闇の魔法師は暗躍する

yahimoti

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第17話 ギェダ・グズムンドソン教団

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「王国も帝国も司法の人間が悪党とつるむのは同じか?」

ウェストコット侯爵は自邸の地下室に下りるなり、いるはずのない人間に声をかけられてビクッとする。

「誰だお前は、子供がなぜこんな所にいる?。」

「暗冥の王闇の魔法師ペトロニウス・グローヴズ。お前を殺しに来た。」

「なぜわしを殺すのだ?」

さすがは侯爵、多少の事では動じない。

「理由は僕が語るまでもなくお前が知っている。」

意味のない祭壇、護符にはジェノツマルヤの名、ウロボロスの召喚用魔法陣がある。

ギェダ・グズムンドソン教団か?

「王国の重鎮が勇者に敵対する意味はなんだ。」

「停滞する世界、変化させようとしても変わる事の許されない緩やかな被支配感。」

「勇者の力によって我々施政者は無能化されている。苛立たしいに決まっているだろう。」

ウェストコット侯爵は言う。

こいつはバカだ。

勇者が戦争の抑止になっていても社会的弱者や犠牲者はなくならない。

お前達がするべき仕事はいくらでもあるのに気づきもしない。

それどころかこの惨状はなんだ。

魔法陣を取り囲む切り刻まれた女子供の死体。

祭壇の器に盛られた心臓。

なんの意味もない儀式の為に弱いものを拐って苦しめ、傷つけて殺した。

こみ上げて来る嘔吐感。

貧血を起こした様な視野狭窄。

嫌悪感に頭がふらふらする。

こんな奴は殺す殺す殺す殺す殺す。

僕も異常者なのだ。

たくさんの子供達を助ける事も出来ないで、ただ殺す事しか出来ないのだ。

神でもないのに自分の嫌悪感だけで人を裁き殺すのだ。

暗い魔力が体に満ちて来る。

ウエストコット公爵だけではない。

この邸全てを僕の暗い魔力が覆う。

大量の黒いネズミ達が凶暴化する。

全てを喰い尽くすのだ。

「あーははは。外道はみんな死ね。いなくなれ。」

「臭い、汚い、根性なしのヘタレ。」

そう言いながらチェリとツッピとテトがバスルームの床に僕をころがしてシャワーを浴びせている。

涙と嘔吐物でグチャグチャになった僕をネズミ達が城に連れて帰ってくれた。

普段ならクリーンの魔法を使ってきれいになるのだけれどショックを受けて混乱しすぎて訳がわからなくなっていたみたいだ。

危うく王都全部を片付けてしまうところだったらしい。
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