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悪魔の絆編
第二十四話 復活の拳闘③
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「っ……。」
セーレは未だクロムの言葉が頭から離れずに地に手をつけていた。
何も出来ない存在というのがこれほどまでに残酷だと思ったのはいつ以来だろうか?そう考えながら、自分のこれまで姿を思い返した。
ーー他の奴に負けたくなくて必死に努力を重ねた自分の姿を。
ーー強さを求めるのに誰かを利用し、蹴落とし、幹部まで登り詰めた自分の姿を。
ーー幹部となっても上には上がいて、強くなるために下の者達に興味を示さなかった自分の姿を。
強くなりたかった…何故?何も出来ない奴だとそう言葉にされるのが嫌だったから。
でも気づくのが遅すぎた、いつの間にか私はそれを言う立場になっていたことに。弱い奴を見るたび過去の私が重なって嫌気がさしていたことに。
「なんで…なんで私はこんなにも強さにこだわっているの?なんで…弱い奴を罵ってまで自分を高く見せたいの?なんで…いつから…どこで…歯車がズレた?」
わからない事だらけだった、人が何かをきっかけに変化するという話は聞いたことがある。
では私は?何をきっかけに自身の強さにここまで高飛車になった?それを思い出そうとしても何も出てこない。
「私の存在って…私の戦う意味って…。」
手の震えが止まらない、麻痺はもう抜けているはずなのに体が動こうとしない。
セーレはこの現実を受け入れることが出来なかった、体が戦うことを拒んでいる、何も出来ないという恐怖に駆られてしまった。
グォォォォ!
「うぉぉぉぉぉぉ!」
ふと炎の向こうで聞こえるゴブリンの咆哮とクロムの覇気が詰まった叫び。あいつは今もこうして命がけで戦っている。
「クロム…お前は一体どこまで強くなるんだ?私を置いてどこまで進み続けるんだ?」
その姿を見ようとしても黒煙と炎が邪魔して見ることはできない。どちらが優勢なのか?あいつがどのような進化を遂げているのか知りたくなった。
それでいて何故だろうか、心のどこかで自然と妙な安心感が湧き上がる…。
「ああそうか…これがお前の持ってた気持ちだったのね。弱い奴だからこそわかる…目の前に立つ強者に託すことで救われる、この人がいれば勝てる、希望という光がある、自分ももっと強くなりたいって体の中で渇望してくる。そんな気持ちが…。」
セーレの瞳に光が徐々に戻り始める、自身に宿った気持ちに突き動かされるようにゆっくりと自分の体を立ち上がらせる。
ガッ!
「あがっ…!」
突然背後から押されたかのような感触を受け前かがみに倒れた。不安定な姿勢で倒れてしまった、そう思っていたのだが…。
「可哀想だな…私、惨めだな…私。」
「誰…?」
誰かいる…自身の哀れみを口にした何者かが自分の目の前にいる。
セーレは自分の悪口を口にした奴の顔を伺おうと顔を上げた。
下は黒いグリーグを装備し、腰回りから赤いコートの裾が伸びている。もう少し顔を上げると赤いコートに身を包み、二の腕まで守られた黒い手甲、背中から伸びる悪魔の翼。
「あっ…。」
見間違えるはずがない、これ以上顔を上げなくてもわかる…。
これは…目の前に立っているのは…私だ。
「まぁ自業自得でしょ、そうやって生きてきたお前の行いで負けたんだ。下っ端だったお前が幹部まで成り上がったんだ、それだけでも十分でしょう。」
淡々と話をするもう一人のセーレ、その顔はあらゆるものに絶望するよう影を落とし、狂気的に口角を上げて笑っていた。
「違う?セーレ。」
「は…えっ…。」
「それにしても随分とわがままになったんじゃない?一体いつから人を下に見るほど強くなったのかしら?お前、あいつに会ってからもう三回も負けてるっていうのに。」
「うるさい…たかが幻覚のくせに。」
「幻覚ね、そう逃げる言葉を使ってもこれは事実。負けたことを認めずさらに無様に負けを晒す、それがセーレ。私なのよ。」
「口を閉じなさいよ…お前に言われなくたって、この力を持ってしてなんで勝てないのか一番イラついているのは私なのよ!」
セーレは立ち上がるのと同時に、目の前のもう一人の自分に殴りかかった。だがそれは触れた瞬間に煙のように消え、セーレは虚空を振りかぶって倒れかけた。
「いい加減気づきなよ。所詮お前は、特別な力をもらうことで他人よりも自分の方が特別な奴だと思いたかった、ただの独りよがりな凡人だってことに。」
「黙れぇぇ!」
今度は後ろから声が聞こえ、殺意を込めたその拳をよろめきながら振りかぶった。
「さぁ…これからも独りで期待して、独りで悩み続ければいい。」
再びそれは現れると彼女に耳打ちするよう呟きだし、振り払って再び消える。また現れたときには正面、背後と払っては現れを繰り返して、触れられないことをいいことにセーレを徐々に追い詰めていた。
「お前を殺すのはお前自身だ、一回死んで出直してきなよ。」
「うわぁぁぁぁぁ!」
彼女の拳がもう一人の自分の胸を貫きそのまま消えていった。それ以降もう一人の自分が現れることはなかったが…。
「はぁ…はぁ…くそっ!」
セーレは焦っていた、もう一人の自分が言っていた話を。たとえあれが自分の幻覚だとしても、今までの私を…私でしか気づけない苦悩をあれは的確に突いてきた。
「くっ…!私は…逃げた!目を背けていた!自分の敗北から!」
歯をギリギリ鳴らし自分のあの対応に苛立ちから憤慨へと変化した。
起こってしまった結果…これまでの行い…あれはそう私の敗因を伝えたのに、私はそれを感情的に殴ることしかしなかった。
自分でもわかっている…それを決めるのは私…そうやって染みついた自分の考えは、ただの強がりな言い訳だったんじゃないか?
そんなの…そんなもの…!
「…出ていけ。出ていけ!私の中から過去の無様な私を!私は…こんな惨めに生きたいわけじゃない!」
セーレは自身の体に雷魔法を放った、体に纏った電気は全身に流れ始め、それは青色の稲光から徐々に黒く、赤く、禍々しい稲妻に変化した。
「ぶち壊す…!自分の過去を、自分の失態を、この拳で殴り変えてやる!そしてあいつに見せてやる…!」
その負傷した肉体を雷魔法で強制的に動かし、先程よりもはるかに増した運動機能を作りだした。
その状態から地面を蹴り出した脚力は、ジェット機のような速度で飛び上がり、炎と黒煙でできた壁に穴を開けた。
「私はセーレ!お前らのパーティーの最強アタッカーだァァ!」
数秒もかからないうちにクロム達がいる場所に辿り着いた。そこにはゴブリンロードに組み伏せられているクロムの姿があり、セーレはその速度を維持したままゴブリンロードの体にめがけて拳を突いた。
グガァァァァ!
吹き飛ばされたゴブリンロードは目の前の赤い建物に激突し、崩壊の音をたてて建物と一緒に潰れていった。
「やっと目覚めたか、再起不能でずっと倒れていたらどうしようかと思った…ぬおっ!」
「ふんっ、お前も私にあんな啖呵をきっといてやられそうになってんじゃないわよ。殺すわよ。」
セーレは倒れている俺を引っ張り上げ、殺意の入った目つきで俺を睨みつけた。
黒雷を纏ったせいか髪は生きているように宙に揺れ動き、体が少し光って今までのような姿とは一変、荒々しくも輝かしい姿になっていた。
「面白い姿をしてるじゃねえか、一体どんなスキルを使ったんだ?触れるだけでも俺の体に電気が走ってるように感じるが。」
「思いつきでやっただけよ、これで私の体を刺激しないと意識が持っていかれるからね。それで、肝心のあいつは…」
ガラガラッ…
崩れた建物からガレキを払いのけ、二人の前に再びゴブリンロードは現れた。
グルルゥゥ!シュゥゥゥ!
「ちっ、あの一撃をくらってまだ立っていられるのね。」
「奴には防御体質《プロテクトボディ》っていう能力でダメージを軽減してる。奴を倒すなら叩きまくって魔力を枯渇させるしかねぇ。」
「だったら簡単な話ね、さっきの感覚で高速連打をお見舞いしてやるわ。」
「短期決戦で決めるぞ、お前の体力と俺の腕の傷じゃ消耗戦に勝ち目はない。」
俺はセーレに掴まれた際に鑑定《アナライズ》を使って彼女の今の状態を分析した。
すると彼女の前に現れた黒いパネルに規則的に減っていく数値があった。
体力数値だ、おそらく雷魔法の電気で肉体強化を図ったが、麻痺とは違う負荷がかかる電気を常に浴び続けることになってしまっている。
体を刺激しないと意識が持っていかれるというのは、体力数値がもう底まできているという警告のようなものだった。
「私もいます!これくらいしかサポートできませんが私の分まで戦ってきてください!」
後ろからレズリィが二人の手を片方ずつ握った。そして治癒《ヒール》を唱えると二人の体が淡い緑色の光を発し傷を癒した。
俺の腕は少し傷が塞いだ程度だが剣を握れるところまで回復し、セーレも体力の消耗で息切れをしていたのが無くなっていた。
「サンキューレズリィ、これならやれる。」
「ありがとうございますレズリィ様、あとでよしよししてあげますよ!」
二人は強気な笑みを浮かべ戦闘体勢に入った。目の前にはゴブリンロードが雄叫びをあげこちらにダッシュで近づいてくる。二人も共に飛び出しゴブリンロードに向かって武器を振るった。
ドガァァァァ!
ゴブリンロードは両腕をクロスして俺達の攻撃を受け止めると剛腕な怪力で二人を払いのけ、目先のレズリィに向かってまた走りだした。
「コイツノ肉ヲ喰エバ、コンナ奴ラナンカニ!」
ゴブリンロードが少し手を伸ばせば届く距離にレズリィがいた、彼女は逃げもせずただゴブリンロードの顔を睨み続けていた。
動かない彼女を絶好のエサだと食べることしか頭に入っていなかったせいか、背後から一瞬で隣に近づいて来たセーレに気づくに遅れてしまい、横から重い一撃をくらわされた。
「一瞬デ…コイツ!」
「私の許可なくレズリィ様に触れようとしてんじゃないわよ!」
攻撃をくらってもなんとか足を踏ん張り、体勢を崩さず再びレズリィに向かって走り出しそうとしたその時…。
「ドラゴンリープ!」
クロムの回転をかけた重い一撃がゴブリンロードの頭上に振り下ろされヒットした、だがその剣は片腕に吸い込まれ決定打とはならずゴブリンロードは鼻で笑っていた。
「何度ヤッテモ無駄ダ!オマエ達ノ攻撃ナド効カン!」
「自分の力に過信しない方がいいぞ、お前はセーレを甘く見過ぎたな。」
ゴブリンロードの視線がクロムを集中する中、セーレが奴の間合いに素早く入り込んだ。
「そんな防御程度でこいつを止められると思うな!」
「あいつらにボコボコにされた恨み、全部お前に返してやるわ!爆裂拳・電光!」
彼女の姿が視界に入った瞬間、目にも止まらない拳の突きが何度もゴブリンロードの体に打ち込まれた。
「グォォォ!!クソガァァ!舐メルナァァァァ!」
ゴブリンロードはセーレが繰り出す拳を見切り、彼女の両手を掴んで連打を阻止した。
思わぬ抵抗にセーレは苦い顔をしたが、その瞬間横からクロムの姿が目に入り彼女のしかめた眉が緩んだ。
「スラッシュ!ダメージを軽減しても技の衝撃までは軽減出来ないんだろ!?」
クロムは防御体質のスキルには欠点があると予想した。《バーストクラッシュ》をくらわせた際や、セーレの不意打ちによる一撃もダメージはいまひとつだったが、体が吹き飛ばされた事に違和感を持った。
攻撃されるというのは触覚の衝撃によるもの、体に触れた衝撃に反応して反射的にその部位動かす。
もしその痛みだけが遮断されているとするなら、触れた体に反応する感覚がまだ残っていると読んだ。
ズバッ!
ゴブリンロードの膝裏に横一振りの鋭い斬撃をくらわせた。クロムの予想通りゴブリンロードは膝を攻撃されバランスを崩し後ろに倒れそうになった。
グギィィ!?
