推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん

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復活の厄災編

第二十九話 魔法使い採用試験①

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 ーー1年後…

「試験者の方ですね、こちらに手をかざしてください。」
「ああ…。」

 魔力ナシと判断され試験に出ることが叶わなかった1年前と同じ今日、アルノアは魔法使い採用試験を再び受験するためこの大図書館へ再び赴いた。
 1年前、なにもかもがワクワクしていたあの頃と違って、周りのことに興味を見せずただ自分に魔力があるのかないのか判明するのに気持ちが手一杯だった。

 スッ…
 アルノアは水晶玉に手をかざし、体内に流れる力を流し込むようなイメージをした。すると…

 パァァァァ…
 水晶玉が青く光だした、その光を見てアルノアはホッとした表情を浮かべて水晶玉から手を離した。

「魔力反応あり、ではこちらのお部屋へ。」

 受付係が手で指した先には、1年前入る事が叶わなかった本が大量に並ぶ図書館の内部が見えた。
 アルノアはただ無心にその図書館の中へと足を踏み入れた。昔の自分だったらやる気に満ち溢れながらこの先頑張ろうと歩みを進めていただろう。
 あの時と同じ夢を追いかけて、あの時と同じ興奮が味わって、ただそこにあの時に感じた悔しさがなかったら…

「やめよう…せっかくやり直せる機会が出来たんだ、あの時の悔しさは今の倍にして発揮すればいい。」

 アルノアは自身の頬を叩いて暗い気分をかき消した、どんな事情があろうと夢に近づく第一歩を踏み出せた。それは大きな進歩だ、そう心に言い聞かせ歩み進めた。
 そんな姿を後ろから怪しむような目つきで見ていた者がいた、先程アルノアの受付をした受付係だった。

「アルノア・ノックス…名簿には1年前に魔力測定0と診断されて試験不可とされた人物。ただの人間だった彼女が魔力を持つなんてあり得るのかしら…。」

 彼女はそう疑問に思ったのには理由があった、魔力量が0と診断された試験者が再びここに受験しに来るのは大勢いる。
 だが結果は当然何も変わらないまま受験不可になる、なぜなら魔力というのはどんなことをしてもないところからは芽生えない。
 種が植えられていない場所に水を与えても芽が芽吹かないのと同じだからだ。

「一応…大賢者様に報告した方が…」
「あの…試験受けにきたんですけど。」

 声をかけられ気づく、受付係の前には列を作って並んでいる試験者達がいた。報告は後ででも出来る…そう彼女は優先順位をつけ試験者達の対応をした。

 一方その頃、アルノアは図書館の中で壁際に立てかけられた椅子に腰掛けて、苦しい過去を振り返っていた。

「ここに入るまでに1年も掛かっちまった…でもここからだ!1年間みっちり魔力を馴染ませるよう訓練してきたんだ、他の奴らに負けてたまるか!」

 自分の夢は大賢者のような多彩な魔法を扱える魔法使いになること。だがここにいる試験者の大半はおそらく自分と同じ夢だろう、だからこそ負けたくない、他の奴らより劣っているような目で見られたくない。

「合否なんて最低条件だ、他の奴らより上へ…トップになってやる!」

 そう強く奮い立たせアルノアはいつもより真剣な表情をした、周りはその怒っているような表情に怖がり近寄らないように彼女から少し離れた。

 ポーン…ポーン…。

 図書館の中で古めかしいチャイムが鳴き、時刻がちょうど昼の正午になった頃、奥から一人男性と女性が歩いてきて試験者達を見渡せる場所に立った。

「では…時間になったので、これより魔法使い採用試験を行う。」

 司会を始めた男へ視線が集まる、男は高身長ですらっとした体型に、長い黒髪をゴムで後ろに縛っていた。指導者のような話し方はまるで中年の男性と思わせるが、青髭もなく艶々とした肌は年齢を詐称しているようだった。

