推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん

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復活の厄災編

第三十九話 挨拶代わり①

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 枯れ木が並び立つ場所に多くの隊員達が集まっている、その集団の中央には全長10メートルはあるだろう地面を削って精巧に作りあげた魔法陣があった。

「いいあなた達、この魔法陣にありったけの魔力を詰めこむんで。魔法が生成出来ても決してやめてはいけない。」

 枯れ木の上に器用に立つシリアスが隊員達を見下ろしながら地面に広がる魔法陣の使い方を教えていた。

「では魔力供給班、始めて。」

 魔導隊の中で選ばれた30人ほどの隊員達は魔法陣の円の端に並び、両手を描いた陣の上へ置いた。
 そしてすぐさま全員は自分の体にある魔力を陣に向けて流し込んだ、すると陣を描いてできた溝に液体が流れ込むように端から中央に向かって白い光の道筋が進み始めた。

「魔力回路良好!」
「陣形具現化に問題無し!」
「では…《設置型魔法陣》展開!」

 シリアスのかけ声と共に、全体的に白く光った魔法陣から青白い陣が複数出現し多方面に散らばる。上を見上げると出現した複数の大きな魔法陣が辺りを漂う光景が目に浮かんだ。

「すごい…こんな魔法の使い方があるのか。」

 アルノアは自分の職業柄だからか、関心した様子で彼らの作業を眺めていた。
 そういう俺も現実世界では見ることができない神秘性に目を奪われていた。

「あの描かれていた魔法陣は複数の陣を呼び出すための準備だったっていうわけか、てっきりあの陣から巨大な魔法弾が出てくると思ったわ。」
「まさか、今から放つ特大魔法は描いた陣だけじゃ土台にもならない。最も安定した火力をたたき出すために私達はこうしたのさ。」

 俺の隣にいた魔導隊の隊員は自慢気にそう答えると、その言葉の意味を体現するよう宙に漂っている複数の魔法陣に変化が表れた。
 赤や黄色の混ざったオーラが現れ、地面に描かれた魔法陣の上に一点に集まりだした。

「あの燃えるような柄のオーラ…火炎魔法か?それがどんどん一点に集まって形を作り上げていってる。」

 アルノアが見つめる先には複数の魔法陣から放たれた火炎魔法が一点に集められていた、その炎は徐々に大きくなってくる他に熱気が強くなってきている。
 まるで太陽を間近で見ているみたいだ、灼熱の光景に体から汗が噴き始めた。

「暑っ…ここからでもかなり熱量じゃねえか、近くにいる隊員は大丈夫なのか?」
「大丈夫じゃないよ、これはまだまだ第一段階。まだ詠唱を唱えていないから完全な魔法になっていない。」
「詠唱を唱えるって?まさかアレを撃つつもりか!?アレを!?」
「アレとかソレとかどういうあれ?」

 興奮しているアルノアに、俺は詳しく説明するよう促す。

「超級魔法だよ、本来魔法を唱えるために必要な詠唱が魔法陣に組み込まれてるんだけど、超級のような火力のデカい魔法じゃ魔法陣の中に火力しか入りきれない、だから抜けちまった詠唱は自分で唱えなきゃいけないんだ。」

 アルノアの説明通り、周りの隊員達の声に混じって合唱するように呪文を唱える声が聞こえてきた。

 ーー汝、真紅の憤怒よ。大地を焦がす炎で軟弱な存在に力を見せつけよ!