突然体が力なく倒れていく感覚に驚きの声をあげるのと同時に、攻撃を受け止めていたセーレの拳を離してしまった。
「ハァァァァァ!」
セーレの気迫の叫びと共に放たれた拳がゴブリンロードを吹き飛ばし壁に叩きつけた。
その後ゴブリンロードは息を切らし膝をついた、俺はまさかと思い鑑定《アナライズ》を発動した。
ゴブリンロードの前に現れたパネルには異様に数字が減っている箇所があった、奴の魔力量だ。
「セーレ!奴の魔力が底をつく、二人で…」
「私が奴を狩る、お前は奴にダメージが通るよう下処理しておいて。出来るでしょ?」
俺は正直驚いた、あのセーレが俺に命令を出したのだ。命令といったら人聞きが悪いが、今までの彼女だったらどんな立場でも一人で戦おうと行動した。
今もこの状況、セーレがもう一度連打をくりだしトドメの一撃を刺せば奴に勝てるかもしれない。
だが彼女はその選択をしなかった、自分の戦略に俺の存在を組み込む新しい戦い方に俺は彼女を疑った。
「おいおい、お前ほんとにあのセーレか?誰にも頼らないあの一匹狼のセーレか?」
「失礼な奴ねお前は。私はただ…もう惨めに自分が負ける姿を晒したくないだけよ。」
セーレはまるで欲しいものをせがむよう自分の手を俺に向けて伸ばした。その目はいつも俺を下に見るような余裕こいたものでなく、ただまっすぐとその覚悟を俺に示すような真剣な眼差しをしていた。
「だから勝つ!たとえお前と協力しあうことになってでも、もう負ける姿は絶対晒さない!だから力を貸せ!」
「へへっ、待ってたぜ…その言葉!」
俺は剣を右手に携えて奴がいる場所へ突進した、その姿を見たゴブリンロードは今の姿勢から低く飛び出し俺を捕まえようと腕を広げた。
「低い体勢なら速くなれると思ったか?」
腕を伸ばして俺の体に触れる寸前、俺は《ドラゴンリープ》の高く飛び上がる技の仕様を利用しゴブリンロードの体を上回る高まで飛び上がった、そしてそのまま回転をつけて剣を奴の頭上に叩きつけた。
グギャァァァァ!
「お前と相撲勝負はまた今度な、今はお前の勝ちにしといてやるよ!」
技が脳天に直撃し、ゴブリンロードはそのまま地面伏せた。その隙を逃さず俺はゴブリンロードの背中を素早く何度も斬りつけた。
「うぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!」
最初は皮がめくれるだけで鉄のような硬い感触があった奴の体だったが、魔力が枯渇したのかある一撃を境に肉質が柔らかくなり肉が抉れる傷を見せた。
「今だセーレ!ぶちかませ!」
「ふん、とっておきよ一生に一度のね!」
セーレは自分に纏う電気を両手に込め続け、黒い稲光が走る禍々しい腕へと変形した。
今の雷を纏う状態は体に継続したダメージが入る、もしあのまま連打を打っていたらギリギリの体力である私は自傷で力尽きてしまう。
だが今はクロムがいる、彼に奴の防御を剥がす役割をすればもうこの状態を維持しなくてもいい。
普通なら考えなかった、一人仲間がいるだけでこんなにも戦いの選択肢が広がるなんて思わなかった。何故最初からやらなかったのかと、今の今まで感じようともしなかった自分を恥じた。
「仲間がいるだけでこんなにも自分の戦いにアイデアが生まれるなんて…私は、今まで本当にムダな時間を過ごしていたのね。」
ふと目を閉じると、力尽き倒れた自分の姿が残像のように映った。今までの私ならあそこで終わっていた、でも私は未だ舞えている。
仲間という欠けたピースをはめた先に待っていたのは、過去の自分を超えた今の存在だった。
「さよならだ…過去の私。」
セーレは飛び上がり、体を反って勢いよくゴブリンロードの頭に両拳を叩きつけた。
「黒の一閃!」
ドガァァァァァァ!
