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妻が妊娠した。
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妻が妊娠した。
理由はよく分からない。
何故こんな事になったのか?
馴れ初めは見合いである。
お互いに相手を尊重し合い、家事を分担し、双方の両親の意向はある程度通した。
夫婦中は悪くない。
妻とは共働きである。
私は公務員で市の職員だ。
だから妻は公務員の妻になる。
私の名は高木 亮平という。
ここ埼国市水道局の課長である。
つまり高木課長だ。
だから何だ?と云われたら困るが、まあ中間管理職だ。
今年で41歳になる。
自慢する訳ではないが、私の年齢で課長職はかなり早い方だ。
同期に係長クラスがごろごろいる中では最速だろう。
当然、派閥の長や関係者との信頼構築は大変だったとも云える。
多少のハナグスリは使ったがな。
も、勿論、お歳暮などの事だ。
犯罪行為は断じて無い、ハズ……だ。
市の職員とはそういうもので、民間とは違い、課長補佐すら中々なれないものだ。
だから私の昇進は誇れるものだし、給与も上がり、仕事は安定職の順風満帆だ。
妻の名は、高木 りかである。
今年で38歳。
生保レディを勤める。
一営業所の副所長として勤務しており、給与は流石に民間であり私に拮抗する。
彼女の長年の努力の賜物だろう。
私は事あるごとに彼女の仕事を応援してきたし、彼女が仕事がら遅く帰る時も、私が駅まで迎えに行ったりもした。
当たり前だと!?
ま、まあ、いい。
とにかく結婚して10年。
彼女に対して特に不満もなく、彼女も私に不満を表現する事は無かった。
共に其れなりの役職に就けたのもパートナーとして自覚し、何処までも夫婦間のプライベートを尊重してきたからだ。
お互いを人生のパートナーとし、結婚自体もお互いを高め合う事を目標に双方合意の上の結婚だった。
それなのに、妻が妊娠した。
私の両親と妻の両親は健在であり、当然の如く喜んでくれた。
妻は産休を職場に申請し、職場からは様々なお祝いの言葉や、祝いの品を頂いてきた。
もちろん職場から出る祝い金も含めてだ。
私も職場に妻の妊娠を報告した。
役所から出た祝い金は当然の如く貰った。
上司からは、生まれたら子供手当てを申請しろよと言われた。
もちろん市民課から出る児童手当とは別に、だ。
貰えるものは貰う、当然の権利行使と云えるだろう。
妻は、友人達からの祝いの電話に上機嫌で応対し、その友人達からも祝いの品をもらったようだ。
私も上司や部下からの祝いの言葉と、同じように祝いの品をもらった。
私が妻に、自分の職場の祝いの品を渡すと、妻は名簿のような物を出して言った。
「結婚式の時みたいに名簿がある訳じゃないから、貰った人と貰った品物をここに記載しておきましょう。最低限のお返しは必要だもの。ね?亮平さん」
私は当然の如く頷いた。
流石、私が選んだパートナーだ。
お互い、職場での立場がある身。
こういった事は、つけ込まれないために、しっかりしておかなければならない。
しかし、妻が妊娠した。
そろそろ、はっきりさせておきたい。
だが妊婦であり、まだ安定期に入ったばかりの彼女。
しかも、38歳で初出産はかなりハードルは高い。
今の段階で彼女を問い詰めるのは、かなりのリスクを伴う事になる。
私はどちらかと言えば、小心者だ。
だから小心者ゆえに各派閥を泳ぎ、上手く課長職を手に入れた。
だから、私には分かる。
『今はまだ、言うべき時ではない』と。
少なくとも、私も彼女も職場に報告し、子供ができないレッテルはこれで解消できた。
もちろん未婚者は論外としても、既婚者で子供がいるという事は、社会的な信頼を得られやすく見えない優遇を受け取り易くなるのだ。
これは大きな事。
この点は、彼女と私の意見の一致する所だ。
正直、今まではお互い職場に対して随分と尽くしてきたと思う。
特にこういった事で、貰う立場に立てた事は心から喜びたい。
心から喜びたい、のだが、遺憾ともしがたいものがあるのも確かだ。
なにしろ、妻が妊娠したのだから。
この事実は妻の腹を見るたびに、私の心臓に何者かが、丑の刻参りの如く、きりきりと釘を打ち付けていくのだ。
私はいつまで、妻の顔に笑顔でいられるのであろうか?