 超級魔法に必須である詠唱だろうか、その言葉を終えた瞬間、宙に浮いていた巨大な火球が垂直に向かって打ち上がった。

「蔓延る悪魔め、国崩しを企むお前達に裁きの鉄槌を下す!超級魔法!紅蓮《インフェルノ》!」

 シリアスが上に掲げた手を前に下ろした、まるで上空に上がった火球を操作するかの如くそれは谷の方へ落下していった。

「おい!なんだあれ!?」
「デカい火球だ、しかもこっちに向かっているぞ!」

 谷の中央に群がる帝国軍は後方から迫る火球に気がついた。気づかずにはいられない、火球から発せられる熱気、強い光には周りのいざこざを止めてしまうほどに《異常》という言葉が全員の頭に刺さってしまうからだ。

「逃げろ!!」
「おい邪魔だ!飛べないだろうが!」
「迎撃しろよ誰か!」
「あんなデカい火球どうやって!?無理に決まってるでしょ!」

 悪魔達は迫りくる火球に恐れ絶望感していた。
 数は里の勢力の約2倍、全員が一斉に魔法を放てば相殺できたかもしれない。
 だが彼らにはこの状況を的確に指示し統制できるボスがいなかった、遠くから迫る死という恐怖に戦おうとする意思を考えなかった。
 誰かがやらないから自分もやらない、誰かが逃げるなら自分も逃げる。そんな独りよがりな精神が蔓延る中、誰一人として正常な判断を持つ者などいなかった。
 火球が徐々に大きくなっていく、悪魔達の目には迫って来る火球の大きさがわかるようになっていた。火球が徐々に小さくなっていく、シリアスの目には火球が谷に落ちていく光景があった。

「…想定内、あとは着弾して周りのガスに引火すればさらに大きな爆破で周りを巻き込ませることができる。」

 シリアスは顔を横に向け、後ろで作戦の成否を待っているクロムの姿を見た。

「戦いを舐めてるですって?馬鹿みたいに突撃する人達とは違うのよ。」

 彼女の目はまるで敵として見るようにクロムを見ていた、出会って間もない人間にここまで敵意を感じたのは初めてだった。

 ーー少し前

 クロムはセーレを逃す算段としてシリアスに作戦で使用する魔法の種類を聞いた。
 だがシリアスはクロムの意外性な想像力が作戦に支障が出てしまうと危惧し、何故それを知りたいのか逆にクロムに問いただした。

「まず答えてくれる?あなたは何故それを知りたがるのか。聞いた話じゃ、あなたの仲間があの谷にいるから作戦開始時刻を引き伸ばしてほしいってことらしいけど、これとどんな関係が?」
「特大の魔法が帝国軍に着弾するまでの隙が知りたい。にわかだから教えてほしいんだ、魔法の中で一番足が遅い属性を。」
「着弾するまでの隙?一番遅い魔法?何がなんだかさっぱりわからないわ。」

 やっぱりこの男は苦手だ、意図も分からない話に頭が混乱する。
 シリアスは複雑な表情をして目頭を押さえていた、これ以上聞いても何の有力な話もない、そう感じながらも彼の話をいい加減に聞いた。

「俺が思うにこの作戦で谷にいるスパイがとりそうな行動パターンは大きく二つ。一つは巨大魔法に危機感を感じて逃げる、この時足の遅い魔法であれば着弾する前に全速力で逃げられるからな。」
「あーそういう…随分とそのスパイの足の速さを誇張してるみたいだけど、100%逃げられはしないわ。」

 安直なクロムの考えにシリアスは、何も知らない幼稚な子供を叱りつけるよう苛立ちを含ませながら作戦の概要を伝えた。

「超級魔法・紅蓮《インフェルノ》、特大の火球を相手陣営に叩きつける。およそ20秒も満たないで火球は谷に着弾する、さらには谷に漂う腐敗ガスに引火して大きな爆発を引き起こす。人間の足じゃどんなに速くても迷路になっている谷から爆破を逃れることなんて出来ないのよ。」
「なるほどね…20秒か、オーケーだ。」
「は…?」