地面が陥没するほどの強い衝撃が加わり、ゴブリンロードの下半身は宙に舞った。頭は原型が無くなるほど潰されピクリとも動かなくなった奴の体のを見て、俺達は確信した。
「はぁ…はぁ…倒した?」
「ああ…倒しただろ。」
二人は戦闘を終えたことによる安堵からか全身から力が抜けていくのを感じた。それはまもなく視界が歪み、声もなく地に倒れた。
意識が暗転した。
セーレは未だクロムの言葉が頭から離れずに地に手をつけていた。
何も出来ない存在というのがこれほどまでに残酷だと思ったのはいつ以来だろうか?そう考えながら、自分のこれまで姿を思い返した。
ーー他の奴に負けたくなくて必死に努力を重ねた自分の姿を。
ーー強さを求めるのに誰かを利用し、蹴落とし、幹部まで登り詰めた自分の姿を。
ーー幹部となっても上には上がいて、強くなるために下の者達に興味を示さなかった自分の姿を。
強くなりたかった…何故?何も出来ない奴だとそう言葉にされるのが嫌だったから。
でも気づくのが遅すぎた、いつの間にか私はそれを言う立場になっていたことに。弱い奴を見るたび過去の私が重なって嫌気がさしていたことに。
「なんで…なんで私はこんなにも強さにこだわっているの?なんで…弱い奴を罵ってまで自分を高く見せたいの?なんで…いつから…どこで…歯車がズレた?」
わからない事だらけだった、人が何かをきっかけに変化するという話は聞いたことがある。
では私は?何をきっかけに自身の強さにここまで高飛車になった?それを思い出そうとしても何も出てこない。
「私の存在って…私の戦う意味って…。」
手の震えが止まらない、麻痺はもう抜けているはずなのに体が動こうとしない。
セーレはこの現実を受け入れることが出来なかった、体が戦うことを拒んでいる、何も出来ないという恐怖に駆られてしまった。
グォォォォ!
「うぉぉぉぉぉぉ!」
ふと炎の向こうで聞こえるゴブリンの咆哮とクロムの覇気が詰まった叫び。あいつは今もこうして命がけで戦っている。
「クロム…お前は一体どこまで強くなるんだ?私を置いてどこまで進み続けるんだ?」
その姿を見ようとしても黒煙と炎が邪魔して見ることはできない。どちらが優勢なのか?あいつがどのような進化を遂げているのか知りたくなった。
それでいて何故だろうか、心のどこかで自然と妙な安心感が湧き上がる…。
「ああそうか…これがお前の持ってた気持ちだったのね。弱い奴だからこそわかる…目の前に立つ強者に託すことで救われる、この人がいれば勝てる、希望という光がある、自分ももっと強くなりたいって体の中で渇望してくる。そんな気持ちが…。」
セーレの瞳に光が徐々に戻り始める、自身に宿った気持ちに突き動かされるようにゆっくりと自分の体を立ち上がらせる。
ガッ!
「あがっ…!」
突然背後から押されたかのような感触を受け前かがみに倒れた。不安定な姿勢で倒れてしまった、そう思っていたのだが…。
「可哀想だな…私、惨めだな…私。」
「誰…?」
誰かいる…自身の哀れみを口にした何者かが自分の目の前にいる。
セーレは自分の悪口を口にした奴の顔を伺おうと顔を上げた。
下は黒いグリーグを装備し、腰回りから赤いコートの裾が伸びている。もう少し顔を上げると赤いコートに身を包み、二の腕まで守られた黒い手甲、背中から伸びる悪魔の翼。
「あっ…。」
見間違えるはずがない、これ以上顔を上げなくてもわかる…。
これは…目の前に立っているのは…私だ。
「まぁ自業自得でしょ、そうやって生きてきたお前の行いで負けたんだ。下っ端だったお前が幹部まで成り上がったんだ、それだけでも十分でしょう。」
淡々と話をするもう一人のセーレ、その顔はあらゆるものに絶望するよう影を落とし、狂気的に口角を上げて笑っていた。
「違う?セーレ。」
「は…えっ…。」
「それにしても随分とわがままになったんじゃない?一体いつから人を下に見るほど強くなったのかしら?お前、あいつに会ってからもう三回も負けてるっていうのに。」
