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王様side
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朝会議を終え、中宮殿に向かった。
「王妃、相談がある」
「承恩尚宮のことですか?」
「分かるか?」
「はい。王様」
この様子だとミヤと王妃の対面は良いものだったのだろう。
「ミヤには淑媛ではなく昭儀を与えたいと思う」
「昭儀ですか?」
「反対か?」
「いいえ。賛成です」
「本当か?」
「はい、王様」
まさか本当に賛成してくれるとは思ってなかった。それほど、王妃もミヤを気に入ったということだろうか。
「王様、承恩尚宮は世子の病も治してくれると言ってます」
「それは喜ばしいことだが……」
世子が健康になるのは心から嬉しい。だが、そうなると延礽君の命が危うくなる。今ですら禧嬪は延礽君と淑嬪の命を狙ってるというのに。
「延礽君は婚姻させ外に出しましょう。王様」
「それはあまりにも危険ではないか?」
「でも外に出すことで王にする意思はないと示すことが出来ます」
余の跡継ぎは世子だ。延礽君が優秀でもそこは変わらない。世子は気弱なところはあるが心優しい。きっと民の心に沿った政治が行えるだろう。
「淑嬪は納得するだろうか?」
「反対するでしょう。しかし王子の婚姻の決定権は私にあります」
「王妃?」
「王様、私は黙ってるのはやめました。これからは王妃らしく振るまいたいと思います」
いつも微笑んでるだけの王妃が変わった気がする。どこか芯のある雰囲気がした。
「しかし、それでは王妃も危険になる」
「覚悟の上です」
王妃は心を決めたのだな。ならば、余も決心しなければならないな。
「分かった。世子を治してもらおう」
「ありがとうございます。王様」
「いや、礼を言うのは余だ。ありがとう、王妃」
「……王様」
王妃の目から涙が零れた。余が王妃に感謝の言葉を告げたのは初めてかもしれない。いつもどこか申し訳なくすまないと謝るだけだった。
「王妃、相談がある」
「承恩尚宮のことですか?」
「分かるか?」
「はい。王様」
この様子だとミヤと王妃の対面は良いものだったのだろう。
「ミヤには淑媛ではなく昭儀を与えたいと思う」
「昭儀ですか?」
「反対か?」
「いいえ。賛成です」
「本当か?」
「はい、王様」
まさか本当に賛成してくれるとは思ってなかった。それほど、王妃もミヤを気に入ったということだろうか。
「王様、承恩尚宮は世子の病も治してくれると言ってます」
「それは喜ばしいことだが……」
世子が健康になるのは心から嬉しい。だが、そうなると延礽君の命が危うくなる。今ですら禧嬪は延礽君と淑嬪の命を狙ってるというのに。
「延礽君は婚姻させ外に出しましょう。王様」
「それはあまりにも危険ではないか?」
「でも外に出すことで王にする意思はないと示すことが出来ます」
余の跡継ぎは世子だ。延礽君が優秀でもそこは変わらない。世子は気弱なところはあるが心優しい。きっと民の心に沿った政治が行えるだろう。
「淑嬪は納得するだろうか?」
「反対するでしょう。しかし王子の婚姻の決定権は私にあります」
「王妃?」
「王様、私は黙ってるのはやめました。これからは王妃らしく振るまいたいと思います」
いつも微笑んでるだけの王妃が変わった気がする。どこか芯のある雰囲気がした。
「しかし、それでは王妃も危険になる」
「覚悟の上です」
王妃は心を決めたのだな。ならば、余も決心しなければならないな。
「分かった。世子を治してもらおう」
「ありがとうございます。王様」
「いや、礼を言うのは余だ。ありがとう、王妃」
「……王様」
王妃の目から涙が零れた。余が王妃に感謝の言葉を告げたのは初めてかもしれない。いつもどこか申し訳なくすまないと謝るだけだった。
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