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旅立ち編
第十四話 主従関係
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「てっ…テレサ女王…。」
氷のように冷たい声色に、全ての人を見下すように睨む目がその場で動く人々を静止させた。
パチン!
誰もがこちらに顔を向けて話を聞く姿勢になったのを確認したのか、女王は指を鳴らし舞台上で凍った兵達の足を元に戻し、命令した。
「お前達その二人を解放しろ。」
「お言葉ですが女王様、この者達は私達人間の…」
「聞こえなかったか?二人を解放しろ。」
兵達の言葉に耳を傾けず、同じ内容を二度繰り返す。
その話し方は誰もがその先に待っているものが何であるか分からせるには十分すぎるほどの覇気があった。
兵達は沈黙を貫き通したままレズリィとセーレの拘束具を外し、緊迫感が漂う舞台上から1秒でも早く逃げるように舞台から降りていった。
「何故女王様がここに?あなたは街の復興のために修復を担っていたのでは?」
商人の一人が震える声で女王に質問した。
商人がこう告げるのは理由がある、女王は商人達をこの闘技場に呼び寄せるためある嘘をついた。
この戦いは全てルカラン王国の勇者に任せている、私は街の復興に尽力するからこの戦いには一切手出しはしないと。
「たしかに私はお前達にこの戦いには手出ししないと告げた。だが解釈違いにもほどがある、勝負を終えれば戦いとはもう無関係な状態になる。私が介入しても全く問題はないはずだ。」
その話に商人の一人が女王に疑問をぶつけた。
「ですか女王、あなたは不自然なくらいにタイミングが良すぎます。まさか、最初から見ていたんですか?」
レズリィとセーレの拘束、商人の言葉を復唱した会話、どう考えても即断で行動できるものじゃない。
その疑問に食いつくように商人達は話を合わせてきた、約束を違えるのか?ここの戦いには一切介入しないんじゃないのか?と自分達の都合のいい部分だけをぶつけ、その場を切り抜けようとしていた。
だが女王はフッと鼻で笑い、商人達の当たりに動じず自分の主張を告げた。
「お前達…そんな反論をする前に私に言わなければならない事があるんじゃないのか?」
その言葉に商人達は静かになり、女王のドレスの胸元から取り出される紙束を目を見開きながら見ていた。
「さっき匿名の冒険者がこの紙を女王に渡してくれと危機迫る表情で渡してきた、何事かと思い中身を見たら驚いたよ。」
嫌な汗が流れ始めた、あるはずがない…今ここに「あれ」があるはずが…
「この紙には、お前達が秘密裏に売り捌いていた奴隷達の名前が書いてある。どこの国に、どれくらいの価値があるのか丁寧にな。」
何故?何故女王にそれが渡って?いやそもそも私達商人以外であの書類の存在を知っているなどありえない…!
「なぁ商人達よ、聞いてもいいか?お前達は私に黙ってこんな商売をしていたのか?」
女王の表情がどんどん暗く冷たい顔になり変わる。否定しなければ…だが自分の危険信号が告げている。
もう手遅れなのだと…
「罠だ!そんなもの嘘に決まってる!」
思わず口が開いた、女王の威圧に耐えきれなくなったのか早口で自身の気持ちを吐露する。
「その紙に書かれてあるのが事実なら、商売で得た金はどこにある?その国にも連絡はとったのか?そこに書いていた奴隷達はどこにいる?何もない!証拠もない!それが嘘だという証拠!」
商人の口から荒上げた呼吸だけが闘技場内に響く、その長き数秒が自身の思考を落ち着かせ、ふと我に返り辺りを見渡すと他の商人が青ざめた表情でこちらを見ていた。
「そうか…あくまで嘘だと突き通すか…。」
女王の右眼が紅く染まり出す、彼等は知っていた彼女の右眼に宿る能力を…
(まっ…まずい!あの目は…!)
