。
お嬢様のアモローゾ伯爵家のおかげでさまざまな取り引きの機会を頂いておりそのおかげで商人としてやれていけているのだから。
いまでもそうなのかはわからないけれどレテルティアお嬢様の元婚約者ランツァウ伯爵の長子メルデギド様。
勘当と言われていたけど今は魔法を極めるために出家なされたと言う事になっている。
国からオールドマスターウィザードの称号を贈られている。
全く馴染みの無い称号だと思ったら1000年以上遡らないとその称号を持った人がいないのだから仕方ない。
まだ小さくてちゃんと話しも出来ない子供がどうなのかしらと思っていたら突然の無双ぶり。
いつの間に魔法が発動したのか何もわからないうちに盗賊達は全滅させられた。
雇っていた冒険者も何の手出しも出来なかった。
底知れない恐ろしさを感じた。
商人から何があったのか聞いた。
旅の途中で盗賊に襲われたり撃退するする事は珍しくは無い。
しかし、盗賊のアジトまで全滅させて捕らわれていた婦女子を助けて来るか?
しかも殆どあの少年が一人で?
神官長はあれはオールドマスターだと言っていた。
だとすると我々ソッペ・カヤ神教にとっては異端。
異端審議会で裁く必要がある。
私は表向きはソッペ・カヤ神教の神官だけどこの間試験で通ったので今は異端審議官だ。
暗殺術なども勉強して2級までとっている。
異端審議官になると手当と有給休暇が付くのでその内温泉などにも行けるかも知れない。
とか考えている内に少年と少女2人と幼女は宿に入ってしまった。
私もさすがにお腹が空いたし時間も遅いので帰ることにした。
残業手当は付くのだろうか?
教会に戻ると神官長がご飯を食べていて「あれ、もう帰って来たの?」と言う。
「ああ、はい、お腹が空いたので。」
と言うと。
「そりゃそうだよね。」
と言ってご飯を食べ続けた。
1
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
オカン公爵令嬢はオヤジを探す
清水柚木
ファンタジー
フォルトゥーナ王国の唯一の後継者、アダルベルト・フォルトゥーナ・ミケーレは落馬して、前世の記憶を取り戻した。
ハイスペックな王太子として転生し、喜んだのも束の間、転生した世界が乙女ゲームの「愛する貴方と見る黄昏」だと気付く。
そして自身が攻略対象である王子だったと言うことも。
ヒロインとの恋愛なんて冗談じゃない!、とゲームシナリオから抜け出そうとしたところ、前世の母であるオカンと再会。
オカンに振り回されながら、シナリオから抜け出そうと頑張るアダルベルト王子。
オカンにこき使われながら、オヤジ探しを頑張るアダルベルト王子。
あげく魔王までもが復活すると言う。
そんな彼に幸せは訪れるのか?
これは最初から最後まで、オカンに振り回される可哀想なイケメン王子の物語。
※ 「第15回ファンタジー小説大賞」用に過去に書いたものを修正しながらあげていきます。その為、今月中には完結します。
※ 追記 今月中に完結しようと思いましたが、修正が追いつかないので、来月初めに完結になると思います。申し訳ありませんが、もう少しお付き合い頂けるとありがたいです。
※追記 続編を11月から始める予定です。まずは手始めに番外編を書いてみました。よろしくお願いします。
転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~
ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。
コイツは何かがおかしい。
本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。
目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです
飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。
だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。
勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し!
そんなお話です。
蓮華
釜瑪 秋摩
ファンタジー
小さな島国。 荒廃した大陸の四国はその豊かさを欲して幾度となく侵略を試みて来る。 国の平和を守るために戦う戦士たち、その一人は古より語られている伝承の血筋を受け継いだ一人だった。 守る思いの強さと迷い、悩み。揺れる感情の向かう先に待っていたのは――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる