26 / 33
さようなら
しおりを挟む
突然私の目の前に大きなお屋敷が出てきた。このお屋敷には見覚えがあった。それはウェン様と初めて出会ったお屋敷だった。時間はお昼のようでゆったりとした暖かい風が私の頬を撫でた。するとその風に乗るように2人の子供の声が聞こえてきた。
「待ってよ...!」
「遅いぞ、早く来いよ!」
その2人はお屋敷の庭を駆けていた。5歳くらいの男の子たちだった。姿は若干違えどあの2人には見覚えがあった。
「ガロン様!ウェン様!」
私は思いっ切り声をあげてしまったが2人がこの声に気付くことはなかった。それもそうだろう。これは夢なのだから干渉できるわけがないのだ。それに改めて気付くと私は恐る恐る2人の方へ近づいた。
「ここは僕の秘密基地なんだ!」
「それにしては堂々と建っているな。」
「それはしー!だよ!」
何とも可愛らしい会話をしているのだろうか。ガロン様もウェン様も微笑み合っている。こんなに愛らしい2人がなぜ今はあんなにも仲が悪そうなのだろうか。
そんなことを考えていると急に場面が変わった。
そこは先ほどのお屋敷で間違いはないがこれは舞踏会の時の映像だ。そこには沢山いらっしゃる貴族様たち1人1人挨拶しているガロン様がいた。この時から王族の役割を果たしていたのだなと感心する。そこには私のお父様もいて、私とほとんど変わらない子供にペコペコと頭を下げていた。何故かそれを見るのは恥ずかしく視線を外すとそこには不貞腐れた顔をしたウェン様がいた。きっとガロン様が他のことで忙しく構ってもらえてないことが不満なのだろう。何とも可愛いなと思っていたらふいにどこかに行ってしまった。多分その先で私に出会いあの小屋を紹介するのだろう。追うのも野暮だと思い、私は再び子供らしからぬ気品さで挨拶をしているガロン様を眺めていた。
数十分経った頃だろうか。ガロン様は挨拶を終わらせて誰かを探しているようだった。恐らくウェン様だろう。会場をぐるっと一周してもウェン様を見つけることが出来ずにガロン様は会場の外に出ていかれた。私はガロン様の後を追うことにした。
幼いころから運動神経が良いのか、ガロン様はとても足が速く私が追い付いた時には何故かウェン様とガロン様は口論に発展していた。
「ウェン、あの子に何をしたんだ!」
「だから僕が夢の世界に連れて行ってあげたよ。」
「何を言っているんだ?」
「ガロンには内緒だよ。けど危ないことはしていない。」
「嘘をつくな、とても顔が真っ青だったぞ!」
そう言いながらガロン様はウェン様の胸倉を掴んだ。まだ幼い2人だけれど物凄い迫力だった。
「やめて!!!」
私は咄嗟に2人の間に入り喧嘩を止めようとした瞬間に目を覚ました。私は夢の中とリンクして右手を前に出し飛び起きたようだ。
「その様子だとある程度の経緯は見ましたかね。」
「ウェン様...。」
「一旦その話はそこまでとして。ガロンに解毒薬を注入しておきましたよ。」
ウェン様はガロン様を床に寝かせて何やら注射器のようなもので解毒薬を入れたようだった。
これで鬱陶しいライフとはさようならで嬉しいはずなのにどこか寂しいという感情が湧いてしまった。
「待ってよ...!」
「遅いぞ、早く来いよ!」
その2人はお屋敷の庭を駆けていた。5歳くらいの男の子たちだった。姿は若干違えどあの2人には見覚えがあった。
「ガロン様!ウェン様!」
私は思いっ切り声をあげてしまったが2人がこの声に気付くことはなかった。それもそうだろう。これは夢なのだから干渉できるわけがないのだ。それに改めて気付くと私は恐る恐る2人の方へ近づいた。
「ここは僕の秘密基地なんだ!」
「それにしては堂々と建っているな。」
「それはしー!だよ!」
何とも可愛らしい会話をしているのだろうか。ガロン様もウェン様も微笑み合っている。こんなに愛らしい2人がなぜ今はあんなにも仲が悪そうなのだろうか。
そんなことを考えていると急に場面が変わった。
そこは先ほどのお屋敷で間違いはないがこれは舞踏会の時の映像だ。そこには沢山いらっしゃる貴族様たち1人1人挨拶しているガロン様がいた。この時から王族の役割を果たしていたのだなと感心する。そこには私のお父様もいて、私とほとんど変わらない子供にペコペコと頭を下げていた。何故かそれを見るのは恥ずかしく視線を外すとそこには不貞腐れた顔をしたウェン様がいた。きっとガロン様が他のことで忙しく構ってもらえてないことが不満なのだろう。何とも可愛いなと思っていたらふいにどこかに行ってしまった。多分その先で私に出会いあの小屋を紹介するのだろう。追うのも野暮だと思い、私は再び子供らしからぬ気品さで挨拶をしているガロン様を眺めていた。
数十分経った頃だろうか。ガロン様は挨拶を終わらせて誰かを探しているようだった。恐らくウェン様だろう。会場をぐるっと一周してもウェン様を見つけることが出来ずにガロン様は会場の外に出ていかれた。私はガロン様の後を追うことにした。