怪しく光り出す赤い眼で周りの人間を睨みつけ、準備体操するよう手を何度も握り返した。
「では、それが嘘か本当か確かめさせてもらおう。お前達の言うとおりこの話が嘘なのなら、住民達の前で無様に土下座でもなんでもしてやる。だが…これが本当だった場合…わかっているよな?」
皆が女王の裁きに覚悟し一歩も動けないこの状況でただ一人、衛兵を払い除け出口に向かう商人がいた。その人物は頬に湿布を貼っている痛々しい姿をしていた。
「どけっ!邪魔だ!」
周りの衛兵がその声に反応するように商人を捕えようとするが、上着を掴まされそのまま人混みにすり抜けるように出口に走っていった。
女王はその走る商人の姿を横目に見ていたが、気にもせずすぐ正面にいる商人の思考を透視し始めた。
外に繋がる一本道、その中で商人と衛兵達の追跡が行われていた。
息を荒上げながら走る商人の後ろには、殺気詰めた怒号を叫ぶ衛兵達が追いかけていた。
「はぁ…はぁ…!誰が捕まるかよ!」
商人は余裕な笑みを浮かべた、この追跡は勝ったも同然だと確信を得たからだ。
時刻は深夜、外に出れば街灯の灯りも少なく身を潜めやすい場所はいくつもある。
商人は外に出た瞬間、建物の間の隙間に入り込み、より暗い道に向かって足を動かした。
「はぁ…はぁ…ここまで…やっては…来られないだろ…。」
息を切らし薄暗い路地にて膝を抱える商人、彼には周りの音が聞こえず心臓の鼓動だけが体を伝って響いていた。
「っ…!?」
一瞬…誰かに見られている感覚を感じた。
暗く細い一本道の路地、物音も聞こえない空間で徐々に体が神経質になっていく。
いる…何かいる…そう感じてしまうと体は無意識にそれの存在を確かめようとする。
暗闇の先、目を凝らし見続けていると徐々にその輪郭を帯びて見えてきた。
ヒタ…ヒタ…とゆっくりと素足で歩き、膝上まで伸びるボロボロの白いロングシャツ。
ボサボサに顔を隠した髪、その隙間から見える紅く鋭い獣の眼光。
何度も虐げられてきた獣の姿。
「うぁぁぁぁぁぁ!」
身の毛もよだつその姿にすぐさま振り返って走ろうとしたが、獣人の並外れた跳躍力に負け掴まれて倒れてしまう。
「うぁぁ!やめろぉぉ!離せぇぇ!」
もがき、声を荒上げ、精一杯の力で振り解こうとしても、その小さく掴んだ手を離す事は出来ない。
そんな彼の顔に獣人の髪が触れる、声を荒上げる彼に聞こえるようその獣人はかすれた声で耳打ちした。
ねぇ商人さん…
よくも私を…
私達の仲間を…
「いじめていじめていじめて…くれたよねッ!!」
「うわぁぁぁぁァァァァ!」
彼が最後に見たのは、狂気のように口元が三日月状に作り上げた口が目の前に広がる光景だった…。
レズリィの話によると、商人達は女王の威圧に負けて今までの事を全部白状した。だが一人はその場から逃げて今も捜索が続いているそうだ。
そして捕えられた獣人族は、コハクによって3人を救出したようだ。
皆肉体的にも精神的にもボロボロだったらしく泣いてそのまま動けない者もいれば、気が動転して夜の街に飛び出した者もいたそうだ。
俺はルーナ城のあるべき姿を取り戻した事にやり遂げた感が滲み出た。
「良かった…これでもう奴隷の密売に恐れる事なく平和に過ごせるな。」
そう言った俺の隣で少し浮かない表情をしたレズリィが口を開いた。
「クロムさん…私は間違っているのでしょうか?」
「レズリィ?」
「あの時…商人達があの悪魔を求めようとせがまれているのを見て、心が痛いと感じたんです。」
レズリィは着ている修道服を握りしめ自身の言いようのない主張を語り出した。
「魔物であっても生きている者に惨い事はさせられない…私の言いたかった事はそうじゃないんです。私は、人間であっても魔物であってもああいう考えをしてほしくないって伝えたかった。」
悩み…自分の正しさとは一体何なのか、神官として命の恵みを大事にする役職として自分の行いに迷いを感じていた。
「やっぱり魔物は…報いを受けるために同じ苦しみを味わなければならないのでしょうか…?」
その質問に俺は、少し唸りながらベッドに倒れた。そして天井に手を伸ばしながらその質問に俺なりの回答をした。
「人間は誰しも自分の価値観を持ってるんだ、魔物を倒す、魔物と友達になりたい、魔物を救いたい、人それぞれだからこそ仲違いや言い争いが起こる。」
伸ばした腕を横に倒すと、ちょうど座っているレズリィの太ももに当たった。
レズリィは俺の手を優しく拾い上げながら話の続きを聞いた。
「仕方ないさ…人間だもの。皆同じ価値観を持ってたら、そんなの何も考えられない駄目人間と一緒さ。」
俺は微笑みながらレズリィの顔を伺った、自分の気持ちを聞いてくれたのか、先程よりも穏やかな表情になっていた。
「だからこそ、レズリィがとったあの行動は人として正しい選択をした。俺はそう思ってる。」
「ありがとうございます…クロムさん。」
日の光が差し込む穏やかな朝、二人きりの空間が俺とレズリィの仲を徐々に引き寄せ合う気持ちにさせる。
そんな空間に横槍を入れるよう部屋の扉が音を鳴らして開いた。
「レズリィ様、朝食を持ってきました。」
(…?何だか聞き覚えのある声が聞こえたような…)
つい最近どこかで、いやもっと声色が穏やかじゃなかったような…。そう考えながら体を起こすと、目の前にいたのはアルノアのようなフード付きのローブを纏ったセーレの姿があった。
俺は彼女と目が合い、軽い挨拶をするよう手を上げながら応えた。
「おっ、セーレじゃん。元気して…ぶべっ!」
セーレは唐突にお盆の上にあったパンを投げた。その軌道は真っ直ぐ俺の口の中にハマり、俺はパンを咥えたままベッドに再び倒れ込んだ。
「馴れ馴れしくセーレって呼ばないでくれるひよこ勇者!その名前で呼んでいいのはご主人様だけ!そうですよね~レズリィ様~。」
当たりが強い表情から一変、レズリィの腕を絡みつき頬を擦り寄せながら媚びるセーレの姿があった。
レズリィは困った表情と恥ずかしさを表に出しながらセーレに今の状況を伺った。
「あっ、あの…まさかまた脱獄したんですか?」
「だって…レズリィ様に変な虫がつかないか心配だったんですから。そしたら大正解、まさか一番危険な虫と一緒にいたなんて。」
じっとこちらを睨むセーレに対し、状況が飲み込めず口にしたパンを無理やり喉に押し込み、俺はレズリィに何故そうなったのか質問した。
「うぇぇ…れっ…レズリィ…これどういう状況?」
「それが…」
ーー契約決闘終了後
テレサ女王の思考透視により商人達の奴隷密売の真相が公にされ、周りにいた衛兵達に商人達は連行された。
同時期にアルノアも闘技場に到着し、連行中の商人達を見て作戦の成功に喜んで舞台上に走って向かった。
「テレサ女王!うまくいったんですね。」
「商人の仕事場にも、私の息がかかった衛兵を向かわせた。お前達の働きのおかげで全ては上手くいったようだ。」
女王はアルノアと作戦の成果について語っていた、アルノアが仕事場で何人のも雇い兵を魔法で倒した事や、女王が複数の兵達を氷結魔法で拘束した事など魔法の話題で持ちきりだった。
「お二人共…なんだか似てますね。どちらが凄いのか自慢してるみたいです。」
まるで子供が勝ち負けを言い合っているような二人の姿を見て少しだけ緊張感が緩んだレズリィ。
だがその緩んだ緊張感が裏目に出たのか、背後から近づいてくるセーレの存在に気づかなかった。
「きゃぁ!」
ぐいっと背中を掴まれ、体が後ろに倒れた。そして抵抗する間もなくセーレに羽交い締めにされてしまった。
「レズリィ!」
レズリィの叫び声に気づいたのか、アルノアが彼女の方に顔を振ると拘束しているセーレの存在に気づき、すぐさま魔法陣を展開し攻撃を仕掛けようとしたが…
(くそっ!このままじゃレズリィに当たる…!)
今アルノアが所持している魔法ではレズリィの背後に密着しているセーレに攻撃する事は出来ず、何も出来ないもどかしさに構えた手が震える。
「待て…。」
突然、女王はアルノアの構えた腕を下ろし攻撃中止を告げた。
「なんで止めるんですかテレサ女王!早くしないとレズリィが!」
アルノアの反論も届かず女王の手はアルノアの目の前をせき止めていた。
「うっ…離し…て…!」
もがいてもセーレの人間離れした力にはなす術なく、レズリィは抵抗する声をあげる事しか出来ない。
後ろから聞こえる獣のような息づかいに、レズリィの心はみるみる恐怖に染まっていった。
「レェェズゥゥリィィィ…」
痰を絡むよう呻きながら、レズリィの耳元に近づいてくるセーレ。自身の身の危険を感じ目を閉じたその時…
ギュゥゥ!
羽交い締めにしていた腕は胸部に回り、抱きつくように密着した。
「…レズリィ様ーーー!」
レズリィの背後から聞いたこともない明るい声が聞こえた。そしてその声の主は媚びるようにレズリィの背中に顔を擦り付け、自身の気持ちを露わにした。
「嬉しかったです、あんな下劣な人間達から私を守ってくれた事に!」
「えっ…えっ?」
セーレは頬を赤らめながら、レズリィが商人達からセーレを庇ってくれた事に感謝を述べた。
逆にレズリィは、突然の出来事で鳩に豆鉄砲をくらったような表情をして固まってしまった。
「私!一生あなたについていきます!レズリィ様ー!」
「えっ…えぇぇぇぇぇぇ!」
紛れもなく本心で言っているのだろう、あなたについていく…すなわち主従関係がここに結ばれた事にレズリィは困惑な叫びをあげた。
「なんだ…どうなってるんだこれ?あいつの策略か?」
アルノアは子供のように戯れつく二人を理解できないという表情で眺めながら佇んでいた。
「いや、あれは本心だ。あいつの脳内に私達を始末するという思想はない、心の底からあの神官に服従している。」
女王は思考透視の能力を使い、セーレの脳内を覗いた答えを話した。
その意外な答えにアルノアはセーレに敵意を見せなくなったが、逆に憎んでいた相手が仲間に媚びた声を出しながら体をうねうねし続ける姿を見て、頭を抱えた。
「なんか複雑な気分なんだが、倒すべき悪魔族があんなにベタベタ触れて媚び売ってるなんて…」
「これが契約決闘の敗者の末路か…魂を使役するという力がこれほどとは…なんとも悪魔染みた遊戯だ。」
「あの!見ていないで…助け!この人を離すのを手伝ってください!」
ーー現在
「という事があって…一応敵同士なので危害を加えぬよう牢獄に閉じ込めていたのですが…。」
「あんなの閉じ込めた事に入んないですよ、私のスキルがあれば皆勝手に開けてくれますから。」
「あの…衛兵さん達に危害とか加えていませんよね?」
微笑んだ表情でレズリィの背中に抱きついているセーレ、その笑みとは真逆の行為を平然と話す彼女を見るとやっぱり悪魔なんだと二人は感じとった。
グゥゥゥ…
微笑ましい空間に水を指すように、俺の腹の虫がなり始めた。
「ああ…食い物を腹に入れたら余計に腹が減ってきた。」
「でしたらセーレさんが持ってきた朝食を…」
「それはダメです!これはレズリィ様のために取ってきた朝食ですよ!」
セーレは飛び起き、持ってきた朝食のお盆を手で隠して触らせないようにしている。
「私の朝食なら自分で取ってきますし、それにクロムさんはお疲れでしょうから。」
「というか、さっきお前が投げたパン俺が食べちゃったし、まさか中途半端な朝食をご主人に渡そうっていうのか?」
「っ…!?」
セーレの中で二つの感情が入り混じっていた。レズリィに朝食を渡せず、挙句自分でそれを勇者に投げつけてしまった不覚。私より弱い人物である勇者に、筋の通った忠告を告げられた屈辱。
別に気にしていないという素ぶりを見せるレズリィだが、セーレは顔を下げて「うぅぅ…!」と唸り声をあげながらプルプルと小刻み震えていた。
「フゥゥゥ…。」
震えご止まったと思いきや、もう何もかも吹っ切れたようにセーレは天を見上げ生気が抜けるようなため息をついた。
「おっ…おい…大丈夫か?悪かったって、そこまで苦しむとは思わなかった。」
俺は頭をかきながら、申し訳なく自分が話した事を謝った。
「わかりました、疲れてるでしょうから特別に朝食を持ってきたという事にしましょう。」
「えっ?」
返ってきた意外な答えに俺は少し驚き声をあげてしまった。
セーレはさっきまでの悔しさ溢れるような眉をひそめた表情から一変、何の感情もなく、知らない人に奉仕するかのような立ち振る舞いで俺に朝食を渡してきた。
そう…気持ちがこもっていないのだ。
「はい、スープ。」
セーレはベッドの隣にある机の上に、お盆にのっていたスープを差し出した。
だがそのスープをよく見るとボウルの縁を掴んでおり、彼女の親指がスープの中に入っていた。
「入ってる!指入ってる!」
「何よ、文句あるなら食べなくてもいいのよ。」
明らかな嫌がらせ行為に俺は声をあげて注意したが、セーレはそんな注意に気にも止めず、続いておかずである卵焼きを握りしめスクランブルエッグ状に潰して差し出した。
「はい、温かいうちにどうぞ。」
皮肉を込めた提供に満足したのか、手についた卵焼きを舐めながらニヤけていた。
「セーレさん!やり過ぎです!すぐに取り替えますので…。」
レズリィは慌ててセーレが提供したスープとおかずを片付けようと手を伸ばすが、俺が先にスープに手を出し、一口啜った。
「ああ!クロムさん!」
「なっ…!?」
顔色一つ変えずスープを飲む俺の姿に二人は目を見開いた。
普通の人間なら怒るだろう、人の指の入ったスープなど汚なくて飲めやしない。それを物言わずスープを飲む俺の姿にレズリィは想像した。
(まさか…食べ物を粗末にしないように無理して…)
スープをテーブルに置いた俺は、二人に向けて満面の笑みを浮かべた。
「下げなくていい…我々オタクにとってはご褒美だ!」
意外な答えが返り、二人は時間が止まったかのように固まってしまった。
そんな冷めた空間に色を入れるよう、セーレはテーブルに置いてあったスープを俺にぶっかけた。
アチィィィィィ!と断末魔のような叫びが響いたことにより、窓の外にいた鳥達が羽ばたいて飛んでいった。
氷のように冷たい声色に、全ての人を見下すように睨む目がその場で動く人々を静止させた。
パチン!
誰もがこちらに顔を向けて話を聞く姿勢になったのを確認したのか、女王は指を鳴らし舞台上で凍った兵達の足を元に戻し、命令した。
「お前達その二人を解放しろ。」
「お言葉ですが女王様、この者達は私達人間の…」
「聞こえなかったか?二人を解放しろ。」
兵達の言葉に耳を傾けず、同じ内容を二度繰り返す。
その話し方は誰もがその先に待っているものが何であるか分からせるには十分すぎるほどの覇気があった。
兵達は沈黙を貫き通したままレズリィとセーレの拘束具を外し、緊迫感が漂う舞台上から1秒でも早く逃げるように舞台から降りていった。
「何故女王様がここに?あなたは街の復興のために修復を担っていたのでは?」
商人の一人が震える声で女王に質問した。
商人がこう告げるのは理由がある、女王は商人達をこの闘技場に呼び寄せるためある嘘をついた。
この戦いは全てルカラン王国の勇者に任せている、私は街の復興に尽力するからこの戦いには一切手出しはしないと。
「たしかに私はお前達にこの戦いには手出ししないと告げた。だが解釈違いにもほどがある、勝負を終えれば戦いとはもう無関係な状態になる。私が介入しても全く問題はないはずだ。」
その話に商人の一人が女王に疑問をぶつけた。
「ですか女王、あなたは不自然なくらいにタイミングが良すぎます。まさか、最初から見ていたんですか?」
レズリィとセーレの拘束、商人の言葉を復唱した会話、どう考えても即断で行動できるものじゃない。
その疑問に食いつくように商人達は話を合わせてきた、約束を違えるのか?ここの戦いには一切介入しないんじゃないのか?と自分達の都合のいい部分だけをぶつけ、その場を切り抜けようとしていた。
だが女王はフッと鼻で笑い、商人達の当たりに動じず自分の主張を告げた。
「お前達…そんな反論をする前に私に言わなければならない事があるんじゃないのか?」
その言葉に商人達は静かになり、女王のドレスの胸元から取り出される紙束を目を見開きながら見ていた。
「さっき匿名の冒険者がこの紙を女王に渡してくれと危機迫る表情で渡してきた、何事かと思い中身を見たら驚いたよ。」
嫌な汗が流れ始めた、あるはずがない…今ここに「あれ」があるはずが…
「この紙には、お前達が秘密裏に売り捌いていた奴隷達の名前が書いてある。どこの国に、どれくらいの価値があるのか丁寧にな。」
何故?何故女王にそれが渡って?いやそもそも私達商人以外であの書類の存在を知っているなどありえない…!
「なぁ商人達よ、聞いてもいいか?お前達は私に黙ってこんな商売をしていたのか?」
女王の表情がどんどん暗く冷たい顔になり変わる。否定しなければ…だが自分の危険信号が告げている。
もう手遅れなのだと…
「罠だ!そんなもの嘘に決まってる!」
思わず口が開いた、女王の威圧に耐えきれなくなったのか早口で自身の気持ちを吐露する。
「その紙に書かれてあるのが事実なら、商売で得た金はどこにある?その国にも連絡はとったのか?そこに書いていた奴隷達はどこにいる?何もない!証拠もない!それが嘘だという証拠!」
商人の口から荒上げた呼吸だけが闘技場内に響く、その長き数秒が自身の思考を落ち着かせ、ふと我に返り辺りを見渡すと他の商人が青ざめた表情でこちらを見ていた。
「そうか…あくまで嘘だと突き通すか…。」
女王の右眼が紅く染まり出す、彼等は知っていた彼女の右眼に宿る能力を…
(まっ…まずい!あの目は…!)
