【完結】未来から来た私がもたらしたもの

ぅ→。

文字の大きさ
上 下
2 / 19

02

しおりを挟む
一晩中、麗奈と話し合った。

「そろそろ、時間ね」
「……そうだな」

麗奈は服から何かを取り出した。

「これ、持っていて。あとはこれは貴方に」
「これは?」
「ピストルとスマフォ、あとはこれね」

スマフォは3台持ってるのだという。悪の組織の連絡用、元の組織との連絡用、あとは秘密のスマフォだと。

「これはね。沖田総司に使って」
「沖田に?」
「これは、どんな感染症でも防ぐ薬よ」

人体実験はまだだけど、効果はあるという。沖田は労咳がかかるから、それを防ぐためだという。

八木邸からもらってきた着物を麗奈に渡した。

麗奈は手付きよく着替える。髪を上げ結った姿は色気が増した。

「さぁ。行きましょう」
「……ああ」

麗奈を遊郭に連れていく。手を繋いで歩いた。

「麗奈、必ず迎えに行く」
「……ありがとう」

麗奈は柔らかく微笑む。遊郭に着き、女将さんに話を通した。

「何とべっぴんさんだい?ほんまにええのかい?」
「はい。よろしくお願いします」

それじゃこちらへおいでと女将さんに麗奈が連れていかれた。その姿を俺ば拳を握り見送る。

好いた女一人守れなくて、何が武士だ。何が壬生浪士組だ。何が誠だ?

屯所に戻り、土方副長に報告した。

「この先、どうなさるおつもりで?」
「まずは公方様の病を治す」

土方副長はスマフォを隊士が拾ったことにし、局長に報告したとのこと。天からの贈り物として会津藩主松平容保公に渡して公方様に献上するという筋書きらしい。

麗奈の存在はとことん隠すようだ。

「斎藤、お前は今度の大阪行きに同行しろ」

そして山南副長を守れと厳命される。山南副長はこの時の怪我で二度と刀を持てなくなるという。

山南副長が怪我するのは俺も嫌なので承諾する。部屋に戻りすまふぉを見てこの組について調べた。そうしてると麗奈からラインが届く。京言葉が難しくて大変だと。それ以外が順調だとある。俺たちは密かにやりとりしていた。俺がすまふぉを持ってるのは土方副長は知らない。

「一くんも大阪行き一緒なんですね~」

道中、沖田が絡んできたが適当にあしらっておく。

「天女さんのこと~、どう思います~。僕、今回ばかりは土方さんに賛同出来ないのですよね~」

それは同感だ。女子おなごを使うなんて武士道に反する。

「うっかり近藤先生に言っちゃいそうです~」

そんなことをしたら、土方副長の雷が落ちるぞ?だけど、それもありかもしれんな。

大阪に着き、公方様の護衛の任にあたる。

だけど、俺に目的は山南副長を守ること。

岩城升屋にて不定浪士が押し入ってるところに山南副長、土方副長と斬り込む。敵を斬りながら山南副長に注意する。山南副長が斬られそうになったところを山南副長を押して俺が斬り伏せた。

「斎藤君、助かりました」
「いえ」

貴方にはまだまだ働いてもらわなければならない。あの土方副長を止める相手になってもらいたい。

それ以降は事件もなく屯所に戻った。

すまふぉを見ると、歴史が変わっていた。しかし、山南副長の脱走は変わってなかった。山南副長が脱走する理由が他にあるということだ。

そんなことを考えながら日々送っていた。

巡察を終え、報告をするために土方副長の部屋に赴く。

「歳!お前は何を考えてる!?」

中から近藤局長の怒鳴り声がした。俺がどうしたものか?考えてると沖田が横に現れる。

「僕、言っちゃいました~。やっぱり、違うと思ったんで~」

麗奈のことか。

俺は中に入り、局長に頭を下げる。

「近藤局長、麗奈を解放してください」
「斎藤君」
「お願いします」
「勿論だ。か弱い女子を使ってまで功績を欲してない。すぐに連れ戻すように」
「ありがとうございます」

礼を言い、部屋を出る。

「僕にも感謝してくださいね~」
「勿論だ」
「礼は甘味でいいですよ~」

気の済むまで奢ってやる。俺は麗奈の元に走った。

「一さん?」
「麗奈」

俺は麗奈を抱きしめる。

「近藤局長の耳に入り、あの話はなかったことになった」 ̫
「そうなのですか?ではこれから私は何をすれば?」

困惑する麗奈を連れて川の畔まで行った。

「麗奈」
「はい」
「俺の妻となってほしい」

麗奈は瞬きを繰り返す。

「でも、私は今まで沢山の人を殺めてきました。そんな私が一さんに相応しいとは思えません」
「俺だって殺めてきている」
「一さんのは義があってことでしょう?私のは……」
「麗奈だって欲のためではない。義のためだ」

悪の組織の中での人殺しであっても、その悪の組織の全貌を明かすための潜入。常に神経を張り詰めていなければならなかっただろう。

「本当にいいのかな?」
「麗奈は俺のことが嫌いか?」

麗奈は勢いよく首を横に振った。

「ならば問題はない」
「一さん……」

麗奈と見つめあった後口付けをする。最初は触れるだけのものから、深く絡めあった。

「はぁ……。本当に一さんは他の方とは違う。何だろう?この感じ」

口付けだけでも違う。それは俺も感じてること。

「魂の片割れかもな」
「魂の片割れ?」
「ああ。運命の相手とも言う」

麗奈と会うまで、そのようなものは信じてはなかったがな。

その後、麗奈を連れて屯所に帰った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

黒龍様のお気に入りはー………

月蛍縁
恋愛
この国では一人の王子が其の国の人々から恐れられていた その者はアルガード・レフリオンと名乗る 国の人々からは黒龍様と言われている 其の黒龍様は一人の女性を気に入り愛していた 其の女の名は       エリオット・アルベルト この国一の最強執事であり………である

偽装夫婦

詩織
恋愛
付き合って5年になる彼は後輩に横取りされた。 会社も一緒だし行く気がない。 けど、横取りされたからって会社辞めるってアホすぎません?

幕末レクイエム―士魂の城よ、散らざる花よ―

馳月基矢
歴史・時代
徳川幕府をやり込めた勢いに乗じ、北進する新政府軍。 新撰組は会津藩と共に、牙を剥く新政府軍を迎え撃つ。 武士の時代、刀の時代は終わりを告げる。 ならば、刀を執る己はどこで滅ぶべきか。 否、ここで滅ぶわけにはいかない。 士魂は花と咲き、決して散らない。 冷徹な戦略眼で時流を見定める新撰組局長、土方歳三。 あやかし狩りの力を持ち、無敵の剣を謳われる斎藤一。 schedule 公開:2019.4.1 連載:2019.4.19-5.1 ( 6:30 & 18:30 )

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

蔑ろにされた王妃と見限られた国王

奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています 国王陛下には愛する女性がいた。 彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。 私は、そんな陛下と結婚した。 国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。 でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。 そしてもう一つ。 私も陛下も知らないことがあった。 彼女のことを。彼女の正体を。

幕末レクイエム―誠心誠意、咲きて散れ―

馳月基矢
歴史・時代
幕末、動乱の京都の治安維持を担った新撰組。 華やかな活躍の時間は、決して長くなかった。 武士の世の終わりは刻々と迫る。 それでもなお刀を手にし続ける。 これは滅びの武士の生き様。 誠心誠意、ただまっすぐに。 結核を病み、あやかしの力を借りる天才剣士、沖田総司。 あやかし狩りの力を持ち、目的を秘めるスパイ、斎藤一。 同い年に生まれた二人の、別々の道。 仇花よ、あでやかに咲き、潔く散れ。 schedule 公開:2019.4.1 連載:2019.4.7-4.18 ( 6:30 & 18:30 )

見えるものしか見ないから

mios
恋愛
公爵家で行われた茶会で、一人のご令嬢が倒れた。彼女は、主催者の公爵家の一人娘から婚約者を奪った令嬢として有名だった。一つわかっていることは、彼女の死因。 第二王子ミカエルは、彼女の無念を晴そうとするが……

愛する貴方の心から消えた私は…

矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。 周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。  …彼は絶対に生きている。 そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。 だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。 「すまない、君を愛せない」 そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。 *設定はゆるいです。

処理中です...