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第13話●ピコ

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オールドマスターなどと言われても学園の他の魔法師達の使う魔法はそれぞれ独特で興味深い。

都合よくギドの見た目はどう見ても生徒なので生徒のふりをして紛れ込んでいる。

「ギド、何見てるの?」

またレテがやって来る。
レテが来ると周りの生徒の注意がみんなレテにいってしまって彼らが無意識のうちに動かしている魔力が変わってしまうんだ。

ギドは黙って廊下側の席に座っている女の子を指差す。

「えーっ、ヤダ、ギドのエッチ。」

何を言う。

「あの子ぼんやりしてるのね、あんな短いスカートなのに足を開いて座って、パンツまるみえじゃないの。」

イヤ、そこじゃなくてあの子の視線の先。

「シャボン玉?」

薄い魔力の膜で球体を作っている。
あの中には大きな空間が圧縮されている。

あれはドラゴンを飼うためのケージ。

多分彼女はテイマーなんだ。

でもそれだけじゃないのはあのケージを作っている事でもわかる。
凄いなー。

ああやってドラゴンと会話しているんだろうな。

「ギド、そんなにパンツが好きだったの?あげようか?」

だから違うって。

「あれ、あの子あわてだしたわ。ギドが見ているのに気がついたのかしら?」

あの子がコントロールしていたシャボン玉が不安定になっている。

中でドラゴンが暴れている様だ。

教室から出ないとこんな所でドラゴンが出て来たら校舎が壊れちゃうね。

ギドはシャボン玉を包むように障壁を作って窓の外に出す。

外は校庭なのでドラゴンを出しても大丈夫。

「閉じ込めて置けたでしょう?どうして出したの?」

ドラゴンはほぼ校庭を占めるほどの大きさがある。

でっかいけど、ちょこんって立っている感じ

暴れるつもりはないみたいだ。

「どどどうして出て来たの?ピコちゃん。」

テイマーの女の子が驚いている。

「この子が魔力をいっぱいくれた。」

「ドラゴンがしゃべった。」

レテがバタバタしている。

「レテルティア様が?」
テイマーの女の子がドラゴンに聞く。

ドラゴンが言う。

「違うよ、こっちのちっちゃいマスター。」

ちっちゃいはいらんかったな。
ずーっと「お腹すいた。」ばっかり言ってたからね。

今は魔力が足りているんだから人化したらいいんじゃないかな?

ギドの言いたい事が分かったのかドラゴンはちっちゃい女の子になった。

大丈夫、ちゃんと服を着ています。
日頃から人化していたんだね。

「美味しい魔力をありがとう。ちっちゃいマスター。」

ピコ可愛いな。
人間と違うのは頭に有る小さな角ぐらい。

魔力に味があるって初めて聞いたよ。

「あ、ありがとう。ピコがお世話になります。このところ魔石が手に入らなくて、それでピコがお腹をすかせていて困っていたの。私はルトラウデ、あなたギドよね、よろしくね。」

「あ、ちょ。」

「ギドが少し待ってねって。」

レテはどうして僕が言おうとしていることが分かるんだろう。

ギドが一瞬ぱっと消えた様にみえた。

ネックレスの様な物をピコの首にかける。

「こ、これ。」

「これをつけていると魔力が集まるからお腹が減らないよって。この魔石が空中の魔力を集めるし、今は満タンに魔力をチャージしてあるって。」

やっぱりレテは凄い。

ギドは錬金術の教本に魔池(電池の魔力版だね。)の作り方が載っていたのを思い出してインベントリに作りに行ったんだ。

初めて作るのと充魔(充電の魔力版)に時間が10年程かかってしまった。
次からはもっと早く作れると思う。

ルトラウデがピコを抱きしめている。

「これからはずっと一緒に居られるね。」

「ギド、ありがとう。お礼はどうしたらいいのかしら。」

「パンツをあげたらいいんじゃないかしら。」

レテがサラッと言う。

「え?」

だから違うってば。




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