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これからは
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「俺が何かしてしまったのか?」
「もういいです!忘れてください!」
私はガロン様の視界から逃げようと試みたが絶妙に痛くない力加減だが逃げられない程度に顔を固定されてしまっていて、逃げることが出来なかった。
「エリーゼ...」
ガロン様の顔がどんどんと近付いてくる。まさかキスでもされるのだろうか。まだ自分の気持ちにさえはっきりと気付けていないのにいいのだろうかと考えていたが目は自然と閉じてしまっていた。
「ガロン!いつになったらエリーゼ様に本当のことをいうのかしら!」
廊下からカリーナ様の声が聞こえてきてこの状況を見られてはまずいと思い、私は思いっきりガロン様から遠ざかった。するとタイミングよくカリーナ様が私の部屋へと入ってきた。
「あら、エリーゼ様お目覚めなのね?ガロンもそこにいるということはもう婚約破棄の話は伝えたのかしら?」
「カリーナ様...。」
「もう記憶喪失は治っているのでしょう?それなのにエリーゼ様の所に居るのはもう婚約破棄の話だとばかり思ったのだけれど。」
記憶喪失が、治っている?そんなはずがない。だって解毒薬を飲んでも私のことを好きだと言っていたし、今もそのような素振りである。記憶が戻っているのならばこんなことしない。
「ガロン様、どういうことですか?」
「もう駄目か...。」
そう呟くと私の元から離れてカリーナ様に出ていくように促していた。そして私とガロン様の2人きりの部屋に戻った。
「エリーゼ、申し訳ない!」
そう言うとガロン様は思いっきり頭を下げて私に謝り始めた。私はとても混乱してしまっていて戸惑った。
「どうしてガロン様が謝るのですか?」
「それは...。」
ガロン様は解毒薬を飲んでからの話、今までの話をしてくださった。
「本当にガロン様は私のことが好きなんですか?」
「ああ、愛している。」
「では、何故今まではあんな対応だったのでしょうか?」
今でもガロン様が私のことを昔から好いてくれていたという話は信じられないが、ガロン様は真っ直ぐ私を見ながら話してくれてその瞳には曇りが一つもなかった。
「あれは、エリーゼのためだったんだ。」
「私の?」
「カリーナや他の令嬢もそうだが、溺愛していると世間に知れ渡ってしまったら俺の弱点がエリーゼであることがばれてしまう。そうなるとエリーゼが危険な目に遭ってしまうからそのようなことは避けたかったのだ。」
「なるほど...。」
「それと、」
今までの話で目を背くことがなかったガロン様が少し恥ずかしそうにそっぽを見ながら
「毎日会いたい気持ちが強すぎて公務に支障が出る気がしたから...距離をとって理性を保っていたのだ。」
「そんな理由で?」
「悪いか...?」
「いや...んふふ」
私は失礼だなと自覚しながらも笑ってしまった。
「どうして笑うんだ?」
「申し訳ありません、あまりにも可愛いなと思って。」
「え?」
私はガロン様に近づいてそっと手を取った。その手はとても大きかったが不安からなのか少し震えていた。
「今までのことが流せるわけではありませんし、私が今ガロン様にどんな感情を抱いているのか私にも分かりません。」
「エリーゼ...。」
「けれどこれからまた関係を築くことはできます。ガロン様が良ければこれからは素のガロン様で接してはいただけませんか?」
「もちろんだ。これから先、生涯をかけて大切にすることを誓おう。」
ガロン様は私を力強く抱きしめた後に額にそっとキスを落とした。
あれからウェン様は牢屋に捕まってから色々尋問を受けたらしい。そこでカリーナ様との契約がバレて共に牢屋に入れられてしまった。ガロン様はあれから様々な場所に謝罪をした後に今まで通りに公務に戻った。
今まで通りの日常が帰っていたが決定的に変わったとこがある。
「お嬢様、ガロン様と会食のお時間です。」
「早く行かないとね。」
あんなにも嫌だった会食だったのが今では楽しみで仕方ない。急いで部屋を出てガロンの所へ向かう。
「ああ、エリーゼ今日も会えて嬉しいよ。」
「私もです。」
「エリーゼ、愛している。」
「私も愛していますよガロン。」
私たちは会えば必ず愛の言葉を伝えるようになった。