怪しく光り出す赤い眼で周りの人間を睨みつけ、準備体操するよう手を何度も握り返した。
「では、それが嘘か本当か確かめさせてもらおう。お前達の言うとおりこの話が嘘なのなら、住民達の前で無様に土下座でもなんでもしてやる。だが…これが本当だった場合…わかっているよな?」
皆が女王の裁きに覚悟し一歩も動けないこの状況でただ一人、衛兵を払い除け出口に向かう商人がいた。その人物は頬に湿布を貼っている痛々しい姿をしていた。
「どけっ!邪魔だ!」
周りの衛兵がその声に反応するように商人を捕えようとするが、上着を掴まされそのまま人混みにすり抜けるように出口に走っていった。
女王はその走る商人の姿を横目に見ていたが、気にもせずすぐ正面にいる商人の思考を透視し始めた。
外に繋がる一本道、その中で商人と衛兵達の追跡が行われていた。
息を荒上げながら走る商人の後ろには、殺気詰めた怒号を叫ぶ衛兵達が追いかけていた。
「はぁ…はぁ…!誰が捕まるかよ!」
商人は余裕な笑みを浮かべた、この追跡は勝ったも同然だと確信を得たからだ。
時刻は深夜、外に出れば街灯の灯りも少なく身を潜めやすい場所はいくつもある。
商人は外に出た瞬間、建物の間の隙間に入り込み、より暗い道に向かって足を動かした。
「はぁ…はぁ…ここまで…やっては…来られないだろ…。」
息を切らし薄暗い路地にて膝を抱える商人、彼には周りの音が聞こえず心臓の鼓動だけが体を伝って響いていた。
「っ…!?」
一瞬…誰かに見られている感覚を感じた。
暗く細い一本道の路地、物音も聞こえない空間で徐々に体が神経質になっていく。
いる…何かいる…そう感じてしまうと体は無意識にそれの存在を確かめようとする。
暗闇の先、目を凝らし見続けていると徐々にその輪郭を帯びて見えてきた。
ヒタ…ヒタ…とゆっくりと素足で歩き、膝上まで伸びるボロボロの白いロングシャツ。
ボサボサに顔を隠した髪、その隙間から見える紅く鋭い獣の眼光。
何度も虐げられてきた獣の姿。
「うぁぁぁぁぁぁ!」
身の毛もよだつその姿にすぐさま振り返って走ろうとしたが、獣人の並外れた跳躍力に負け掴まれて倒れてしまう。
「うぁぁ!やめろぉぉ!離せぇぇ!」
もがき、声を荒上げ、精一杯の力で振り解こうとしても、その小さく掴んだ手を離す事は出来ない。
そんな彼の顔に獣人の髪が触れる、声を荒上げる彼に聞こえるようその獣人はかすれた声で耳打ちした。
ねぇ商人さん…
よくも私を…
私達の仲間を…
「いじめていじめていじめて…くれたよねッ!!」
「うわぁぁぁぁァァァァ!」
彼が最後に見たのは、狂気のように口元が三日月状に作り上げた口が目の前に広がる光景だった…。
レズリィの話によると、商人達は女王の威圧に負けて今までの事を全部白状した。だが一人はその場から逃げて今も捜索が続いているそうだ。
そして捕えられた獣人族は、コハクによって3人を救出したようだ。
皆肉体的にも精神的にもボロボロだったらしく泣いてそのまま動けない者もいれば、気が動転して夜の街に飛び出した者もいたそうだ。
俺はルーナ城のあるべき姿を取り戻した事にやり遂げた感が滲み出た。
「良かった…これでもう奴隷の密売に恐れる事なく平和に過ごせるな。」
そう言った俺の隣で少し浮かない表情をしたレズリィが口を開いた。
「クロムさん…私は間違っているのでしょうか?」
「レズリィ?」
「あの時…商人達があの悪魔を求めようとせがまれているのを見て、心が痛いと感じたんです。」
レズリィは着ている修道服を握りしめ自身の言いようのない主張を語り出した。
「魔物であっても生きている者に惨い事はさせられない…私の言いたかった事はそうじゃないんです。私は、人間であっても魔物であってもああいう考えをしてほしくないって伝えたかった。」
悩み…自分の正しさとは一体何なのか、神官として命の恵みを大事にする役職として自分の行いに迷いを感じていた。
「やっぱり魔物は…報いを受けるために同じ苦しみを味わなければならないのでしょうか…?」
その質問に俺は、少し唸りながらベッドに倒れた。そして天井に手を伸ばしながらその質問に俺なりの回答をした。
「人間は誰しも自分の価値観を持ってるんだ、魔物を倒す、魔物と友達になりたい、魔物を救いたい、人それぞれだからこそ仲違いや言い争いが起こる。」
