冷酷王子が記憶喪失になったら溺愛してきたので記憶を戻すことにしました。

八坂

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塵にしてやる。

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 闇市場に出掛ける日やウェンに会いに行くときに同じ方法で出ていくことに成功したと思っていたエリーゼだったがガロンはそのことを知っていた。

 「団長、エリーゼさんが隣国の貴族を密会をしております。」
 「…その内容は?」
 「そこまでは聞き取ることができず...。」

 エリーゼ、君は俺のことを酷く嫌ったような態度を見せるが決して俺を貶すことない純粋な女性だと心の底から思っていた。いや、今もそうだと信じている。

 「きっとエリーゼにも何か考えていることがあるのだろう。命に関わるようなことがない限り手出しはするな。」
 「承知しました。」
 
 この対応に警護に当たっていた団員たちはとても不満を感じていた。一般的は感覚として婚約者が夜な夜な1人で別の男の家に行くなどいつ夜逃げしたっておかしくはないのだ。しかし彼は今エリーゼ狂いであることを知らない団員たちはきっとガロン自らが罰するのだと思いエリーゼを憐れんでいた。

 そして翌日事態が急変することになる。
 
 「エリーゼが闇市場に?」
 「はい、エリーゼ様が闇市場の生贄となりました。」
 「闇市場の生贄は悪魔の城へ送られているはず。総員準備!」

 王国騎士団は闇市場の存在は知っていたが国王含め特に命令も無く、何か危害が加えられたことがないため放置をしていた。しかしその内情については詳しく調べていたのだ。そこで悪魔と闇商人たちが精通していることをだんっ長含め幹部たちのみが知っていた。だからエリーゼがどこに連れていかれたのかもすぐに知ることができたのだ。



 「エリーゼを見つけ次第すぐに保護するのだ!もし囚われている人が他にもいるならそいつらも保護しろ!」
 「イェッサー!」
 「悪魔に対抗できるのは特別部隊のみだ、それ以外の部隊は悪魔含めて城内の敵には気をつけろ。」

 悪魔と対峙することはあまり考えられていない我が国だが、万が一に備えて戦闘向きな魔法や回復魔法、守護魔法を使える者を集めて特別部隊を作っていたのだ。俺はその特別部隊のリーダーも務めている。魔法が使える人間は自分の体に合った魔法しか使うことができない。例えば炎魔法が使える者は水魔法が使えない。回復魔法が使える者は守護魔法を張ることができない。その為用途に合わせて魔法が使える者は沢山必要なのだ。
 しかし極稀に複数の魔法が使える者が存在する。大体は王族の者である。かくいう俺も複数の魔法を使えるのだ。主に攻撃魔法全般を扱うことができる。正直守護魔法や回復魔法を使えるような人間になりたかった。そうすればエリーゼを守ることができたのに。複数の攻撃魔法を使えたところで彼女を守れなければ俺の存在価値は無いに等しいのだ。

 今すぐにエリーゼを助けなければいけない。俺がエリーゼに愛を伝えられていなかったからこんなことになってしまったのだ。もしエリーゼが既に何かされていたら...。その時は持てる魔法全てをかけてこの城を屑にしてやろう。そしてエリーゼをこんな危ない目に合わせた悪魔を塵にしてやる。
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