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奇行②
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「あはは…え~と…」
「お前、もしかして俺が誰か分からないのか?」
「へ?」
さっきの事を反省した結果、次は言葉が出なくなってしまった。自意識過剰に聞こえること言葉も、第2王子からしてみれば当然であろう。自分を知らない人など他国民以外ありえないのだから。
てっきり不敬だ!とでも言われるかと覚悟していた。しかしアンリは目を見開いた後に、段々と嬉しそうな顔になっていった。
「なぁ、俺が誰か分かるか?」
「あーえーと…どなたでしょうか…」
ここは嘘をつくしかない。こんな素敵な笑顔を曇らすことは出来なかった。
「そ、そうか…!えっとお前1年か?」
「はいそうです。でも道に迷ってしまって。」
「なら俺と一緒に来るか?1年生は確か講堂に集合するはずだ。」
「あ…じゃあお願いします!」
原作のアンリは、主人公に会った時はほとんど何も喋っていなかった。初期アンリはルークに業務連絡するくらいでしかセリフはなくて、二次創作の時に苦労した思い出がある。しかし今目の前にしているアンリはあまりにもフレンドリーな対応だ。出会い方が違うだけでこんなにも対応が変わるもんなんだな…。
因みに原作でのハナとの出会いは『ルークと喋っている最中にアンリがやってきて「ルーク様の弟様ですよね?ルーク様と比べて髪色が真反対なんですね!知りませんでした…」「お前、名前は?」「ハナです!」「そうか。俺はお前が嫌いだ。」』。
途中で兄と比べられることが嫌になってしまったことを知るとこの対応にも納得がいくが、初見で見た時はなんて失礼なイケメンなんだと思った記憶がある。
「聞いてたか?」
「え?」
「だから、お前さっきは何してたんだ?」
「えーと…鼓舞…ですかね。」
「どうして?」
「一生懸命頑張るぞー!みたいな?」
「ふ、あはは!なんだそれ!」
アンリが笑った…。原作ではこんな笑わなかったのに。もしかして、この世界のアンリはルークのせいで心を閉ざしてないのだろうか。もしそうなら私はこのアンリとリリー様のカップリングは推せるのだろうか。
なんて考えているといつの間にか講堂に着いていた。
「アンリ!」
「・・・」
「あ」
着いた瞬間にある男が声を掛けてきた。その人は見なくとも誰だかすぐに分かるほどのオーラを放っていた。白く透き通るような髪の毛に青空のような青の瞳。間違いない…
「出たな主人公。」
「「え?」」
思わず口に出たそれは余りにもこの世界で言ってはいけない台詞だった。ルークとアンリは驚いた表情でこちらを凝視し、2人に注目していた生徒たちも私の事を不思議そうな目で見る。講堂に来るはずもない沈黙の時間はある女の声で動物園の如き騒がしさに発展していった。
「あ、貴女…ルーク様に失礼よ!」
「そうですわ!『出たな』なんてはしたない!」
「あいつ、王子に対して無礼だな。」
「しかもなんか不細工だし。」
その声は波紋のように広がっていく。
ああ、流石にこんな序盤に悪口を…しかも不細工とかいうどうにも出来ないこと言われるなんて思ってなかった。
「お前、もしかして俺が誰か分からないのか?」
「へ?」
さっきの事を反省した結果、次は言葉が出なくなってしまった。自意識過剰に聞こえること言葉も、第2王子からしてみれば当然であろう。自分を知らない人など他国民以外ありえないのだから。
てっきり不敬だ!とでも言われるかと覚悟していた。しかしアンリは目を見開いた後に、段々と嬉しそうな顔になっていった。
「なぁ、俺が誰か分かるか?」
「あーえーと…どなたでしょうか…」
ここは嘘をつくしかない。こんな素敵な笑顔を曇らすことは出来なかった。
「そ、そうか…!えっとお前1年か?」
「はいそうです。でも道に迷ってしまって。」
「なら俺と一緒に来るか?1年生は確か講堂に集合するはずだ。」
「あ…じゃあお願いします!」
原作のアンリは、主人公に会った時はほとんど何も喋っていなかった。初期アンリはルークに業務連絡するくらいでしかセリフはなくて、二次創作の時に苦労した思い出がある。しかし今目の前にしているアンリはあまりにもフレンドリーな対応だ。出会い方が違うだけでこんなにも対応が変わるもんなんだな…。
因みに原作でのハナとの出会いは『ルークと喋っている最中にアンリがやってきて「ルーク様の弟様ですよね?ルーク様と比べて髪色が真反対なんですね!知りませんでした…」「お前、名前は?」「ハナです!」「そうか。俺はお前が嫌いだ。」』。
途中で兄と比べられることが嫌になってしまったことを知るとこの対応にも納得がいくが、初見で見た時はなんて失礼なイケメンなんだと思った記憶がある。
「聞いてたか?」
「え?」
「だから、お前さっきは何してたんだ?」
「えーと…鼓舞…ですかね。」
「どうして?」
「一生懸命頑張るぞー!みたいな?」
「ふ、あはは!なんだそれ!」
アンリが笑った…。原作ではこんな笑わなかったのに。もしかして、この世界のアンリはルークのせいで心を閉ざしてないのだろうか。もしそうなら私はこのアンリとリリー様のカップリングは推せるのだろうか。
なんて考えているといつの間にか講堂に着いていた。
「アンリ!」
「・・・」
「あ」
着いた瞬間にある男が声を掛けてきた。その人は見なくとも誰だかすぐに分かるほどのオーラを放っていた。白く透き通るような髪の毛に青空のような青の瞳。間違いない…
「出たな主人公。」
「「え?」」
思わず口に出たそれは余りにもこの世界で言ってはいけない台詞だった。ルークとアンリは驚いた表情でこちらを凝視し、2人に注目していた生徒たちも私の事を不思議そうな目で見る。講堂に来るはずもない沈黙の時間はある女の声で動物園の如き騒がしさに発展していった。
「あ、貴女…ルーク様に失礼よ!」
「そうですわ!『出たな』なんてはしたない!」
「あいつ、王子に対して無礼だな。」
「しかもなんか不細工だし。」
その声は波紋のように広がっていく。
ああ、流石にこんな序盤に悪口を…しかも不細工とかいうどうにも出来ないこと言われるなんて思ってなかった。
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