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10 もう、魔法少女は卒業です。
しおりを挟む◆無理があります。
あれから数年が立ち、すっかり世界は平和になった。
世界を救った魔法少女ラブリーミラーは、ダメダメ団との子供ショー興業が大成功を納め、その資金を元に魔法少女育成委員会(有)(芸能プロダクション)を立ち上げた。
いわゆる、ダメダメ団からの独立である。
そして数年後、その魔法少女育成委員会(有)の初代魔法少女にして、魔法少女育成委員会(有)の社長でもあるラブリーミラーは、その事務所でエンピツを耳に差し、会計書類を眺めて青筋を立てていた。
「何てこと、今月も赤字よ?!どうしてなの!」
「そりゃ、あんたの企画が悪いんじゃね?」
魔法少女レディース▪デスは、ハッカ飴を咥えながら、ふんっ、と鼻息を鳴らした。
ムカッ、怒り目でデスを睨むラブリー。
インテリ細メガネにポニーテール、ビシッ、としたレディーススーツ。
今年で28歳。
四捨五入でほぼアラサーである。
「大体、あんた達が私が用意した衣装を着ないから!」
デスを指差して、指摘するラブリー。
「そんなチャラチャラしたの、着れるかよ。あたしら、硬派なんだぜ。なあ、みんな?」
「そうだ、姉さんの言う通りだぜ!」
「まったくだ!」
魔法少女レディース▪デス。
魔法少女レディース▪クリンチ。
魔法少女レディース▪バイオレンス。
ベレー帽を被り、軍服の上着、足元まで長いロングスカート、黒手袋に黒ブーツ。
髪は、デスが肩までの黒髪ショート。
クリンチが、腰までの金髪ロング。
バイオレンスが茶髪ポニーテール。
およそ、魔法少女ぽくない少女達がそこにいた。
「大体よう、硬派が流行るってんで、あたしらにこの格好させたの、あんたじゃね?言葉使いも更正して、いまさら軟派に振れ?頭腐ってんじゃね、オバサン?」
鼻をほじりながら、ラブリーに管を巻くデス。
ムカッ、バタン。
「でも一時、上手くいったじゃない。あの時は大盛況だったのよ!」
会計書類を強く閉じて、強い口調で言うラブリー。
「ああ、興業初回の一週間は確かに凄かった。会場がほとんど埋めつくされたからな。なあ、クリンチ?」
ベレー帽を弄りながら、横で足を組んで座るクリンチに振るデス。
「でも姉さん?観客のほとんどが暴走族チームで、もの凄い騒音で警ら隊に囲まれたんでしたよね?そうだよな、バイオレンス?」
クリンチは、手鏡を見ながら髪を櫛で整える様にして、バイオレンスに振る。
「そう、そう。それであたしら、半年間の興業禁止を言い渡されて、いざ、ステージ興業始めたけど、規制が強くてファンが来れなくて、お台場のマンション組合からも、無期限の興業中止を言い渡されたやつ?」
バイオレンス、なにやらノートを見ながら、話しをする。
バタンッ
机に突っ伏すラブリーミラー。
頭を抱えている。
「だから、新企画で正統派魔法少女路線で行こう。そう言ったじゃない!そしたら、あんた達が衣装を着ないって駄々捏ねて!1ステージ、駄目にしたの覚えてる?私が出したセリフ台本も捨てちゃうし!」
「セリフ台本?ああ、あの『魔法少女ミラクル▪デスちゃんでーす。どうぞ、宜しくーっ』てやつ?そんなん、有ったっけクリンチ?」
背伸びしながら言う、デス。
「姉さん、あたしも知りませんね。『ミラクル▪クリンチちゃん、頑張りまーす』なんて言えって書いてあるとか、ねぇ、バイオレンス?」
手鏡で口紅を塗っている、クリンチ。
「あ?『ミラクル▪バイオレンスは皆のアイドル。頭ナデナデしてーっ』なんか、知らね」
相変わらず、何かのノートを見ているバイオレンス。
ふと、顔を上げて皆を見渡す。
「ん?その台本、これかも。えーと?『昼も夜も、貴方の事を考えると、ご飯も喉を通りません。愛しい貴方、貴方は私だけのヒーローです』??」
