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旅立ち編
第十五話 次なる道②
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やる事を終え、セーレを連れた勇者一行は次なる目的地に出発するため城の入口の扉を開く。
外に出ると、ルーナ城の街並みはいつも通りの風景が広がっていた。商売する者、街の復興に尽力する者、誰も昨日の出来事に不信感を覚える国民はいなかった。
「なんだか長い一日だったな…滞在したのは一日くらいなのに何日もここにいた気分だ。」
「ああ…まだ疲れが残って眠たい気分。」
「じゃあ眠れるように私が手伝ってあげるわ。」
そう言うとセーレは手刀で俺の首を叩こうと振りかぶった。
「うぉぉぉぉぉ危ねえぇぇぇ!!」
何か嫌な予感がした俺はギリギリの所でしゃがんで回避した。
「ダメでしょ勇者、せっかく私の厚意で寝かせてあげようかと思ったのに。」
「絶対殺す気だっただろ!っていうか手刀で相手を眠らせるのは殺人術の一つだからやめてくれない!?」
「じゃあ脳天チョップでいい?」
「手刀をやめろって言ってんだよこの暴力悪魔!」
二人は掴み合いになり、また始まったと呆れたため息を吐くレズリィ。すぐに止めようと声をかけようとしたその時…
「クロムさん!皆さんー!」
聞き覚えのある声が聞こえ、その声がした方向へ振り返るとこちらに走ってくるコハクの姿が見えた。
「うおっ!」
走る速度を落とさず俺の体に飛び込んできたコハク、その姿は感動的な再会を果たした親子のように強く俺の体を抱きしめていた。
「ありがとう…ありがとうございます!クロムさんがいなかったら私の同族達は…」
「いいんだ、それよりも大丈夫なのか?皆と一緒にいなくて、仲間なんだろ?」
「体を治したら、皆は他国に渡って売り飛ばされた仲間を助けるみたいで、私も手伝おうと話したんですが…。」
俺の話に答えるようコハクはその場であったことを丁寧に説明した。
コハクが商人達から同族である仲間を救出した後、追手に狙われないように宿屋の部屋の一角に身を潜めていた。
連れてきたのは二人で、もう一人いたのだが救出した後狂ったかのように外へ飛び出して行った。
探そうにも疲弊している救助者がいるため置いていく訳にはいかなかった。苦渋の決断の末、二人だけでも助けようとコハクは必死に担いでここまで走ってきていたのだ。
「はぁ…はぁ…。」
安全な場所に仲間を無事に連れてこれた事で一気に緊張感が解け、体が急に重くなる。
瞼が重い…まずは皆に食べ物を…足が動かない…皆をちゃんと寝かしてあげないと…。
視界がぼやけて体がおぼつかなくなる、やがて支えを失うように床に倒れてそのまま眠りについた。
「絶対に…助け…助け…。」
寝言を発しながら唸り続け、コハクは少しづつ意識を取り戻してきた。
自身の体は温かい何かに包まれていて心地良く、意識を手放すよう眠り落ちそうになっていく。
(あれ…私…私は…ここで…)
だんだんと自分のやるべき事を思い出し、全てを思い出した瞬間体を飛び上がらせた。
「皆っ!!」
辺りを見渡すと自分はベッド上におり、その横には救助した獣人の仲間が眠っていた。
周りはもう明るくなっており、カーテンの隙間から太陽が覗かせている。
「あっ…起きたのね、心配したわ。」
部屋の扉が開くのと一緒に、救出した獣人が中に入ってきた。
ボロボロの一枚着のロングシャツに、手入れされず輝きを失った黄色のショートヘア。
私は彼女を知っている、キリエという名前で私がここに来てから色んな事を教えてくれた先輩的な存在だった。
何も言わずに急に消えてしまった事に悲しんだが、またこうして出会えたことに自然と笑みが溢れた。
「キリエさん…。」
「まずはお礼がまだだったわね、ありがとう…私達を助けてくれて…。」
まだ体中の傷は残っているが、顔色も良く話せるほどに体力が回復したようだ。
「いえそんな…私は謝るべき立ち位置なんです、この国で働いていたのに皆がこんな目にあっていた事に気づけなくて…クロムさんが話してくれなかったら私も皆も…。」
顔をうつむきベッドのシーツを握りしめた、実際クロムには恩を返す事ができないくらい救われた。その感謝と自分が気づいてあげられなかった悔しさに涙が流れた。
そんなコハクの表情を見たキリエは、彼女を落ち着かせゆっくりと事の経緯を彼女から聞いたーー。
「ルカラン王国から来た勇者…彼の能力に奇跡的に救われたのね。」
キリエも何故コハクの前から突然と消えてしまったのかこれまでの経緯を彼女に話した。
探索の派遣として獣人を雇っていた集会所には商人達の援助もあり、集会所の役員として常に私達を観察していた。
そして使える人材を見つけた時には冒険者に金をつかませて獣人の捕獲の手伝いをさせられていた。
その方法としてダンジョン内部で一緒に行動し、頃を見計らった時に睡眠剤をくらわせ、眠らせたまま運ぶという拉致計画を前から行動していたそうだ。
「まさか…それって…!」
コハクには思い当たる節があった、素材集めに協力して欲しいと頼まれたあの日…
「獣人の人、俺達と一緒に素材を集めるのを手伝って欲しいんだ。」
探索の派遣仕事として集会所で働いていたコハクに仕事が入ってきた。
依頼してきたのは二人の冒険者で、内容を確認するとメブキの遺跡でプラントベビーが落とす素材が欲しいとの事だった。
「メブキの遺跡ですね、あそこにはヌシがいるので深入りはしない事だけを約束してください。」
「わかった約束しよう、じゃあ契約成立という事でよろしく頼む。」
冒険者の一人がこちらに手を出し、仲間としての信頼を示す握手を求めてきた。
「はい!短い期間ですがよろしくお願いします!」
コハクは差し出された手を握り、仕事関係ながらもパーティーのために尽力する事をその握手で示した。
「ああっ…!」
頭の中が真っ白になり顔をうつむいた、キリエが話した内容と一致していたからだ。
私が無事だったのは、途中で落石にあいメンバーと離れ離れになってしまったから。
商人にとって大事な商品を失うわけにはいかなかった、だから衛兵を使ってまで私を探させた。
あの時…冒険者との信頼を築いたあの握手は嘘だったのか?そう思うと徐々にコハクの中で哀しみの怨嗟の声が響いた。
「全部…全部あの人達の…!むぐっ!」
全ての元凶であるあの商人達に怒りが込み上げ、顔を上げたその時、キリエの手がコハクの口を防いだ。
「駄目よ、あなたまでそんな気持ちに堕ちてはいけないわ!」
キリエは悔しさを滲ませながらも決意を固めた真剣な表情でコハクの目を真っ直ぐ見ていた。
「コハク…その抱え込んだ怒りは私に任せてくれる?あなたはその力で勇者の助けになってあげて。」
「ぷはっ!それって…!」
コハクは押さえられた手をどかし、キリエがこれからやろうとしている事を不安げに聞き出した。
「あなたの話だとおそらく商人達はもう捕らえられているか、ここではないどこかに逃げているかのどちらかになるでしょう。どちらにせよ私達が報復する手段はもう残されてない、でもあいつらの悪行の爪痕はまだ健在している。」
「爪痕って…。」
「私達はこれから商人達に売り飛ばされた仲間を助けに他国を旅する。それはおそらく、仲間を足蹴にしている人間達と対立する事になるでしょう。」
「そんな危険な事させられません!だったら私も行きます!仲間を助けたいのは私も同じ気持ちです!」
必死に説得しながら声をあげるコハクだが、キリエは首を横に振り無理して作ったような笑顔を彼女に見せた。
「何言ってるの、あなたにだって背けることができない目的があるでしょう。私達が仲間を助けるために動くように、あなたは勇者達と色んな場所に周って人を助けるの。」
(駄目だ…そんなの駄目だ…人間の闇から解放できたのに、またそこに足を踏み入れるなんて…。)
コハクはキリエの言う事に納得出来ず、意地でも彼女達の助けになろうと考えていた。だがその気持ちが夢描いていた過去の自分と重なり迷いを生じてしまう。
(クロムさん…私…。)
自分はクロム達と旅に出て色々な世界を旅したいと約束をしていた、今はそれを断ってキリエと共にまたあのような闇に向かおうと考えている。
きっとパーティーに事情を話したら無理にでもついて行こうとしてしまう、私はみんなの旅の目的を変えさせたくない。
コハクは手を握りしめ、自身のやるせない気持ちをどう表したらいいかわからなかった。
すると、キリエの拳がとんっとコハクの胸に軽く当たった。彼女がそれに気がついたのを見てキリエがゆっくりと口を開いた。
「私達の力は…誰かを助けるために。」
口にしたのは獣人族が代々伝えられてきた掟の言葉、キリエも私に向けてあなたも言えと顔を少し振った仕草を見せた。
「私達の力は…仲間を守るために。」
そう言うとコハクもキリエの胸に拳を当てて、掟の最後の言葉を二人同時に話した。
「「虎狼の爪を隠せ、築き上げた信頼こそ私達の武器!」」
獣人族は争いを好まない種族、決して私利私欲のために力を振るうことはしない。ましてや報復のために自身の手を血に染めるなどすれば、二度と獣人とは言われなくなる。
害獣…そう呼ばれ人間達から討伐対象の魔物と危険視されてしまう。
「獣人族の誓い…決して自身の欲のために力を振るうことはせず、誰かを守るために私達の力がある…。私はあんな苦しみを与え続けた人間を許さない、私の仲間を足蹴にしている人間を許さない、そんな相手じゃ…この誓いは守れそうにない。」
キリエは窓にかけられたカーテンを開けた、東から出てきた太陽が部屋を明るく照らし、彼女はその光を浴びるように両手を広げた。
「だから、私はあなたを連れていけない。私達のような虎狼の獣人と一緒にいたら駄目なの。あなたは誓いの通り、眩しい道を歩いてほしい。」
キリエの目は遠くの景色を真っ直ぐ見続けていた、まるで見ている景色が最後になる事を示しているように。
そんな彼女を見ていたコハクは、ただ黙って彼女に抱きつき、「ごめんなさい…」と小さな声で呟いた。
「そうね…ごめん、助けてもらったのに…。」
お互い助けあいたい…けれどそれが叶わない。キリエ達をまた苦しめるような場所に行かせたくない…けれどコハクと共に苦しみを分かち合いたくない。
交わる事のない二人の心情を、お互い慰め合うように陽の光に照らし出された影が一つに伸びていた。
救出した仲間の思い、選ばなければならない選択肢への葛藤、コハクの口から話されたその話をクロム達は静かに聞いていた。
「今の私にはどうすればいいのかなんてわかりません、ですが…キリエさん達の気持ちに応えたい。私にしか出来ないことをこれからも頑張りたい。」
コハクは膝をつき祈るように両手を組んだ。
「獣人族は、誰かを助けるために力を振るう。私コハクは、勇者パーティーの旅の助けになりたい!改めて私を仲間に入れてください!あなた達の力になってみせます!」
馬車の中で仲間になりたいとお願いしてきた頃とは違い、覚悟と信念を示すように誠心誠意のお願いをクロム達に見せた。
仲間達は戸惑いながら俺の判断を気にしてきたが、俺の気持ちは変わることはない。
「びっくりしたよ、てっきりこのパーティーを抜けるんじゃないかってヒヤヒヤした。」
「えっ?」
俺も腰を落としコハクの肩に手を置いた、そして誇らしげにコハクの仲間入りを歓迎した。
「一緒に行くぞ、俺達にはお前の力が必要なんだよ。」
うんうんとみんなは頷きながらコハクを見ていた、その姿にコハクは自然と目頭が熱くなった。
「皆さん…よろしくお願いします!」
「これからもよろしくな!コハク!」
「コハクさん、一緒に頑張りましょう。」
皆はコハクを囲み、彼女をなだめながらパーティーに加わった事に喜んだ。
これによってパーティーは五人に増え、ゲームでは得られなかった戦力と仲間との信頼を得たクロム(一人を除いては)は、王国を不安げに旅立ったあの頃とは違い心に安心感と勇気が湧いた。
「皆の団結力が高まっている気がする、これなら次の冒険も怖くはない。あとは俺自身が倒れなければ…」
俺は自身の強さを確認するためにパネルを表示した、その強さの変化に俺は少し眉をしかめた。
(…レベル12?)
たしかにそこに表示されていたのはレベル12という文字、この城に入ったばかりの頃はレベル9だったので事実3レベルしか上がってない。
(あっ…あれ?あんなに頑張ったのに3レベルしか上がってない。ちょっと待って…ゲームではボスを倒しても最低レベル15は行くはず。周りの魔物を狩ればもっといけてた…。あれだけ頑張って…死闘を繰り広げて12!?これじゃあ襲撃して来た悪魔と戦った経験値しか貰えてないじゃん!)
俺は膝から崩れ落ちそうになった、次の目的地へ行くのにレベル12はさすがに低すぎる。
何故このような結果を迎えてしまったのか、絶望した頭の中である一つ理由が浮かんできた。
ーーゲームの世界に転生する前…。
「うわっ!レズリィがやられた!回復担当が!」
ボス戦に挑んでいた俺はレズリィが倒されパーティーのメイン回復を失うというピンチに陥っていた。
「もうこうなったらゴリ押しでいくしかない!アズマに回復を任せてクロムとアルノアで…ってうわ!アルノアばかりにヘイトむけるのやめろー!」
回復不足によりじわじわと仲間達の体力が減っていく中、こちらも負けじとボスにダメージを稼ぐ接戦が続き、ようやくボスを倒したが…
「ああマジか…死んだキャラには経験値が入らないタイプのゲームか。レベル上げるのめんどくさいな。」
RPGでよくある、戦闘不能のキャラがいる状態で戦闘を終えるとそのキャラには経験値が入らなくなる。
ボス戦のような経験値が大きく入る戦闘でそれが起こってしまうと、キャラにレベルの個人差が出てしまう。
そう負けたのだ…セーレとの契約決闘に勝利しても、事実セーレとの戦いでは敗北しているのだ。
(まさか…負けたから?負けたからセーレと戦った経験値は貰えないの?何でこういう時だけゲーム仕様なの!?)