そういえば、部下の一人が私に言った事がある。
『課長の奥さん、いつまでも若々しくて美人でいいですよね。自分も、あんな奥さんが欲しいな』
……まさかな。
だが奴なら、やりかねんかも知れない。
くっ、だが、証拠がない。
おそらく問い詰めても、奴は否定するだろう。
こういう事には長けた奴だ。
よし、決めた。
奴は下水道課に左遷だ。
ざまぁみろ、汚物と一緒に流してやる!
ふはははは。
だが、まてよ。
たしか、昨年お歳暮を届けにきた水道工事業者がいたな。
奴は妻に会った時、こう言ったんだ。
『いやはや課長さんは、果報 者ですなぁ。こんな美人な奥さんを貰って、まったくもって羨ましい。はっ、はっ、はっ』
……危険人物だったか。
おのれ、許さん。
なにが、羨ましい、はっ、はっ、はっ、だ!
奴は、今年から入札業者から外してやる。
来年も、再来年も、ずっとだ!!
干上がって、潰れてしまえ、ホトトギスだ!
む、まて、まて、まて。
そういえば、今年入った出納課の若いのが、妻に色目を使っていたな。
妻が生保の宣伝で、副所長就任の挨拶にきたんだった。
その時、奴は妻を何度も見返したんだ。
頬を赤らめてな。
妻は営業スマイルだったのだが、奴は自分だけ特別に笑顔を向けられたと、勘違いしたと笑っていた事があったな。
妻も、まんざらでも無かったか?
いいだろう………。
奴も人事課の部長に鼻薬を嗅がせて、下水道課に左遷だ!
浄化槽にぶちこんで、汚水と一緒に浄化してやろう。
真っ白になった奴の袖からモノ干し竿をさして、シーツと一緒に干してやる。
ふははは、間抜けヅラを拝んでやるわ!
はあ、はあ、はあ、は?!
わ、私は何をしてるんだ。
い、いかん。
何だか、社会人にあるまじき妄想に取り憑かれていたか?
だが、これも妻が妊娠したからだ。
なんで私がこれ程、悩まなければならないのだ。
く、だが、私にも責任がある。
間違いなく、50%は責任があるだろう。
私も確かに、避けていたのだから。
❪夜の営みから❫
確かに避けていた。
結婚数年目で私達は、夜の営みから遠ざかっていた。
理由はいろいろあった。
お互いに帰りが遅くなり、また、プロジェクトの中核に居ることは、それなりの責任の重みを感じていた頃だった。
当然のように仕事量が増え、疲れて帰る事が当たり前の様になり、家に居ながらお互い、会っている時間が減っていった。
必然の様に夜の営みは減っていき、気づいた時には年齢を気にする歳になっていた。
こうなれば、もはやセックスレスなっていると、公言しても過言ではないところとなっている。
『致しかたない』
と言う事であろう。
この件について、お互いに話し合う事も無かったが、お互いの中では昇華されたとの認識でいると、阿吽の呼吸で理解できてると信じていた。
妻が妊娠するまでは。
当然の事ながら、この結果に私の理解が及ぶことは無く、覚えも、見るも、聞くもなく、ただ、目前にある事実に黙々と従っているだけの毎日。
常識と非常識、安寧と混乱、秩序と無秩序、日常と非日常、どれだけ対義語を並べようが、今の私達の状態を現す言葉を探す事は、きわめて困難だ。
何故なら私は、その両方をすでに受け入れてしまっており、社会的にも撤回困難な状況にあるからだ。
私自身がこの状況を望みつつ、否定もしたいと思っている。
完全に矛盾しており、考えている事は全て破綻している。
にも関わらず、現実の私はしゅくしゅくと、起きた事象に対して、常識的対応をしていくのである。
思えば、私達の結婚自体が非常識、非日常であった訳で、この結果は、当たり前の帰結といえよう。
だとしても、である。
妻からの相談がまったく無かったのは、非常に辛い事であるし、将来に向かっての不安材料である。
当然、将来の事といえば、妻には果たして貰いたい責任があるといえよう。
一つは、生まれてくる子供に対する責任。
一つは、私に対する責任である。
勿論、私に対する責任は、私の妻に対する責任により減額される部分はあるものの、妻の責任のウエイトの方が遥かに重いといえる。
当然、来るべき日に備える必要はあるが、例え裁判にまでなったとしても、確実に私に天秤は傾くだろう。
だが、そのような事後処理など、今はどうでもいいのだ。
私は、早急に確かめねばならない。
そして、私が被った負債を相手に払わせる必要があるのだ。
それはつまり、誰の子か、と、言うこと。
私は、とある探偵事務所に依頼し、この半年間の妻の行動を探らせた。
その結果、妻がとある人物に会っている事がわかったのだ。
裏社会の仲買人
赤人流星
って誰や???
どこぞのエセ占い師か、はたまた売れない文芸作家か。
はっきり言って、めちゃくちゃ怪しいやん!
それで明日、ソイツと会うことにした。
ごほんっ
いかん。
いつの間にか、キャラが崩壊している。
冷静にならねばなるまい。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
都内某所の、スタバで会うことになった。
私がフルーツ牛乳を飲んで待っていると、髪の毛ボサボサのトンボ眼鏡、無精髭でヨレヨレのスーツを着こんだ男がやって来た。
「あなたが高木亮平さん?流星です」
「………ジュル、ジュル、ども、亮平です」
エセ笑顔の男は、突然の来訪で無礼にも私が、フルーツ牛乳のストローから口を離さずに応対したが、気にせず私の対面の座席に座り込んだ。
「ちょっと、買ってきますね」
奴は、汚いヨレヨレの革バックを座席に置くと、レジに向かい、ソイラテのトールを持って戻ってきた。
健康を気にしている、とでも言いたいのか。
おもむろに、私の下腹に目をやるのが憎たらしい。
悪かったな、フルーツ牛乳で!
私は大好きなんだがな!
「それで、本日は私にどんなご用件でしょう?」
コイツ、冷静さをアピールしてるつもりか?
一見だが、30台前半だ。
そりゃ、私より若くてやや男前かもしれんが、だからなんだ!
人の妻に手を出しやがって、ただで済むと思うなよ!
「その、私の妻の事なんだが…高木りか、を知っているだろう?」
男は、トンボ眼鏡をクイッと上げて私を見直すと、ソイラテを一口飲んだ。
失礼な奴だな。
あ、私もか。
「クライアントの情報は、守秘義務があります。お伝えするにはクライアントの同意が必要です。あるいは、同意書でもいいのですが」
「クライアント?すまん、話しが見えないのだが、妻が貴方のクライアントという事で宜しいだろうか?」
「はい、宜しいですよ」
へんな返しをしやがる。
クライアント?!
どういう事だ?
この男は何かの仕事をしていて、妻が何かを依頼したという事か?
そういえば、この男の肩書きは裏社会の仲買人だったな。
裏社会…何かを、違法に売買しているというのか?
それに、妻が加担したと?
バカな、あり得ない。
妻に限ってそんな事をする筈は…
いや、ならばあの妊娠もあり得ないのではないか。
私達は、社会人として社会から逸脱しないよう、常に配慮してきた筈で、特に客商売、信用第一の生保をやってきた妻に限っては、決して手を出す筈のない世界のはず。
だが、妊娠した事実は揺るがない…
ならば、この男の 生業を知る必要がある。
「その、妻の事はもう聞きません。貴方のご職業に関する事を教えて頂く訳にはいけませんか」
「構わないですが、此方の書類にサインを」
私の質問が何故、書類へのサインに繋がるのか、理解できないが、とりあえず書類に目を通す。
『守秘義務契約書』
は?
また、守秘義務だと??
意味がわからんのだが、ようは、ここでの会話は他言無用、私から情報が漏れた場合、私に何らかのペナルティを課す、と、言うことか。
どうする?
私はこれまで不確実な事柄、反社会的行為からは徹底して距離を保ってきた。
宝くじでさえ、買った事はないのだ。
❪石橋は叩いても渡らない❫が、私のモットーだが、すでにこの男に会っている時点で、それは崩れているともいえるか。
ならば、今さらだ。
私は、直ぐに守秘義務契約書にサインした。
男は私が書類を渡すと、私を今一度見直してニッコリ笑うと、立ち上がり言った。
「では、場所を変えましょうか」
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
案内されたのは、とある雑居ビルの三階だった。
案内された部屋は、書類の山が並び、中央の僅かなスペースに接客用のソファーがあった。
「此方でお待ち下さい」
男に言われ、ソファーに座して待つ。
私は、すでに冷や汗をかいていた。
何故なら、こんな反社会的装いの所で、どんな話しが出ると言うのか。
ここまでノコノコと付いてきてしまったが、私は取り返しの出来ない事に足を突っ込んでいるのではないのか。
「お待たせしました。私のボスが会います」
男は一言いうと、また、奥に引っ込んだ。
ボス?
ボスとはなんぞや?
缶コーヒーの事か?
それとも、宇宙人でも出てくるのか?!
いやいや、宇宙人はないな。
まさか、マフィアのボス?
いや、ここは日本だ。
そんな者がいる筈はない。
なら、やはり宇宙人か!?
私は、アブダクションされるのか?
そんなの、嫌ーっ!
ドサッ
私が頭を抱えて悩んでいると、対面のソファーに何者かが着座した音がする。
私が恐る恐る顔を上げると、その方はニッコリ笑って私を見た。
その瞬間、私は言ってしまった。
「アイアム▪ア▪ペン」
何故、私がこのような発言をしたのか。
それは、目の前の人物のせいである。
流れるようなブロンドヘアに、青い目のバーディ人形。
そんな形容詞が相応しい人物が、目の前にいたのだ。
「ペン?貴方はペンが欲しい?」
「あ、い、いえ、日本語が上手ですね」
目の前にいたのは、北欧の白人女性だった。
歳は30台かな?
いわゆる外人がそこにいた。
「クライアントに関する話しは出来ませんが、私達の仕事の内容はオープンにします。OK?」
「あ、はい。OK?」
女性の言葉に吊られ、私はつい答えてしまった。
それから彼女が語ったことは、とんでもない事だった。
彼女らの活動は、世界中から優秀な生殖細胞を保管、販売するという仕事だった。
優秀な生殖細胞?
それは、つまり、赤ちゃんの元となるもの。
人の卵子と精子を保管、販売しているというものだ。
しかも、それらを行う提携医師や病院も確保されており、一貫体制が出来ているとか。
日本においては、まだ非合法だが、すでに一部の国では、その活動は合法化されているらしい。
なんて事だ。
という事は、妻は、その優秀な精子か、あるいは受精卵そのものを購入した事になる。
いわゆる買った子供という事だったのだ。
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
解放された私は、電車の中で考えた。
お互いの仕事を高め合う為に結婚した私達。
結婚当初、そこに愛は無かったかもしれない。
だが、私達はそんな物は後付けで付いてくると思っていたし、事実、パートナーとしてお互いを気遣い合いは出来ていたと思う。
たしかに、子供に対して、幻想も執着も最初から薄かったのは事実だ。
たが、当初はちゃんと義務を果たしていたし、彼女からの不満も無かった。
その後のセックスレスは、お互い、仕事を優先した結果であり、その事に対しての不満は彼女から出た事も無かった筈。
「今になって、急に子供が欲しくなったのだろうか?なら、私に何故、相談しない?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
その後、妻に話しを聞けぬまま、出産予定日を向かえ、妻は病院に入院した。
私は、妻の着替えや入院に必要な物を集め、バックに詰め込んだ。
カサッ
妻の貴重品入れの中、妻の保険証探している時、それを発見した。
それは、とあるクリニックへの通院記録だ。
私は、何気なく其れを見て、愕然とする。
それは、7年前の通院記録だ。
それには、こう書かれていた。
『高木亮平▶増精機能障害、正常値1%未満、今後の受精の可能性、極めて困難』
『高木りか▶排卵機能障害、正常値1%未満、今後の排卵の可能性、極めて困難』
なんという事だ。
彼女は、7年も前からこの事を知っていたのだ。
私にも言えず、ずっと一人で悩み続けていたのだ。
私は、そんな妻の気持ちを知らずに、勝手に妻の不義密通を疑い、あまつさえ、その行為の証拠集めに奔走したとんだ愚か者だ。
私は、最低な男だった。
そして、始めて妻の愛を感じたのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
その後私は今後の人生を全て、妻と、生まれてくる子供に捧げようと決心した。
そして……
おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ
「お父様、ちゃんと生まれましたよ。3800グラム、立派な女の子です。おめでとうございます。母子ともに元気ですよ!」
「あ、あり、有難う御座います」
私は、ベッドに横になる家内と娘のところに向かう。
結果は、分かっているがそんなもの、関係ない。
二人を、いつまでも愛そう。
そう、決めたのだから。
「あなた」
「よく、頑張った。なんて可愛いいんだ」
だが、年賀状の家族写真は家内と要、相談だな。
しかし、奥さん。
銀髪、碧眼で透き通るような白い肌の赤ちゃん。
間違いなく美少女になるが、いかがなものかな。
はぁ、まあ、構わないが……
理由はよく分からない。
何故こんな事になったのか?
馴れ初めは見合いである。
お互いに相手を尊重し合い、家事を分担し、双方の両親の意向はある程度通した。
夫婦中は悪くない。
妻とは共働きである。
私は公務員で市の職員だ。
だから妻は公務員の妻になる。
私の名は高木 亮平という。
ここ埼国市水道局の課長である。
つまり高木課長だ。
だから何だ?と云われたら困るが、まあ中間管理職だ。
今年で41歳になる。
自慢する訳ではないが、私の年齢で課長職はかなり早い方だ。
同期に係長クラスがごろごろいる中では最速だろう。
当然、派閥の長や関係者との信頼構築は大変だったとも云える。
多少のハナグスリは使ったがな。
も、勿論、お歳暮などの事だ。
犯罪行為は断じて無い、ハズ……だ。
市の職員とはそういうもので、民間とは違い、課長補佐すら中々なれないものだ。
だから私の昇進は誇れるものだし、給与も上がり、仕事は安定職の順風満帆だ。
妻の名は、高木 りかである。
今年で38歳。
生保レディを勤める。
一営業所の副所長として勤務しており、給与は流石に民間であり私に拮抗する。
彼女の長年の努力の賜物だろう。
私は事あるごとに彼女の仕事を応援してきたし、彼女が仕事がら遅く帰る時も、私が駅まで迎えに行ったりもした。
当たり前だと!?
ま、まあ、いい。
とにかく結婚して10年。
彼女に対して特に不満もなく、彼女も私に不満を表現する事は無かった。
共に其れなりの役職に就けたのもパートナーとして自覚し、何処までも夫婦間のプライベートを尊重してきたからだ。
お互いを人生のパートナーとし、結婚自体もお互いを高め合う事を目標に双方合意の上の結婚だった。
それなのに、妻が妊娠した。
私の両親と妻の両親は健在であり、当然の如く喜んでくれた。
妻は産休を職場に申請し、職場からは様々なお祝いの言葉や、祝いの品を頂いてきた。
もちろん職場から出る祝い金も含めてだ。
私も職場に妻の妊娠を報告した。
役所から出た祝い金は当然の如く貰った。
上司からは、生まれたら子供手当てを申請しろよと言われた。
もちろん市民課から出る児童手当とは別に、だ。
貰えるものは貰う、当然の権利行使と云えるだろう。
妻は、友人達からの祝いの電話に上機嫌で応対し、その友人達からも祝いの品をもらったようだ。
私も上司や部下からの祝いの言葉と、同じように祝いの品をもらった。
私が妻に、自分の職場の祝いの品を渡すと、妻は名簿のような物を出して言った。
「結婚式の時みたいに名簿がある訳じゃないから、貰った人と貰った品物をここに記載しておきましょう。最低限のお返しは必要だもの。ね?亮平さん」
私は当然の如く頷いた。
流石、私が選んだパートナーだ。
お互い、職場での立場がある身。
こういった事は、つけ込まれないために、しっかりしておかなければならない。
しかし、妻が妊娠した。
そろそろ、はっきりさせておきたい。
だが妊婦であり、まだ安定期に入ったばかりの彼女。
しかも、38歳で初出産はかなりハードルは高い。
今の段階で彼女を問い詰めるのは、かなりのリスクを伴う事になる。
私はどちらかと言えば、小心者だ。
だから小心者ゆえに各派閥を泳ぎ、上手く課長職を手に入れた。
だから、私には分かる。
『今はまだ、言うべき時ではない』と。
少なくとも、私も彼女も職場に報告し、子供ができないレッテルはこれで解消できた。
もちろん未婚者は論外としても、既婚者で子供がいるという事は、社会的な信頼を得られやすく見えない優遇を受け取り易くなるのだ。
これは大きな事。
この点は、彼女と私の意見の一致する所だ。
正直、今まではお互い職場に対して随分と尽くしてきたと思う。
特にこういった事で、貰う立場に立てた事は心から喜びたい。
心から喜びたい、のだが、遺憾ともしがたいものがあるのも確かだ。
なにしろ、妻が妊娠したのだから。
この事実は妻の腹を見るたびに、私の心臓に何者かが、丑の刻参りの如く、きりきりと釘を打ち付けていくのだ。
私はいつまで、妻の顔に笑顔でいられるのであろうか?
そういえば、部下の一人が私に言った事がある。
『課長の奥さん、いつまでも若々しくて美人でいいですよね。自分も、あんな奥さんが欲しいな』
……まさかな。
だが奴なら、やりかねんかも知れない。
くっ、だが、証拠がない。
おそらく問い詰めても、奴は否定するだろう。
こういう事には長けた奴だ。
よし、決めた。
奴は下水道課に左遷だ。
ざまぁみろ、汚物と一緒に流してやる!
ふはははは。
だが、まてよ。
たしか、昨年お歳暮を届けにきた水道工事業者がいたな。
奴は妻に会った時、こう言ったんだ。
『いやはや課長さんは、果報 者ですなぁ。こんな美人な奥さんを貰って、まったくもって羨ましい。はっ、はっ、はっ』
……危険人物だったか。
おのれ、許さん。
なにが、羨ましい、はっ、はっ、はっ、だ!
奴は、今年から入札業者から外してやる。
来年も、再来年も、ずっとだ!!
干上がって、潰れてしまえ、ホトトギスだ!
む、まて、まて、まて。
そういえば、今年入った出納課の若いのが、妻に色目を使っていたな。
妻が生保の宣伝で、副所長就任の挨拶にきたんだった。
その時、奴は妻を何度も見返したんだ。
頬を赤らめてな。
妻は営業スマイルだったのだが、奴は自分だけ特別に笑顔を向けられたと、勘違いしたと笑っていた事があったな。
妻も、まんざらでも無かったか?
いいだろう………。
奴も人事課の部長に鼻薬を嗅がせて、下水道課に左遷だ!
浄化槽にぶちこんで、汚水と一緒に浄化してやろう。
真っ白になった奴の袖からモノ干し竿をさして、シーツと一緒に干してやる。
ふははは、間抜けヅラを拝んでやるわ!
はあ、はあ、はあ、は?!
わ、私は何をしてるんだ。
い、いかん。
何だか、社会人にあるまじき妄想に取り憑かれていたか?
だが、これも妻が妊娠したからだ。
なんで私がこれ程、悩まなければならないのだ。
く、だが、私にも責任がある。
間違いなく、50%は責任があるだろう。
私も確かに、避けていたのだから。
❪夜の営みから❫
確かに避けていた。
結婚数年目で私達は、夜の営みから遠ざかっていた。
理由はいろいろあった。
お互いに帰りが遅くなり、また、プロジェクトの中核に居ることは、それなりの責任の重みを感じていた頃だった。
当然のように仕事量が増え、疲れて帰る事が当たり前の様になり、家に居ながらお互い、会っている時間が減っていった。
必然の様に夜の営みは減っていき、気づいた時には年齢を気にする歳になっていた。
こうなれば、もはやセックスレスなっていると、公言しても過言ではないところとなっている。
『致しかたない』
と言う事であろう。
この件について、お互いに話し合う事も無かったが、お互いの中では昇華されたとの認識でいると、阿吽の呼吸で理解できてると信じていた。
妻が妊娠するまでは。
当然の事ながら、この結果に私の理解が及ぶことは無く、覚えも、見るも、聞くもなく、ただ、目前にある事実に黙々と従っているだけの毎日。
常識と非常識、安寧と混乱、秩序と無秩序、日常と非日常、どれだけ対義語を並べようが、今の私達の状態を現す言葉を探す事は、きわめて困難だ。
何故なら私は、その両方をすでに受け入れてしまっており、社会的にも撤回困難な状況にあるからだ。
私自身がこの状況を望みつつ、否定もしたいと思っている。
完全に矛盾しており、考えている事は全て破綻している。
にも関わらず、現実の私はしゅくしゅくと、起きた事象に対して、常識的対応をしていくのである。
思えば、私達の結婚自体が非常識、非日常であった訳で、この結果は、当たり前の帰結といえよう。
だとしても、である。
妻からの相談がまったく無かったのは、非常に辛い事であるし、将来に向かっての不安材料である。
当然、将来の事といえば、妻には果たして貰いたい責任があるといえよう。
一つは、生まれてくる子供に対する責任。
一つは、私に対する責任である。
勿論、私に対する責任は、私の妻に対する責任により減額される部分はあるものの、妻の責任のウエイトの方が遥かに重いといえる。
当然、来るべき日に備える必要はあるが、例え裁判にまでなったとしても、確実に私に天秤は傾くだろう。
だが、そのような事後処理など、今はどうでもいいのだ。
私は、早急に確かめねばならない。
そして、私が被った負債を相手に払わせる必要があるのだ。
それはつまり、誰の子か、と、言うこと。
私は、とある探偵事務所に依頼し、この半年間の妻の行動を探らせた。
その結果、妻がとある人物に会っている事がわかったのだ。
裏社会の仲買人
赤人流星
って誰や???
どこぞのエセ占い師か、はたまた売れない文芸作家か。
はっきり言って、めちゃくちゃ怪しいやん!
それで明日、ソイツと会うことにした。
ごほんっ
いかん。
いつの間にか、キャラが崩壊している。
冷静にならねばなるまい。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
都内某所の、スタバで会うことになった。
私がフルーツ牛乳を飲んで待っていると、髪の毛ボサボサのトンボ眼鏡、無精髭でヨレヨレのスーツを着こんだ男がやって来た。
「あなたが高木亮平さん?流星です」
「………ジュル、ジュル、ども、亮平です」
エセ笑顔の男は、突然の来訪で無礼にも私が、フルーツ牛乳のストローから口を離さずに応対したが、気にせず私の対面の座席に座り込んだ。
「ちょっと、買ってきますね」
奴は、汚いヨレヨレの革バックを座席に置くと、レジに向かい、ソイラテのトールを持って戻ってきた。
健康を気にしている、とでも言いたいのか。
おもむろに、私の下腹に目をやるのが憎たらしい。
悪かったな、フルーツ牛乳で!
私は大好きなんだがな!
「それで、本日は私にどんなご用件でしょう?」
コイツ、冷静さをアピールしてるつもりか?
一見だが、30台前半だ。
そりゃ、私より若くてやや男前かもしれんが、だからなんだ!
人の妻に手を出しやがって、ただで済むと思うなよ!
「その、私の妻の事なんだが…高木りか、を知っているだろう?」
男は、トンボ眼鏡をクイッと上げて私を見直すと、ソイラテを一口飲んだ。
失礼な奴だな。
あ、私もか。
「クライアントの情報は、守秘義務があります。お伝えするにはクライアントの同意が必要です。あるいは、同意書でもいいのですが」
「クライアント?すまん、話しが見えないのだが、妻が貴方のクライアントという事で宜しいだろうか?」
「はい、宜しいですよ」
へんな返しをしやがる。
クライアント?!
どういう事だ?
この男は何かの仕事をしていて、妻が何かを依頼したという事か?
そういえば、この男の肩書きは裏社会の仲買人だったな。
裏社会…何かを、違法に売買しているというのか?
それに、妻が加担したと?
バカな、あり得ない。
妻に限ってそんな事をする筈は…
いや、ならばあの妊娠もあり得ないのではないか。
私達は、社会人として社会から逸脱しないよう、常に配慮してきた筈で、特に客商売、信用第一の生保をやってきた妻に限っては、決して手を出す筈のない世界のはず。
だが、妊娠した事実は揺るがない…
ならば、この男の 生業を知る必要がある。
「その、妻の事はもう聞きません。貴方のご職業に関する事を教えて頂く訳にはいけませんか」
「構わないですが、此方の書類にサインを」
私の質問が何故、書類へのサインに繋がるのか、理解できないが、とりあえず書類に目を通す。
『守秘義務契約書』
は?
また、守秘義務だと??
意味がわからんのだが、ようは、ここでの会話は他言無用、私から情報が漏れた場合、私に何らかのペナルティを課す、と、言うことか。
どうする?
私はこれまで不確実な事柄、反社会的行為からは徹底して距離を保ってきた。
宝くじでさえ、買った事はないのだ。
❪石橋は叩いても渡らない❫が、私のモットーだが、すでにこの男に会っている時点で、それは崩れているともいえるか。
ならば、今さらだ。
私は、直ぐに守秘義務契約書にサインした。
男は私が書類を渡すと、私を今一度見直してニッコリ笑うと、立ち上がり言った。
「では、場所を変えましょうか」
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
案内されたのは、とある雑居ビルの三階だった。
案内された部屋は、書類の山が並び、中央の僅かなスペースに接客用のソファーがあった。
「此方でお待ち下さい」
男に言われ、ソファーに座して待つ。
私は、すでに冷や汗をかいていた。
何故なら、こんな反社会的装いの所で、どんな話しが出ると言うのか。
ここまでノコノコと付いてきてしまったが、私は取り返しの出来ない事に足を突っ込んでいるのではないのか。
「お待たせしました。私のボスが会います」
男は一言いうと、また、奥に引っ込んだ。
ボス?