手に持ったノートを読みだすバイオレンス。
「はぁ?なんだ、そりゃ?」
「へぇ、面白そう。そのノート、台本なの?」
デスとクリンチが、バイオレンスの側に行って、ノートを覗き込む。
その時、ラブリーが顔を真っ赤にして、そのノートを慌ててバイオレンスから奪い取る。
「こ、これは、台本じゃありません!読まないで下さい!私の日記です!!!」
それを見た三人、顔を見合せて笑いだした。
「ぷ、それ、オバハンの日記だったの?ちょー受けるんだけど?!」
「『私だけのヒーロー』、ぷくく、可愛いーっ」
「ふふふ、オバさんにも若い頃があったんですね。くふ」
頭から湯気が出始めたラブリー。
真っ赤になって、プルプル震える。
「お、お前ら、今日は帰れーっ!!」
思わず怒鳴るラブリー、三人はどやどやと立ち上がると、皆で扉に向かう。
最後のデスが、振り向いて笑って言った。
「また明日、小塚い貰いに来るぜ」
「早く帰れ!」
エンピツを投げるラブリー、エンピツはデスが閉めたドアに当たって下に落ちた。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
静かになった、魔法少女育成委員会(有)の事務所。
その奥で、一人ラブリーが魔法のロッドを持っていた。
『マジカルカード▪セットUP!ミラクルチェンジ!!』
ロッドに魔法陣カードを差し込み、叫んだ。
【輝く光は正義の心。悪の栄える試し無し。愛と正義の使徒!魔法少女ラブリーミラー!只今、参上!!】
間も無く全身が輝くと、腰まで長いピンク髪をなびかせた、フリフリのミニスカート姿の女性が立っていた。
「ふう…」
目の前の姿見の前で、自分の姿を見ながら、ため息をする女性。
カランッ
ロッドが床に落ちる。
「いや、やっぱりあの子達の代役は、私には無理!」
キツイ衣装の胴回りを気にしながら、座り込むラブリー。
魔法少女ならぬ、魔法アラサー、ラブリーミラーには、ファンの落胆が脳裏に浮かんだ。
だが、明日までにあの三人を更正出来なければ、ステージに穴が空き、また、借金が増える。
「やはり、使わざる負えないか」
ラブリーは引き出しから、一枚の小切手を取り出した。
この小切手、昔、ラブリーがダメダメ団の幹部だった頃、ステージの売り上げ金をラブリーのミスで盗まれた事があり、その時、常連にしていた焼き鳥屋の店主に、出世払いでいいからと、盗まれた売り上げ金補てん用に、渡された小切手だった。
結局、ダメダメ団から請求されず、小切手を返そうとしたが、いつもの場所に焼き鳥屋はなかった。
それ以来、店主に会えず、焼き鳥屋が戻る事もなかった為、ずっと手元に持っていたのだ。
ラブリーは、小切手を拝んだ。
「ごめんなさい、おやじさん。使わせて貰います!」
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
ダメダメ団はラブリー独立後、何処と知れずに消えていた。
◆ある元、悪の組織幹部証言。
『ダメダメ団?ああ、あいつら俺たち、ニコちゃんワッペン党や悪の宇宙人、他の悪の秘密組織をぶっ潰して回ってたんだぜ。たくよう、悪の秘密結社の風上にもおけない正義ぶりだぜ。なんでも可愛い女幹部が苦労しないように世界を平和にするんだと。馬鹿だね、あいつら。金にもならねぇのによ。それでよ、ほとんどの怪人は他の悪の組織を潰した時に差し違って全滅。親玉の❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マンも行方知れずだぜ。悪の組織の末路としては、とんでもない聖人ブリだぜ。俺?いや、もう整理券の偽造や、行列に割って入るのは止めたよ。あいつとの約束だからな』
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