俺は首を横に振り喪失感のある心情から我に返った。
(いやいやそんな…たかがレベル12だろ?ゲームではコハクもセーレも仲間にいなかったし、戦術の幅が広がった事の引き換えだと思えばいいじゃないか。そうだよそうに決まってる、皆俺と同じ強さで旅するんだ、べつに気に病む必要ないじゃないか。)
心の中で早口になりながら自分が陥っている喪失感を払拭するよう言い聞かせた。
仲間が多くなった事で戦術の幅が広がる、だがレベルの低さによる打たれ弱さだけは無視できない。特に後方で戦うアルノアとレズリィにはキツい旅になるはずだ。
(そうだ!鑑定《アナライズ》!たしか相手の能力をみやぶる事が出来るんだったな、だったら相手の強さも見れるんじゃないか?)
俺は早速、鑑定スキルを使おうとどこに力を入れるかわからないまま力んだ。すると頭の中でどういう風に力を入れれば使えるのかビジョンが見え始めた。
(目に魔力を流し込むイメージ…こんな感じか?)
目を瞑り念を流し込むイメージを浮かべながら勢いよく見開いた。するとパーティーメンバーに視線を向けた瞬間自身のステータス画面によく似た黒いパネルが浮かんできた。
(出た!こんな感じに出るのか、それで…皆のレベルは…。)
コハクを囲みながら仲良く談笑するメンバーの後ろで、俺はその場には似つかわしくない唖然とした顔をしていた。
(アルノアとコハク…レベル16!?レズリィに至ってはレベル25って俺より倍あるじゃん!)
何がなんだか分からず頭を手で押さえた、一緒に戦ってきてここまで激しいレベルの差はあるのだろうか?
アルノアとコハクは奴隷達の解放で奮闘したのはわかる、だがレズリィに関してはまったくわからない。
レズリィが最後に戦闘をしたのは襲撃時にアルノアと共に行動した経緯しかない、レベル10以上の差の経験値を短時間で手に入れるなんて、何か特別なイベントを行わないと事実上不可能。
「特別な…イベント…。」
俺は頭の中である仮説が浮かび上がり小さく呟いた、そしてそれを確かめるべく未だ唖然とした状態でセーレがいる隣にゆっくり顔を向けた。
「何よ?顔キモいよ。」
俺の顔を見るたび真顔で毒舌を放つセーレだが、そんな事を気にもせずセーレの前に浮かび上がるステータスのパネルを見た。
「レベル25…なぁセーレ、主従関係を結んだら主のレズリィにどんな効果が出るんだ?」
俺はダメ元でセーレに主従関係の仕組みについて質問した、彼女の事だから遠回しに教えないと文句を垂れることを覚悟したが、彼女は少し笑みをこぼしながら俺の質問に答えた。
「主従関係を結ぶ時、従者の持つ能力は全て主に献上される、だからレズリィ様はいざとなったら私と同じ技を使う事が出来るのよ。」
セーレの話が本当だというのはすぐわかった、おそらく従者よりも低いレベルの主人と結んだ場合、従者のレベルも引き継がれるのだろう。
(なるほど…これで謎は解明されたが、パーティーで一番弱いのは勇者ってそんなのあるか?追放系の漫画になったら真っ先に切られそうだぞ俺…。)
俺はそんな可能性を考えながら自身の恵まれない環境にため息を吐いた。
するとその隣でセーレが俺の肩に手を置き耳打ちするよう顔を近づけ呟いた。
「ようやく自分の弱さに理解したみたいねひよこ勇者。」
「っ!お前…最初から分かってて!?」
「面白かったわ~あなたの呆然としてる顔は~。」
ニタニタ笑いながら俺の今置かれている状況を馬鹿にするセーレ。
ひよこ勇者…文字通り生まれたてで弱いというひよこを例えで言っていた言葉。初めて会った時はそう言われても仕方なかったが、主従関係により敵対しない関係になってもそう呼ばれる本当の理由に俺はうろたえた。
「ねぇ皆聞いて~この勇者が今まで元気なかったのって…」
「待て待て!何言い出しとんじゃ我ぇぇぇ!」
満面の笑みを浮かべて俺の不恰好な訳を言いふらそうとするセーレ。
くい止めようと動く俺だが、セーレとの揉み合いに気づいた三人がその話を聞いてしまい、王国を出るまで慰める言葉と馬鹿にする言葉が俺の背中を叩いた。
外に出ると、ルーナ城の街並みはいつも通りの風景が広がっていた。商売する者、街の復興に尽力する者、誰も昨日の出来事に不信感を覚える国民はいなかった。
「なんだか長い一日だったな…滞在したのは一日くらいなのに何日もここにいた気分だ。」
「ああ…まだ疲れが残って眠たい気分。」
「じゃあ眠れるように私が手伝ってあげるわ。」