「うるさい…たかが幻覚のくせに。」
「幻覚ね、そう逃げる言葉を使ってもこれは事実。負けたことを認めずさらに無様に負けを晒す、それがセーレ。私なのよ。」
「口を閉じなさいよ…お前に言われなくたって、この力を持ってしてなんで勝てないのか一番イラついているのは私なのよ!」
セーレは立ち上がるのと同時に、目の前のもう一人の自分に殴りかかった。だがそれは触れた瞬間に煙のように消え、セーレは虚空を振りかぶって倒れかけた。
「いい加減気づきなよ。所詮お前は、特別な力をもらうことで他人よりも自分の方が特別な奴だと思いたかった、ただの独りよがりな凡人だってことに。」
「黙れぇぇ!」
今度は後ろから声が聞こえ、殺意を込めたその拳をよろめきながら振りかぶった。
「さぁ…これからも独りで期待して、独りで悩み続ければいい。」
再びそれは現れると彼女に耳打ちするよう呟きだし、振り払って再び消える。また現れたときには正面、背後と払っては現れを繰り返して、触れられないことをいいことにセーレを徐々に追い詰めていた。
「お前を殺すのはお前自身だ、一回死んで出直してきなよ。」
「うわぁぁぁぁぁ!」
彼女の拳がもう一人の自分の胸を貫きそのまま消えていった。それ以降もう一人の自分が現れることはなかったが…。
「はぁ…はぁ…くそっ!」
セーレは焦っていた、もう一人の自分が言っていた話を。たとえあれが自分の幻覚だとしても、今までの私を…私でしか気づけない苦悩をあれは的確に突いてきた。
「くっ…!私は…逃げた!目を背けていた!自分の敗北から!」
歯をギリギリ鳴らし自分のあの対応に苛立ちから憤慨へと変化した。
起こってしまった結果…これまでの行い…あれはそう私の敗因を伝えたのに、私はそれを感情的に殴ることしかしなかった。
自分でもわかっている…それを決めるのは私…そうやって染みついた自分の考えは、ただの強がりな言い訳だったんじゃないか?
そんなの…そんなもの…!
「…出ていけ。出ていけ!私の中から過去の無様な私を!私は…こんな惨めに生きたいわけじゃない!」
セーレは自身の体に雷魔法を放った、体に纏った電気は全身に流れ始め、それは青色の稲光から徐々に黒く、赤く、禍々しい稲妻に変化した。
「ぶち壊す…!自分の過去を、自分の失態を、この拳で殴り変えてやる!そしてあいつに見せてやる…!」
その負傷した肉体を雷魔法で強制的に動かし、先程よりもはるかに増した運動機能を作りだした。
その状態から地面を蹴り出した脚力は、ジェット機のような速度で飛び上がり、炎と黒煙でできた壁に穴を開けた。
「私はセーレ!お前らのパーティーの最強アタッカーだァァ!」
数秒もかからないうちにクロム達がいる場所に辿り着いた。そこにはゴブリンロードに組み伏せられているクロムの姿があり、セーレはその速度を維持したままゴブリンロードの体にめがけて拳を突いた。
グガァァァァ!
吹き飛ばされたゴブリンロードは目の前の赤い建物に激突し、崩壊の音をたてて建物と一緒に潰れていった。
「やっと目覚めたか、再起不能でずっと倒れていたらどうしようかと思った…ぬおっ!」
「ふんっ、お前も私にあんな啖呵をきっといてやられそうになってんじゃないわよ。殺すわよ。」
セーレは倒れている俺を引っ張り上げ、殺意の入った目つきで俺を睨みつけた。
黒雷を纏ったせいか髪は生きているように宙に揺れ動き、体が少し光って今までのような姿とは一変、荒々しくも輝かしい姿になっていた。
「面白い姿をしてるじゃねえか、一体どんなスキルを使ったんだ?触れるだけでも俺の体に電気が走ってるように感じるが。」
「思いつきでやっただけよ、これで私の体を刺激しないと意識が持っていかれるからね。それで、肝心のあいつは…」
ガラガラッ…
崩れた建物からガレキを払いのけ、二人の前に再びゴブリンロードは現れた。
グルルゥゥ!シュゥゥゥ!