今までのことは忘れることは出来ないがこれからはこの幸せな日々を生きよう。
「もういいです!忘れてください!」
私はガロン様の視界から逃げようと試みたが絶妙に痛くない力加減だが逃げられない程度に顔を固定されてしまっていて、逃げることが出来なかった。
「エリーゼ...」
ガロン様の顔がどんどんと近付いてくる。まさかキスでもされるのだろうか。まだ自分の気持ちにさえはっきりと気付けていないのにいいのだろうかと考えていたが目は自然と閉じてしまっていた。
「ガロン!いつになったらエリーゼ様に本当のことをいうのかしら!」
廊下からカリーナ様の声が聞こえてきてこの状況を見られてはまずいと思い、私は思いっきりガロン様から遠ざかった。するとタイミングよくカリーナ様が私の部屋へと入ってきた。
「あら、エリーゼ様お目覚めなのね?ガロンもそこにいるということはもう婚約破棄の話は伝えたのかしら?」
「カリーナ様...。」
「もう記憶喪失は治っているのでしょう?それなのにエリーゼ様の所に居るのはもう婚約破棄の話だとばかり思ったのだけれど。」
記憶喪失が、治っている?そんなはずがない。だって解毒薬を飲んでも私のことを好きだと言っていたし、今もそのような素振りである。記憶が戻っているのならばこんなことしない。
「ガロン様、どういうことですか?」
「もう駄目か...。」
そう呟くと私の元から離れてカリーナ様に出ていくように促していた。そして私とガロン様の2人きりの部屋に戻った。
「エリーゼ、申し訳ない!」
そう言うとガロン様は思いっきり頭を下げて私に謝り始めた。私はとても混乱してしまっていて戸惑った。
「どうしてガロン様が謝るのですか?」
「それは...。」
ガロン様は解毒薬を飲んでからの話、今までの話をしてくださった。
「本当にガロン様は私のことが好きなんですか?」
「ああ、愛している。」
「では、何故今まではあんな対応だったのでしょうか?」
今でもガロン様が私のことを昔から好いてくれていたという話は信じられないが、ガロン様は真っ直ぐ私を見ながら話してくれてその瞳には曇りが一つもなかった。
「あれは、エリーゼのためだったんだ。」
「私の?」
「カリーナや他の令嬢もそうだが、溺愛していると世間に知れ渡ってしまったら俺の弱点がエリーゼであることがばれてしまう。そうなるとエリーゼが危険な目に遭ってしまうからそのようなことは避けたかったのだ。」
「なるほど...。」
「それと、」
今までの話で目を背くことがなかったガロン様が少し恥ずかしそうにそっぽを見ながら
「毎日会いたい気持ちが強すぎて公務に支障が出る気がしたから...距離をとって理性を保っていたのだ。」
「そんな理由で?」
「悪いか...?」
「いや...んふふ」
私は失礼だなと自覚しながらも笑ってしまった。
「どうして笑うんだ?」
「申し訳ありません、あまりにも可愛いなと思って。」
「え?」
私はガロン様に近づいてそっと手を取った。その手はとても大きかったが不安からなのか少し震えていた。
「今までのことが流せるわけではありませんし、私が今ガロン様にどんな感情を抱いているのか私にも分かりません。」
「エリーゼ...。」
「けれどこれからまた関係を築くことはできます。ガロン様が良ければこれからは素のガロン様で接してはいただけませんか?」
「もちろんだ。これから先、生涯をかけて大切にすることを誓おう。」
ガロン様は私を力強く抱きしめた後に額にそっとキスを落とした。
あれからウェン様は牢屋に捕まってから色々尋問を受けたらしい。そこでカリーナ様との契約がバレて共に牢屋に入れられてしまった。ガロン様はあれから様々な場所に謝罪をした後に今まで通りに公務に戻った。
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「お嬢様、ガロン様と会食のお時間です。」
「早く行かないとね。」
あんなにも嫌だった会食だったのが今では楽しみで仕方ない。急いで部屋を出てガロンの所へ向かう。
「ああ、エリーゼ今日も会えて嬉しいよ。」
「私もです。」
「エリーゼ、愛している。」
「私も愛していますよガロン。」
私たちは会えば必ず愛の言葉を伝えるようになった。
今までのことは忘れることは出来ないがこれからはこの幸せな日々を生きよう。
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