「私は今回黒魔法の試験官を担当する、サピエル・クラシコだ。」

 男は手を後ろ組み、試験者達を見下ろすように眺めた後軽く自己紹介をした。そして…

「同じく今回白魔法の試験官を担当する、エリー・モーニングだよ。」

 隣では陽気な笑みを浮かべ、男性の試験官とは緊張感のない挨拶をしている女性がいた。
 大人しめのスタイルで整えられた緑色の髪、口角を上げた際に見られるニヤけたような目つき、さながらその笑みは一切の邪は存在しないと思わせる天然な表情をしていた。
 そして、その二人に共通するのはマリアナと似た黒と紫のしま模様のローブを着ているということだ。姿を見る限り魔法研究者の人物だと把握するが、初対面だとまるでこの大図書館の制服だと思わせられる。

「まずは君達のなりたい職業に分ける、攻撃重視の黒魔法使いを選ぶ者は右の部屋に、回復重視の白魔法使いを選ぶ者は左の部屋へと進んでくれ。」

 サピエルは試験者達を分けるよう手で左右の部屋を指し、その後試験者達は自分が目指したい魔法を覚えるため左右に分かれて進んでいった。

「やっぱり多いな、黒魔法使いを選ぶやつは。」

 アルノアは右の部屋へ向かおうとすると、大半の試験者が右の部屋へ歩きだす姿が見られた。
 やはり皆、魔物を倒したいという熱があるのだろう。ほとんどの試験者達は皆好戦的な表情をして、未来の自分が魔法使いになる姿を想像している。
 私もそれは同じ気持ちだった。私は迷いなく右の部屋へ進んだ。

「8対2ってところですかね、今年も人気ですね黒魔法使いを受験する人達。」

 エリーは周りの光景を見て直感的に数を比較した、サピエルはその事について何も思っておらず、関心のない理由をエリーに答え返した。

「ああ…そして自分の才能がないことに気づき帰っていく者達も多いのは黒魔法使いを受験する者達だ。」
「お手柔らかにしてくださいよ先輩、魔法使いになれないって絶望はかなり酷なものですから。」
「駄目だ、ここで身をもって知るべきなのさ、半端な魔法使いがどれだけ弱い存在なのかを。」

 そう言うとサピエルは、最後に右の部屋に向かう試験者を追いかけるよう部屋に入って行った。
 エリーは彼に付き合わされる試験者達を気の毒に感じ、やれやれ…と呆れたような言葉を呟いた。
 そうして彼女は軽快に左の部屋に入っていき試験開始の合図を宣言した。

「それじゃあ皆!第一次試験を始めるよ!」

 ほど同じくして右の部屋、作りは先程いた部屋と一緒だが、周りにあった本棚が一斉に床下に格納され大きく何もない部屋が広がった。

「それでは、これより第一次試験を始める。」

 先程入ってきた入口からサピエルが何百とある紙の束を持ってやって来た、そしてその紙束を試験者一人ずつ渡しながら試験の内容を告げた。

「まずは君達の魔法の基礎を見させてもらう。この紙に書いてあるのは初級魔法の基本属性3種類の詠唱方法が書かれている、この中の一つでも詠唱が出来た者へ第二次試験の通過を認める。」

 サピエルから渡された紙には言われていたとおり魔法詠唱の方法が綴られていた、魔力を捻り出して魔法陣を生成する方法、属性魔法を出すためのイメージなど細かく丁寧に書かれており、説明書の通りに進めれば誰でも出来ると思うほどに簡単な試験内容だった。

「この中のどれか一つって楽勝だな。」
「ちゃんとやり方も書いてあるし、親切な試験内容ね。」

 楽な試験内容に試験者達はやや拍子抜けの表情をした、そのことでざわめきはじめるとサピエルは少し大きな声で試験者全員に聞こえるよう説明の続きを話した。

「制限時間は2時間、それまでに出来なかった者、他の試験者に怪我を負わせた者は失格とする。」

 サピエルは片腕を大きく上に伸ばし、開始の合図を宣言をした。

「それでは…始め!」

 合図とともに試験者達は手元の紙を読み進め、魔法を放つために手を伸ばしブツブツ小言で朗読する声が広い部屋に響く。
 そして時間が経つにつれ、その小言は徐々に焦りと疑問が渦巻く混沌とした状況となった。

