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第二章ー異世界転生ー幼少期後編

THE10ー母と、エリスー

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一方リュークとリーパーが裂け目に消えた時エリスと家族はー

ーエリス視点ー

裂け目が塞がりリュークが見えなくなると、私はお義母様と一緒に泣き崩れた。

お義母様も辛いのを我慢してたのだとすぐにわかった。

お義父様とお義母様の三人で足取り重く行きの倍の時間をかけて家に着く。

家に着くなり義姉エイシャが慌ててかけてきた。

「お父様っ!大変っ!エリックお兄様が旅支度をしてるのっ!」

お義父様がお義兄様の部屋をノックするが、返事はない。

お義父様は扉の前で何やら話をしているが私には聞こえない…

家族がみんな集まり意気消沈していると、二階からお義兄様が降りてきてテーブルにつく。

お義母様も疲れ切ってしまい酷い顔…

恐らく私も酷い顔をしているのだろう。
そんな事を考えていた。

みんな黙ったまままだ。

口火を切ったのはお義兄様だった。

「僕は、旅に出ます。
家督は…リュークに譲ります」

「…それは認められない」

「エイシャも反対ですわっ!」

「お前は、少し黙ってなさい!」

「「っ!!」」

「…すまん」

「…なぜですか、父上」

「…理由は…言えん」

「…おい…ところで、エイシャの魔術はどれ程進んだ?」

お義母様と私は

「いつでも卒業試験ができます」

と答えた。

「では、明後日よりエイシャも剣を教える」

お義母様は小声で「なぜ?」と聞くと「」と小声で返していた。

お義姉様は喜び、お義兄様も肩をすくめてしぶしぶ納得していたようだ。

話し合いも終わり、私はお義母様とお互い支えあい、足取り重く部屋に戻る。

部屋に入るなりベッドに倒れ枕を濡らす。

すると、ふと夫の匂いがした。

一体どれほどの間会えないと言うのか、目を閉じれば夫の笑顔。

先日の初めて泣いていた幼い顔。

討伐の際には大人に負けない男の顔。

照れた顔…

考えるのは夫の事ばかり、ベッドに膝を立てて座り自分の唇を、肩を、最後に夫が触れた場所を…

そして夫の匂いのする枕に顔を沈める。

気づけば外は夜、私は力無く立ち上がりドアに手を伸ばす。

するとドアがノックされお義母様が声をかけてきた。

その声は無理をしているのがわかってしまう程元気がいい。

私はドアを開け、お義母様に抱きつく。
するとお義母様も抱き返してくれた。

私はお義母様に「将来、側に居て夫を支えらる妻になる」と声を振り絞り伝える。

するとお義母様も少し震えた声で「それは私の役目です。」と言われた。

2人は涙を溜めた目で笑いあい、悲しみを乗り越えた。


ー母視点ー

主人と義娘の3人で家に着くと残してきた子供達が騒いでいた。

正直、将来エリックには家督を継いでもらいたい、だから甘やかさないで育ててきた。

しかし、それは間違いだったのかもしれない。

妹と弟に魔法も剣も追い越され、そして弟はすでに遠く及ばないと理解してしまったのだろう。

家督は弟に譲ると言い出した時涙が溢れていた。

主人に似てプライドの高いエリックがそんな事を言い出すとは思ってもいなかったのだ。

もう、私は何も考えられずにいると、主人の怒鳴り声が聞こえ、私は我に戻った。

そしてエイシャにも剣を教えるといいだし「」だと言い出した。

部屋に義娘と戻る事にした。

確かに子供が成長すれば巣立って行くもの、それは理解できていた。

ただ、普通に平和に生活を送ってほしい、それが唯一の望みだ。

私も若い頃は国を守る為、子供達の、将来の平和を守るために魔法軍団などと言う集団を束ねて戦っていたが、主人ができエリックがてきた、だから私は将来の平和は主人に任せ引退した。

それなのに、子供達は厳しい運命が待ち受けている。

今まで主人と自分が守ってきた物が危険に晒されるなんて、一体今までの努力はなんだったのか。

隣の部屋で義娘がすすり泣いている。

彼女も辛いのだと理解した。

娘の家庭教師で雇ったはずが、まさか数日で義娘になろうとは私の大事な可愛いリュークを取られるなんて…

…声が聞こえ無くなった…

息子は最後なんと言っていた…

そうだ、あの子をお願いしますだった…

あの子も15歳、でもまだまだ子供なのだとわかっていた。

私が代わりに強くならなければと心に決めた。

下に降りてお湯を沸かす。
義娘と紅茶でも飲みながら慰めてあげよう。

そう思ったのだ。

お湯が沸け階段を登り義娘の部屋をノックをして呼びかけた。

すると扉開き義娘が抱きついてきた。

なんでも勇者となる夫を側で守ると決めたのだと、この娘も強く生きる決意をしたのだと理解した。

私は負けじとそれは私の役目と言い2人で笑い紅茶を飲む事にした。
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