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復活の厄災編
第二十七話 仲間だから①
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「策がある、結構ギリギリだけどな。」
目の前には沢山の弓を構えたエルフ達がこちらを攻撃しようとしている、あの量ではレズリィとアルノア二人の力で生成したバリアも意味をなさない。だったら少しでも攻撃の矢をバリアに当てなければいい。
「コハク、俺と両端で挟み込んで奴らの攻撃を少しでもこっちに引き寄せる。いけるか?」
「わかりました!」
「レズリィ頼む!」
俺の頼みに頷き四方に張っている《ウォール》の側面を消して前面にだけに力を集中させた。
そして俺とコハクは側面の《ウォール》が消えた瞬間、横へ飛び出しエルフ達の視線をこちらに向けさせた。
「左右からくるぞ!攻撃始め!」
中央にいるエルフの指揮の下、大勢のエルフから放たれた矢がこちらに向けて飛んできた。
(やっぱ無理だろこんなの!避ける所なんてどこにも…!)
コハクだったら得意の素早さでなんとかなるが俺はそんな速くは動けない。俺の目の前には、まるでスローモーションでこちらに大量の向かってくる矢が広がった。
「あっ…。」
突発的な危険状態に陥った時に出る現象だと感じた時には、もう直撃寸前にまで来ていた。そして…
ズガガガガガ!!
俺は矢に当たる寸前に痛みを覚悟し固く目を閉じた、だがいつまで経ってもその痛みが現れず不思議に思って目を恐る恐る開けた。
「えっ…これは…。」
目の前には半透明な青いバリアが張られており、その下には無数の矢が転がり落ちている。
一瞬レズリィの魔法かと思ったその矢先、どこからともなく声が聞こえてきた。
「そこまでにしなさい。」
エルフ達もその声が聞こえざわめき出した、皆その声の主を探そうと周りを見渡し、一人のエルフが空を見上げて言葉を発した。
「フォルティア様…」
上空を見上げると、ゆっくりと浮遊しながらこちらに降りてくる年老いた男性エルフの姿があった。
修道服に模した真っ白な正装に身を包み、歳をとったことで髪が灰色となり生気がないように感じるが、シワのないふっくらとした体型から出る丸い表情は場を明るく照らす。
太陽を背にしながら浮遊するその姿はまるで天からの使者と思わせるような神々しさに、俺もコハクも呆然と立ち尽くしながらその姿を目に焼き付けていた。
「ふむ…たしかにこれは非常事態だな。」
そう小さく呟き、風魔法で周りの風を利用しながら素早く地面へと降り立つ。浮遊している際に周りの状況を把握した彼は、この異常さの原因を突き止めるため近衛隊に聞き出した。
「ジアロから報告を受けてすぐこちらにやって来たが、君達…これはどういう状況か説明してもらえるかな?」
老エルフが言葉を発した瞬間、場の空気が一変し只事ではないと感じたコハクはすかさず俺のもとに駆け寄った。
「クロムさん…あの方は?」
「霊長の里の長、フォルティアだ。」
「おっ、長!?」
「戻ろう、狙いは変わらずアルノアかもしれない。」
俺とコハクはアルノアとレズリィがいる場所へ戻った。
「ジアロ…これは私達の魔法か?何故このようなことが…。」
フォルティアと呼ばれた老エルフは、彼の身に起こったことに疑問視しながら氷漬けになって固まっているジアロを溶かして解放させた。
ジアロは気を失ってフォルティアの体に倒れこんだ、その生気のない表情をした部下の姿を見てフォルティアは哀しい顔を表した。
「フォルティア様、あのパーティーは悪魔を連れてここに入り込んで来ました。里のきまり通り私達は侵入してきた魔物を倒そうと動いたのですが、隊長は奴らの口車に乗せられ私達に武器を納めるよう指示してきたのです。」
「これは立派な規律違反、どんな理由があるにせよ悪魔が入り込んだとなれば今すぐ対処しないとこの里に危機が…!」
「私達だってやりたくなかったんです!ですが私達の使命は里の守護、それを破ってしまうなど私達には出来ません!」
エルフ達の言い分を聞き、フォルティアはアルノアがいる方向へ顔を向けた。
アルノアの前にはクロムとコハクが壁にして守っている、何故だがフォルティアの目には彼らの姿勢が自分達を敵意にしているようには見えなかった。
「ふむ…目の前の善悪を判断できるジアロが見誤ったと。」
「はい、ですのでフォルティア様、奴らに攻撃命令を!私達はいつでも攻撃できます!」
エルフ達は今にも矢をこちらに向けようと伺っている、その異常なまでの攻撃姿勢を見てフォルティアはこの今の関係を察し、エルフ達を呼び止めた。
「ならん、全員武器を下ろして退がりなさい。」
「なっ!どうしてですか!?この里に害を与える者は始末せよ、それがこの里のきまりではないですか!」
「君達にはあの者の姿が見えないのか?」
フォルティアは立ち位置をずらしてエルフ達の皆にクロム達の姿を見せた。
「もし帝国の手先なのなら、今のこの絶望的な状況でいつまでも勇者の背に隠れるような事はしない。人質かあるいは逃亡か、あの子はそんな卑怯な素振りを見せているようには見えない。」
「ですが…!」
「それに、自分達の天敵である勇者が今もこうして背後が無防備になっているこの絶好のチャンスを、彼女はパーティーの皆を守るためにその力をバリアに使った。帝国の首領には絶対服従の彼らにとって、このような行為には明らかな矛盾があると思わないか?」
フォルティアはジアロの代わりにエルフ達を束ねた一人のエルフに歩みよる。彼の表情は先程のような相手をねじ伏せる勢いなどがまるでなく、焦りからか目が泳いでいた。
「なあスクルギル、何年のも近衛隊員として周りの状況を把握できる君ですらそう疑問は感じなかったのかな?それとも、そこまでして彼女を殺したい理由が他にあるのかね?」
「うっ…それは…。」
ーーじゃあなんでアルノアさんはクロムさんを殺さないんですか?悪魔の天敵である勇者が無防備に背を向けているんです、殺すことなんて簡単にできるでしょう。そんな疑問を感じずあなた達はずっとクロムさんを非難していた。
フォルティアの話を聞いて突然獣人が言った話が頭をよぎる、同じことを話していてこの気持ちの揺れはなんだろうか?それが分からず強気な姿勢を見せていたスクルギルは気落ちしてしまい、口ごもりながら小さく呟いた。
「ありません…。」
「ふむ…ではこの場に最初にいた部隊の皆に聞く、攻撃を仕掛ける前にあの悪魔は私達に傷をつけるようなことはしたのかな?」
「……。」
エルフ達は顔を見合わせフォルティアの質問に黙りこくる。
フォルティアはその姿を見た直後、クロム達の方へ顔を向き同じように質問をした。
「お客人…いや、勇者よ。君が我々に手を出そうとした理由を聞かせてもらえるかな?」
「手を出そうだなんて思っていません、彼らの攻撃を引き寄せるために飛び出しただけです。俺達は決して里の者達と喧嘩するために来たわけじゃありません。」
「そうです、私達はアルノアさんを守るためにあなた達の攻撃を防いでいたんです。アルノアさんは決してあなた達に危害を与えていません!」