「あれ…なんで?」
「くそっ!なんで形になんねぇんだ!」
「やり方はあってるよな?俺だけ違う紙とかじゃないよな?」

 ここにいる試験者は他の冒険者が使っている魔法を見てきた、たかが初級、されど初級、簡単にできると皆は思っていた。
 だが蓋を開けてみれば初級魔法を詠唱するどころか唱えるための魔法陣を発動出来た者は一人もおらず、皆は手元にある説明書に疑いを持ちかけた。

「なぁ試験官、この説明書で本当に魔法が撃てるんだよな!?皆まだ魔法を発現してないどころか魔法陣すら形に出来ないのはおかしいんじゃないのか!?まさか魔導書とは違う内容を書いてるんじゃないよな?」

 一人の試験者の発言により、皆は同調するようにサピエルに魔法が撃てないという疑問をぶつけた。
 試験場はたちまち混乱した状況になってしまった、サピエルの周りで自分達の主張を示すデモが行われ、もう試験どころの話じゃなくなってしまった時…

「甘えるな!」
 ビュオォォォォォォ!

 サピエルの激昂と共に周りから立っていられないほどの強風が吹き荒れた、彼が放った風魔法だ。

「なっ、なんだよ!偉いからって罵声を叫んでも無駄だからな!」
「っていうか試験官が俺達に攻撃してきたんだけど、これって駄目だろ普通!」

 近くにいた試験者達は強風により思わず尻をついて転んでしまった者もいれば、サピエルのその対応に非難する者も現れ、試験を行っている部屋は騒然となった。

「はぁ…これが未来の魔法使いの卵達か?口を開けば簡単に撃てるだの、読み進めれば覚えられるなど、理解しようとする意気込みがないことに私は驚いたぞ。先人達が知恵を絞って作り上げたものを楽に覚えられるとでも思うなよ。」

 サピエルの話し方が試験を見守る指導者のそれではなかった、圧倒的な意思力を感じさせるその言葉と誰一人関心を持とうとしないその無機質な目で睨みつけ、不満の色で喚く試験者達に口を開いた。

「いいか、君達に必要なのは魔法という存在がどれだけ偉業なものなのか、この瞬間に己の非力さを痛感できるかを感じとれることだ。思い描いた夢の道筋が平坦で障害もない楽な道なら、その程度の力しか手に入らない。今の君達がそれだ。」

 急に試験者達へ指導が始まり、皆は訳も分からずただサピエルの言葉に耳を傾けた。

「絶望しても無理だと嘆いても、まだ諦めずに学ぼうとする意思がある人間にしか夢を叶える力は宿らない。さぁ、試験者達よ…大いに悩んで、失敗を経験しろ。学ぼうとする才能が芽生えない限り、魔法の女神は微笑まない。それが君達が目指す魔法使いという職業だ。」

 その言葉は先程まで不満を垂れ流していた試験者達を黙らせるにはいい薬だった。
 学ばないことには魔法を覚えることなんて出来ない。単純な話だ、愚痴を言って嫌々駄々をこねていても何も変わらない。そこに学ぼうとする意思がないのだから。

「ハァァ!」

 そんな重い空気の中、部屋中にアルノアの力んだ叫びが響きわたる、皆はその声に反応し彼女の方へ振り向くと真剣に魔法に取り掛かる姿が目に入った。

「その通りだよ、私は魔法使いになって大賢者のような沢山の魔法を覚えるんだ。この説明書を理解出来ないってことは魔法使いに向いてないってことだろ?そんな挫折二度も味わってたまるか!」