 今彼はなんて言った?オーケーとはどういうことだ?人間の足では逃げられないというのに何を自信持ってそう言えるのだ?そうシリアスの頭の中で疑問が渦巻く中…

「シリアス隊長、変な質問で時間食っちゃって悪いな。予定通り作戦を実行してくれ。」

 クロムは彼女の疑問に答えぬまま悩みが吹っ切れたかのように作戦開始を伝えた。

「ちょっと待ちなさい!説明が足りないわよ、何で逃げられると確信が持てるの?あなたは一体何を根拠にそれが言えるわけ!?」
「根拠?20秒の猶予があるなら逃げられるからかな、人間なら逃げられなくても人外なら逃げられる。それだけ。」
「はぁ…駄目だわ。この頭おかしい人と話すと頭が痛くなる。」

 シリアスは呆れた表情で頭を押さえていた、確かに俺の説明不足もあって意味不明な答えになっていることは反省している。だが…

(すまねぇシリアス隊長…俺も詳細を伝えたいけど、さすがにそのスパイの正体が悪魔なんて普通に言えない。)

 悪魔を仲間にしてるなんて言ったら消される予想はついていた。だからこそ俺は心の中で手を合わせて謝罪をする念を飛ばした。

「それはそれとして、本当に実行していいのか?君が思っているより被害が激しくなるかもしれない。そうなったら…」
「大丈夫、頭の中でどんな光景になるのかイメージできてる。行こう皆、相手がまとまっている間にどデカいの一発ぶちかましてやろう。」

 このまま質問され続けるとスパイの正体を言ってしまいそうになり、はぐらかすようにその場から離れようとすると…
 
「ちょっと。」

 後ろからシリアスが食いかかるよう歩み寄り、不満な顔つきを見せながらクロムに訊いた。

「あなたの頭おかしい話を聞くのは嫌だけど、話してないのがもう一つあるわよ。さっきスパイがとりそうな行動は二つって言っていたけど、もう一つって何?」
「……。」

 突如楽な表情でいたクロムが口を閉ざした、妙に険しい顔をして考える素振りをしていると、改まってシリアスに一言呟いた。

「怒らずに聞いてほしいんだけど…できる?」

 明らかにシリアスの機嫌を意識しているような言い方に、最初は面倒な表情をしていた彼女だが、質問の答えを聞くために今までの感情を一旦ゼロにして初心な気持ちでクロムと接した。

「はぁ…善処する。」

 約束するようシリアスは手を挙げると、クロムは淡々と二つ目の答えを述べた。

「簡単な話、特大の魔法が相手陣営に相殺されてスパイが被害に巻き込まれずに生還できるって予想。悪く言えば初撃に失敗した場合って言えばいいか。」

 まるで失敗することを前提とした話、魔導隊の隊長であるシリアスにとってそれは力及ばずして敗北を決するという意味に聞こえた。

「言ってくれるじゃない、私達の魔法が通用しないって言いたいのかしら?」

 怒らないと誓ったはずだが、笑みを含んだ表情に憤怒の目がギロっと向けられる。

「そんなことは言ってない、巨大魔法が迫って来てるってなったらスパイ対策なんて二の次になる。それに最初がうまくいかなくても、第二、第三って策を考えてあるんだろ?だったら…」
「必要ないわ、私達が放つ魔法は超級を超えた巨大魔法よ、一発で谷全域が跡形もなく無くなる。そんな凶弾の前にたった数秒で相殺しようってあいつらは考えるかしら?」

 クロムの話を論破すると、彼を下に見据えるようにシリアスは集合場所へ戻ろうと歩き出した。

「失敗した時の対策なんかより、いかに完璧に近い成功を導けるように考える。それが戦いの基本なのよ、覚えときなさい。」

 去り際に口にしたシリアスの言葉には、まるで自分の考えに絶対的な自信を持っているように聞こえた。
 俺も大げさに聞こえるが死線をくぐってきた者として、現実世界で挫折しながら生きてきた者としてわかる。