「フォルティアさん、ジアロさんは私達に敵意はないと示してくれました。それを無視して先に仕掛けてきたのはそちらのほうです!」
俺達は必死に答弁しアルノアの無実を証明した、ジアロの言う通り彼らに手を出していないことが好転し、フォルティアにとって立派な無実の証言となった。
それはエルフ達にも効果が効き、ただ一方的に攻撃をした彼らにとって徐々に焦りが湧いてきた。
「フォルティア様…!これは…」
「もうよい。はぁ…どうやら我々は生き急ぎすぎたようだ。」
俺達の証言聞き、自分達に責があると感じたフォルティアは俺達に近づき頭を下げた。
「なっ、いけませんフォルティア様!長であるあなたが外部の愚民に頭を下げるなど…。」
「申し訳ない勇者達よ、此度の非礼は全て里長である私が代表として謝罪しよう。」
「えっ…え!あ!?」
「頭を上げてください、彼らも仕事上仕方がなかったですし、これはちょっとした勘違いから生まれた予期せぬ事故です。全部が悪いわけではありません。」
突然俺達に頭を下げた里長に俺は戸惑って身振り手振りしてしまう、いつまでそのままにしておくわけにはいかないと感じたレズリィはフォルティアに彼らの気持ちを代わって伝えた。
「神官君、それでは私達が犯した過ちを正す示しがつかない。理由があろうと私達はここに紹介させた客人を傷つけてしまったのだから。」
フォルティアは両手で持っていた杖を片手で持ち、右手を俺に向けて指し話を続けた。
「勇者君、懐に入っている物を見せてくれないか?」
「懐…これですか?」
俺は言われたとおり懐からモノを取り出した。その手にはルーナ城の王、テレサ女王からもらった通行証と呼ばれる光る球体が握られており、それを見たフォルティアは見入って興味を示した。
「ほう…あの傲慢な王女が手引きしたのか、それほどまでに我々にとって何か重要な話だと聞く。よかろう勇者達よ、私フォルティアがこの里を招き入れよう。」
「ありがとうございます、フォルティアさん。」
里長がこの場をまとめてくれたことで戦闘はなくなったと感じた俺達は、安心からか緊張感が一気に抜けどっと疲れが滲み出た。
よかったと呟きながら安堵の笑みを浮かべている俺達の後ろでは、アルノアは思い詰めているような暗い陰を落としてうつむいていた。
彼女にとってこの感覚は生まれて初めてだった…自分のせいでみんなが危険な目にあってしまった。その自己否定的な考えは、彼女にとって仲間には言い出せないほどに苦しい重荷となった。
目の前には沢山の弓を構えたエルフ達がこちらを攻撃しようとしている、あの量ではレズリィとアルノア二人の力で生成したバリアも意味をなさない。だったら少しでも攻撃の矢をバリアに当てなければいい。
「コハク、俺と両端で挟み込んで奴らの攻撃を少しでもこっちに引き寄せる。いけるか?」
「わかりました!」
「レズリィ頼む!」
俺の頼みに頷き四方に張っている《ウォール》の側面を消して前面にだけに力を集中させた。
そして俺とコハクは側面の《ウォール》が消えた瞬間、横へ飛び出しエルフ達の視線をこちらに向けさせた。
「左右からくるぞ!攻撃始め!」
中央にいるエルフの指揮の下、大勢のエルフから放たれた矢がこちらに向けて飛んできた。
(やっぱ無理だろこんなの!避ける所なんてどこにも…!)
コハクだったら得意の素早さでなんとかなるが俺はそんな速くは動けない。俺の目の前には、まるでスローモーションでこちらに大量の向かってくる矢が広がった。
「あっ…。」
突発的な危険状態に陥った時に出る現象だと感じた時には、もう直撃寸前にまで来ていた。そして…
ズガガガガガ!!
俺は矢に当たる寸前に痛みを覚悟し固く目を閉じた、だがいつまで経ってもその痛みが現れず不思議に思って目を恐る恐る開けた。
「えっ…これは…。」
目の前には半透明な青いバリアが張られており、その下には無数の矢が転がり落ちている。
一瞬レズリィの魔法かと思ったその矢先、どこからともなく声が聞こえてきた。
「そこまでにしなさい。」
エルフ達もその声が聞こえざわめき出した、皆その声の主を探そうと周りを見渡し、一人のエルフが空を見上げて言葉を発した。
「フォルティア様…」
上空を見上げると、ゆっくりと浮遊しながらこちらに降りてくる年老いた男性エルフの姿があった。
修道服に模した真っ白な正装に身を包み、歳をとったことで髪が灰色となり生気がないように感じるが、シワのないふっくらとした体型から出る丸い表情は場を明るく照らす。
太陽を背にしながら浮遊するその姿はまるで天からの使者と思わせるような神々しさに、俺もコハクも呆然と立ち尽くしながらその姿を目に焼き付けていた。
「ふむ…たしかにこれは非常事態だな。」
そう小さく呟き、風魔法で周りの風を利用しながら素早く地面へと降り立つ。浮遊している際に周りの状況を把握した彼は、この異常さの原因を突き止めるため近衛隊に聞き出した。
「ジアロから報告を受けてすぐこちらにやって来たが、君達…これはどういう状況か説明してもらえるかな?」
老エルフが言葉を発した瞬間、場の空気が一変し只事ではないと感じたコハクはすかさず俺のもとに駆け寄った。
「クロムさん…あの方は?」
「霊長の里の長、フォルティアだ。」
「おっ、長!?」
「戻ろう、狙いは変わらずアルノアかもしれない。」
俺とコハクはアルノアとレズリィがいる場所へ戻った。
「ジアロ…これは私達の魔法か?何故このようなことが…。」
フォルティアと呼ばれた老エルフは、彼の身に起こったことに疑問視しながら氷漬けになって固まっているジアロを溶かして解放させた。
ジアロは気を失ってフォルティアの体に倒れこんだ、その生気のない表情をした部下の姿を見てフォルティアは哀しい顔を表した。
「フォルティア様、あのパーティーは悪魔を連れてここに入り込んで来ました。里のきまり通り私達は侵入してきた魔物を倒そうと動いたのですが、隊長は奴らの口車に乗せられ私達に武器を納めるよう指示してきたのです。」
「これは立派な規律違反、どんな理由があるにせよ悪魔が入り込んだとなれば今すぐ対処しないとこの里に危機が…!」
「私達だってやりたくなかったんです!ですが私達の使命は里の守護、それを破ってしまうなど私達には出来ません!」
エルフ達の言い分を聞き、フォルティアはアルノアがいる方向へ顔を向けた。
アルノアの前にはクロムとコハクが壁にして守っている、何故だがフォルティアの目には彼らの姿勢が自分達を敵意にしているようには見えなかった。
「ふむ…目の前の善悪を判断できるジアロが見誤ったと。」
「はい、ですのでフォルティア様、奴らに攻撃命令を!私達はいつでも攻撃できます!」
エルフ達は今にも矢をこちらに向けようと伺っている、その異常なまでの攻撃姿勢を見てフォルティアはこの今の関係を察し、エルフ達を呼び止めた。
「ならん、全員武器を下ろして退がりなさい。」
「なっ!どうしてですか!?この里に害を与える者は始末せよ、それがこの里のきまりではないですか!」
「君達にはあの者の姿が見えないのか?」
フォルティアは立ち位置をずらしてエルフ達の皆にクロム達の姿を見せた。
「もし帝国の手先なのなら、今のこの絶望的な状況でいつまでも勇者の背に隠れるような事はしない。人質かあるいは逃亡か、あの子はそんな卑怯な素振りを見せているようには見えない。」
「ですが…!」
「それに、自分達の天敵である勇者が今もこうして背後が無防備になっているこの絶好のチャンスを、彼女はパーティーの皆を守るためにその力をバリアに使った。帝国の首領には絶対服従の彼らにとって、このような行為には明らかな矛盾があると思わないか?」
フォルティアはジアロの代わりにエルフ達を束ねた一人のエルフに歩みよる。彼の表情は先程のような相手をねじ伏せる勢いなどがまるでなく、焦りからか目が泳いでいた。
