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再会

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私と太子殿下の婚姻の日になった。伝統に則った式だったため殿下のお顔は見れなかった。

太子嬪様テジャピンママ、太子嬪様にお仕えする私キム尚宮サングンとチョン尚宮です」
「そう。よろしくね」
「太子嬪様、もっと威厳ある物言いでお願いします」

そうね。将来、皇后になるのだから側室だったころとは違うわね。

「分かった。よろしく頼む」
「はい、太子嬪様」

威厳のある物言いはむず痒いが慣れないといけないわね。

「太子嬪様、殿下が参りますので私たちはこれにて失礼します」

尚宮たちが部屋から出ていって、私ひとりになった。

太子殿下がいい人だといいな。

殿下がどういう人なのか、またどんな魔法を使えるのか私は目に魔力を溜めて待っていた。そして入ってきた殿下を見て涙がこぼれる。

「そんな……」
「どうした太子嬪?」
「陛下ですか……」
「ん?」
「記憶はありませんか?」
「記憶?」
「はい。粛祇帝だった記憶はありませんか?」

殿下が驚いた顔をした。

「そなたは……誰だ?そして何故そのようなことを……」
「私はシン・ミヤです」
「慎嬪?」

殿下も記憶があるようだ。

「そうです、殿下」
「ならば、答えてみよ。慎嬪がこの国に来た時の姓は?」
「山下です」

私がそう答えると殿下に力強く抱きしめられる。

「本当にそなたなのか?慎嬪なのか?」
「はい、殿下」
「何故、そなたは私だと分かったのだ?」
「魔力は人によってその質が異なります。同じ質なんて魂が同じだとしか……」

魔力は指紋のようにひとりひとひ違う。それが同じなんて。しかもまた会えるなんて……。

「私はそなたを正室に出来たのだな?」

こんな奇跡あるなんて、これも神様のご加護かしら?

「殿下……」
「私は決めた。私は側室を持たぬ」
「それは……」

子供を沢山作る義務があるのにいいのだろうか?

「子はそなたが産めばいい。慎嬪の時だって3人も出来たのだ。不可能では無い」

皇族に嫁ぐ前にした検査では問題なかった。それでも子供は運もあるから必ず出来るとは限らない。それなのに側室を持たないなんて。

「両班たちは納得するでしょうか?」

両班だけではない。庶民だって皇族の側室になりたい人は沢山いる。正室は両班だと決まってるが、皇帝が望めば庶民だって側室になれる。側室になれば生活は一転する。しきたりは多いが裕福な生活が送れる。また子を産んで正室に子がいなければ、その子が次の皇帝になれる。つまり皇帝の母になれるのだ。そうなれば得られる権力は大きい。

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