そう言うとセーレは手刀で俺の首を叩こうと振りかぶった。
「うぉぉぉぉぉ危ねえぇぇぇ!!」
何か嫌な予感がした俺はギリギリの所でしゃがんで回避した。
「ダメでしょ勇者、せっかく私の厚意で寝かせてあげようかと思ったのに。」
「絶対殺す気だっただろ!っていうか手刀で相手を眠らせるのは殺人術の一つだからやめてくれない!?」
「じゃあ脳天チョップでいい?」
「手刀をやめろって言ってんだよこの暴力悪魔!」
二人は掴み合いになり、また始まったと呆れたため息を吐くレズリィ。すぐに止めようと声をかけようとしたその時…
「クロムさん!皆さんー!」
聞き覚えのある声が聞こえ、その声がした方向へ振り返るとこちらに走ってくるコハクの姿が見えた。
「うおっ!」
走る速度を落とさず俺の体に飛び込んできたコハク、その姿は感動的な再会を果たした親子のように強く俺の体を抱きしめていた。
「ありがとう…ありがとうございます!クロムさんがいなかったら私の同族達は…」
「いいんだ、それよりも大丈夫なのか?皆と一緒にいなくて、仲間なんだろ?」
「体を治したら、皆は他国に渡って売り飛ばされた仲間を助けるみたいで、私も手伝おうと話したんですが…。」
俺の話に答えるようコハクはその場であったことを丁寧に説明した。
コハクが商人達から同族である仲間を救出した後、追手に狙われないように宿屋の部屋の一角に身を潜めていた。
連れてきたのは二人で、もう一人いたのだが救出した後狂ったかのように外へ飛び出して行った。
探そうにも疲弊している救助者がいるため置いていく訳にはいかなかった。苦渋の決断の末、二人だけでも助けようとコハクは必死に担いでここまで走ってきていたのだ。
「はぁ…はぁ…。」
安全な場所に仲間を無事に連れてこれた事で一気に緊張感が解け、体が急に重くなる。
瞼が重い…まずは皆に食べ物を…足が動かない…皆をちゃんと寝かしてあげないと…。
視界がぼやけて体がおぼつかなくなる、やがて支えを失うように床に倒れてそのまま眠りについた。
「絶対に…助け…助け…。」
寝言を発しながら唸り続け、コハクは少しづつ意識を取り戻してきた。
自身の体は温かい何かに包まれていて心地良く、意識を手放すよう眠り落ちそうになっていく。
(あれ…私…私は…ここで…)
だんだんと自分のやるべき事を思い出し、全てを思い出した瞬間体を飛び上がらせた。
「皆っ!!」
辺りを見渡すと自分はベッド上におり、その横には救助した獣人の仲間が眠っていた。
周りはもう明るくなっており、カーテンの隙間から太陽が覗かせている。
「あっ…起きたのね、心配したわ。」
部屋の扉が開くのと一緒に、救出した獣人が中に入ってきた。
ボロボロの一枚着のロングシャツに、手入れされず輝きを失った黄色のショートヘア。
私は彼女を知っている、キリエという名前で私がここに来てから色んな事を教えてくれた先輩的な存在だった。
何も言わずに急に消えてしまった事に悲しんだが、またこうして出会えたことに自然と笑みが溢れた。
「キリエさん…。」
「まずはお礼がまだだったわね、ありがとう…私達を助けてくれて…。」
まだ体中の傷は残っているが、顔色も良く話せるほどに体力が回復したようだ。
「いえそんな…私は謝るべき立ち位置なんです、この国で働いていたのに皆がこんな目にあっていた事に気づけなくて…クロムさんが話してくれなかったら私も皆も…。」
顔をうつむきベッドのシーツを握りしめた、実際クロムには恩を返す事ができないくらい救われた。その感謝と自分が気づいてあげられなかった悔しさに涙が流れた。
そんなコハクの表情を見たキリエは、彼女を落ち着かせゆっくりと事の経緯を彼女から聞いたーー。
「ルカラン王国から来た勇者…彼の能力に奇跡的に救われたのね。」
キリエも何故コハクの前から突然と消えてしまったのかこれまでの経緯を彼女に話した。
探索の派遣として獣人を雇っていた集会所には商人達の援助もあり、集会所の役員として常に私達を観察していた。
そして使える人材を見つけた時には冒険者に金をつかませて獣人の捕獲の手伝いをさせられていた。
その方法としてダンジョン内部で一緒に行動し、頃を見計らった時に睡眠剤をくらわせ、眠らせたまま運ぶという拉致計画を前から行動していたそうだ。
「まさか…それって…!」
コハクには思い当たる節があった、素材集めに協力して欲しいと頼まれたあの日…
