魔法大全 最強魔法師は無自覚

第9話●入学式？

なぜかレテが孤児院に迎えに来たのでアモローゾ伯爵家の馬車に乗せられて学園に行く。

「ギド、服のフリルはどうしたのよ。」

「僕は平民だから外では目立たない様にフリルは取り外せるようにしたんだ。」

あんた自身が全然地味になってないってわからないのかしら？

ギドが「あーあー」言い始めた。

「こんな派手な馬車に乗って行ったら目立ってしょうがないから学園のそばでおろして。」って言いたいんだろうけど絶対その方が目立ってしまうからダメ。

学園のローブを着せてフードを被せてサラサラでピカピカの銀色の髪を隠す。

日に当たらないものだから透明なほど白い肌。

童顔のプクっとした顔立ちにくりっとした緑色の瞳。

どうしたら目立たなくなるって言うのよバカ。

学園に着いたみたいだ。
従者が馬車の扉を開けてギドの両脇に手を入れて抱え上げて馬車から降ろす。

小柄だけどレテと同じ歳なんだよ。
って言いたいんだろうけど従者をじっと見るだけ。

ダメ、可愛くて悶え死ぬ。

続いて私が降りると学園にいる生徒達の視線がこちらを向く。

何故か学園の校舎の入り口前に赤い絨毯が敷かれて先生達が並んで待ち構えている。

学園では貴族だからと言って特別扱いすることはないし、こんなふうに新入生を迎える習慣なのかしら？

「いらっしゃいませ。オールドマスターウィザード(真正大魔法師)。お待ちしておりました。」

クロウラ学園長が挨拶をする。

「ななななにが、あああ。」

そう言っている間に大講堂の壇上に据えられた椅子に座らされた。

レテも何が起こったのかわからない。

壇上の椅子に座ったギドが不安そうにしているのが見える。

オールドマスターウィザードって言っていたけどそんなの伝説の中でしか知らない。
たしかマーリナってこの国の建国に関わった魔女だった様な...。

「アウレリオ王のオールドマスターウィザード様に対する臣従儀礼・オマージュを行います。」

神官が言う。

どー言うこと？

ギドに王様が臣従？

このマジタリア魔法国では王様が真正大魔法師に従う。

マーリナ以来なので1000年ぶりのことになる。

クロウラ学園長が横に立つ。
王様が臣従の誓いを立てる。
そして締めの言葉。

「願わくば王家と王国に祝福を賜りますように。」

「右手を上げて祝福を唱えて。」

学園長が耳元で言う。

あー魔法大全に儀式の事が書いていたっけ。

「アー　ボウ　ルグルスト　エンエセフ。」

古代魔法のスペルが講堂に響きギドの右手が光る。

光は王様の頭上に一瞬止まると真上に上がり四散した。

やはり本物だ。
クロウラ学園長は確信する。

ギドの答案を見て学園長はすぐに王室に向かった。

マジタリア魔法国が真の魔法国になるチャンスだからだ。

アウレリオ王はギドの答案を見ると即座にオマージュを行うことを決定した。


クロウラ学園長が宣言する。

「オマージュは成り祝福は与えられた。マジタリア魔法国に安寧を。」

アウレリオ王とクロウラ学園長は無言でうなづきあった。