幼いころから運動神経が良いのか、ガロン様はとても足が速く私が追い付いた時には何故かウェン様とガロン様は口論に発展していた。
「ウェン、あの子に何をしたんだ!」
「だから僕が夢の世界に連れて行ってあげたよ。」
「何を言っているんだ?」
「ガロンには内緒だよ。けど危ないことはしていない。」
「嘘をつくな、とても顔が真っ青だったぞ!」
そう言いながらガロン様はウェン様の胸倉を掴んだ。まだ幼い2人だけれど物凄い迫力だった。
「やめて!!!」
私は咄嗟に2人の間に入り喧嘩を止めようとした瞬間に目を覚ました。私は夢の中とリンクして右手を前に出し飛び起きたようだ。
「その様子だとある程度の経緯は見ましたかね。」
「ウェン様...。」
「一旦その話はそこまでとして。ガロンに解毒薬を注入しておきましたよ。」
ウェン様はガロン様を床に寝かせて何やら注射器のようなもので解毒薬を入れたようだった。
これで鬱陶しいライフとはさようならで嬉しいはずなのにどこか寂しいという感情が湧いてしまった。
13
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】伯爵令嬢はハンサム公爵の騎士団長に恋をする
朝日みらい
恋愛
ホーランデ伯爵家のエドナは、乗馬好きな活発な令嬢である。
彼女は、ひ弱な貴族ではなく、騎士のようなたくましい令息との恋にこだわっていた。
婚約が決まらない中、伯爵領内で騎士団の訓練があることを知る。
就任したばかりの、若き騎士団長 ウィリアム。
さっそくエドナは偵察に内緒で野営地に忍び込むのだが……。
公爵でハンサムのウィリアムとの恋と、騎士団長になった過去を巡る物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
所(世界)変われば品(常識)変わる
章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。
それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。
予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう?
ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。
完結まで予約投稿済み。
全21話。
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
婚約破棄されたけど、お金を沢山貰ったんで独り身ライフを楽しもうとしたら、婚約者が追いかけてきた
椿谷あずる
恋愛
婚約破棄されてしまった公爵令嬢エイミー。彼女は手切金を片手に、独り身ライフを楽しもうとしていた。けれどその矢先、自分を捨てたはずの婚約者アレンが復縁したいと追いかけてきたのだ。あっさり手のひらを返したアレン。彼の存在に身の危険を感じたエイミーは、彼から身を守るため用心棒探しを始めた。彼女が案内人として紹介されたのはドライな青年トリュスだった。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
頭頂部に薔薇の棘が刺さりまして
犬野きらり
恋愛
第二王子のお茶会に参加して、どうにかアピールをしようと、王子の近くの場所を確保しようとして、転倒。
王家の薔薇に突っ込んで転んでしまった。髪の毛に引っ掛かる薔薇の枝に棘。
失態の恥ずかしさと熱と痛みで、私が寝込めば、初めましての小さき者の姿が見えるようになり…
この薔薇を育てた人は!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生先は推しの婚約者のご令嬢でした
真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。
ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。
ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。
推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。
ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。
けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。
※「小説家になろう」にも掲載中です
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる