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さようなら
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突然私の目の前に大きなお屋敷が出てきた。このお屋敷には見覚えがあった。それはウェン様と初めて出会ったお屋敷だった。時間はお昼のようでゆったりとした暖かい風が私の頬を撫でた。するとその風に乗るように2人の子供の声が聞こえてきた。
「待ってよ...!」
「遅いぞ、早く来いよ!」
その2人はお屋敷の庭を駆けていた。5歳くらいの男の子たちだった。姿は若干違えどあの2人には見覚えがあった。
「ガロン様!ウェン様!」
私は思いっ切り声をあげてしまったが2人がこの声に気付くことはなかった。それもそうだろう。これは夢なのだから干渉できるわけがないのだ。それに改めて気付くと私は恐る恐る2人の方へ近づいた。
「ここは僕の秘密基地なんだ!」
「それにしては堂々と建っているな。」
「それはしー!だよ!」
何とも可愛らしい会話をしているのだろうか。ガロン様もウェン様も微笑み合っている。こんなに愛らしい2人がなぜ今はあんなにも仲が悪そうなのだろうか。
そんなことを考えていると急に場面が変わった。
そこは先ほどのお屋敷で間違いはないがこれは舞踏会の時の映像だ。そこには沢山いらっしゃる貴族様たち1人1人挨拶しているガロン様がいた。この時から王族の役割を果たしていたのだなと感心する。そこには私のお父様もいて、私とほとんど変わらない子供にペコペコと頭を下げていた。何故かそれを見るのは恥ずかしく視線を外すとそこには不貞腐れた顔をしたウェン様がいた。きっとガロン様が他のことで忙しく構ってもらえてないことが不満なのだろう。何とも可愛いなと思っていたらふいにどこかに行ってしまった。多分その先で私に出会いあの小屋を紹介するのだろう。追うのも野暮だと思い、私は再び子供らしからぬ気品さで挨拶をしているガロン様を眺めていた。
数十分経った頃だろうか。ガロン様は挨拶を終わらせて誰かを探しているようだった。恐らくウェン様だろう。会場をぐるっと一周してもウェン様を見つけることが出来ずにガロン様は会場の外に出ていかれた。私はガロン様の後を追うことにした。
幼いころから運動神経が良いのか、ガロン様はとても足が速く私が追い付いた時には何故かウェン様とガロン様は口論に発展していた。
「ウェン、あの子に何をしたんだ!」
「だから僕が夢の世界に連れて行ってあげたよ。」
「何を言っているんだ?」
「ガロンには内緒だよ。けど危ないことはしていない。」
「嘘をつくな、とても顔が真っ青だったぞ!」
そう言いながらガロン様はウェン様の胸倉を掴んだ。まだ幼い2人だけれど物凄い迫力だった。
「やめて!!!」
私は咄嗟に2人の間に入り喧嘩を止めようとした瞬間に目を覚ました。私は夢の中とリンクして右手を前に出し飛び起きたようだ。
「その様子だとある程度の経緯は見ましたかね。」
「ウェン様...。」
「一旦その話はそこまでとして。ガロンに解毒薬を注入しておきましたよ。」
ウェン様はガロン様を床に寝かせて何やら注射器のようなもので解毒薬を入れたようだった。
これで鬱陶しいライフとはさようならで嬉しいはずなのにどこか寂しいという感情が湧いてしまった。
「待ってよ...!」
「遅いぞ、早く来いよ!」
その2人はお屋敷の庭を駆けていた。5歳くらいの男の子たちだった。姿は若干違えどあの2人には見覚えがあった。
「ガロン様!ウェン様!」
私は思いっ切り声をあげてしまったが2人がこの声に気付くことはなかった。それもそうだろう。これは夢なのだから干渉できるわけがないのだ。それに改めて気付くと私は恐る恐る2人の方へ近づいた。
「ここは僕の秘密基地なんだ!」
「それにしては堂々と建っているな。」
「それはしー!だよ!」
何とも可愛らしい会話をしているのだろうか。ガロン様もウェン様も微笑み合っている。こんなに愛らしい2人がなぜ今はあんなにも仲が悪そうなのだろうか。
そんなことを考えていると急に場面が変わった。
そこは先ほどのお屋敷で間違いはないがこれは舞踏会の時の映像だ。そこには沢山いらっしゃる貴族様たち1人1人挨拶しているガロン様がいた。この時から王族の役割を果たしていたのだなと感心する。そこには私のお父様もいて、私とほとんど変わらない子供にペコペコと頭を下げていた。何故かそれを見るのは恥ずかしく視線を外すとそこには不貞腐れた顔をしたウェン様がいた。きっとガロン様が他のことで忙しく構ってもらえてないことが不満なのだろう。何とも可愛いなと思っていたらふいにどこかに行ってしまった。多分その先で私に出会いあの小屋を紹介するのだろう。追うのも野暮だと思い、私は再び子供らしからぬ気品さで挨拶をしているガロン様を眺めていた。
数十分経った頃だろうか。ガロン様は挨拶を終わらせて誰かを探しているようだった。恐らくウェン様だろう。会場をぐるっと一周してもウェン様を見つけることが出来ずにガロン様は会場の外に出ていかれた。私はガロン様の後を追うことにした。
幼いころから運動神経が良いのか、ガロン様はとても足が速く私が追い付いた時には何故かウェン様とガロン様は口論に発展していた。
「ウェン、あの子に何をしたんだ!」
「だから僕が夢の世界に連れて行ってあげたよ。」
「何を言っているんだ?」
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「嘘をつくな、とても顔が真っ青だったぞ!」
そう言いながらガロン様はウェン様の胸倉を掴んだ。まだ幼い2人だけれど物凄い迫力だった。
「やめて!!!」
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「ウェン様...。」
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ウェン様はガロン様を床に寝かせて何やら注射器のようなもので解毒薬を入れたようだった。
これで鬱陶しいライフとはさようならで嬉しいはずなのにどこか寂しいという感情が湧いてしまった。
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