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旅立ち編
第十話 契約決闘
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ルーナ城地下牢獄、俺の会話を後ろから耳にしている衛兵が反応し動揺している。
「えっ?えっ?今あの人なんて言ったんですか?悪魔を仲間にするなんて出来っこありませんよ!」
さっきまで挙動不審だった彼だが、今の話に困惑したのか女王に自身の主張を語るかのように話だした。
「そうでもしないと帝国の情報は手に入らないのさ。」
女王は衛兵の反応を見ずに壁に背をつけて佇んでいた。クロムの話を聞き、パーティーも同じ反応をしたため新鮮味もなく無表情な声色で衛兵に説明した。
「奴らはああやって自由に行動しているが、実際は自身のボスにあたる人物にこき使われているだけにすぎない。いわば、私とお前達のような立場だな。」
「はっ…はぁ…。」
「だから、奴とそのボスにあたる繋がりがある以上、裏切る事など決して出来ない。それが使役というものだ。」
衛兵もその説明に充分納得していた、もし自分が捕虜の状態だったら国のために裏切る事など決してしない。例えどんな拷問…その単語が思いついた瞬間寒気がした、おそらく耐えられないだろう。
だからといって敵側に寝返ってしまえば自国の者に粛正されてお終いだ。
「だったら尚更無理ですよ、仲間にしたいだなんてそれこそ最大の裏切りじゃないですか!?」
女王はため息を吐きながら衛兵が述べた話に補足を入れた。
「まだ分からないか?あいつが言う仲間になれと言うのは、奴が持つ使役権を勇者に譲渡するという事だ。」
女王が衛兵にわかりやすく説明している中、俺とセーレの間では沈黙の睨み合いが続いていた。
だが徐々にセーレの表情が余裕のある笑みへと変わっていき、ついには沈黙を破る笑い声が牢獄中に響き渡った。
「ははっ…アハハハハハ!可笑しいわ!馬鹿でしょお前!私を仲間にしたいって?私は死んでも嫌だね!!」
面白可笑しく笑っていた彼女だが、話が進むにつれて殺気がこもった怒気に変わっていった。彼女が放つ殺気は捕まっていても喉元にナイフを突きつけられるような錯覚を思わせた。
「何故私がお前らのような弱者の下に就かなきゃならないんだ!情報欲しさの人間のためにヘラ様を裏切れだと?舐めるのもいい加減にしてほしいな。」
誰しもそう思うだろう、自身の組織を裏切ることなど決してしない。
だがこの世界ではそんな当たり前が通用しない、魔法で出来なかった事が出来るように、人を簡単に手駒にさせてしまう非道な事をすることだって出来てしまう。
俺はセーレの殺気をものともせずに少し鼻で笑い、懐から紙とナイフを取り出した。
「悪魔がそんな人間味な事を言うなんてな、お前らが一番よく知ってるだろ?嫌がってる奴を強制的に仲間する方法を。」
「お前…正気なの?」
セーレは知っている…クロムが言い出した方法を、彼が持っている白紙の紙とナイフがどういう意味をもつのか。
悪魔族が人々に害を与える理由、その大部分は人間達の絶望する表情に興奮するという話がある。
特にその中でも人間達を希望から絶望にたたき落とす遊戯が悪魔族の中で流行っている。
それは、自分と相手のどちらかを奴隷にさせるという賭け勝負、契約決闘【エンゲージバトル】というものだ。
人間が悪魔に勝てば悪魔を自由に使役することが出来るという支配欲に駆られ、この賭け勝負に挑戦したいと志願する者もいれば、悪魔側から提案しその勝負にのる者もいたが、誰一人として人間が契約決闘に勝利したという話は聞かない。
悪魔はこれを狙っていた。契約決闘は悪魔にとって絶対に勝てる勝負、負けた人間が泣きつきながら救済を懇願する表情を見れるだけの、悪魔の悪魔による悪魔のための快楽遊戯なのだ。
そんな契約決闘の内容を知っていてかつ、自らこの決闘に提案する彼を見てセーレは少しばかり鳥肌が立った。
「お前と契約決闘しよう、お互いの人生を賭けてさぁ!」
「馬鹿を通り越して逆に怖いんだけど、お前、自分が何を言っているのかわかっているの?」
クロムは無意識に疑問を浮かべるよう首を傾げた、そんな素振りを見てセーレは詳しく説明した。
「契約決闘ってね、両者が戦い、負けた奴は一生奴隷として扱われるんだよ。お前の言う通り自分の人生がかかってる、そんなリスクを負う覚悟があるっていうこと?」
「もとより命張って旅してんだ、ここぞという時自分の命も賭けられなかったら意味ないだろ。」
「んーすごい覚悟だね…でも私はその戦いにのらないわ。」
顔を横に振りながら俺の話に否定的な態度をとった。俺は彼女を煽るように決闘をしない理由を聞きだす。
「逃げるのか?」
「逃げる?違うわ、やる意味が無いって言ってるの。見ただけでわかる、お前かなり弱いでしょ。」
「見ただけで分かるのかよ。」
すんなり弱いと言われてしまい少しばかり顔を歪めた。アルノアにも言われたが俺ってそんなに強者の風格がないのだろうか?