「なあスクルギル、何年のも近衛隊員として周りの状況を把握できる君ですらそう疑問は感じなかったのかな?それとも、そこまでして彼女を殺したい理由が他にあるのかね?」
「うっ…それは…。」
ーーじゃあなんでアルノアさんはクロムさんを殺さないんですか?悪魔の天敵である勇者が無防備に背を向けているんです、殺すことなんて簡単にできるでしょう。そんな疑問を感じずあなた達はずっとクロムさんを非難していた。
フォルティアの話を聞いて突然獣人が言った話が頭をよぎる、同じことを話していてこの気持ちの揺れはなんだろうか?それが分からず強気な姿勢を見せていたスクルギルは気落ちしてしまい、口ごもりながら小さく呟いた。
「ありません…。」
「ふむ…ではこの場に最初にいた部隊の皆に聞く、攻撃を仕掛ける前にあの悪魔は私達に傷をつけるようなことはしたのかな?」
「……。」
エルフ達は顔を見合わせフォルティアの質問に黙りこくる。
フォルティアはその姿を見た直後、クロム達の方へ顔を向き同じように質問をした。
「お客人…いや、勇者よ。君が我々に手を出そうとした理由を聞かせてもらえるかな?」
「手を出そうだなんて思っていません、彼らの攻撃を引き寄せるために飛び出しただけです。俺達は決して里の者達と喧嘩するために来たわけじゃありません。」
「そうです、私達はアルノアさんを守るためにあなた達の攻撃を防いでいたんです。アルノアさんは決してあなた達に危害を与えていません!」
「フォルティアさん、ジアロさんは私達に敵意はないと示してくれました。それを無視して先に仕掛けてきたのはそちらのほうです!」
俺達は必死に答弁しアルノアの無実を証明した、ジアロの言う通り彼らに手を出していないことが好転し、フォルティアにとって立派な無実の証言となった。
それはエルフ達にも効果が効き、ただ一方的に攻撃をした彼らにとって徐々に焦りが湧いてきた。
「フォルティア様…!これは…」
「もうよい。はぁ…どうやら我々は生き急ぎすぎたようだ。」
俺達の証言聞き、自分達に責があると感じたフォルティアは俺達に近づき頭を下げた。
「なっ、いけませんフォルティア様!長であるあなたが外部の愚民に頭を下げるなど…。」
「申し訳ない勇者達よ、此度の非礼は全て里長である私が代表として謝罪しよう。」
「えっ…え!あ!?」
「頭を上げてください、彼らも仕事上仕方がなかったですし、これはちょっとした勘違いから生まれた予期せぬ事故です。全部が悪いわけではありません。」
突然俺達に頭を下げた里長に俺は戸惑って身振り手振りしてしまう、いつまでそのままにしておくわけにはいかないと感じたレズリィはフォルティアに彼らの気持ちを代わって伝えた。
「神官君、それでは私達が犯した過ちを正す示しがつかない。理由があろうと私達はここに紹介させた客人を傷つけてしまったのだから。」
フォルティアは両手で持っていた杖を片手で持ち、右手を俺に向けて指し話を続けた。
「勇者君、懐に入っている物を見せてくれないか?」
「懐…これですか?」
俺は言われたとおり懐からモノを取り出した。その手にはルーナ城の王、テレサ女王からもらった通行証と呼ばれる光る球体が握られており、それを見たフォルティアは見入って興味を示した。
「ほう…あの傲慢な王女が手引きしたのか、それほどまでに我々にとって何か重要な話だと聞く。よかろう勇者達よ、私フォルティアがこの里を招き入れよう。」
「ありがとうございます、フォルティアさん。」
里長がこの場をまとめてくれたことで戦闘はなくなったと感じた俺達は、安心からか緊張感が一気に抜けどっと疲れが滲み出た。
よかったと呟きながら安堵の笑みを浮かべている俺達の後ろでは、アルノアは思い詰めているような暗い陰を落としてうつむいていた。
彼女にとってこの感覚は生まれて初めてだった…自分のせいでみんなが危険な目にあってしまった。その自己否定的な考えは、彼女にとって仲間には言い出せないほどに苦しい重荷となった。
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