「ちっ、あの一撃をくらってまだ立っていられるのね。」
「奴には防御体質《プロテクトボディ》っていう能力でダメージを軽減してる。奴を倒すなら叩きまくって魔力を枯渇させるしかねぇ。」
「だったら簡単な話ね、さっきの感覚で高速連打をお見舞いしてやるわ。」
「短期決戦で決めるぞ、お前の体力と俺の腕の傷じゃ消耗戦に勝ち目はない。」
俺はセーレに掴まれた際に鑑定《アナライズ》を使って彼女の今の状態を分析した。
すると彼女の前に現れた黒いパネルに規則的に減っていく数値があった。
体力数値だ、おそらく雷魔法の電気で肉体強化を図ったが、麻痺とは違う負荷がかかる電気を常に浴び続けることになってしまっている。
体を刺激しないと意識が持っていかれるというのは、体力数値がもう底まできているという警告のようなものだった。
「私もいます!これくらいしかサポートできませんが私の分まで戦ってきてください!」
後ろからレズリィが二人の手を片方ずつ握った。そして治癒《ヒール》を唱えると二人の体が淡い緑色の光を発し傷を癒した。
俺の腕は少し傷が塞いだ程度だが剣を握れるところまで回復し、セーレも体力の消耗で息切れをしていたのが無くなっていた。
「サンキューレズリィ、これならやれる。」
「ありがとうございますレズリィ様、あとでよしよししてあげますよ!」
二人は強気な笑みを浮かべ戦闘体勢に入った。目の前にはゴブリンロードが雄叫びをあげこちらにダッシュで近づいてくる。二人も共に飛び出しゴブリンロードに向かって武器を振るった。
ドガァァァァ!
ゴブリンロードは両腕をクロスして俺達の攻撃を受け止めると剛腕な怪力で二人を払いのけ、目先のレズリィに向かってまた走りだした。
「コイツノ肉ヲ喰エバ、コンナ奴ラナンカニ!」
ゴブリンロードが少し手を伸ばせば届く距離にレズリィがいた、彼女は逃げもせずただゴブリンロードの顔を睨み続けていた。
動かない彼女を絶好のエサだと食べることしか頭に入っていなかったせいか、背後から一瞬で隣に近づいて来たセーレに気づくに遅れてしまい、横から重い一撃をくらわされた。
「一瞬デ…コイツ!」
「私の許可なくレズリィ様に触れようとしてんじゃないわよ!」
攻撃をくらってもなんとか足を踏ん張り、体勢を崩さず再びレズリィに向かって走り出しそうとしたその時…。
「ドラゴンリープ!」
クロムの回転をかけた重い一撃がゴブリンロードの頭上に振り下ろされヒットした、だがその剣は片腕に吸い込まれ決定打とはならずゴブリンロードは鼻で笑っていた。
「何度ヤッテモ無駄ダ!オマエ達ノ攻撃ナド効カン!」
「自分の力に過信しない方がいいぞ、お前はセーレを甘く見過ぎたな。」
ゴブリンロードの視線がクロムを集中する中、セーレが奴の間合いに素早く入り込んだ。
「そんな防御程度でこいつを止められると思うな!」
「あいつらにボコボコにされた恨み、全部お前に返してやるわ!爆裂拳・電光!」
彼女の姿が視界に入った瞬間、目にも止まらない拳の突きが何度もゴブリンロードの体に打ち込まれた。
「グォォォ!!クソガァァ!舐メルナァァァァ!」
ゴブリンロードはセーレが繰り出す拳を見切り、彼女の両手を掴んで連打を阻止した。
思わぬ抵抗にセーレは苦い顔をしたが、その瞬間横からクロムの姿が目に入り彼女のしかめた眉が緩んだ。
「スラッシュ!ダメージを軽減しても技の衝撃までは軽減出来ないんだろ!?」
クロムは防御体質のスキルには欠点があると予想した。《バーストクラッシュ》をくらわせた際や、セーレの不意打ちによる一撃もダメージはいまひとつだったが、体が吹き飛ばされた事に違和感を持った。
攻撃されるというのは触覚の衝撃によるもの、体に触れた衝撃に反応して反射的にその部位動かす。
もしその痛みだけが遮断されているとするなら、触れた体に反応する感覚がまだ残っていると読んだ。
ズバッ!
ゴブリンロードの膝裏に横一振りの鋭い斬撃をくらわせた。クロムの予想通りゴブリンロードは膝を攻撃されバランスを崩し後ろに倒れそうになった。
グギィィ!?
突然体が力なく倒れていく感覚に驚きの声をあげるのと同時に、攻撃を受け止めていたセーレの拳を離してしまった。
「ハァァァァァ!」
セーレの気迫の叫びと共に放たれた拳がゴブリンロードを吹き飛ばし壁に叩きつけた。
その後ゴブリンロードは息を切らし膝をついた、俺はまさかと思い鑑定《アナライズ》を発動した。
ゴブリンロードの前に現れたパネルには異様に数字が減っている箇所があった、奴の魔力量だ。
「セーレ!奴の魔力が底をつく、二人で…」
「私が奴を狩る、お前は奴にダメージが通るよう下処理しておいて。出来るでしょ?」
俺は正直驚いた、あのセーレが俺に命令を出したのだ。命令といったら人聞きが悪いが、今までの彼女だったらどんな立場でも一人で戦おうと行動した。
今もこの状況、セーレがもう一度連打をくりだしトドメの一撃を刺せば奴に勝てるかもしれない。
だが彼女はその選択をしなかった、自分の戦略に俺の存在を組み込む新しい戦い方に俺は彼女を疑った。
「おいおい、お前ほんとにあのセーレか?誰にも頼らないあの一匹狼のセーレか?」
「失礼な奴ねお前は。私はただ…もう惨めに自分が負ける姿を晒したくないだけよ。」
セーレはまるで欲しいものをせがむよう自分の手を俺に向けて伸ばした。その目はいつも俺を下に見るような余裕こいたものでなく、ただまっすぐとその覚悟を俺に示すような真剣な眼差しをしていた。
「だから勝つ!たとえお前と協力しあうことになってでも、もう負ける姿は絶対晒さない!だから力を貸せ!」
「へへっ、待ってたぜ…その言葉!」
俺は剣を右手に携えて奴がいる場所へ突進した、その姿を見たゴブリンロードは今の姿勢から低く飛び出し俺を捕まえようと腕を広げた。
「低い体勢なら速くなれると思ったか?」
腕を伸ばして俺の体に触れる寸前、俺は《ドラゴンリープ》の高く飛び上がる技の仕様を利用しゴブリンロードの体を上回る高まで飛び上がった、そしてそのまま回転をつけて剣を奴の頭上に叩きつけた。
グギャァァァァ!
「お前と相撲勝負はまた今度な、今はお前の勝ちにしといてやるよ!」
技が脳天に直撃し、ゴブリンロードはそのまま地面伏せた。その隙を逃さず俺はゴブリンロードの背中を素早く何度も斬りつけた。
「うぉぉぉぉぁぁぁぁぁ!」
最初は皮がめくれるだけで鉄のような硬い感触があった奴の体だったが、魔力が枯渇したのかある一撃を境に肉質が柔らかくなり肉が抉れる傷を見せた。
「今だセーレ!ぶちかませ!」
「ふん、とっておきよ一生に一度のね!」
セーレは自分に纏う電気を両手に込め続け、黒い稲光が走る禍々しい腕へと変形した。
今の雷を纏う状態は体に継続したダメージが入る、もしあのまま連打を打っていたらギリギリの体力である私は自傷で力尽きてしまう。
だが今はクロムがいる、彼に奴の防御を剥がす役割をすればもうこの状態を維持しなくてもいい。
普通なら考えなかった、一人仲間がいるだけでこんなにも戦いの選択肢が広がるなんて思わなかった。何故最初からやらなかったのかと、今の今まで感じようともしなかった自分を恥じた。
「仲間がいるだけでこんなにも自分の戦いにアイデアが生まれるなんて…私は、今まで本当にムダな時間を過ごしていたのね。」
ふと目を閉じると、力尽き倒れた自分の姿が残像のように映った。今までの私ならあそこで終わっていた、でも私は未だ舞えている。
仲間という欠けたピースをはめた先に待っていたのは、過去の自分を超えた今の存在だった。
「さよならだ…過去の私。」
セーレは飛び上がり、体を反って勢いよくゴブリンロードの頭に両拳を叩きつけた。
「黒の一閃!」
ドガァァァァァァ!
地面が陥没するほどの強い衝撃が加わり、ゴブリンロードの下半身は宙に舞った。頭は原型が無くなるほど潰されピクリとも動かなくなった奴の体のを見て、俺達は確信した。
「はぁ…はぁ…倒した?」
「ああ…倒しただろ。」
二人は戦闘を終えたことによる安堵からか全身から力が抜けていくのを感じた。それはまもなく視界が歪み、声もなく地に倒れた。
意識が暗転した。
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