「ええ、何も知らずに旅を始めた奴って感じかしら?そんな奴を奴隷にしたところで私には何の利益もない、戦闘で捨て駒に使うくらいしかお前は能がないのよ。」
弱いだけあって扱い方も酷すぎる、俺を表面しか判断していない事に少し怒りを含んだ笑みを浮かべながら反論した。
「言ってくれるじゃん、じゃあ俺がお前達が欲しがっている情報を持っているとしたらどうだ?例えば、幻と言われている妖精の国の場所とか、無限のエネルギーを所持している命機【メカ】族の秘密とか。」
「嘘言ってんじゃないわよ、そんな戯言いくらでも吐けるわ。」
この世界でもトップシークレットとも言える情報を軽はずみに話したせいか逆に怪しまれてしまった。
考えれば当然だ、この状況でそんな事を話せば苦し紛れの妄言にしか聞こえない。
あまり言いたくなかったが、セーレに俺の情報は確かだと信じさせるためには帝国が隠してる情報を言うしかない。
「ベリス…ベアル…ザレオス…シトリー…そしてセーレ。」
「っ…!?」
俺はセーレに聞こえるくらいの声量である単語を口にした。
顔を背けていたセーレも、俺の話に反応を示した。
「お前は魔導兵器の強奪、シトリーは病魔の魔石を回収する任務だったか?ベアルは面倒な仕事をお前らの誰かに押し付けてるみたいだが…」
セーレは目を大きく見開き、背筋が凍るような感覚が体中を巡った。まるで今まで話した事のない秘密が知らない間にバレてしまった時のような焦る気持ちが湧き上がった。
「お前…そんな情報どこから?なんで私達がやろうとしている事を知っている、まさか…帝国内部に裏切り者が!?」
「こうなったら確かめるしかないよな、俺を奴隷にして、俺からその真相を探らないといけなくなったな。」
くっ…と悔しがるような一声が出た。何故こんな弱そうな人間が帝国の情報を知っているのか?何故悪魔が絶対有利な契約決闘をこの人間が勧めてくるのか?
わからない事だらけだが、ひとつ言える事はこの人間はかなり危険な存在だという事。生かしておくわけにはいかない…
「はぁ…私に拒否権は無いってこと、それほどまでに私達の情報が欲しいんだ…。いいよ、お前の挑発にのってあげる。負けたら死ぬまでこき使ってあげるから。」
「上等だ!」
二人はやる気に満ちる表情でお互いを睨みつける。そしてその後、俺は後ろにいる衛兵にセーレを出すよう指示した。
「出すんですか?まさか拘束具も!?」
出したら殺されると思っているのか、少し情けない声で俺に聞き返してきた。
「拘束を解かなきゃ契約出来ないだろ、それに暴れたりしたら俺や女王がいるから心配しなくても…」
「だったら拘束つけたままでいいじゃないですか!なぜそのような危険な事を考えるんですか!?」
困窮の中で叫ぶ衛兵は、セーレを拘束している鍵を握りしめたまま離さない。俺はなんとか衛兵を説得しようとするが、それを見て呆れたため息をついたセーレが口を開いた。
「ピーピーうるさいわよお前、さっさと外してくれないかしら?」
「ばっ、馬鹿を言うな!お前のような…」
衛兵の話が徐々に途切れ始め、挙動不審だった姿も治ってきた。最終的には上から紐で引っ張られるような棒立ち姿となり、無気力な状態へと変貌した。
「あーあー…容赦ねぇなお前。」
俺は衛兵の変わった姿を見て彼女の能力の脅威を軽く述べるように呟いた。
これが彼女の能力「スレイブボイス」。彼女の質疑応答に答えると、彼女よりレベルの低い者達は彼女のいいなりになってしまう。例え発動手段がわかっていても質問も会話である以上無視して進むというのは相当難儀になる。
「牢屋を開けて私を解放しなさい。」
セーレは王がしもべに命令するかのように、冷たい声で衛兵に語りかけた。
すると衛兵は無言のまま檻を開け手慣れた手つきで拘束具の鍵を外していく。マジか…と少し驚きつつ俺は興味を持ちながら衛兵の行動を見ていた。
ガジャン!ジャララ…
身動きを封じていた鎖が落ち、セーレは体のこった部分を鳴らしながら立ち上がった。
「あーあ…体痛った…。よくもまぁ私に変な事させてくれたわね!」
彼女はそう言うと俺に向かって手を伸ばし魔法陣を展開した。だがそれを見越したかのようにテレサ女王は氷結魔法で作った無数の矢ですでに迎撃の準備を完了していた。
二人の攻撃意思が留まる緊張感の中、俺は二人に攻撃は止めるよう手を上げた。何故ならその攻撃の中心に俺が立っているからだ。
「待てよセーレ、変な気は起こすな。俺が死ぬぞ。」
内心焦っているのが顔に出ているのか、セーレはふっ…と笑みを浮かべてだらしなく両手を上げた。
「嘘よ、からかうついでに脅そうとしたら本気にするんだもの、こっちがハラハラするわ。」
「いつ手を出しても構わないぞ、私は仲間を盾にされてもお前を撃てる自信があるからな。」
「と言う事だ。俺ごと貫かれそうだから、死ぬのが嫌なら俺の言う事に従ってくれるか?」
俺は後ろからの殺気に多少怯えながら、セーレにナイフと真っ白な紙を渡すために手を伸ばした。
彼女は紙だけを受け取ると、手から赤色の光が放たれ真っ白な紙に文字がどんどん浮かび上がる。
「いいわ…」という声が聞こえ、自身の口元の牙で指を裂き血を紙に垂らした。
ポタポタッと、2滴程紙の上で血が落ちた後、紙がスポンジのように血を吸い上げ、血痕がついた場所が跡形もなく消し去りその上からセーレの名前が浮かび上がった。
それを見たセーレは、次はあなたの番と言わんばかりに素早く紙を俺に突き出した。
「血の契約って怖いものだよな、口約束や書くものと違って絶対に逃げる事なんて出来ないってよ。」
俺はそう言うと紙を地面に置き、手元のナイフで自身の手のひらを切った。
切った手を握りしめると中から血が搾り出てきて、紙の上を血で汚した。セーレと同様、紙が血を吸い上げ自身の名前が浮かび上がる。
それを確認し、紙を拾い上げ契約書の内容をセーレに伝えた。
「賭けるものは自身の魂、勝利条件は相手の体に奴隷の刻印を打ち込む事。なお、相手を死亡させる、対象者外の奴隷化、契約内での逃亡または投降はペナルティとして自身の敗北となる。この契約は血の交じりを行った瞬間に効果は発揮され、以降勝負の決着がつくまで継続される。対象者は俺、そしてセーレ・アルガルト。間違いないな?」
俺は契約書を再度彼女に見せようとしたが、手で払いのけられてしまった。
「無駄な事しなくていいわよ、お前が言った事とその内容は一文一句間違ってないわ。」
彼女はそう言うと薄気味悪い顔を浮かべながら俺の隣に立ち、耳打ちするかのように呟いた。
「楽しみね、ひよこ勇者の威勢がどこまで続くのか。」
突然の事に俺はぞくっと身震いしてしまった。それを見た彼女はふふっと笑い、操られた衛兵に先導されながらその場を後にした。
女王から「行くぞ」という声がかかりようやく俺は牢獄の出口に向かって歩き始めた。
彼女のあの一声に感情を昂られたのか、俺は口元に手を押さえながらニヤけた顔が見られないようにしていた。
「有料エロだろ…あんなの…。」
と頭で思いながら耳打ちされた瞬間をまた思い出していた。女王に聞かれたら引かれるだろうが、今はそんな事気にしていないくらいの初体験にニヤけが止まらなかった。
ーー契約決闘開始時刻。
女王と大勢の衛兵に案内され、俺とセーレが通されたのは人間同士が争う闘技場。
規模はそこまで広くなく、実質学校の体育館とほぼ一緒な大きさのドーム状の建物だ。なので中央の舞台がメインとして作られたために、観客席は小規模に舞台を囲んでいる。
それもそのはず、集まる観客は戦う冒険者を見たいだけの愉悦者のような者達。まるで表世界から出てしまったような異様な空間が広がっている。
そんな空間には、悪魔と勇者が自身の人生を賭けて戦うという前代未聞な決闘を観戦しようと人が集まっていた。
もちろんほとんど人は一般人を装った衛兵達による偽観客、女王が極秘にここに呼び出した奴隷商人と雇い兵達が怪しまれないようにするための演技である。
「テレサ女王、うまく言ってくれたみたいだな。商人達があれだけ集まればあっちは探しやすくなりそうだ。」
目線の先には最前列でどっしり構えて座っている商人達と、雇い兵だろうか衛兵とは違う制服を着こなし商人を四方から守るよう周りに座っている。
商人のほとんどはこれから始まる戦いを楽しみにしているかのように笑っているが、一人だけ憎悪を込めるよう睨みつけている人物がいた。頬に湿布を貼っており見るからに痛々しい姿をしていた。
俺はそれに気づき「あー…」と自身の行いに反省もない声を出しながら、ワリ、と右手を上げた。それを見た商人は「殺せー!あいつ殺せー!」と物騒なことを喚いている。
「まったく人間ときたら、私達が殺し合うっていうのに安全な場所で愉悦しながら楽しんでるわ。ほんとどっちが悪魔だかわかんないわ。」
「そりゃあ皆珍しいものに興味があるからだろ?だって今からするのは俺達人間にとって勝率0%のデスゲームなんだから。」
「それをわかっていて私に挑もうとするなんて、やっぱりお前イカれてるわ。それとも…私に勝てる策でもあるっていうのかしら?」
俺は余裕の笑みを彼女に見せた、まるで己の敗北など考えていないその様子にセーレは顔をしかめた。
「両方だ…!」
二人は対面するかのように舞台の中央に立ち、戦闘開始の準備をしていた。セーレを見ると体からは禍々しい黒いオーラを発している、街で戦った悪魔とは違う雰囲気…帝国幹部という風格が表れている証拠だ。
「じゃあ、ちゃっちゃと片付けてお前が持ってる秘密を暴いてやろうか。」
俺は剣を抜き、セーレを迎え討つよう体勢を整えたその時…「勇者さん!」と喧騒する闘技場の中で聞こえたことに気づき辺りを見渡した。
「クロ…勇者さん!頑張ってください!」
最前列にレズリィが俺を鼓舞するよう歓声に負けずに必死に声を張り上げていた。
俺はその期待に応えるようレズリィに向かって拳を上げて返事した。
「大丈夫だ!俺は絶対負けねえ!こんな奴なんて俺が…」
ドガッ!
俺の話を遮るかのように鋭い痛みが頬に突き刺さった、セーレが俺の頬に向かって殴ってきたのだ。
突然の出来事でスローで流すかのように顔がゆっくりと変形していくのを感じ、殴られたと感じた時にはもう吹き飛ばされていた。
「ぐぉぉぁぁぁ!」
飛ばされた衝撃で危うく倒れそうになるところをなんとか踏ん張り立つが、頬の痛みで閉じていた目が次に開いた時にはセーレの姿がもう目の前にまで来ていた。
黒いオーラに包まれた右手を振りかぶり、相手を横一振りに叩く「ダークスラッシュ」が俺の胸部にヒットし、また吹き飛ばされる。
彼女は俺に立ち直る余裕を与えまいと、ダッシュで距離を詰め、すかさず魔法陣を展開した。
「氷撃《フロズレイ》!」
彼女の放つ中級氷結魔法が俺の体に直撃し一瞬にして体が凍りついた、今の俺は身動き一つすら出来ない相手の良い的にされてしまった。
そんな致命的な硬直の中で、セーレは一歩また一歩と俺に近づき、握った拳が黒いオーラで見えなくなるほど先程の技より強力な存在が迫ってくる。
「ダークインパクト!」
氷が砕ける音と一緒に黒い閃光を模した突き技が俺の体を撃ち抜き、今まで以上の衝撃で観客席へと吹き飛ばされた。
バキィィィィ!