その後、小切手で必要経費と魔法少女育成委員会(有)を清算し、三人のレディース魔法少女達に、最後の給与を渡すラブリー。
「お姉さん、その、なんだ。いろいろ、有難うな。なんか、大手プロダクションに転籍させて貰った上に、こんなに餞別まで貰って」
デスが申し訳なさげに、頭を下げる。
クリンチやバイオレンスも、デスに倣って頭を下げた。
「いいのよ。いろいろ私の責任でもあるし、貴女達には幸せになってほしいから」
ラブリーは、ニッコリ笑うと、三人に言った。
「私も、一からやり直して頑張ります。でも、必ず幸せになって見せます。だから、貴女達も頑張って幸せになろう!」
「「「お姉さん!!!」」」
4人は、しばらく抱き合っていたという。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
ここは、お台場特設ステージが有った所だ。
すでに施設は、撤去されていた。
お台場の海岸を一人歩くラブリーミラー。
彼女がかつて、世界を救った魔法少女だと知る者はもういない。
世界はとんでもなく平和になった。
もはや魔法少女が正義の為に自身を犠牲にして活躍する必要はないだろう。
あとはラブリーが幸せを掴む番だ。
ふと、一陣の風が海岸に舞った。
ラブリーの髪が乱れ、風上を振り返る。
すると、アクアシティ二階展望デッキに数人の人影がある。
その人影は❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マン、怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫、怪人❪とっとこハムレット❫、怪人❪コブラ大使マン❫、そして、黒タイツ達。
皆ラブリーに、にこやかに手を振っている。
「み、皆??!」
思わず叫ぶ、ラブリー。
だがラブリーが目を凝すと、その人影は蜃気楼の様に消えていった。
それを見たラブリー、目から一雫の涙が落ちる。
「有難う。皆!私、必ず幸せになるよ。だから、ずっと見ていてね!」
天気は、久方ぶりの日本晴れだった。
fin
あれから数年が立ち、すっかり世界は平和になった。
世界を救った魔法少女ラブリーミラーは、ダメダメ団との子供ショー興業が大成功を納め、その資金を元に魔法少女育成委員会(有)(芸能プロダクション)を立ち上げた。
いわゆる、ダメダメ団からの独立である。
そして数年後、その魔法少女育成委員会(有)の初代魔法少女にして、魔法少女育成委員会(有)の社長でもあるラブリーミラーは、その事務所でエンピツを耳に差し、会計書類を眺めて青筋を立てていた。
「何てこと、今月も赤字よ?!どうしてなの!」
「そりゃ、あんたの企画が悪いんじゃね?」
魔法少女レディース▪デスは、ハッカ飴を咥えながら、ふんっ、と鼻息を鳴らした。
ムカッ、怒り目でデスを睨むラブリー。
インテリ細メガネにポニーテール、ビシッ、としたレディーススーツ。
今年で28歳。
四捨五入でほぼアラサーである。
「大体、あんた達が私が用意した衣装を着ないから!」
デスを指差して、指摘するラブリー。
「そんなチャラチャラしたの、着れるかよ。あたしら、硬派なんだぜ。なあ、みんな?」
「そうだ、姉さんの言う通りだぜ!」
「まったくだ!」
魔法少女レディース▪デス。
魔法少女レディース▪クリンチ。
魔法少女レディース▪バイオレンス。
ベレー帽を被り、軍服の上着、足元まで長いロングスカート、黒手袋に黒ブーツ。
髪は、デスが肩までの黒髪ショート。
クリンチが、腰までの金髪ロング。
バイオレンスが茶髪ポニーテール。
およそ、魔法少女ぽくない少女達がそこにいた。
「大体よう、硬派が流行るってんで、あたしらにこの格好させたの、あんたじゃね?言葉使いも更正して、いまさら軟派に振れ?頭腐ってんじゃね、オバサン?」
鼻をほじりながら、ラブリーに管を巻くデス。
ムカッ、バタン。
