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出会う前 ールシアーノー
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「何だ、その物語は」
思わず俺は呆れた声を出してしまった。
「そういう物語なんですから、仕方ないじゃないですかあ!でも王都ですっごく人気があるんですよお!」
「私も見に行きましたよ、閣下!面白かったですよ。」
「実は私も」
俺は馴染みの娼館で酒を飲んでいた。
父親と母親から外で酒を飲むなら高級娼館で飲めと口酸っぱく言われていた。
ここなら間違いが無い。
まあ俺は娼館で飲むのは気に入っているし、気まぐれに女たちの駆け引きに乗ってやるのも悪くない。
でも父親が死んでからは忙しくて足が遠のいていた。
そして久々に来てみれば、悪役令嬢断罪劇なる話題で女達は盛り上がっていた。
聞けば王都で大流行りの物語でいろんな劇団が演じており、ついに辺境伯領にもやってきたと言うわけだ。
しかし何とも現実味の無い物語だった。
真実の愛、憧れちゃう!なんていうモンだからつい
「元平民の男爵令嬢が公爵令嬢押し退けて王妃になっても幸せになれるわけないだろう」と酒の席で無粋な事を言ってしまった。
「そういうものですかあ‥」水をさされた女が不貞腐れ気味言う。
「現実はそういうモンさ。まあ物語なんだからそれもいいだろうよ。」とフォローを入れつつこの話を終わらせようとした。
「それが!物語では終わらないんです!王都ではアウリス王子が学園で真実の愛を見つけたって言われてて、お相手はなんと劇と同じ、男爵令嬢なんです!」
「婚約者の公爵令嬢もリアル悪役令嬢なんて呼ばれてるんですよお!なんでも劇と同じように男たらしでえ!意地悪でえ!嫌がらせも本当にしちゃってるんですう!」
「きっとプライド高いから自分の男取られたのが我慢ならないんですよね。気持ちはわかりますよ、いきなり出てきた女に取られたらそりゃあ悔しいですよ!」
興奮気味に盛り上がる女たち。
王子の婚約者はビバリースカイ公爵令嬢だ。
ビバリースカイ公爵家は筆頭公爵家でこの国じゃ王家に次ぐ地位がある。
そんな家の令嬢が男たらし?たかが男爵令嬢に嫌がらせ?ちょっとこれも現実味がない。
内心呆れていると「ほらほら、あなた達!閣下を置いてけぼりにして!その位にしておきなさい!」と女主人が入ってきた。
「失礼しました。」とこちらに謝罪してくれる。
「いや面白い話を聞いたよ。やっぱりたまには飲みに来ないといけないな。」
と笑うと女達はパッと顔を輝かせ
「ええ!本当に。」「そおですよお!」などと言いその話は終わった。
終わるはずだった。
思わず俺は呆れた声を出してしまった。
「そういう物語なんですから、仕方ないじゃないですかあ!でも王都ですっごく人気があるんですよお!」
「私も見に行きましたよ、閣下!面白かったですよ。」
「実は私も」
俺は馴染みの娼館で酒を飲んでいた。
父親と母親から外で酒を飲むなら高級娼館で飲めと口酸っぱく言われていた。
ここなら間違いが無い。
まあ俺は娼館で飲むのは気に入っているし、気まぐれに女たちの駆け引きに乗ってやるのも悪くない。
でも父親が死んでからは忙しくて足が遠のいていた。
そして久々に来てみれば、悪役令嬢断罪劇なる話題で女達は盛り上がっていた。
聞けば王都で大流行りの物語でいろんな劇団が演じており、ついに辺境伯領にもやってきたと言うわけだ。
しかし何とも現実味の無い物語だった。
真実の愛、憧れちゃう!なんていうモンだからつい
「元平民の男爵令嬢が公爵令嬢押し退けて王妃になっても幸せになれるわけないだろう」と酒の席で無粋な事を言ってしまった。
「そういうものですかあ‥」水をさされた女が不貞腐れ気味言う。
「現実はそういうモンさ。まあ物語なんだからそれもいいだろうよ。」とフォローを入れつつこの話を終わらせようとした。
「それが!物語では終わらないんです!王都ではアウリス王子が学園で真実の愛を見つけたって言われてて、お相手はなんと劇と同じ、男爵令嬢なんです!」
「婚約者の公爵令嬢もリアル悪役令嬢なんて呼ばれてるんですよお!なんでも劇と同じように男たらしでえ!意地悪でえ!嫌がらせも本当にしちゃってるんですう!」
「きっとプライド高いから自分の男取られたのが我慢ならないんですよね。気持ちはわかりますよ、いきなり出てきた女に取られたらそりゃあ悔しいですよ!」
興奮気味に盛り上がる女たち。
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「失礼しました。」とこちらに謝罪してくれる。
「いや面白い話を聞いたよ。やっぱりたまには飲みに来ないといけないな。」
と笑うと女達はパッと顔を輝かせ
「ええ!本当に。」「そおですよお!」などと言いその話は終わった。
終わるはずだった。
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