俺の体は観客がいる場所に投げ出される事なく、手前に展開されていた防御結界に叩きつけられた。
セーレはズルズルと人形のように力無く倒れていく俺の姿を見て、つまらなそうな顔をしながら呆れた声で告げた。
「散々大口叩いておいて、秒殺って恥ずかしくないわけ?雑魚勇者。」
彼女の罵倒を受けてもピクリとも動かない俺の体、観客も呆気にとられた表情で一瞬にして闘技場から音が消えた。
「えっ?えっ?今あの人なんて言ったんですか?悪魔を仲間にするなんて出来っこありませんよ!」
さっきまで挙動不審だった彼だが、今の話に困惑したのか女王に自身の主張を語るかのように話だした。
「そうでもしないと帝国の情報は手に入らないのさ。」
女王は衛兵の反応を見ずに壁に背をつけて佇んでいた。クロムの話を聞き、パーティーも同じ反応をしたため新鮮味もなく無表情な声色で衛兵に説明した。
「奴らはああやって自由に行動しているが、実際は自身のボスにあたる人物にこき使われているだけにすぎない。いわば、私とお前達のような立場だな。」
「はっ…はぁ…。」
「だから、奴とそのボスにあたる繋がりがある以上、裏切る事など決して出来ない。それが使役というものだ。」
衛兵もその説明に充分納得していた、もし自分が捕虜の状態だったら国のために裏切る事など決してしない。例えどんな拷問…その単語が思いついた瞬間寒気がした、おそらく耐えられないだろう。
だからといって敵側に寝返ってしまえば自国の者に粛正されてお終いだ。
「だったら尚更無理ですよ、仲間にしたいだなんてそれこそ最大の裏切りじゃないですか!?」
女王はため息を吐きながら衛兵が述べた話に補足を入れた。
「まだ分からないか?あいつが言う仲間になれと言うのは、奴が持つ使役権を勇者に譲渡するという事だ。」
女王が衛兵にわかりやすく説明している中、俺とセーレの間では沈黙の睨み合いが続いていた。
だが徐々にセーレの表情が余裕のある笑みへと変わっていき、ついには沈黙を破る笑い声が牢獄中に響き渡った。
「ははっ…アハハハハハ!可笑しいわ!馬鹿でしょお前!私を仲間にしたいって?私は死んでも嫌だね!!」
面白可笑しく笑っていた彼女だが、話が進むにつれて殺気がこもった怒気に変わっていった。彼女が放つ殺気は捕まっていても喉元にナイフを突きつけられるような錯覚を思わせた。
「何故私がお前らのような弱者の下に就かなきゃならないんだ!情報欲しさの人間のためにヘラ様を裏切れだと?舐めるのもいい加減にしてほしいな。」
誰しもそう思うだろう、自身の組織を裏切ることなど決してしない。
だがこの世界ではそんな当たり前が通用しない、魔法で出来なかった事が出来るように、人を簡単に手駒にさせてしまう非道な事をすることだって出来てしまう。
俺はセーレの殺気をものともせずに少し鼻で笑い、懐から紙とナイフを取り出した。
「悪魔がそんな人間味な事を言うなんてな、お前らが一番よく知ってるだろ?嫌がってる奴を強制的に仲間する方法を。」
「お前…正気なの?」
セーレは知っている…クロムが言い出した方法を、彼が持っている白紙の紙とナイフがどういう意味をもつのか。
悪魔族が人々に害を与える理由、その大部分は人間達の絶望する表情に興奮するという話がある。
特にその中でも人間達を希望から絶望にたたき落とす遊戯が悪魔族の中で流行っている。
それは、自分と相手のどちらかを奴隷にさせるという賭け勝負、契約決闘【エンゲージバトル】というものだ。
人間が悪魔に勝てば悪魔を自由に使役することが出来るという支配欲に駆られ、この賭け勝負に挑戦したいと志願する者もいれば、悪魔側から提案しその勝負にのる者もいたが、誰一人として人間が契約決闘に勝利したという話は聞かない。
悪魔はこれを狙っていた。契約決闘は悪魔にとって絶対に勝てる勝負、負けた人間が泣きつきながら救済を懇願する表情を見れるだけの、悪魔の悪魔による悪魔のための快楽遊戯なのだ。
そんな契約決闘の内容を知っていてかつ、自らこの決闘に提案する彼を見てセーレは少しばかり鳥肌が立った。
「お前と契約決闘しよう、お互いの人生を賭けてさぁ!」
「馬鹿を通り越して逆に怖いんだけど、お前、自分が何を言っているのかわかっているの?」
クロムは無意識に疑問を浮かべるよう首を傾げた、そんな素振りを見てセーレは詳しく説明した。
「契約決闘ってね、両者が戦い、負けた奴は一生奴隷として扱われるんだよ。お前の言う通り自分の人生がかかってる、そんなリスクを負う覚悟があるっていうこと?」
「もとより命張って旅してんだ、ここぞという時自分の命も賭けられなかったら意味ないだろ。」
「んーすごい覚悟だね…でも私はその戦いにのらないわ。」
顔を横に振りながら俺の話に否定的な態度をとった。俺は彼女を煽るように決闘をしない理由を聞きだす。
「逃げるのか?」
「逃げる?違うわ、やる意味が無いって言ってるの。見ただけでわかる、お前かなり弱いでしょ。」
「見ただけで分かるのかよ。」
すんなり弱いと言われてしまい少しばかり顔を歪めた。アルノアにも言われたが俺ってそんなに強者の風格がないのだろうか?
「ええ、何も知らずに旅を始めた奴って感じかしら?そんな奴を奴隷にしたところで私には何の利益もない、戦闘で捨て駒に使うくらいしかお前は能がないのよ。」
弱いだけあって扱い方も酷すぎる、俺を表面しか判断していない事に少し怒りを含んだ笑みを浮かべながら反論した。
「言ってくれるじゃん、じゃあ俺がお前達が欲しがっている情報を持っているとしたらどうだ?例えば、幻と言われている妖精の国の場所とか、無限のエネルギーを所持している命機【メカ】族の秘密とか。」
「嘘言ってんじゃないわよ、そんな戯言いくらでも吐けるわ。」
この世界でもトップシークレットとも言える情報を軽はずみに話したせいか逆に怪しまれてしまった。
考えれば当然だ、この状況でそんな事を話せば苦し紛れの妄言にしか聞こえない。
あまり言いたくなかったが、セーレに俺の情報は確かだと信じさせるためには帝国が隠してる情報を言うしかない。
「ベリス…ベアル…ザレオス…シトリー…そしてセーレ。」
「っ…!?」
俺はセーレに聞こえるくらいの声量である単語を口にした。
顔を背けていたセーレも、俺の話に反応を示した。
「お前は魔導兵器の強奪、シトリーは病魔の魔石を回収する任務だったか?ベアルは面倒な仕事をお前らの誰かに押し付けてるみたいだが…」
セーレは目を大きく見開き、背筋が凍るような感覚が体中を巡った。まるで今まで話した事のない秘密が知らない間にバレてしまった時のような焦る気持ちが湧き上がった。
「お前…そんな情報どこから?なんで私達がやろうとしている事を知っている、まさか…帝国内部に裏切り者が!?」
「こうなったら確かめるしかないよな、俺を奴隷にして、俺からその真相を探らないといけなくなったな。」
くっ…と悔しがるような一声が出た。何故こんな弱そうな人間が帝国の情報を知っているのか?何故悪魔が絶対有利な契約決闘をこの人間が勧めてくるのか?
わからない事だらけだが、ひとつ言える事はこの人間はかなり危険な存在だという事。生かしておくわけにはいかない…
「はぁ…私に拒否権は無いってこと、それほどまでに私達の情報が欲しいんだ…。いいよ、お前の挑発にのってあげる。負けたら死ぬまでこき使ってあげるから。」
「上等だ!」
二人はやる気に満ちる表情でお互いを睨みつける。そしてその後、俺は後ろにいる衛兵にセーレを出すよう指示した。
「出すんですか?まさか拘束具も!?」
出したら殺されると思っているのか、少し情けない声で俺に聞き返してきた。
「拘束を解かなきゃ契約出来ないだろ、それに暴れたりしたら俺や女王がいるから心配しなくても…」
「だったら拘束つけたままでいいじゃないですか!なぜそのような危険な事を考えるんですか!?」
困窮の中で叫ぶ衛兵は、セーレを拘束している鍵を握りしめたまま離さない。俺はなんとか衛兵を説得しようとするが、それを見て呆れたため息をついたセーレが口を開いた。
「ピーピーうるさいわよお前、さっさと外してくれないかしら?」
「ばっ、馬鹿を言うな!お前のような…」
衛兵の話が徐々に途切れ始め、挙動不審だった姿も治ってきた。最終的には上から紐で引っ張られるような棒立ち姿となり、無気力な状態へと変貌した。
「あーあー…容赦ねぇなお前。」
俺は衛兵の変わった姿を見て彼女の能力の脅威を軽く述べるように呟いた。
これが彼女の能力「スレイブボイス」。彼女の質疑応答に答えると、彼女よりレベルの低い者達は彼女のいいなりになってしまう。例え発動手段がわかっていても質問も会話である以上無視して進むというのは相当難儀になる。
「牢屋を開けて私を解放しなさい。」
セーレは王がしもべに命令するかのように、冷たい声で衛兵に語りかけた。
すると衛兵は無言のまま檻を開け手慣れた手つきで拘束具の鍵を外していく。マジか…と少し驚きつつ俺は興味を持ちながら衛兵の行動を見ていた。
ガジャン!ジャララ…
身動きを封じていた鎖が落ち、セーレは体のこった部分を鳴らしながら立ち上がった。
「あーあ…体痛った…。よくもまぁ私に変な事させてくれたわね!」
彼女はそう言うと俺に向かって手を伸ばし魔法陣を展開した。だがそれを見越したかのようにテレサ女王は氷結魔法で作った無数の矢ですでに迎撃の準備を完了していた。
二人の攻撃意思が留まる緊張感の中、俺は二人に攻撃は止めるよう手を上げた。何故ならその攻撃の中心に俺が立っているからだ。
「待てよセーレ、変な気は起こすな。俺が死ぬぞ。」
内心焦っているのが顔に出ているのか、セーレはふっ…と笑みを浮かべてだらしなく両手を上げた。
「嘘よ、からかうついでに脅そうとしたら本気にするんだもの、こっちがハラハラするわ。」
「いつ手を出しても構わないぞ、私は仲間を盾にされてもお前を撃てる自信があるからな。」
「と言う事だ。俺ごと貫かれそうだから、死ぬのが嫌なら俺の言う事に従ってくれるか?」
俺は後ろからの殺気に多少怯えながら、セーレにナイフと真っ白な紙を渡すために手を伸ばした。
彼女は紙だけを受け取ると、手から赤色の光が放たれ真っ白な紙に文字がどんどん浮かび上がる。
「いいわ…」という声が聞こえ、自身の口元の牙で指を裂き血を紙に垂らした。
ポタポタッと、2滴程紙の上で血が落ちた後、紙がスポンジのように血を吸い上げ、血痕がついた場所が跡形もなく消し去りその上からセーレの名前が浮かび上がった。
それを見たセーレは、次はあなたの番と言わんばかりに素早く紙を俺に突き出した。
「血の契約って怖いものだよな、口約束や書くものと違って絶対に逃げる事なんて出来ないってよ。」
俺はそう言うと紙を地面に置き、手元のナイフで自身の手のひらを切った。
切った手を握りしめると中から血が搾り出てきて、紙の上を血で汚した。セーレと同様、紙が血を吸い上げ自身の名前が浮かび上がる。
それを確認し、紙を拾い上げ契約書の内容をセーレに伝えた。
「賭けるものは自身の魂、勝利条件は相手の体に奴隷の刻印を打ち込む事。なお、相手を死亡させる、対象者外の奴隷化、契約内での逃亡または投降はペナルティとして自身の敗北となる。この契約は血の交じりを行った瞬間に効果は発揮され、以降勝負の決着がつくまで継続される。対象者は俺、そしてセーレ・アルガルト。間違いないな?」
俺は契約書を再度彼女に見せようとしたが、手で払いのけられてしまった。
「無駄な事しなくていいわよ、お前が言った事とその内容は一文一句間違ってないわ。」
彼女はそう言うと薄気味悪い顔を浮かべながら俺の隣に立ち、耳打ちするかのように呟いた。
「楽しみね、ひよこ勇者の威勢がどこまで続くのか。」
突然の事に俺はぞくっと身震いしてしまった。それを見た彼女はふふっと笑い、操られた衛兵に先導されながらその場を後にした。
女王から「行くぞ」という声がかかりようやく俺は牢獄の出口に向かって歩き始めた。
彼女のあの一声に感情を昂られたのか、俺は口元に手を押さえながらニヤけた顔が見られないようにしていた。
「有料エロだろ…あんなの…。」
と頭で思いながら耳打ちされた瞬間をまた思い出していた。女王に聞かれたら引かれるだろうが、今はそんな事気にしていないくらいの初体験にニヤけが止まらなかった。
ーー契約決闘開始時刻。
女王と大勢の衛兵に案内され、俺とセーレが通されたのは人間同士が争う闘技場。
規模はそこまで広くなく、実質学校の体育館とほぼ一緒な大きさのドーム状の建物だ。なので中央の舞台がメインとして作られたために、観客席は小規模に舞台を囲んでいる。
それもそのはず、集まる観客は戦う冒険者を見たいだけの愉悦者のような者達。まるで表世界から出てしまったような異様な空間が広がっている。
そんな空間には、悪魔と勇者が自身の人生を賭けて戦うという前代未聞な決闘を観戦しようと人が集まっていた。
