魔法大全 最強魔法師は無自覚

第1話 勘当と婚約破棄？

「ギド、あなた本気で学園の受験をするつもり？」

まあそうレテが言うのも無理はない。

僕は昨日までぜーんぜーん魔法が使えなかったんだから。

しかも、引きこもりで、コミュ障だし。

婚約者のレテとさえ殆ど言葉が出せないし。
だいたい「あー。」とか「うー。」しか言えない。

レテにはそれで通じているみたいだから問題はないけど。

マジタリア魔法国はその名の通り魔法によって立国されていて、魔法の力が第一の国だ。

だから10歳の時の鑑定の儀の日に魔力なしと鑑定された僕はすぐに勘当されて家を追い出された。

強力な魔法の能力で家を盛り立てて来たユルゲン・フォン・ランツァウ伯爵としては家の長男が能無しでは大変都合が悪い。

運良く伯爵は子沢山なので次男を長男だった事にして僕はランツァウ家にはいなかった事にした。

それでも伯爵はまあまあ普通の親っぽい感情は持っていたので僕を殺したりすることはできず、むしろ後ろめたそうだった。

この国の在り方上、しかも伯爵と言う立場上仕方がなかったのだ。

僕は王都の外れにある孤児院に多額の寄付金付きで追いやられた。

僕に父を恨む気はなかった。
むしろ可哀想だったし申し訳なかった....かな。

って言うか。

「やったー。」

「自由だー。」

「これでずっと好きなことだけやっていられるー。」

貴族なんて、社交界なんてもう絶対無理だし。

「最高ー。」

「しかも、あのうるさい婚約者のレテとも縁が切れるー。」

「きゃおーう。」

でした。

のに、なんでここにレテがいる？

父の多額の寄付金のおかげで僕はこの孤児院に自分の為の特別室を持っている。

「あー。」

「婚約破棄？大魔法師のわたしにはそんな事は関係ないわ。」

まだ子供の少女が仁王立ちして胸を張っている。

3歳と言う本当に小さい頃から婚約者だったレテは父の友人の伯爵家の娘。
鑑定の儀以前から魔法の才能を発揮して既に天才と呼ばれる魔法師だ。

「あなたに魔法の能力がない部分も補って有り余る力と才能で愛するあなたを一生守ってあげるわ。あーははは。」

「うざい。」