20 / 33
もし噂が本当なら
しおりを挟む
「エリーゼさん?突然何を言い出すんですか?」
確かに私は何を言い出しているのだろうか。そんなこと私が聞きたい。けれどそこまでしてでもガロン様の今の状態を変えたい。戻したい。端からしたらいい方向に進んでいるのかもしれないが、私からすると本当に調子が狂うし、あの状態が世間にバレてしまったらお父様やリゼを含めてこの国の人が危険にさらされてしまう。元より私はそんな正義感を持ち合わせたような人格はしていないがこういう風に自分に言い聞かせた方が格好がつく。
「私はあんなガロン様見ていられません。それに大誤算だったのなら戻すべき。その為なら私が売られてもいいです。」
「でも僕は君をそんな危険には晒したくない。」
「それならウェン様の力でどうにかなるのですか?」
「あの闇市場は変な小細工をされないように客人側が魔法などを使えなくなる結界が張られているから難しいね。」
「なら私が適材適所です。」
「うーん...。」
ウェン様は唸りながら考えていた。それもそうだろう。急に1人の女が自分が売られるなんて宣言されたらびっくりするに決まっている。
「売られた後にウェン様が助けてください。」
「どういうことだい?」
「私が売られて闇市場が終わった後にその商人の記憶を操作すればどうとでもなるのでは?」
そう、結界が張られていない状態ではウェン様の魔法は最強と言っても過言ではないのだ。私は頭がとてもいいというわけではないがこういう小賢しい考えはいくらでも思いつく頭をしていてよかった。
「それならどうにかなりそうだね。」
「ではそれでお願いします。次の闇市場はいつなんですか?」
「ちょうど明日の夜中にあるよ。場所はここ。」
ウェン様は招待状を見せてくれた。その場所は城下町の裏路地を抜けた場所にあるらしい。うちの国は大きいが大きい故に管理不足がよく目立っている。この作戦が終わったら遠回しに報告しておこう。
「わかりました。ではまた明日、今日くらいの時間に落ち合いましょう。」
「はい。取引中に危ない動きが見られたら即刻中止しますからね。」
「貴方すごく味方面してますけど一応敵なのは忘れないでください。」
「そんなこと言わないでください。この作戦が成功したら僕が結婚を申し込むんですから。」
「はいはい。」
私はウェン様の戯言を右から左に流し、屋敷を後にした。幸いなことに私が脱走したことは一切バレることはなかった。
翌日私は同じ方法で闇市場に出かけるのであった。
最近エリーゼに会えないせいで気分がすこぶる悪い。使用人たちにエリーゼの様子を聞いているが使用人たちもエリーゼとはあまり接触ができていないようであまり話を聞けない。エリーゼの側近のリゼに話を聞きたいが、彼女はエリーゼにべったりとしているため話しかける隙もない。リゼを解雇したら俺と一緒にいてくれる時間が増えるのかと考えたことがあったがそんなことをしたらエリーゼが傷ついてしまうため解雇届を書きサインを書く寸前までいったがやめられてよかった。とにかくエリーゼ不足が凄いため使用人による食事の内容や服の話などで何とかやっていた。そろそろ限界に達しそうな頃ある噂が耳に入ってきた。
「エリーゼ様が王宮を抜け出して1人の男性に会いに行ったそうよ。」
「そんな噂どこで聞いたのよ。」
「わからない。けれどそんな話が今王宮内で騒がれているわ。」
エリーゼが別の男と会っている...?
