推しがラスボスなので救いたい〜ゲーマーニートは勇者になる

ケイちゃん

文字の大きさ
上 下
32 / 87
悪魔の絆編

第二十三話 ひよこ①

しおりを挟む
「ううん…はっ…!」

 冷たい木床が体全体に伝わり、レズリィの意識が一気に覚醒した。

「ここは…?っく!縛られて…!」

 手と足首には縄できつく縛られており簡単には逃げられないようになっている。
 辺りを見渡せば、そこは古びた木造の部屋だった。入口は一つだけで窓も無く、天井のランタンの光だけが部屋を薄暗く照らしている。
 ギィィィ…
 入口の扉が開かれ、外の眩しい光の中からレズリィの倍はある大きさの人影が入ってきた。
 ゴブリンロードだ。

「オメザメカ?聖ノ血肉ヲ持ツニンゲンヨ。」
「えっ、えぇぇぇぇ喋ったぁぁぁ!」

 レズリィは自分の目を疑うほどに目の前の人物に驚いた、呻いた鳴き声しか発しないゴブリンが今目の前で人間の言葉を発したからだ。
 何を言っているのかわからずに行動するのも怖いが、魔物の野蛮な思想の意味がわかるとさらに恐ろしくなる。レズリィは息が乱れるほどに冷静さを失っていた。

「イイ悲鳴ダナ、ソノ叫ビハ我々ニトッテゴ褒美ダ。コレカラモズット、我々ノタメニ泣キ叫ビ続ケルガイイ。」
「わっ、私をどうするつもりですか?」
「オマエハ…ニンゲントハ違ウ聖ノ血肉ヲ持ッテイル特別ナ個体ダ。」
「聖の…血肉?」
「欲シカッタノサ、我々ノ強力ナ子孫を生ミ出ス母体ガナ。」
「ひっ!」

 ゴブリンロードは片手でレズリィの首を掴み持ち上げた、ゴブリンの顔の高さまで持ち上げられたレズリィの体は宙を浮き、苦痛で歪んだ表情を見せた。

「ぐっ!あ…うぐっ!」
「サテ…マズハ体ヲ改サセテモラオウカ。」

 ゴブリンロードのもう片方の手がレズリィの体に近づく。それを見たレズリィは反射的に自分の肺の中にある僅かな空気を使って言葉を吐き出した。

「きっ、聞きなさいゴブリン!私を解放しなさい!」

 二重になった自分の声が部屋に響いた、《スレイブボイス》だ。その言葉の意味が通じたのか、レズリィの体に触れようとしていたその手ほピタッと止まっていた。だが…

「クックックッ…面白イ娘ダ、我ノ脳ニ直接語リカケテクルトハ。」

 そのゴブリンは不気味に笑っていた、レズリィを掴む手を離さずただ彼女の苦痛な表情を舐め回すように見続けた。

「残念ダッタナ、我ハ王ダ。オマエノシタニツクコトハ決シテナイ。」
(効かない!?いや…効いてるけど屈しないということ?なんて強いプライド。)

 自分の策が尽きてしまった、その非情な現実に打ち付けられ涙をこぼした。

「ダガ…マスマス気ニ入ッタ、オマエノ能力ゴト我々ノ力ニナレ!」
「嫌…です!誰が…あなた達なんかのために!そうやって…余裕な態度をしてるのも今のうちですよ、きっと…クロムさん達が助けに来ます!」

 心まで屈さず仲間の希望を告げるレズリィ、だが目の前いたゴブリンはその必死な表情をあざ笑うかのように顔を少し上に傾け見下した。

「助ケ?フン…アノ襲撃者共ナラ…。」

 ドドドドドドドドドドド!!!
 入口の方から複数の破裂音や爆破が聞こえた、ゴブリンロードの告げた言葉とタイミングが重なったことでレズリィの中で最悪な予想が頭をよぎった。
 だがそれをゴブリンロードは無情に告げた。

「今死ンダ。」
「嘘…嘘です…!私の目で確かめるまで絶対信じません!」
「ナントデモ言エ、オマエノ運命ハ変ワラナイ。ギャハハハハ!」

 ゴブリンロードの高笑う声が部屋中に響く、そんな中レズリィはただ泣くことしか出来なかった。誰でもいいから私の前に現れて助けに来たと言う台詞が聞きたかった。
 だが現実はゴブリンの笑い声しか聞こえない、その残酷な現実から目を遠ざけるようにレズリィは固く目を閉じた。親しい仲間の名前をこぼして…。

「クロムさん…。」

 同時刻、シャーマン達による断続的な魔法の雨を遠くで見ていたコハクとルミールは、唖然とした表情で立ち昇る土煙を見ていた。

「すごい衝撃波…二人はどうなったんですか?」
「クロムさん!セーレさん!無事ですか!?」

 コハクは大声で二人の名前を叫ぶが返答がない。
 最悪だ…一番考えたくないことが起きてしまった。と思い浮かぶ言葉を払拭しながら再び声をあげた。

「クロムさん!セーレさん!返事をしてください!返事を…お願いですから!」

 コハクの涙混じりな叫びが続く中、着弾地点より少し近い建物の中で二人の体は動いた。

「いっ…痛ぇ…。今ので内臓がどっか行きそうになったかも…。」

 俺は冗談を呟きながら重い体を起こしてなんとか立ち上がる、隣では外傷はないものの麻痺で立ち上がれず苦しい呼吸をしているセーレの姿があった。
 実際ギリギリだった、麻痺で動けなくなったセーレを抱えて近くの建物の中に逃げ込もうとしたが、魔法弾が地面に着弾した際、多重の魔法のぶつかり合いで激しい爆破を引き起こした。
 その結果衝撃に飛ばされるような形で建物の中に逃げ込んだ。あともう1秒あの場にいたら確実にお陀仏になっていただろう。

「おい…大丈夫かセーレ。」
「話しかけないで…治すのに集中できない。」

 セーレは体を震えさせながら体に流れている痺れを治そうとしている。自然治癒を高めているのか、状態異常の耐性を作っているのか気になったが、おそらく言っても教えてくれないだろう。

 ギィギィ!ギャハハ!
 突然外からゴブリン達の呻き声が聞こえた俺はすぐ顔をそっちにむけた。そこにいたゴブリンは見つけたと周りに言ったのか、鳴き声をあげると周りからうじゃうじゃ湧いて出てきた。

「はぁ…たくっ、見せんもんじゃねぇぞこの野郎。」

 俺は剣を強く握りしめ、向かってくるゴブリン達を切り裂いていった。
 その音に気がついたのか、コハクの耳にわずかながら武器と剣が弾く音が聞こえた。

「あそこの建物から戦闘音が…!」

 音をたどっていくと、建物周辺にゴブリンの大群が群がっていた、そして半壊した建物に入ったり吹き飛ばされて出て行ったりとゴブリン達が悪戦苦闘している光景があった。

「はぁ…はぁ…これは結構ピンチかな。」
 
 息を荒げながら額に流れる汗を拭った。建物の中は至る所にゴブリン達の死体が転がっており足の踏み場が無くなってきた。
 それでもゴブリン達は自身の死を恐れず、仲間の死体を踏み台にしながらこちらに向かってくる。

「どうする…こんな所で足止めくってる場合じゃないのに!無理矢理押し切るか?いや、セーレを置き去りには出来ないし、押し切るような力もない…!」

 この状況をどう打開するか必死に頭を働かせていると、懐の中に何かが入っているのに気がついた。

「これって…。」

 取り出すとそれはモルガンから渡された強化薬だった、その小瓶は移動や戦闘などで振られて中のガラスに赤い液体がへばりついており、いかにも人が飲めるようなものには見えなかった。

 ーー私特製の強化薬だ、力に関するものを何でも強化する。もし戦闘でやばいと感じたらこれを飲んで応戦してみるといい。

 小瓶を見ているとモルガンから伝えられたこの薬の効果を思い出した。
 力に関するものを何でも強化という言葉が引っかかるが、大量のゴブリン達を一掃できる唯一の方法なのだとしたら選択肢はもうこれしかない。

「くそっ!背に腹はかえられねえ!信じてるからなモルガン!」

 小瓶の蓋を開け、ドロっとした赤い液体を口の中に流し込んだ。あまりの粘液質に舌に薬品特有の苦味が残って気持ちが悪い。

「うえぇ…吐きそう…。でも、これでお前らを倒す力は手に入れた。余裕こいてるのも今のうちだぞ!」

 不思議と力が込み上げてくる感覚を感じた。そのおかげか、数が多くて驚異でしかなかったゴブリン達が今は群がるだけの魔物にしか見えなくなっていた。
 俺は不思議と笑った、さっきまで感じていた緊張はどこにいったんだろうか?今は早く自分の力を振いたくてウズウズしていた。

 ギャァギャァ!ギギギャァ!
「よし来いっ!うぉぉぉぉ!」

 ゴブリン達が一斉に飛びかかり、俺も剣を左下に構えて突っ込んだ。
 そして、俺の間合いに入ったゴブリンを斬ろうと剣を振りかざした瞬間…

 ドガァァァァ!
「うぉぉえぇぇぇ!!」

 入口付近で大きな爆発が起き、俺とゴブリンは建物の奥に飛ばされた。そして群がっていたゴブリン達は爆破の衝撃で大波のように壁となって俺に覆い被さってきた。

「クロムさん!セーレさん!大丈夫ですか!?」

 入口から声をかけるコハク、目の前にはゴブリンの山が見えるがその奥で不自然に動くゴブリン達がいた。

「大丈夫なわけないだろぉぉ!殺す気かぁぁ!」
「ごっ、ごめんなさい!火力調整ミスりました…。」
「って!?お前らが一掃しちゃうのかよ!俺めっちゃ勇気出してあれ飲んだのに…。」
「すみません!あんな攻撃を見たものなので無事かどうか早く確認したくて。」

 ゴブリンの山から大声を張り上げてクロムが飛び出してきた。状況から察するにクロムも一緒に吹き飛ばしてしまったのだと気づいたコハクとルミールは慌てて謝った。

「そういえば…そっちは大丈夫だったのか?俺はセーレを抱えて走るのに必死だったから見えていなかった。」
「あの魔法の雨は一部分しか当たっていませんでした、おそらくその子を集中的に攻撃して倒そうとしていたのだと思います。」

 ルミールはあの時の状況を話すと、部屋の奥でうつ伏せになって苦しそうにしているセーレに指を指した。

「へぇ…随分とふざけたことしてくれるじゃない…あの小鬼共…!くっ!」
「セーレさん、一体何があったんですか?」
「麻痺だ、それも多重にかけられてる。あの一瞬でこれほどの状態異常、シャーマンじゃないと考えられないな。」
「あの遮蔽物《ウォール》もそうだと思います、シャーマンが大勢で補助魔法をかけてゴブリンロードを守っていた。レズリィさんを救うためにはあのシャーマンをどうにかしないと。」

 ルミールの報告で大体の現状がわかった。集落の奥にある赤い建物にレズリィはいる、だがそこにはゴブリンロードもいるため安全とは言い切れない。
 あの中の入ろうとも補助魔法《ウォール》の壁が防いでいる、さらには未だ残存するゴブリンと遠距離から状態異常と魔法弾を撃ってくるシャーマンがいる。
 時間がない状況で全てを相手にするのは不可能だ、せめてゴブリン達がレズリィから離れてくれれば…。

「離れる…ゴブリンロードがレズリィを相手に出来ないほどに必死だったら…。」

 俺の中である考えがひらめいた、普通なら思い浮かばない、いや…俺らしくない考えが。

「作戦は変わらない。」

 俺は破壊され大きな穴と化した入口から見える外の風景を見据えながら、コハクとルミールに作戦の内容を伝えた。

「俺とセーレでこっちの相手をする、コハク達は引き続きシャーマン達を倒すのに専念してくれ。」
「私達だけでいいんですか?クロムさんとなら早くシャーマン達を倒せるはずですが…。」
「駄目だ、あの魔法弾の量から見るに崖の上に大勢配置されてる、誰かがここで引きつけてやらないとシャーマンを倒すのは難しくなる。つまり…コハク達には闇討ちしてほしいってことだ。」
「ですが、やはり時間が足りなさすぎます。こうしてる間にもレズリィさんはひどい仕打ちを受けてるかもしれないのに…。」

 ルミールが気遣わしげに吐露する、今朝会ったばかりの人にここまで心配してくれるとは人がいい奴だ。

「たしかに戦いが長引けばレズリィの命は危うくなる、だから俺とセーレでゴブリンロードを外に引きずり出す。見つけたんだ、絶対勝てる必勝法を。」

 必勝という言葉に心が動いた二人、クロムはずっと破壊された入口から見える風景をまっすぐな目で眺めていた。

「分かりました、クロムさんを信じます。」

 その表情に確信を持ったのか、コハクは真剣な眼差しで俺に答え返し、すぐさま入口の方に駆け出した。
 俺はコハクの名前を呼んで一瞬引き止めた、そうして約束がてらこれから起こる事を肝に銘じておくように内容を伝えた。