「獣人の人、俺達と一緒に素材を集めるのを手伝って欲しいんだ。」
探索の派遣仕事として集会所で働いていたコハクに仕事が入ってきた。
依頼してきたのは二人の冒険者で、内容を確認するとメブキの遺跡でプラントベビーが落とす素材が欲しいとの事だった。
「メブキの遺跡ですね、あそこにはヌシがいるので深入りはしない事だけを約束してください。」
「わかった約束しよう、じゃあ契約成立という事でよろしく頼む。」
冒険者の一人がこちらに手を出し、仲間としての信頼を示す握手を求めてきた。
「はい!短い期間ですがよろしくお願いします!」
コハクは差し出された手を握り、仕事関係ながらもパーティーのために尽力する事をその握手で示した。
「ああっ…!」
頭の中が真っ白になり顔をうつむいた、キリエが話した内容と一致していたからだ。
私が無事だったのは、途中で落石にあいメンバーと離れ離れになってしまったから。
商人にとって大事な商品を失うわけにはいかなかった、だから衛兵を使ってまで私を探させた。
あの時…冒険者との信頼を築いたあの握手は嘘だったのか?そう思うと徐々にコハクの中で哀しみの怨嗟の声が響いた。
「全部…全部あの人達の…!むぐっ!」
全ての元凶であるあの商人達に怒りが込み上げ、顔を上げたその時、キリエの手がコハクの口を防いだ。
「駄目よ、あなたまでそんな気持ちに堕ちてはいけないわ!」
キリエは悔しさを滲ませながらも決意を固めた真剣な表情でコハクの目を真っ直ぐ見ていた。
「コハク…その抱え込んだ怒りは私に任せてくれる?あなたはその力で勇者の助けになってあげて。」
「ぷはっ!それって…!」
コハクは押さえられた手をどかし、キリエがこれからやろうとしている事を不安げに聞き出した。
「あなたの話だとおそらく商人達はもう捕らえられているか、ここではないどこかに逃げているかのどちらかになるでしょう。どちらにせよ私達が報復する手段はもう残されてない、でもあいつらの悪行の爪痕はまだ健在している。」
「爪痕って…。」
「私達はこれから商人達に売り飛ばされた仲間を助けに他国を旅する。それはおそらく、仲間を足蹴にしている人間達と対立する事になるでしょう。」
「そんな危険な事させられません!だったら私も行きます!仲間を助けたいのは私も同じ気持ちです!」
必死に説得しながら声をあげるコハクだが、キリエは首を横に振り無理して作ったような笑顔を彼女に見せた。
「何言ってるの、あなたにだって背けることができない目的があるでしょう。私達が仲間を助けるために動くように、あなたは勇者達と色んな場所に周って人を助けるの。」
(駄目だ…そんなの駄目だ…人間の闇から解放できたのに、またそこに足を踏み入れるなんて…。)
コハクはキリエの言う事に納得出来ず、意地でも彼女達の助けになろうと考えていた。だがその気持ちが夢描いていた過去の自分と重なり迷いを生じてしまう。
(クロムさん…私…。)
自分はクロム達と旅に出て色々な世界を旅したいと約束をしていた、今はそれを断ってキリエと共にまたあのような闇に向かおうと考えている。
きっとパーティーに事情を話したら無理にでもついて行こうとしてしまう、私はみんなの旅の目的を変えさせたくない。
コハクは手を握りしめ、自身のやるせない気持ちをどう表したらいいかわからなかった。
すると、キリエの拳がとんっとコハクの胸に軽く当たった。彼女がそれに気がついたのを見てキリエがゆっくりと口を開いた。
「私達の力は…誰かを助けるために。」
口にしたのは獣人族が代々伝えられてきた掟の言葉、キリエも私に向けてあなたも言えと顔を少し振った仕草を見せた。
「私達の力は…仲間を守るために。」
そう言うとコハクもキリエの胸に拳を当てて、掟の最後の言葉を二人同時に話した。
「「虎狼の爪を隠せ、築き上げた信頼こそ私達の武器!」」
獣人族は争いを好まない種族、決して私利私欲のために力を振るうことはしない。ましてや報復のために自身の手を血に染めるなどすれば、二度と獣人とは言われなくなる。
害獣…そう呼ばれ人間達から討伐対象の魔物と危険視されてしまう。
「獣人族の誓い…決して自身の欲のために力を振るうことはせず、誰かを守るために私達の力がある…。私はあんな苦しみを与え続けた人間を許さない、私の仲間を足蹴にしている人間を許さない、そんな相手じゃ…この誓いは守れそうにない。」
キリエは窓にかけられたカーテンを開けた、東から出てきた太陽が部屋を明るく照らし、彼女はその光を浴びるように両手を広げた。
「だから、私はあなたを連れていけない。私達のような虎狼の獣人と一緒にいたら駄目なの。あなたは誓いの通り、眩しい道を歩いてほしい。」
キリエの目は遠くの景色を真っ直ぐ見続けていた、まるで見ている景色が最後になる事を示しているように。
そんな彼女を見ていたコハクは、ただ黙って彼女に抱きつき、「ごめんなさい…」と小さな声で呟いた。
「そうね…ごめん、助けてもらったのに…。」
お互い助けあいたい…けれどそれが叶わない。キリエ達をまた苦しめるような場所に行かせたくない…けれどコハクと共に苦しみを分かち合いたくない。
交わる事のない二人の心情を、お互い慰め合うように陽の光に照らし出された影が一つに伸びていた。
救出した仲間の思い、選ばなければならない選択肢への葛藤、コハクの口から話されたその話をクロム達は静かに聞いていた。
「今の私にはどうすればいいのかなんてわかりません、ですが…キリエさん達の気持ちに応えたい。私にしか出来ないことをこれからも頑張りたい。」
コハクは膝をつき祈るように両手を組んだ。
「獣人族は、誰かを助けるために力を振るう。私コハクは、勇者パーティーの旅の助けになりたい!改めて私を仲間に入れてください!あなた達の力になってみせます!」
馬車の中で仲間になりたいとお願いしてきた頃とは違い、覚悟と信念を示すように誠心誠意のお願いをクロム達に見せた。
仲間達は戸惑いながら俺の判断を気にしてきたが、俺の気持ちは変わることはない。
「びっくりしたよ、てっきりこのパーティーを抜けるんじゃないかってヒヤヒヤした。」
「えっ?」
俺も腰を落としコハクの肩に手を置いた、そして誇らしげにコハクの仲間入りを歓迎した。
「一緒に行くぞ、俺達にはお前の力が必要なんだよ。」
うんうんとみんなは頷きながらコハクを見ていた、その姿にコハクは自然と目頭が熱くなった。
「皆さん…よろしくお願いします!」
「これからもよろしくな!コハク!」
「コハクさん、一緒に頑張りましょう。」
皆はコハクを囲み、彼女をなだめながらパーティーに加わった事に喜んだ。
これによってパーティーは五人に増え、ゲームでは得られなかった戦力と仲間との信頼を得たクロム(一人を除いては)は、王国を不安げに旅立ったあの頃とは違い心に安心感と勇気が湧いた。
「皆の団結力が高まっている気がする、これなら次の冒険も怖くはない。あとは俺自身が倒れなければ…」
俺は自身の強さを確認するためにパネルを表示した、その強さの変化に俺は少し眉をしかめた。
(…レベル12?)
たしかにそこに表示されていたのはレベル12という文字、この城に入ったばかりの頃はレベル9だったので事実3レベルしか上がってない。
(あっ…あれ?あんなに頑張ったのに3レベルしか上がってない。ちょっと待って…ゲームではボスを倒しても最低レベル15は行くはず。周りの魔物を狩ればもっといけてた…。あれだけ頑張って…死闘を繰り広げて12!?これじゃあ襲撃して来た悪魔と戦った経験値しか貰えてないじゃん!)
俺は膝から崩れ落ちそうになった、次の目的地へ行くのにレベル12はさすがに低すぎる。
何故このような結果を迎えてしまったのか、絶望した頭の中である一つ理由が浮かんできた。
ーーゲームの世界に転生する前…。
「うわっ!レズリィがやられた!回復担当が!」
ボス戦に挑んでいた俺はレズリィが倒されパーティーのメイン回復を失うというピンチに陥っていた。
「もうこうなったらゴリ押しでいくしかない!アズマに回復を任せてクロムとアルノアで…ってうわ!アルノアばかりにヘイトむけるのやめろー!」
回復不足によりじわじわと仲間達の体力が減っていく中、こちらも負けじとボスにダメージを稼ぐ接戦が続き、ようやくボスを倒したが…
「ああマジか…死んだキャラには経験値が入らないタイプのゲームか。レベル上げるのめんどくさいな。」
RPGでよくある、戦闘不能のキャラがいる状態で戦闘を終えるとそのキャラには経験値が入らなくなる。
ボス戦のような経験値が大きく入る戦闘でそれが起こってしまうと、キャラにレベルの個人差が出てしまう。
そう負けたのだ…セーレとの契約決闘に勝利しても、事実セーレとの戦いでは敗北しているのだ。
(まさか…負けたから?負けたからセーレと戦った経験値は貰えないの?何でこういう時だけゲーム仕様なの!?)
俺は首を横に振り喪失感のある心情から我に返った。
(いやいやそんな…たかがレベル12だろ?ゲームではコハクもセーレも仲間にいなかったし、戦術の幅が広がった事の引き換えだと思えばいいじゃないか。そうだよそうに決まってる、皆俺と同じ強さで旅するんだ、べつに気に病む必要ないじゃないか。)
心の中で早口になりながら自分が陥っている喪失感を払拭するよう言い聞かせた。
仲間が多くなった事で戦術の幅が広がる、だがレベルの低さによる打たれ弱さだけは無視できない。特に後方で戦うアルノアとレズリィにはキツい旅になるはずだ。
(そうだ!鑑定《アナライズ》!たしか相手の能力をみやぶる事が出来るんだったな、だったら相手の強さも見れるんじゃないか?)
俺は早速、鑑定スキルを使おうとどこに力を入れるかわからないまま力んだ。すると頭の中でどういう風に力を入れれば使えるのかビジョンが見え始めた。
(目に魔力を流し込むイメージ…こんな感じか?)
目を瞑り念を流し込むイメージを浮かべながら勢いよく見開いた。するとパーティーメンバーに視線を向けた瞬間自身のステータス画面によく似た黒いパネルが浮かんできた。
(出た!こんな感じに出るのか、それで…皆のレベルは…。)
コハクを囲みながら仲良く談笑するメンバーの後ろで、俺はその場には似つかわしくない唖然とした顔をしていた。
(アルノアとコハク…レベル16!?レズリィに至ってはレベル25って俺より倍あるじゃん!)
何がなんだか分からず頭を手で押さえた、一緒に戦ってきてここまで激しいレベルの差はあるのだろうか?
アルノアとコハクは奴隷達の解放で奮闘したのはわかる、だがレズリィに関してはまったくわからない。
レズリィが最後に戦闘をしたのは襲撃時にアルノアと共に行動した経緯しかない、レベル10以上の差の経験値を短時間で手に入れるなんて、何か特別なイベントを行わないと事実上不可能。
「特別な…イベント…。」
俺は頭の中である仮説が浮かび上がり小さく呟いた、そしてそれを確かめるべく未だ唖然とした状態でセーレがいる隣にゆっくり顔を向けた。
「何よ?顔キモいよ。」
俺の顔を見るたび真顔で毒舌を放つセーレだが、そんな事を気にもせずセーレの前に浮かび上がるステータスのパネルを見た。
「レベル25…なぁセーレ、主従関係を結んだら主のレズリィにどんな効果が出るんだ?」
俺はダメ元でセーレに主従関係の仕組みについて質問した、彼女の事だから遠回しに教えないと文句を垂れることを覚悟したが、彼女は少し笑みをこぼしながら俺の質問に答えた。
「主従関係を結ぶ時、従者の持つ能力は全て主に献上される、だからレズリィ様はいざとなったら私と同じ技を使う事が出来るのよ。」
セーレの話が本当だというのはすぐわかった、おそらく従者よりも低いレベルの主人と結んだ場合、従者のレベルも引き継がれるのだろう。
(なるほど…これで謎は解明されたが、パーティーで一番弱いのは勇者ってそんなのあるか?追放系の漫画になったら真っ先に切られそうだぞ俺…。)
俺はそんな可能性を考えながら自身の恵まれない環境にため息を吐いた。
するとその隣でセーレが俺の肩に手を置き耳打ちするよう顔を近づけ呟いた。
「ようやく自分の弱さに理解したみたいねひよこ勇者。」
「っ!お前…最初から分かってて!?」
「面白かったわ~あなたの呆然としてる顔は~。」
ニタニタ笑いながら俺の今置かれている状況を馬鹿にするセーレ。
ひよこ勇者…文字通り生まれたてで弱いというひよこを例えで言っていた言葉。初めて会った時はそう言われても仕方なかったが、主従関係により敵対しない関係になってもそう呼ばれる本当の理由に俺はうろたえた。
「ねぇ皆聞いて~この勇者が今まで元気なかったのって…」
「待て待て!何言い出しとんじゃ我ぇぇぇ!」
満面の笑みを浮かべて俺の不恰好な訳を言いふらそうとするセーレ。
くい止めようと動く俺だが、セーレとの揉み合いに気づいた三人がその話を聞いてしまい、王国を出るまで慰める言葉と馬鹿にする言葉が俺の背中を叩いた。
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