 ーー絶対できるという言葉は100%できるということじゃない、90%の成功と10%のイレギュラーがある、絶対を過信してはいけないと。

「なぁ…」

 俺は目の前で歩くシリアスを目上でありながら無礼な言葉で足止めした。

「なぁなぁなぁ、ちょっと待てよ。この作戦を指揮してる隊長だからあまり反抗するつもりは無かったけど正直に言っていいか?」

 呆れる台詞を口にするとシリアスは足を止めた、こちらに顔を向かないがそれでも自分の主張を彼女にぶつけた。

「最悪な状況を想定しないで勝つって言うなら、正直戦いを舐めているようにしか聞こえないぞ。」
「何ですって?」

 シリアスは今までにないほどに怒気を帯びてこちらに振り向いた。鬼の形相と言えばいいだろう、鋭い眼光で俺を睨みつけるが、俺もシリアスの主張した考えにもの申すため凍りつくような表情で睨み返す。

「帝国を舐めるなよ、あいつらは俺達の知らない力を持っている。予想外の一手を持っているから、あいつらの脅威は収まらないんだ。」
「じゃあ聞きますけど、その予想外の一手って何?私達の作戦にどこが穴があるって?何も知らないのに話を複雑にしないでくれない!?はっきり言って迷惑なのよ!」

 敵陣だというのにシリアスは声をあげながら襲いかかるようにこちらに近づいて来た。
 彼女の質問はどれも必然に思う疑問だらけであり、帝国を知っている俺にとって答えづらいもので、ただ黙って睨むことしか出来なかった。
 そんな睨み合いの中、二人の間を引き裂くように腕を寄せる人物がいた。

「勇者!それにシリアスも!ここで歪み合いをしてる場合じゃないぞ!そんな状態では勝てる戦も勝てない。」

 ジアロの声は、二人を和解させるとはいかないが心を動かすような説得力があった。その言葉に俺はシリアスに対する反抗心はなくなり落ち着きを取り戻した。

「…そうだな、ジアロ隊長の言う通りだ。こんな所で喧嘩してる場合じゃない、結果さえ良ければそれでいい、絶対的な自信があるって言うなら俺はもう何も言わない。」

 さっきまでの無礼な対応が嘘のように抜け落ちた声で話すと、クロムは弱々しい怒りを浮かべ隊の皆がいる集合場所へ去って行った。
 その背中を見ていたジアロは未だ憤りの表情をしているシリアスに本音を聞き出すよう一言呟いた。

「シリアス…本当に大丈夫なんだろうな。」
「うるさいわね!あなたまで私達の力にケチつけるつもりなのかしら!?」
「ケチではない、だが勇者の言ったとおり…」
「最悪想定して戦えって?そういうのは近衛隊達でやって頂戴。もう私達には想定じゃなく結果が見えているから。」

 そう言うと力強く握った長い杖を打ちつけながらクロムが歩いて行った方向へ去って行った。
 幸い二人は同じ場所へ歩んで行った、だがこの件によって二人の歩む道が違えてしまったことを一番近くで見ていたジアロはひどく痛感した。

「どうしましょう…こんな状況で戦えるのでしょうか?」

 隣で偵察隊の隊員が弱った声を吐く、正直一番困窮しているのはジアロだった。
 シリアスの作戦を完璧に成功させるための緻密な下準備を作る考え、クロムの不測の事態に備えた予備の作戦を作る考え。
 どちらも戦いに必要な考えであることは確かなのだが、その信念の強い人が作戦のリーダー格であることに口惜しさを感じていた。

「どちらの意見ももっともだ、だがこの相対する気持ちは戦場で足枷になってしまう。」

 おそらくこのままでは魔導隊は勇者の考えで動くことはしない、それは逆もしかり。
 戦闘で一番最悪な出来事である協調性の欠落、それが今戦前で起ころうとしてることに不安を隠し切れずにはいられなかった。

「心の底から願うしかない、《第一の矢》が成功することを。」

 シリアスが率いる魔導隊の力を信じているつもりだった、魔法については里で彼ら以外に頼れる者などいなかった、これからも大丈夫だとそうずっと感じていたはずなのに…
 ジアロの足は行く時よりも重く感じていた。
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