ボスとはなんぞや?
缶コーヒーの事か?
それとも、宇宙人でも出てくるのか?!
いやいや、宇宙人はないな。
まさか、マフィアのボス?
いや、ここは日本だ。
そんな者がいる筈はない。
なら、やはり宇宙人か!?
私は、アブダクションされるのか?
そんなの、嫌ーっ!
ドサッ
私が頭を抱えて悩んでいると、対面のソファーに何者かが着座した音がする。
私が恐る恐る顔を上げると、その方はニッコリ笑って私を見た。
その瞬間、私は言ってしまった。
「アイアム▪ア▪ペン」
何故、私がこのような発言をしたのか。
それは、目の前の人物のせいである。
流れるようなブロンドヘアに、青い目のバーディ人形。
そんな形容詞が相応しい人物が、目の前にいたのだ。
「ペン?貴方はペンが欲しい?」
「あ、い、いえ、日本語が上手ですね」
目の前にいたのは、北欧の白人女性だった。
歳は30台かな?
いわゆる外人がそこにいた。
「クライアントに関する話しは出来ませんが、私達の仕事の内容はオープンにします。OK?」
「あ、はい。OK?」
女性の言葉に吊られ、私はつい答えてしまった。
それから彼女が語ったことは、とんでもない事だった。
彼女らの活動は、世界中から優秀な生殖細胞を保管、販売するという仕事だった。
優秀な生殖細胞?
それは、つまり、赤ちゃんの元となるもの。
人の卵子と精子を保管、販売しているというものだ。
しかも、それらを行う提携医師や病院も確保されており、一貫体制が出来ているとか。
日本においては、まだ非合法だが、すでに一部の国では、その活動は合法化されているらしい。
なんて事だ。
という事は、妻は、その優秀な精子か、あるいは受精卵そのものを購入した事になる。
いわゆる買った子供という事だったのだ。
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
解放された私は、電車の中で考えた。
お互いの仕事を高め合う為に結婚した私達。
結婚当初、そこに愛は無かったかもしれない。
だが、私達はそんな物は後付けで付いてくると思っていたし、事実、パートナーとしてお互いを気遣い合いは出来ていたと思う。
たしかに、子供に対して、幻想も執着も最初から薄かったのは事実だ。
たが、当初はちゃんと義務を果たしていたし、彼女からの不満も無かった。
その後のセックスレスは、お互い、仕事を優先した結果であり、その事に対しての不満は彼女から出た事も無かった筈。
「今になって、急に子供が欲しくなったのだろうか?なら、私に何故、相談しない?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
その後、妻に話しを聞けぬまま、出産予定日を向かえ、妻は病院に入院した。
私は、妻の着替えや入院に必要な物を集め、バックに詰め込んだ。
カサッ
妻の貴重品入れの中、妻の保険証探している時、それを発見した。
それは、とあるクリニックへの通院記録だ。
私は、何気なく其れを見て、愕然とする。
それは、7年前の通院記録だ。
それには、こう書かれていた。
『高木亮平▶増精機能障害、正常値1%未満、今後の受精の可能性、極めて困難』
『高木りか▶排卵機能障害、正常値1%未満、今後の排卵の可能性、極めて困難』
なんという事だ。
彼女は、7年も前からこの事を知っていたのだ。
私にも言えず、ずっと一人で悩み続けていたのだ。
私は、そんな妻の気持ちを知らずに、勝手に妻の不義密通を疑い、あまつさえ、その行為の証拠集めに奔走したとんだ愚か者だ。
私は、最低な男だった。
そして、始めて妻の愛を感じたのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
その後私は今後の人生を全て、妻と、生まれてくる子供に捧げようと決心した。
そして……
おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ、おぎゃあ
「お父様、ちゃんと生まれましたよ。3800グラム、立派な女の子です。おめでとうございます。母子ともに元気ですよ!」
「あ、あり、有難う御座います」
私は、ベッドに横になる家内と娘のところに向かう。
結果は、分かっているがそんなもの、関係ない。
二人を、いつまでも愛そう。
そう、決めたのだから。
「あなた」
「よく、頑張った。なんて可愛いいんだ」
だが、年賀状の家族写真は家内と要、相談だな。
しかし、奥さん。
銀髪、碧眼で透き通るような白い肌の赤ちゃん。
間違いなく美少女になるが、いかがなものかな。
はぁ、まあ、構わないが……
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