闇の魔法師は暗躍する

第37話 婚約

「チェリその子はどうした。」

朝食をとっているとチェリが昨日の問題の女の子ミカエカペ・ケットゥネンを連れて来た。

普通の人にはグローヴズ城に近づくことも出来ないから近所まで来てうろうろしていたんだろう。

「外でべろべろに泣いてた。」

チェリが言う。

「だって見えているのに全然近づけないってなんなの私はあなたの婚約者なのにひどいじゃない。」

しゃっくりあげながら泣いてる。

婚約者って話しが飛躍している様だが？

とりあえず席につかせて顔を拭かせる。

「で、両親には相談したのか？」

ミカエカペは目をピカピカさせて言う。

「お父様もお母様も凄く喜んで結婚するまでペトロニウス公爵のところに居なさいって。もちろん結婚してからも一緒よ。」

おまえいつから僕のこと好きになったの？

結婚ってことに舞い上がっているだけじゃないのかな？

なんかこれやっかい払いと言うか面倒を押し付けられたって感じ？

まあ城に1人ぐらい増えたからと言ってどうと言う事はないのだが。

「人間の女の子がペトロの奥さんになりに来た。」

４人がミカエカぺを取り囲んで何か相談している。

きゃっきゃわいわいと楽しそうなので問題はなさそうだ。

「あんたにとっては束の間でもあの子にとっては一生なんだから精一杯可愛がってあげることね。」

エリミリアは簡単に言う。

何千年も生き続ける僕達とミカエカベとでは時間の感覚が違う。

彼女の方が先に老い、死んでしまう。

「寿命はどうにもならないけど老いは防げるでしょう。」

「あんたの心？あんたに人の命を惜しむ心があったの？」

「あれだけ無差別に殺しておいて人並みの事を言って笑わせないで。」

どこから聞きつけたのか急にやって来て言いたい放題だ。

100年満たない年月しかないのだ。

何をしてやれるのかはわからない。

ただ一緒にいる事ぐらいは出来るだろう。