もちろんほとんど人は一般人を装った衛兵達による偽観客、女王が極秘にここに呼び出した奴隷商人と雇い兵達が怪しまれないようにするための演技である。
「テレサ女王、うまく言ってくれたみたいだな。商人達があれだけ集まればあっちは探しやすくなりそうだ。」
目線の先には最前列でどっしり構えて座っている商人達と、雇い兵だろうか衛兵とは違う制服を着こなし商人を四方から守るよう周りに座っている。
商人のほとんどはこれから始まる戦いを楽しみにしているかのように笑っているが、一人だけ憎悪を込めるよう睨みつけている人物がいた。頬に湿布を貼っており見るからに痛々しい姿をしていた。
俺はそれに気づき「あー…」と自身の行いに反省もない声を出しながら、ワリ、と右手を上げた。それを見た商人は「殺せー!あいつ殺せー!」と物騒なことを喚いている。
「まったく人間ときたら、私達が殺し合うっていうのに安全な場所で愉悦しながら楽しんでるわ。ほんとどっちが悪魔だかわかんないわ。」
「そりゃあ皆珍しいものに興味があるからだろ?だって今からするのは俺達人間にとって勝率0%のデスゲームなんだから。」
「それをわかっていて私に挑もうとするなんて、やっぱりお前イカれてるわ。それとも…私に勝てる策でもあるっていうのかしら?」
俺は余裕の笑みを彼女に見せた、まるで己の敗北など考えていないその様子にセーレは顔をしかめた。
「両方だ…!」
二人は対面するかのように舞台の中央に立ち、戦闘開始の準備をしていた。セーレを見ると体からは禍々しい黒いオーラを発している、街で戦った悪魔とは違う雰囲気…帝国幹部という風格が表れている証拠だ。
「じゃあ、ちゃっちゃと片付けてお前が持ってる秘密を暴いてやろうか。」
俺は剣を抜き、セーレを迎え討つよう体勢を整えたその時…「勇者さん!」と喧騒する闘技場の中で聞こえたことに気づき辺りを見渡した。
「クロ…勇者さん!頑張ってください!」
最前列にレズリィが俺を鼓舞するよう歓声に負けずに必死に声を張り上げていた。
俺はその期待に応えるようレズリィに向かって拳を上げて返事した。
「大丈夫だ!俺は絶対負けねえ!こんな奴なんて俺が…」
ドガッ!
俺の話を遮るかのように鋭い痛みが頬に突き刺さった、セーレが俺の頬に向かって殴ってきたのだ。
突然の出来事でスローで流すかのように顔がゆっくりと変形していくのを感じ、殴られたと感じた時にはもう吹き飛ばされていた。
「ぐぉぉぁぁぁ!」
飛ばされた衝撃で危うく倒れそうになるところをなんとか踏ん張り立つが、頬の痛みで閉じていた目が次に開いた時にはセーレの姿がもう目の前にまで来ていた。
黒いオーラに包まれた右手を振りかぶり、相手を横一振りに叩く「ダークスラッシュ」が俺の胸部にヒットし、また吹き飛ばされる。
彼女は俺に立ち直る余裕を与えまいと、ダッシュで距離を詰め、すかさず魔法陣を展開した。
「氷撃《フロズレイ》!」
彼女の放つ中級氷結魔法が俺の体に直撃し一瞬にして体が凍りついた、今の俺は身動き一つすら出来ない相手の良い的にされてしまった。
そんな致命的な硬直の中で、セーレは一歩また一歩と俺に近づき、握った拳が黒いオーラで見えなくなるほど先程の技より強力な存在が迫ってくる。
「ダークインパクト!」
氷が砕ける音と一緒に黒い閃光を模した突き技が俺の体を撃ち抜き、今まで以上の衝撃で観客席へと吹き飛ばされた。
バキィィィィ!
俺の体は観客がいる場所に投げ出される事なく、手前に展開されていた防御結界に叩きつけられた。
セーレはズルズルと人形のように力無く倒れていく俺の姿を見て、つまらなそうな顔をしながら呆れた声で告げた。
「散々大口叩いておいて、秒殺って恥ずかしくないわけ?雑魚勇者。」
彼女の罵倒を受けてもピクリとも動かない俺の体、観客も呆気にとられた表情で一瞬にして闘技場から音が消えた。
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