「でも一時、上手くいったじゃない。あの時は大盛況だったのよ!」
会計書類を強く閉じて、強い口調で言うラブリー。
「ああ、興業初回の一週間は確かに凄かった。会場がほとんど埋めつくされたからな。なあ、クリンチ?」
ベレー帽を弄りながら、横で足を組んで座るクリンチに振るデス。
「でも姉さん?観客のほとんどが暴走族チームで、もの凄い騒音で警ら隊に囲まれたんでしたよね?そうだよな、バイオレンス?」
クリンチは、手鏡を見ながら髪を櫛で整える様にして、バイオレンスに振る。
「そう、そう。それであたしら、半年間の興業禁止を言い渡されて、いざ、ステージ興業始めたけど、規制が強くてファンが来れなくて、お台場のマンション組合からも、無期限の興業中止を言い渡されたやつ?」
バイオレンス、なにやらノートを見ながら、話しをする。
バタンッ
机に突っ伏すラブリーミラー。
頭を抱えている。
「だから、新企画で正統派魔法少女路線で行こう。そう言ったじゃない!そしたら、あんた達が衣装を着ないって駄々捏ねて!1ステージ、駄目にしたの覚えてる?私が出したセリフ台本も捨てちゃうし!」
「セリフ台本?ああ、あの『魔法少女ミラクル▪デスちゃんでーす。どうぞ、宜しくーっ』てやつ?そんなん、有ったっけクリンチ?」
背伸びしながら言う、デス。
「姉さん、あたしも知りませんね。『ミラクル▪クリンチちゃん、頑張りまーす』なんて言えって書いてあるとか、ねぇ、バイオレンス?」
手鏡で口紅を塗っている、クリンチ。
「あ?『ミラクル▪バイオレンスは皆のアイドル。頭ナデナデしてーっ』なんか、知らね」
相変わらず、何かのノートを見ているバイオレンス。
ふと、顔を上げて皆を見渡す。
「ん?その台本、これかも。えーと?『昼も夜も、貴方の事を考えると、ご飯も喉を通りません。愛しい貴方、貴方は私だけのヒーローです』??」
手に持ったノートを読みだすバイオレンス。
「はぁ?なんだ、そりゃ?」
「へぇ、面白そう。そのノート、台本なの?」
デスとクリンチが、バイオレンスの側に行って、ノートを覗き込む。
その時、ラブリーが顔を真っ赤にして、そのノートを慌ててバイオレンスから奪い取る。
「こ、これは、台本じゃありません!読まないで下さい!私の日記です!!!」
それを見た三人、顔を見合せて笑いだした。
「ぷ、それ、オバハンの日記だったの?ちょー受けるんだけど?!」
「『私だけのヒーロー』、ぷくく、可愛いーっ」
「ふふふ、オバさんにも若い頃があったんですね。くふ」
頭から湯気が出始めたラブリー。
真っ赤になって、プルプル震える。
「お、お前ら、今日は帰れーっ!!」
思わず怒鳴るラブリー、三人はどやどやと立ち上がると、皆で扉に向かう。
最後のデスが、振り向いて笑って言った。
「また明日、小塚い貰いに来るぜ」
「早く帰れ!」
エンピツを投げるラブリー、エンピツはデスが閉めたドアに当たって下に落ちた。
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静かになった、魔法少女育成委員会(有)の事務所。
その奥で、一人ラブリーが魔法のロッドを持っていた。
『マジカルカード▪セットUP!ミラクルチェンジ!!』
ロッドに魔法陣カードを差し込み、叫んだ。
【輝く光は正義の心。悪の栄える試し無し。愛と正義の使徒!魔法少女ラブリーミラー!只今、参上!!】
間も無く全身が輝くと、腰まで長いピンク髪をなびかせた、フリフリのミニスカート姿の女性が立っていた。
「ふう…」
目の前の姿見の前で、自分の姿を見ながら、ため息をする女性。
カランッ
ロッドが床に落ちる。
「いや、やっぱりあの子達の代役は、私には無理!」
キツイ衣装の胴回りを気にしながら、座り込むラブリー。
魔法少女ならぬ、魔法アラサー、ラブリーミラーには、ファンの落胆が脳裏に浮かんだ。
だが、明日までにあの三人を更正出来なければ、ステージに穴が空き、また、借金が増える。
「やはり、使わざる負えないか」
ラブリーは引き出しから、一枚の小切手を取り出した。
この小切手、昔、ラブリーがダメダメ団の幹部だった頃、ステージの売り上げ金をラブリーのミスで盗まれた事があり、その時、常連にしていた焼き鳥屋の店主に、出世払いでいいからと、盗まれた売り上げ金補てん用に、渡された小切手だった。
結局、ダメダメ団から請求されず、小切手を返そうとしたが、いつもの場所に焼き鳥屋はなかった。
それ以来、店主に会えず、焼き鳥屋が戻る事もなかった為、ずっと手元に持っていたのだ。
ラブリーは、小切手を拝んだ。
「ごめんなさい、おやじさん。使わせて貰います!」
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ダメダメ団はラブリー独立後、何処と知れずに消えていた。
◆ある元、悪の組織幹部証言。
『ダメダメ団?ああ、あいつら俺たち、ニコちゃんワッペン党や悪の宇宙人、他の悪の秘密組織をぶっ潰して回ってたんだぜ。たくよう、悪の秘密結社の風上にもおけない正義ぶりだぜ。なんでも可愛い女幹部が苦労しないように世界を平和にするんだと。馬鹿だね、あいつら。金にもならねぇのによ。それでよ、ほとんどの怪人は他の悪の組織を潰した時に差し違って全滅。親玉の❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マンも行方知れずだぜ。悪の組織の末路としては、とんでもない聖人ブリだぜ。俺?いや、もう整理券の偽造や、行列に割って入るのは止めたよ。あいつとの約束だからな』
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その後、小切手で必要経費と魔法少女育成委員会(有)を清算し、三人のレディース魔法少女達に、最後の給与を渡すラブリー。
「お姉さん、その、なんだ。いろいろ、有難うな。なんか、大手プロダクションに転籍させて貰った上に、こんなに餞別まで貰って」
デスが申し訳なさげに、頭を下げる。
クリンチやバイオレンスも、デスに倣って頭を下げた。
「いいのよ。いろいろ私の責任でもあるし、貴女達には幸せになってほしいから」
ラブリーは、ニッコリ笑うと、三人に言った。
「私も、一からやり直して頑張ります。でも、必ず幸せになって見せます。だから、貴女達も頑張って幸せになろう!」
「「「お姉さん!!!」」」
4人は、しばらく抱き合っていたという。
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ここは、お台場特設ステージが有った所だ。
すでに施設は、撤去されていた。
お台場の海岸を一人歩くラブリーミラー。
彼女がかつて、世界を救った魔法少女だと知る者はもういない。
世界はとんでもなく平和になった。
もはや魔法少女が正義の為に自身を犠牲にして活躍する必要はないだろう。
あとはラブリーが幸せを掴む番だ。
ふと、一陣の風が海岸に舞った。
ラブリーの髪が乱れ、風上を振り返る。
すると、アクアシティ二階展望デッキに数人の人影がある。
その人影は❪着てるよ裸じゃないよ王様だよ❫マン、怪人❪モモンガだよ、こんにちわ❫、怪人❪とっとこハムレット❫、怪人❪コブラ大使マン❫、そして、黒タイツ達。
皆ラブリーに、にこやかに手を振っている。
「み、皆??!」
思わず叫ぶ、ラブリー。
だがラブリーが目を凝すと、その人影は蜃気楼の様に消えていった。
それを見たラブリー、目から一雫の涙が落ちる。
「有難う。皆!私、必ず幸せになるよ。だから、ずっと見ていてね!」
天気は、久方ぶりの日本晴れだった。
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