伸ばした腕を横に倒すと、ちょうど座っているレズリィの太ももに当たった。
レズリィは俺の手を優しく拾い上げながら話の続きを聞いた。
「仕方ないさ…人間だもの。皆同じ価値観を持ってたら、そんなの何も考えられない駄目人間と一緒さ。」
俺は微笑みながらレズリィの顔を伺った、自分の気持ちを聞いてくれたのか、先程よりも穏やかな表情になっていた。
「だからこそ、レズリィがとったあの行動は人として正しい選択をした。俺はそう思ってる。」
「ありがとうございます…クロムさん。」
日の光が差し込む穏やかな朝、二人きりの空間が俺とレズリィの仲を徐々に引き寄せ合う気持ちにさせる。
そんな空間に横槍を入れるよう部屋の扉が音を鳴らして開いた。
「レズリィ様、朝食を持ってきました。」
(…?何だか聞き覚えのある声が聞こえたような…)
つい最近どこかで、いやもっと声色が穏やかじゃなかったような…。そう考えながら体を起こすと、目の前にいたのはアルノアのようなフード付きのローブを纏ったセーレの姿があった。
俺は彼女と目が合い、軽い挨拶をするよう手を上げながら応えた。
「おっ、セーレじゃん。元気して…ぶべっ!」
セーレは唐突にお盆の上にあったパンを投げた。その軌道は真っ直ぐ俺の口の中にハマり、俺はパンを咥えたままベッドに再び倒れ込んだ。
「馴れ馴れしくセーレって呼ばないでくれるひよこ勇者!その名前で呼んでいいのはご主人様だけ!そうですよね~レズリィ様~。」
当たりが強い表情から一変、レズリィの腕を絡みつき頬を擦り寄せながら媚びるセーレの姿があった。
レズリィは困った表情と恥ずかしさを表に出しながらセーレに今の状況を伺った。
「あっ、あの…まさかまた脱獄したんですか?」
「だって…レズリィ様に変な虫がつかないか心配だったんですから。そしたら大正解、まさか一番危険な虫と一緒にいたなんて。」
じっとこちらを睨むセーレに対し、状況が飲み込めず口にしたパンを無理やり喉に押し込み、俺はレズリィに何故そうなったのか質問した。
「うぇぇ…れっ…レズリィ…これどういう状況?」
「それが…」
ーー契約決闘終了後
テレサ女王の思考透視により商人達の奴隷密売の真相が公にされ、周りにいた衛兵達に商人達は連行された。
同時期にアルノアも闘技場に到着し、連行中の商人達を見て作戦の成功に喜んで舞台上に走って向かった。
「テレサ女王!うまくいったんですね。」
「商人の仕事場にも、私の息がかかった衛兵を向かわせた。お前達の働きのおかげで全ては上手くいったようだ。」
女王はアルノアと作戦の成果について語っていた、アルノアが仕事場で何人のも雇い兵を魔法で倒した事や、女王が複数の兵達を氷結魔法で拘束した事など魔法の話題で持ちきりだった。
「お二人共…なんだか似てますね。どちらが凄いのか自慢してるみたいです。」
まるで子供が勝ち負けを言い合っているような二人の姿を見て少しだけ緊張感が緩んだレズリィ。
だがその緩んだ緊張感が裏目に出たのか、背後から近づいてくるセーレの存在に気づかなかった。
「きゃぁ!」
ぐいっと背中を掴まれ、体が後ろに倒れた。そして抵抗する間もなくセーレに羽交い締めにされてしまった。
「レズリィ!」
レズリィの叫び声に気づいたのか、アルノアが彼女の方に顔を振ると拘束しているセーレの存在に気づき、すぐさま魔法陣を展開し攻撃を仕掛けようとしたが…
(くそっ!このままじゃレズリィに当たる…!)
今アルノアが所持している魔法ではレズリィの背後に密着しているセーレに攻撃する事は出来ず、何も出来ないもどかしさに構えた手が震える。
「待て…。」
突然、女王はアルノアの構えた腕を下ろし攻撃中止を告げた。
「なんで止めるんですかテレサ女王!早くしないとレズリィが!」
アルノアの反論も届かず女王の手はアルノアの目の前をせき止めていた。
「うっ…離し…て…!」
もがいてもセーレの人間離れした力にはなす術なく、レズリィは抵抗する声をあげる事しか出来ない。
後ろから聞こえる獣のような息づかいに、レズリィの心はみるみる恐怖に染まっていった。
「レェェズゥゥリィィィ…」
痰を絡むよう呻きながら、レズリィの耳元に近づいてくるセーレ。自身の身の危険を感じ目を閉じたその時…
ギュゥゥ!