 アルノアの諦めたくない気持ちが力になり、不完全で歪な形だった魔法陣が新円を形作った。

「いっけぇぇぇ!」

 魔法陣が青く輝き出し、中心から指先程度の火の粉が吹き出した。だが…

 プスプス…
 魔法陣から黒煙を吐き出し詠唱失敗に終わった、だがアルノアもそれを見ていた試験者達も一筋の希望が芽生え始めた。

「ほら見ろ!やっぱりこの説明書は間違いじゃなかった!私達は出来る!出来るんだよ!」
「出来る…。」

 アルノアに見せられた可能性が試験者達を突き動かした。試験者達も魔法使いになるという夢を叶えるためにここにいる、魔法を覚えられないのは魔導書のせいだと言い訳にした自分達の行為を恥じた。

「やってやる…初級魔法で挫折してたまるか!」
「たしかに、魔導書を理解出来ないんじゃこれから覚える魔法も習得できないということ。そんなのは魔法使いでもなんでもありませんね。」
「ふざけろ!そんな汚点をつけられるくらいなら死んだ方がマシだ!」

 次々と皆はやる気に満ち溢れ、再び魔法詠唱に挑戦し始めた。もう最初のような「なぜできないのか?」という不満を垂れる者はいなくなり、自分の中で何がいけないのか欠点を見つけ再挑戦する者がいれば、相手と協力して別な糸口を探し出す者も見受けられた。
 その直向きに挑戦する試験者達を見てサピエルは少し笑みを浮かべ、少し離れた場所から試験者達を観察した。

「ようやく目覚めたようだな、だが…。」

 サピエルは懐から懐中時計を開いた、試験開始から30分以上は経過している。
 未だ誰一人第一次試験を突破出来てない現状に、サピエルは心の中でこの試験の過酷さを試験者達の代わりに代弁した。

(この試験は魔法使いにとって学ぶ力をを叩き込むには相応しい内容だ。だが…たった2時間で魔法の基礎の会得と、それを実行して魔法を実現させなければならない応用、昨日まで魔法をかじっていない者にとってこれは過酷とも言えるだろう。)

 カチャ…と懐中時計を閉じ、再び目の前で必死に課題に取り掛かっている試験者達を見た。彼も同じ道を通って来たからこそ彼らの努力が、苦しみが、疑問が身に沁みて伝わる。

「頑張ってくれよ…未来の卵達よ。」

 そう一言こぼした彼は、無意識に組んでいた腕に力が入り、大きな呼吸も先程より増えていた。
 エリーが隣にいたらきっと、あなたが焦ってどうすると茶々を吐かすだろう。
 それほどまでに彼も熱が入っていた、彼が試験官を初めてからこのように全員が目の前の課題に全力で取り組む姿勢を見たのは初めてだからだ。
 いつもなら出来ないくて途中で挫折する者や、先程のように説明書に不満を持ってリタイアする者が多かった。
 試験を受けた者は皆簡単に諦めてしまう、そんな光景を見続けていたためサピエルは徐々に試験に志願してくる者達に興味を無くしていった。
 だが今は違う…

「もっと形イメージしろ…陣がまだ不完全だ、そこに力を込めようとするな…」

 気づくとサピエルは試験者達の欠点を小声で呟いていた。もしこれが試験ではないのら今すぐにでも指摘してあげたい、それほどまでに彼らの直向きな努力に惹かれていた。
必死になって夢を追いかけようとする者達が報われないというのはあまりにも酷ではないか?過去の私はそう言葉に述べながら試験者達を応援していた。
そんな過去の出来事が今再び自分の中で芽生えようとした、自分でもまだこんな感情に浸れるのだと思い少し驚いた。

「もう二度とこんな光景を見れないと思ったよ、やはり魔法使いはこうでなくちゃな…。」

 そう感慨深く言うとサピエルはうっすらと、笑みを浮かべた。
 魔法使いの一人として、公平に審査する試験官として、魔法という夢に向かって全力で走る試験者達の奮闘する姿を心の中で応援した。
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