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囚われた鳥
暗い朝
しおりを挟むーー全身の痛みで目を覚ます。
朝方千鶴が気絶するまで彰による陵辱はつづき、目が覚めたのは昼に近い時間であった。
起きる事もままならない。特に若いとはいえ腰の痛みがひどかった。ついで、秘部のひりつき。今日も仕事がある筈なのに、身動きするのが辛い。
彰の姿はない。いつのまにか布団は綺麗なものに変えられていて、着物も新しいものに着替えさせれられている。
「ーー失礼します」
女性の声にビクッと震える。
見れば、老いは感じるものの上品そうな女性が襖をあけて入ってくる。従業員の中でもベテランの方で、名前は酒井という。
手に持っているのは水とグラスに……何やら錠剤が乗ったトレーだ。
「喉が渇いているでしょう?どうぞ」
そう言って起き上がれない千鶴のそばに水を注いだコップを置く。
「……あ、ありがとう、ございます」
「今日は……というより、これから殆ど仕事に出ないという事が増えるでしょう」
「え」
女性は眉を顰めて千鶴を観察しているように見えた。裸のまま寝そべって応対しているのに気づき、急に恥ずかしく申し訳なくなり布団を身体に巻きつけた。
その様子を見て彼女はため息をつき、ヒソヒソと千鶴に耳打ちをする。
「……気に入られたようですからね。そちらの薬、キチンと飲んで下さいね。困った事になりたくはないでしょう?」
「困った事に……?」
「まぁ。昨日散々、"仕込まれて"しまったのではないんですか?」
その言葉に昨夜の行為を思い出してゾッとした。
彼女の言う通り、昨夜は何度も何度も、膣内に彰の精液を注がれていたのだ。そこから溢れようとも、千鶴が嫌がろうとも関係なく、彼は中に注ぎ続けた。恍惚とした表情を浮かべながら。
それを指しているというのであれば、これは避妊の為の薬ではないのだろうか。
緊急ピル、というものを千鶴も何処かで聞いた事があった。それなのだろうか。
「では、失礼致します。本日はごゆっくりお過ごし下さい」
酒井は通常時の声に戻すと丁寧にお辞儀をして部屋を去っていった。
千鶴は頭を下げて見送った後、錠剤を口に放り、水を流し込んだ。渇いた中に放り込んだ為に喉に張り付いて軽く咽せ込んだが、何とか飲み込んだ。
全身が怠く、動けない。
休みでいいと言うのであればゆっくりさせてもらえてありがたい。
とはいえ、これは今後も続くのだろうか。
そう考えてゾッとした。
だとしたらどれくらいの頻度で。どれだけの回数で。彼に。
彼の元で普通の生活を送る事は出来ないという事実が彼女の前に立ち塞がる。とはいえ、他に行くあてもない。何故なら千鶴を大切にしてくれた両親はもうこの世にはいないのだ。誰も千鶴を守ってくれはしない。
「……お、かあさ……おとうさん……助けて……」
ポロポロと涙を溢して思わず泣き出してしまう。16というまだ幼い彼女には酷い仕打ちであった。両親を亡くしたかと思えば、親切だと思った伯父に裏切られ、陵辱された。……レイプされた。それでも彼女には他に行く場所なんてなかった。
『千鶴、可愛いね。ここも気持ちいい?美鶴もここを何度も攻められるのが好きだったなぁ』
伯父の言葉が蘇り、布団を頭から被って首を横に振った。消えて、消えて、こんな記憶。そう思えば思うほどに昨日の出来事を思い出してしまう。
しかしその中で、ふと千鶴は疑問が浮かんでしまう。
伯父はやたらと千鶴の母親、美鶴の名前を出してくる。昨日の行為の最中、美鶴はこうだった、美鶴と比べて千鶴はこうだ、美鶴とここが同じだ……そのような発言が繰り返されていた事に、千鶴は静かになった今気づいた。
そして、最悪な想像に……知りたくない事実に気づいてしまった事に頭を抱えた。
千鶴の母、美鶴は…………同じようにレイプされていたのではないだろうか。美鶴にとっての兄……彰によって。
「う、うあ、あぁぁぁ……ッッ!!!」
鳥は閉じ込められた。籠の中に。
籠の鳥は、主人が扉を開けなければ逃げ出す事は出来ない。
千鶴は、歪んだ狂った愛という名の鳥籠に囚われた、哀れな鳥になったのだ。
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