「コハク、これだけは約束してくれ。俺が何をしようとも何をされようとも作戦通りシャーマンだけを相手にしてほしい、できるか?」
「もちろんです!そちらも気をつけて!」

 そう言うと建物の中から抜け出し、獣人から出る速さを活かして俺の視界から消えていった。
 柱で支えられた建物の下を潜り、隠れていたゴブリンを素早く倒し、常人では考えられない速度で集落の外にそびえる切り立った崖下に辿り着く。

「コハクさん、僕を壁のほうに寄せてください道を作ります。」

 コハクは自身の体を岩肌に寄せると、ルミールが岩肌に手を当て魔法陣を展開した。
 すると岩肌から1メートルほどの岩が横から隆起し始め、階段のように崖上まで伸びていった。

「ありがとうございますルミールさん!」

 隆起した岩を軽々と飛びながら崖を登っていくコハク。崖上まで辿り着くと二体のシャーマンと目があった、急な登場でシャーマン達は戦おうとする思考に辿り着くのが遅れ、杖をコハクに向けた時にはもう手遅れだった。

「ソニッククロー!」

 コハクの爪がシャーマンの喉を掻っ切り、言葉にもならない呻き声をあげて倒れた。
 そしてすぐさま木陰に身を隠し、辺りにいるシャーマン達から見つからないように移動し始めた。

「あの…コハクさん、本当にクロムさんを残してよかったのでしょうか。必勝法があると言ってましたが…あの悪魔は動けない、実質クロムさん一人で戦う事になる、さすがに無茶ですよあんなの。」

 ルミールは後悔した、もっと強く言っていればクロムも考え直したのかもしれないと。
 あまりにも無謀な作戦、常識人からして言えば賭けのような所業。だがそれでもコハクは何の疑いも見せずにクロムの案に乗った、ルミールはそれが気がかりでコハクに聞き出した。

「信じます、クロムさんなら何か策を考えているって。だから失敗させたくないんです、私達が迷って作戦に支障がでたら何もかも終わってしまいますから。」
 
 どこからくるのかわからないその自信の答えに、ルミールの不安そうな表情は消えなかった。
 だがそう感じている間にも、次なるシャーマンが現れる。今さらどんなに不安や後悔を嘆いても戻ることなんてできない。
 目の前のシャーマン達を倒すことが作戦成功につながるというのなら、自分もクロムを信じるしかなさそうだ。

「分かりました…僕も信じます!」

 その言葉を聞いたコハクは口元に笑みを浮かべ地面を蹴った。ただ目の前のシャーマンを倒すため、その手から出る力が空気を切り裂いた。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

1001部隊 ~幻の最強部隊、異世界にて~

鮪鱚鰈
ファンタジー
昭和22年 ロサンゼルス沖合 戦艦大和の艦上にて日本とアメリカの講和がなる 事実上勝利した日本はハワイ自治権・グアム・ミッドウエー統治権・ラバウル直轄権利を得て事実上太平洋の覇者となる その戦争を日本の勝利に導いた男と男が率いる小隊は1001部隊 中国戦線で無類の活躍を見せ、1001小隊の参戦が噂されるだけで敵が逃げ出すほどであった。 終戦時1001小隊に参加して最後まで生き残った兵は11人 小隊長である男『瀬能勝則』含めると12人の男達である 劣戦の戦場でその男達が現れると瞬く間に戦局が逆転し気が付けば日本軍が勝っていた。 しかし日本陸軍上層部はその男達を快くは思っていなかった。 上官の命令には従わず自由気ままに戦場を行き来する男達。 ゆえに彼らは最前線に配備された しかし、彼等は死なず、最前線においても無類の戦火を上げていった。 しかし、彼らがもたらした日本の勝利は彼らが望んだ日本を作り上げたわけではなかった。 瀬能が死を迎えるとき とある世界の神が彼と彼の部下を新天地へと導くのであった

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

メインをはれない私は、普通に令嬢やってます

かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・ だから、この世界での普通の令嬢になります! ↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。 これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。 それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

処理中です...