俺は全勢力を使いエリーゼの動向を探るように命令した。本人にはバレないように。エリーゼを疑ってはいない。だからこそ動向を探り潔白を証明するのだ。しかし、
「もし噂が本当なら。その男ただではすまんぞ。」
確かに私は何を言い出しているのだろうか。そんなこと私が聞きたい。けれどそこまでしてでもガロン様の今の状態を変えたい。戻したい。端からしたらいい方向に進んでいるのかもしれないが、私からすると本当に調子が狂うし、あの状態が世間にバレてしまったらお父様やリゼを含めてこの国の人が危険にさらされてしまう。元より私はそんな正義感を持ち合わせたような人格はしていないがこういう風に自分に言い聞かせた方が格好がつく。
「私はあんなガロン様見ていられません。それに大誤算だったのなら戻すべき。その為なら私が売られてもいいです。」
「でも僕は君をそんな危険には晒したくない。」
「それならウェン様の力でどうにかなるのですか?」
「あの闇市場は変な小細工をされないように客人側が魔法などを使えなくなる結界が張られているから難しいね。」
「なら私が適材適所です。」
「うーん...。」
ウェン様は唸りながら考えていた。それもそうだろう。急に1人の女が自分が売られるなんて宣言されたらびっくりするに決まっている。
「売られた後にウェン様が助けてください。」
「どういうことだい?」
「私が売られて闇市場が終わった後にその商人の記憶を操作すればどうとでもなるのでは?」
そう、結界が張られていない状態ではウェン様の魔法は最強と言っても過言ではないのだ。私は頭がとてもいいというわけではないがこういう小賢しい考えはいくらでも思いつく頭をしていてよかった。
「それならどうにかなりそうだね。」
「ではそれでお願いします。次の闇市場はいつなんですか?」
「ちょうど明日の夜中にあるよ。場所はここ。」
ウェン様は招待状を見せてくれた。その場所は城下町の裏路地を抜けた場所にあるらしい。うちの国は大きいが大きい故に管理不足がよく目立っている。この作戦が終わったら遠回しに報告しておこう。
「わかりました。ではまた明日、今日くらいの時間に落ち合いましょう。」
「はい。取引中に危ない動きが見られたら即刻中止しますからね。」
「貴方すごく味方面してますけど一応敵なのは忘れないでください。」
「そんなこと言わないでください。この作戦が成功したら僕が結婚を申し込むんですから。」
「はいはい。」
私はウェン様の戯言を右から左に流し、屋敷を後にした。幸いなことに私が脱走したことは一切バレることはなかった。
翌日私は同じ方法で闇市場に出かけるのであった。
最近エリーゼに会えないせいで気分がすこぶる悪い。使用人たちにエリーゼの様子を聞いているが使用人たちもエリーゼとはあまり接触ができていないようであまり話を聞けない。エリーゼの側近のリゼに話を聞きたいが、彼女はエリーゼにべったりとしているため話しかける隙もない。リゼを解雇したら俺と一緒にいてくれる時間が増えるのかと考えたことがあったがそんなことをしたらエリーゼが傷ついてしまうため解雇届を書きサインを書く寸前までいったがやめられてよかった。とにかくエリーゼ不足が凄いため使用人による食事の内容や服の話などで何とかやっていた。そろそろ限界に達しそうな頃ある噂が耳に入ってきた。
「エリーゼ様が王宮を抜け出して1人の男性に会いに行ったそうよ。」
「そんな噂どこで聞いたのよ。」
「わからない。けれどそんな話が今王宮内で騒がれているわ。」
エリーゼが別の男と会っている...?
俺は全勢力を使いエリーゼの動向を探るように命令した。本人にはバレないように。エリーゼを疑ってはいない。だからこそ動向を探り潔白を証明するのだ。しかし、
「もし噂が本当なら。その男ただではすまんぞ。」
13
お気に入りに追加
241
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】伯爵令嬢はハンサム公爵の騎士団長に恋をする
朝日みらい
恋愛
ホーランデ伯爵家のエドナは、乗馬好きな活発な令嬢である。
彼女は、ひ弱な貴族ではなく、騎士のようなたくましい令息との恋にこだわっていた。
婚約が決まらない中、伯爵領内で騎士団の訓練があることを知る。
就任したばかりの、若き騎士団長 ウィリアム。
さっそくエドナは偵察に内緒で野営地に忍び込むのだが……。
公爵でハンサムのウィリアムとの恋と、騎士団長になった過去を巡る物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
所(世界)変われば品(常識)変わる
章槻雅希
恋愛
前世の記憶を持って転生したのは乙女ゲームの悪役令嬢。王太子の婚約者であり、ヒロインが彼のルートでハッピーエンドを迎えれば身の破滅が待っている。修道院送りという名の道中での襲撃暗殺END。
それを避けるために周囲の環境を整え家族と婚約者とその家族という理解者も得ていよいよゲームスタート。
予想通り、ヒロインも転生者だった。しかもお花畑乙女ゲーム脳。でも地頭は悪くなさそう?
ならば、ヒロインに現実を突きつけましょう。思い込みを矯正すれば多分有能な女官になれそうですし。
完結まで予約投稿済み。
全21話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
転生先は推しの婚約者のご令嬢でした
真咲
恋愛
馬に蹴られた私エイミー・シュタットフェルトは前世の記憶を取り戻し、大好きな乙女ゲームの最推し第二王子のリチャード様の婚約者に転生したことに気が付いた。
ライバルキャラではあるけれど悪役令嬢ではない。
ざまぁもないし、行きつく先は円満な婚約解消。
推しが尊い。だからこそ幸せになってほしい。
ヒロインと恋をして幸せになるならその時は身を引く覚悟はできている。
けれども婚約解消のその時までは、推しの隣にいる事をどうか許してほしいのです。
※「小説家になろう」にも掲載中です
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる