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第2話 怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫
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◆お台場フジ山テレビ
一階ステージ
「姉御、何かありました?」
レディース▪デスが浮かない顔をしているので、クリンチが聞いた。
「あ?ああ、わりぃ皆。耳がうるさくてね。ちょっと、行ってくるわ」
「姉御、1人で大丈夫ですか?」
「姉御!」
心配する二人を横目に、ステージを飛び降りるデス。
魔法少女レディース▪デス、特殊能力、デス◇イヤーだ。(魔法か?)
「大丈夫だ。ちょっと、殺ってくる」
デスはウインクすると、そのまま走りだす。
「え?ちょっと、デス!どうしたの!?」
未来が慌ててデスを呼ぶが、あっというまに行ってしまった。
「姉さん、大丈夫だ。いつもの悪党退治さ」
「ああ、姉御の近くで悪事を働くなんて、馬鹿な奴だ」
クリンチとバイオレンスが、心配する未来に状況を説明する。
未来は、ガクッと頭を垂れた。
「っ、あの人達が悪者を一掃してくれた筈なのに、また出てきたのね…」
未来は眉間にシワを寄せ、嫌な顔をした。
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「デス◇ウイング!」(魔法か??)
ここは、フジ山テレビの屋上。
レディース▪デスが手を広げ、叫んだ。
バサッ
突然、レディース▪デスの背中から現れる大きなコウモリの羽根。
デスは羽根を広げると、頭から真っ逆さまに屋上から落ちる。
ギュンッ
落ちながらグライダーのように、揚力を得て反転上昇、一気に高度をあげるレディース▪デス。
直ぐに、ある一点を睨む。
「あそこか!」
レディース▪デスが睨む先、一台の黄色い幼稚園バスがある。
そのバスは、人気のない海沿いの道路に停車し、動く気配はない。
この辺りに幼稚園は無く、その存在はあまりにも不自然だ。
シュタンッ
近くの建物の影に降りた、レディース▪デス。
羽根を引っ込め、早足でバスに近づく。
そしてバスに背を預けて立ち、中の様子を伺う。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
「眼が痒いのよ!どうなっているの?政府から何の連絡もないわ。お前達、ちゃんと連絡したの!?」
一頭身、おばさん顔の怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫が痺れを切らして叫んだ。
「「「「「「「「わ~ん」」」」」」」」
それに驚いた子供達が泣きわめく。
運転手と付き添い女性が子供達をなだめて静かにさせようとするが、中々泣き止まない。
「眼が痒いのよ!子供達がうるさくて、鼻水がでそうよ!静かにさせて!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫がイライラして、頭から湯気が出ている。
その時、部下のクエスチョン黒覆面の1人が、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫にプラカードを掲げた。
「何、何なのよ?」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、部下のクエスチョン黒覆面のプラカードを見る。
『さきほど、要望書をポストに投函しました。返事待ちです』
「はいぃ?!なんで郵送?あんた達、馬鹿なの!?」
充血した目を見開き、頭を抱えて叫ぶ、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫の言葉に、クエスチョン黒覆面達は、オロオロするばかりだ。
その時、幼稚園バスの正面に、1人の少女が現れた。
「悪人共!そこまでだ!」
「何なの、何なの、何なの!あとから、あとから、問題ばかり?!眼が痒いのよ!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、むしゃくしゃしながら、部下のクエスチョン黒覆面達と幼稚園バスをぞろぞろ降りてくる。
その時、レディース▪デスの赤い目が光り、シャキーンと立てた右手親指を下に向けた。
「この世の生き血をすすり、人に災いなす悪鬼ども!この魔法少女レディース▪デス。月に代わってブッ殺す!!」
其れを見た怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、部下のクエスチョン黒覆面達と笑いだす。
「眼が痒いのよ!ブワハハハ、げほん、げほん。小娘1人で何ができるのよ?笑わせるわ。鼻水がでるじゃないの!」
「うるせい、この【ゆるキャラもどき】が!ブッ殺す!」
ビシッ、と指差して叫ぶレディース▪デス。
言われた怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、一瞬ボケっとするが、言われた内容に気づくと、頭から湯気を出して怒りだす。
「はあ?わ、私を【ゆるキャラもどき】ですってーっ!?許さないわ。お前達、やっておしまい!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫に指示された、部下のクエスチョン黒覆面達。
わらわらわらと、レディース▪デスを取り囲む。
「謝るなら、今の内よ!」
叫ぶ、ゆるキャラもどき!
いや、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「はん、一昨日来やがれ。デス◇サンダーブラスト!」
レディース▪デスが天に指を翳すと、天空が一瞬でかき曇り、雷鳴とともにカミナリが、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫達に落ちる。
ビカビカ、ガガーリン。
(地球は、青かった)
「あ、ぎゃああああ?!」
「「「「「「…………!!!?」」」」」」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、カミナリに打たれ、鼻水を撒き散らしながら倒れる。
部下のクエスチョン黒覆面達は、無口のまま倒れる。
(なんか喋れ!)
レディース▪デス、一気に数十メートル下がると、一言。
「汚ねぇ?!」
ぶるぶるぶるっ
痺れながら、必死に起きあがろうとする怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「眼が痒いのよ!何なの、何なの、何なの!わ、私は皆の為に、杉の伐採を国にお願いするつもりだった。私は正義よ!貴女!今、この日本でどれだけの人が花粉症で苦しんでいるか知ってる?日本人の4人に1人よ!私を邪魔した貴女は、その人達が幸せになるのを邪魔したのよ!分かってるの?」
レディース▪デスは、ふんっ、と、鼻をならした。
「そういうのを、独りよがりっていうんだ。なあ?、杉の木を伐採して、花粉症が治ると思ってるのか?アレルギー物質はスギ花粉だけじゃないぞ。それに、お前がやろうとしている事は、皆の助けになるどころか、百害あって一利なしだ」
「はあ?なにを根拠に!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、怒りで耳と鼻からも機関車のように、白い湯気が噴出している。
「たしかにお前が言う通り、杉の木を徹底的に伐採すれば、スギ花粉はかなり抑えられるかも知れない。あれは人災だからな。1950年~1970年にかけての植林が原因だ。花粉を飛散させるスギは人為的に植えられてきた。 スギ人工林の面積は450万ヘクタール。 国土3780万ヘクタールのうち12%もの面積が、ヒトの手によって花粉生産工場に変えられてしまっている」
「それみなさい!やっぱり、私は正義なのよ!!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、シテヤッタリとした顔をして、自慢気に言った。
「まだ話しは終わってない。その450万ヘクタールもの人工林が、ただのはげ山になるんだ。どうなると思う?」
レディース▪デスは、思慮深く空を見上げながら言った。
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、皮肉顔で言う。
「眼が痒いのよ!知った事ではないわよ、私は花粉症が無くなればいいのだからね!」
その言葉にギロッと睨むレディース▪デス。
その迫力に、タジタジと引き下がる怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「だから、独りよがりだと言っている。山は植物群落によってその表土が抑えられ、一定レベルの治水効果を保っている。しかしそれが、はげ山ばかりになり、さらに人口密集地など高度な土地利用が行われている地域の上流部に点在した場合には、流出土砂による天井川の発生、港湾の埋没、土砂災害の発生など地域経済に深刻な影響を及ぼすんだ。お前達がやろうとしている事は、新たな災害を引き起こす温床を作る事に他ならない!」
ビシッと、レディース▪デスに指差しされた、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
その充血した目を大きく見開いて、膝をついた。
「そ、そんな、わ、私はただ、花粉症を無くし、苦しんでいる人々を救いたいだけなのに、私の行いが新たな災害を引き起こす温床になってしまうというの?そんな、そんな」
ふうっ、レディース▪デスは、ため息をついて、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫に言う。
「何事も、性急な独りよがりな対応では駄目だって事だ。時間がかかっても、行政や地域の山を管理している所に働きかけ、別の樹木に植え替えをお願いするんだ。そういった取り組みは、すでに全国で試みられている。花粉の少ないヒノキや、無花粉杉の植林事業が始まっているんだ。時間はかかるが、最善の方法だからな」
それを聞いた怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、目をキラキラさせて、レディース▪デスを見た。
「眼が痒いのよ!けど、分かったわ!私、これからボランティアで植林事業を手伝いに行くわ!ね?貴女も素敵だと思うでしょ?」
ず、ずいとレディース▪デスに迫り、その手を取ってにこやかに笑う、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「お、おう!?す、素敵だな?」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫のあまりの熱意に、のけ反る魔法少女レディース▪デス。
ファンッファンッファンッファンッ
『そこの幼稚園バスジャック犯、直に両手を上げて止まりなさい』
そこに突然、数台のパトカーが現れ、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫一味を包囲する。
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、それを見ながら手を上げてレディース▪デスに言った。
「貴女に会えて良かったわ。私、取り返しのつかない事をしてしまうところだった。有難う。貴女のお陰ね。身体を綺麗にしたら、ボランティアに身を投じて植林事業を頑張ります。本当に有難う」
「あーっ、い、いや、あたしは当たり前の事を言っただけだからっ」
清々しくらい、にこやかに笑う怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫に、ちょっと顔を赤らめながら言った魔法少女レディース▪デス。
流石の彼女も、素直に謝られると何か恥ずかしい様だ。
こうして、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫一味による全国杉の木伐採計画?は、魔法少女レディース▪デスのお陰で未然に防がれた。
だがまた、新たな怪人が事件を引き起こすかも知れない。
魔法少女隊の活動に、休暇は許されないのだ。
頑張れ、魔法少女隊。
魔法少女レディース▪デス。
魔法少女レディース▪クリンチ。
魔法少女レディース▪バイオレンス。
悪人がこの世にいる限り、魔法少女隊は善良な人々を守るのだ。
戦え、魔法少女隊。
頑張れ、魔法少女隊。
地球は1つ、地球は1つ。
オーっ、魔法少女隊、魔法少女隊ーっ!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ここは、都内の某所。
「ふぇっ、ふぇっ、ふぇっ、お代官さま、これでうちの息子を『超有名じゃん大学』に入れてくだされ」
「ふっ、ふっ、ふっ紀伊国屋与平よ。お前も罪な奴よのぅ。あい、分かった。大船に乗ったつもりで待つが良いでおじゃるよ」
そう言って、菓子折りに入いった諭吉を数える男。
その姿は、ちょんまげをした白粉顔だ。
だが、実は怪人である。
怪人❪裏口入学斡旋マン❫
果たして次なる怪人とは?
魔法少女隊の運命は?
謎が謎を呼ぶ、壮大なスペクタクルロマン。
次回は、一体どうなるのか。
そもそも、次回があるのか?
星とPV次第でどうとでもなる物語。
つづく?
一階ステージ
「姉御、何かありました?」
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「あ?ああ、わりぃ皆。耳がうるさくてね。ちょっと、行ってくるわ」
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「姉御!」
心配する二人を横目に、ステージを飛び降りるデス。
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「大丈夫だ。ちょっと、殺ってくる」
デスはウインクすると、そのまま走りだす。
「え?ちょっと、デス!どうしたの!?」
未来が慌ててデスを呼ぶが、あっというまに行ってしまった。
「姉さん、大丈夫だ。いつもの悪党退治さ」
「ああ、姉御の近くで悪事を働くなんて、馬鹿な奴だ」
クリンチとバイオレンスが、心配する未来に状況を説明する。
未来は、ガクッと頭を垂れた。
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未来は眉間にシワを寄せ、嫌な顔をした。
◆◆◆◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「デス◇ウイング!」(魔法か??)
ここは、フジ山テレビの屋上。
レディース▪デスが手を広げ、叫んだ。
バサッ
突然、レディース▪デスの背中から現れる大きなコウモリの羽根。
デスは羽根を広げると、頭から真っ逆さまに屋上から落ちる。
ギュンッ
落ちながらグライダーのように、揚力を得て反転上昇、一気に高度をあげるレディース▪デス。
直ぐに、ある一点を睨む。
「あそこか!」
レディース▪デスが睨む先、一台の黄色い幼稚園バスがある。
そのバスは、人気のない海沿いの道路に停車し、動く気配はない。
この辺りに幼稚園は無く、その存在はあまりにも不自然だ。
シュタンッ
近くの建物の影に降りた、レディース▪デス。
羽根を引っ込め、早足でバスに近づく。
そしてバスに背を預けて立ち、中の様子を伺う。
▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩▩
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一頭身、おばさん顔の怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫が痺れを切らして叫んだ。
「「「「「「「「わ~ん」」」」」」」」
それに驚いた子供達が泣きわめく。
運転手と付き添い女性が子供達をなだめて静かにさせようとするが、中々泣き止まない。
「眼が痒いのよ!子供達がうるさくて、鼻水がでそうよ!静かにさせて!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫がイライラして、頭から湯気が出ている。
その時、部下のクエスチョン黒覆面の1人が、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫にプラカードを掲げた。
「何、何なのよ?」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、部下のクエスチョン黒覆面のプラカードを見る。
『さきほど、要望書をポストに投函しました。返事待ちです』
「はいぃ?!なんで郵送?あんた達、馬鹿なの!?」
充血した目を見開き、頭を抱えて叫ぶ、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫の言葉に、クエスチョン黒覆面達は、オロオロするばかりだ。
その時、幼稚園バスの正面に、1人の少女が現れた。
「悪人共!そこまでだ!」
「何なの、何なの、何なの!あとから、あとから、問題ばかり?!眼が痒いのよ!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、むしゃくしゃしながら、部下のクエスチョン黒覆面達と幼稚園バスをぞろぞろ降りてくる。
その時、レディース▪デスの赤い目が光り、シャキーンと立てた右手親指を下に向けた。
「この世の生き血をすすり、人に災いなす悪鬼ども!この魔法少女レディース▪デス。月に代わってブッ殺す!!」
其れを見た怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、部下のクエスチョン黒覆面達と笑いだす。
「眼が痒いのよ!ブワハハハ、げほん、げほん。小娘1人で何ができるのよ?笑わせるわ。鼻水がでるじゃないの!」
「うるせい、この【ゆるキャラもどき】が!ブッ殺す!」
ビシッ、と指差して叫ぶレディース▪デス。
言われた怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、一瞬ボケっとするが、言われた内容に気づくと、頭から湯気を出して怒りだす。
「はあ?わ、私を【ゆるキャラもどき】ですってーっ!?許さないわ。お前達、やっておしまい!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫に指示された、部下のクエスチョン黒覆面達。
わらわらわらと、レディース▪デスを取り囲む。
「謝るなら、今の内よ!」
叫ぶ、ゆるキャラもどき!
いや、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「はん、一昨日来やがれ。デス◇サンダーブラスト!」
レディース▪デスが天に指を翳すと、天空が一瞬でかき曇り、雷鳴とともにカミナリが、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫達に落ちる。
ビカビカ、ガガーリン。
(地球は、青かった)
「あ、ぎゃああああ?!」
「「「「「「…………!!!?」」」」」」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、カミナリに打たれ、鼻水を撒き散らしながら倒れる。
部下のクエスチョン黒覆面達は、無口のまま倒れる。
(なんか喋れ!)
レディース▪デス、一気に数十メートル下がると、一言。
「汚ねぇ?!」
ぶるぶるぶるっ
痺れながら、必死に起きあがろうとする怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「眼が痒いのよ!何なの、何なの、何なの!わ、私は皆の為に、杉の伐採を国にお願いするつもりだった。私は正義よ!貴女!今、この日本でどれだけの人が花粉症で苦しんでいるか知ってる?日本人の4人に1人よ!私を邪魔した貴女は、その人達が幸せになるのを邪魔したのよ!分かってるの?」
レディース▪デスは、ふんっ、と、鼻をならした。
「そういうのを、独りよがりっていうんだ。なあ?、杉の木を伐採して、花粉症が治ると思ってるのか?アレルギー物質はスギ花粉だけじゃないぞ。それに、お前がやろうとしている事は、皆の助けになるどころか、百害あって一利なしだ」
「はあ?なにを根拠に!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、怒りで耳と鼻からも機関車のように、白い湯気が噴出している。
「たしかにお前が言う通り、杉の木を徹底的に伐採すれば、スギ花粉はかなり抑えられるかも知れない。あれは人災だからな。1950年~1970年にかけての植林が原因だ。花粉を飛散させるスギは人為的に植えられてきた。 スギ人工林の面積は450万ヘクタール。 国土3780万ヘクタールのうち12%もの面積が、ヒトの手によって花粉生産工場に変えられてしまっている」
「それみなさい!やっぱり、私は正義なのよ!!」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、シテヤッタリとした顔をして、自慢気に言った。
「まだ話しは終わってない。その450万ヘクタールもの人工林が、ただのはげ山になるんだ。どうなると思う?」
レディース▪デスは、思慮深く空を見上げながら言った。
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、皮肉顔で言う。
「眼が痒いのよ!知った事ではないわよ、私は花粉症が無くなればいいのだからね!」
その言葉にギロッと睨むレディース▪デス。
その迫力に、タジタジと引き下がる怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「だから、独りよがりだと言っている。山は植物群落によってその表土が抑えられ、一定レベルの治水効果を保っている。しかしそれが、はげ山ばかりになり、さらに人口密集地など高度な土地利用が行われている地域の上流部に点在した場合には、流出土砂による天井川の発生、港湾の埋没、土砂災害の発生など地域経済に深刻な影響を及ぼすんだ。お前達がやろうとしている事は、新たな災害を引き起こす温床を作る事に他ならない!」
ビシッと、レディース▪デスに指差しされた、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
その充血した目を大きく見開いて、膝をついた。
「そ、そんな、わ、私はただ、花粉症を無くし、苦しんでいる人々を救いたいだけなのに、私の行いが新たな災害を引き起こす温床になってしまうというの?そんな、そんな」
ふうっ、レディース▪デスは、ため息をついて、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫に言う。
「何事も、性急な独りよがりな対応では駄目だって事だ。時間がかかっても、行政や地域の山を管理している所に働きかけ、別の樹木に植え替えをお願いするんだ。そういった取り組みは、すでに全国で試みられている。花粉の少ないヒノキや、無花粉杉の植林事業が始まっているんだ。時間はかかるが、最善の方法だからな」
それを聞いた怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫、目をキラキラさせて、レディース▪デスを見た。
「眼が痒いのよ!けど、分かったわ!私、これからボランティアで植林事業を手伝いに行くわ!ね?貴女も素敵だと思うでしょ?」
ず、ずいとレディース▪デスに迫り、その手を取ってにこやかに笑う、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫。
「お、おう!?す、素敵だな?」
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫のあまりの熱意に、のけ反る魔法少女レディース▪デス。
ファンッファンッファンッファンッ
『そこの幼稚園バスジャック犯、直に両手を上げて止まりなさい』
そこに突然、数台のパトカーが現れ、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫一味を包囲する。
怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫は、それを見ながら手を上げてレディース▪デスに言った。
「貴女に会えて良かったわ。私、取り返しのつかない事をしてしまうところだった。有難う。貴女のお陰ね。身体を綺麗にしたら、ボランティアに身を投じて植林事業を頑張ります。本当に有難う」
「あーっ、い、いや、あたしは当たり前の事を言っただけだからっ」
清々しくらい、にこやかに笑う怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫に、ちょっと顔を赤らめながら言った魔法少女レディース▪デス。
流石の彼女も、素直に謝られると何か恥ずかしい様だ。
こうして、怪人❪杉花粉は目が痒いマン❫一味による全国杉の木伐採計画?は、魔法少女レディース▪デスのお陰で未然に防がれた。
だがまた、新たな怪人が事件を引き起こすかも知れない。
魔法少女隊の活動に、休暇は許されないのだ。
頑張れ、魔法少女隊。
魔法少女レディース▪デス。
魔法少女レディース▪クリンチ。
魔法少女レディース▪バイオレンス。
悪人がこの世にいる限り、魔法少女隊は善良な人々を守るのだ。
戦え、魔法少女隊。
頑張れ、魔法少女隊。
地球は1つ、地球は1つ。
オーっ、魔法少女隊、魔法少女隊ーっ!
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
ここは、都内の某所。
「ふぇっ、ふぇっ、ふぇっ、お代官さま、これでうちの息子を『超有名じゃん大学』に入れてくだされ」
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そう言って、菓子折りに入いった諭吉を数える男。
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だが、実は怪人である。
怪人❪裏口入学斡旋マン❫
果たして次なる怪人とは?
魔法少女隊の運命は?
謎が謎を呼ぶ、壮大なスペクタクルロマン。
次回は、一体どうなるのか。
そもそも、次回があるのか?
星とPV次第でどうとでもなる物語。
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❓第3回キャラ文芸大賞にエントリーしました❓
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キャラ文芸
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神木家の双子の妹弟・華と蓮には"絶世の美男子"と言われるほどの金髪碧眼な『兄』がいる。
美人でカッコよくて、その上優しいお兄ちゃんは、常にみんなの人気者!
だけど、そんな兄には、何故か彼女がいなかった。
幼い頃に母を亡くし、いつも母親代わりだったお兄ちゃん。もしかして、お兄ちゃんが彼女が作らないのは自分達のせい?!
そう思った華と蓮は、兄のためにも自立することを決意する。
だけど、このお兄ちゃん。実は、家族しか愛せない超拗らせた兄だった!
これは、モテまくってるくせに家族しか愛せない美人すぎるお兄ちゃんと、兄離れしたいけど、なかなか出来ない双子の妹弟が繰り広げる、甘くて優しくて、ちょっぴり切ない愛と絆のハートフルラブ(家族愛)コメディ。
果たして、家族しか愛せないお兄ちゃんに、恋人ができる日はくるのか?
これは、美人すぎるお兄ちゃんがいる神木一家の、波乱万丈な日々を綴った物語である。
***
イラストは、全て自作です。
カクヨムにて、先行連載中。
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