羽交い締めにしていた腕は胸部に回り、抱きつくように密着した。
「…レズリィ様ーーー!」
レズリィの背後から聞いたこともない明るい声が聞こえた。そしてその声の主は媚びるようにレズリィの背中に顔を擦り付け、自身の気持ちを露わにした。
「嬉しかったです、あんな下劣な人間達から私を守ってくれた事に!」
「えっ…えっ?」
セーレは頬を赤らめながら、レズリィが商人達からセーレを庇ってくれた事に感謝を述べた。
逆にレズリィは、突然の出来事で鳩に豆鉄砲をくらったような表情をして固まってしまった。
「私!一生あなたについていきます!レズリィ様ー!」
「えっ…えぇぇぇぇぇぇ!」
紛れもなく本心で言っているのだろう、あなたについていく…すなわち主従関係がここに結ばれた事にレズリィは困惑な叫びをあげた。
「なんだ…どうなってるんだこれ?あいつの策略か?」
アルノアは子供のように戯れつく二人を理解できないという表情で眺めながら佇んでいた。
「いや、あれは本心だ。あいつの脳内に私達を始末するという思想はない、心の底からあの神官に服従している。」
女王は思考透視の能力を使い、セーレの脳内を覗いた答えを話した。
その意外な答えにアルノアはセーレに敵意を見せなくなったが、逆に憎んでいた相手が仲間に媚びた声を出しながら体をうねうねし続ける姿を見て、頭を抱えた。
「なんか複雑な気分なんだが、倒すべき悪魔族があんなにベタベタ触れて媚び売ってるなんて…」
「これが契約決闘の敗者の末路か…魂を使役するという力がこれほどとは…なんとも悪魔染みた遊戯だ。」
「あの!見ていないで…助け!この人を離すのを手伝ってください!」
ーー現在
「という事があって…一応敵同士なので危害を加えぬよう牢獄に閉じ込めていたのですが…。」
「あんなの閉じ込めた事に入んないですよ、私のスキルがあれば皆勝手に開けてくれますから。」
「あの…衛兵さん達に危害とか加えていませんよね?」
微笑んだ表情でレズリィの背中に抱きついているセーレ、その笑みとは真逆の行為を平然と話す彼女を見るとやっぱり悪魔なんだと二人は感じとった。
グゥゥゥ…
微笑ましい空間に水を指すように、俺の腹の虫がなり始めた。
「ああ…食い物を腹に入れたら余計に腹が減ってきた。」
「でしたらセーレさんが持ってきた朝食を…」
「それはダメです!これはレズリィ様のために取ってきた朝食ですよ!」
セーレは飛び起き、持ってきた朝食のお盆を手で隠して触らせないようにしている。
「私の朝食なら自分で取ってきますし、それにクロムさんはお疲れでしょうから。」
「というか、さっきお前が投げたパン俺が食べちゃったし、まさか中途半端な朝食をご主人に渡そうっていうのか?」
「っ…!?」
セーレの中で二つの感情が入り混じっていた。レズリィに朝食を渡せず、挙句自分でそれを勇者に投げつけてしまった不覚。私より弱い人物である勇者に、筋の通った忠告を告げられた屈辱。
別に気にしていないという素ぶりを見せるレズリィだが、セーレは顔を下げて「うぅぅ…!」と唸り声をあげながらプルプルと小刻み震えていた。
「フゥゥゥ…。」
震えご止まったと思いきや、もう何もかも吹っ切れたようにセーレは天を見上げ生気が抜けるようなため息をついた。
「おっ…おい…大丈夫か?悪かったって、そこまで苦しむとは思わなかった。」
俺は頭をかきながら、申し訳なく自分が話した事を謝った。
「わかりました、疲れてるでしょうから特別に朝食を持ってきたという事にしましょう。」
「えっ?」
返ってきた意外な答えに俺は少し驚き声をあげてしまった。
セーレはさっきまでの悔しさ溢れるような眉をひそめた表情から一変、何の感情もなく、知らない人に奉仕するかのような立ち振る舞いで俺に朝食を渡してきた。
そう…気持ちがこもっていないのだ。
「はい、スープ。」
セーレはベッドの隣にある机の上に、お盆にのっていたスープを差し出した。
だがそのスープをよく見るとボウルの縁を掴んでおり、彼女の親指がスープの中に入っていた。
「入ってる!指入ってる!」
「何よ、文句あるなら食べなくてもいいのよ。」
明らかな嫌がらせ行為に俺は声をあげて注意したが、セーレはそんな注意に気にも止めず、続いておかずである卵焼きを握りしめスクランブルエッグ状に潰して差し出した。
「はい、温かいうちにどうぞ。」
皮肉を込めた提供に満足したのか、手についた卵焼きを舐めながらニヤけていた。
「セーレさん!やり過ぎです!すぐに取り替えますので…。」
レズリィは慌ててセーレが提供したスープとおかずを片付けようと手を伸ばすが、俺が先にスープに手を出し、一口啜った。
「ああ!クロムさん!」
「なっ…!?」
顔色一つ変えずスープを飲む俺の姿に二人は目を見開いた。
普通の人間なら怒るだろう、人の指の入ったスープなど汚なくて飲めやしない。それを物言わずスープを飲む俺の姿にレズリィは想像した。
(まさか…食べ物を粗末にしないように無理して…)
スープをテーブルに置いた俺は、二人に向けて満面の笑みを浮かべた。
「下げなくていい…我々オタクにとってはご褒美だ!」
意外な答えが返り、二人は時間が止まったかのように固まってしまった。
そんな冷めた空間に色を入れるよう、セーレはテーブルに置いてあったスープを俺にぶっかけた。
アチィィィィィ!と断末魔のような叫びが響いたことにより、窓の外にいた鳥達が羽ばたいて飛んでいった。
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