上 下
8 / 17

第7話 首なし騎士、そして馬

しおりを挟む
 「シュコー!コフー!」

 俺達の前には紫色の鎧を着て、赤黒い馬に乗った騎士がいた。名前はカースナイト。レベルは28。今回のクエストのターゲットである。あれ?馬もカースナイトの一部なのか?だが馬の上にも名前とHPが表示されていた。名前はブラッドホースレベルは30でカースナイトより少し高い。

 「真也気を付けろ!ブラッドホースはランクAだ!ブラッドホースに乗っているカースナイトはAランクに格上げされている!」

 「なに!そんな事もあるのか!」

 「ああ、最近はブラッドホースを滅多に見なかったからもういないと思っていた!悪い」

「大丈夫!全く問題ない」

 「まあ、S級魔法を連発してたくらいだからそうだろうな・・・」

 Aランクならば加減が成功して木っ端微塵にならない可能性が高いだろう。これならクエストも成功しそうだ。

 「ホーリーオーラ!」

 カースナイトはゴーストの一種らしく、鎧には攻撃出来るが中で操っている本体には通常攻撃は効かない。だからホーリーオーラを使うのだ。鎧を持ち帰れば問題ないなので中はホーリーオーラで消滅させてもいいのだ

 「ラルト!鎧を破壊できるか?馬と中の本体は俺が倒す!」

 「分かった!気を付けろよ!」

 ラルトは剣を抜き、カースナイトと戦い始めた。俺もブラッドホースを倒すか!ブラッドホースは木っ端微塵にしてもいいがせっかくの高ランクモンスターだ。手加減の練習にしよう。と思っていたが

 「ブルルルルルッ!」

  ブラッドホースはこちらを警戒しているのか全く攻撃してこない。

 「意外とおとなしいのかな?」 
 
「ヒヒーン!」

 「いっそペットにでもしてみるか?」

 この世界ではモンスターをテイムすることはそこまで珍しいことではない。だが、ほとんどがE~DランクのモンスターででたまにCランクがいるくらいだ。テイムするにはモンスターに力を認めてもらわなければならない。もちろん木っ端微塵にしてはテイムもできるはずがない。

 「どうしようかな?」

 少し離れたところではラルトとカースナイトが激しい戦いをしている。あまり時間をかけるわけにはいかないな。しかし、せっかくの馬なのでぜひテイムしたい。よし!先にカースナイトを倒すか!とりあえずブラッドホースの動きを止めておくか。ちょうどいい魔法もある。

 スリープ 効果 あらゆる生物を眠らせることができる

 「スリープ!」

 「スピースピー・・・」

 「よし!成功だ!」

 ブラッドホースはスリープをかけた途端に眠った。これでラルトの加勢ができるな。ラルトとカースナイトは一進一退の攻防を続けていたが、少しラルトが押されているようだ。

 「ホーリーオーラ!」

 ラルトにホーリーオーラをかけたあとの戦いはラルトの圧勝だった。

 「すげーぜ真也!体が軽くて一発が重い!」

 「だろう!一部でいいから鎧を壊してくれ!」

 「おう!楽勝だぜ!オラァッ!」

 バキッ! 

 「よし!砕けたぞ!」

 「ナイスだラルト!」

 ラルトが砕いた鎧の穴にパンチを撃ち込む

 「セイッ!」

 「フシュァァァァ!」

 鎧から紫色の煙のようなものが出てきてカースナイトは糸が切れたように動かなくなった。あとは鎧を持ち帰ればクエスト達成だ!と、その前にブラッドホースをテイムしないとな!

 「ラルトーブラッドホースをテイムするからちょっと待っててくれよー」

 「・・・」

 「ラルト?」

 「な、なんでこんなところにこいつがいるんだ!!」

 「どうした!!ラルト?」

 ズ ズ ズ ズ

 なんだ?なにかが来る?とんでもない威圧感を俺は感じた。ラルトは大丈夫だろうか。

 「ラルト!大丈夫か?」

 「う、うぅ」

 ダメだ。ラルトは動けそうにない。いったい何が居るってんだ?カースジェネラルか?俺はラルトが見ていた方を見た。そこに居たのはカースジェネラルではなかった。そこに居たのは漆黒の首のない馬に乗り漆黒の鎧を着た首のない騎士だった。 こいつはこの世界を知らない俺でも分かる。ゲームやアニメで何度も見たからな。
 デュラハンだ。アンデットの王にして罪を犯した聖騎士の成れの果てだ。数々のゲームやアニメでも魔王の幹部などの最強クラスのモンスターだ!ラルトの反応からしてランクSS以上はありそうだ。

 「強きものよ」

 「な!喋れるのか?」

 「我ほどになれば人の言葉も理解できる」

 「ああ!ダークフレイムドラゴンが俺の挑発に乗ったのは言葉が理解できていたからか!」

 「なに?ダークフレイムドラゴンを倒しただと?ふ、それなら我の相手も勤まるであろう。行くぞ我が愛馬よ!」

 「なに!」

 デュラハンは剣を抜き、突進をしてきた。

 「勝負だ強き者よ」

 「やってやる!」

 デュラハンは馬の上から俺に攻撃をしてきた。

 「クソッ!こいつ強い!」

 「我に呪文は効かぬぞ!我が鎧はあらゆる魔法を無効にできるのだ!」

 「ちっ!ダメか!ならば馬を攻撃して落としてやる!」

 俺は攻撃をかわしながら馬に攻撃をするが、まるで霧を殴っているように攻撃が当たらない。なぜだ?ゴーストならばホーリーオーラの効果で当たるはずだ。

 「フハハハ!無駄である!我が愛馬は特別なゴーストだ!攻撃が一切出来ない代わりに一切の攻撃が効かん!」

 「なに!ずるいぞ!」

 「戦いにズルいなどないわ!貴殿も馬に乗ればよいでわないか!」

 「クソッ!」

 こいつズルいな!ラルトがいるから逃げる訳にもいかないし、かといって馬に乗っているこいつに攻撃は届かない。あれ?これつみじゃね?
 その時だった。

「ヒヒーン!」

 ブラッドホースが目を覚ましたようだ!

 「まずい!こっちも手一杯なのに!」

 だがブラッドホースは俺に攻撃をしてこない。それどころか俺の横に立ち 、俺に顔を近づけてきた。

 「乗れってことか?」

 「ヒヒーン!」

 どうやらブラッドホースは俺のことを認めてくれているようだ。これは幸いだ!

 「ラルト!剣を借りるぞ!」
 
 俺はラルトの剣を借り、ブラッドホースに飛び乗った。

 「いくぞ!ブラッドホース!」

 「ヒッヒーン!」

 「ほう?ブラッドホースを手懐けたようだな。ん?そやつはブラッドホースではな」

 「ヒッヒーン!」

 「余所見か!デュラハン!」

 「むうっ!」

 俺はデュラハンが偉そうに喋っていたので遠慮なく攻撃した。だって隙だらけだったし・・・

  「ぬうっ!卑怯な!」

  「てめーさっきは戦いにズルいなどないわって偉そうにいってたじゃねえか!」

 「むう?そうであったか?忘たなぁ!」

 デュラハンは喋りながら攻撃してきた。だが攻撃が当たるのらば俺は負けん!

 「クッ!なかなかやるではないか!強き者よ!」

 「まだまだ全力じゃないぜ!」

 「な、なに?まあ、お互いに今日は疲れたであろうな!今日は引くとしよう!さらばだァァァァァァァァ!!」

 俺はデュラハンが逃げようとしたのでヘルファイアーをぶっぱなしてやった。

 「効くじゃん魔法・・・」

 「ば、馬鹿な!我が鎧はあらゆる魔法を無効にできるは・・ず・・・」

 デュラハンはそういい残し燃えていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

異世界転移したのにチートスキルついてないので現代兵器でチートをしてみる

栗林柴乃
ファンタジー
18歳高校三年の冬、私黒川纏は異世界に転移した・・・ 異世界転移ときたらチートスキルがつくのが当たり前だとおもたっら何もつくことなく転移されてしまった・・・ 神に怒りを覚えながら、異世界で生活することに  女子でのミリタリーオタクという珍しい設定の下  その知識を使い、チートスキルがないのにチートみたいなことをしていく物語です 週3更新で月水金に更新していきます

やらかさなかったと女神様に怒られた

End
ファンタジー
「好きに生きろ」そう神に言われて転生をした主人公。  言われた通りに好きに生き自由に生きた。  ーーそして寿命を終えたら、怒られました。  その後  またまた転生した世界では母親が『剣神』妹が『勇者』で自分は『無能者』でした。  可愛いい妹の為に、にいちゃは頑張ります ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー  当方、ハッキリ申して素人です。  文法とか何それ?って感じです。  紙媒体とweb小説の違いとか良く分かってません。  この作品を読んで少しでも興味を持たれ、ここを直せば良いのにとか、ここが可笑しい等、思った事があり、手間をかけても良いという方は優しい言葉で(ここ重要)感想を頂ければ有難いです。

階段落ちたら異世界に落ちてました!

織原深雪
ファンタジー
どこにでも居る普通の女子高生、鈴木まどか17歳。 その日も普通に学校に行くべく電車に乗って学校の最寄り駅で下りて階段を登っていたはずでした。 混むのが嫌いなので少し待ってから階段を登っていたのに何の因果かふざけながら登っていた男子高校生の鞄が激突してきて階段から落ちるハメに。 ちょっと!! と思いながら衝撃に備えて目を瞑る。 いくら待っても衝撃が来ず次に目を開けたらよく分かんないけど、空を落下してる所でした。 意外にも冷静ですって?内心慌ててますよ? これ、このままぺちゃんこでサヨナラですか?とか思ってました。 そしたら地上の方から何だか分かんない植物が伸びてきて手足と胴に巻きついたと思ったら優しく運ばれました。 はてさて、運ばれた先に待ってたものは・・・ ベリーズカフェ投稿作です。 各話は約500文字と少なめです。 毎日更新して行きます。 コピペは完了しておりますので。 作者の性格によりざっくりほのぼのしております。 一応人型で進行しておりますが、獣人が出てくる恋愛ファンタジーです。 合わない方は読むの辞めましょう。 お楽しみ頂けると嬉しいです。 大丈夫な気がするけれども一応のR18からR15に変更しています。 トータル約6万字程の中編?くらいの長さです。 予約投稿設定完了。 完結予定日9月2日です。 毎日4話更新です。 ちょっとファンタジー大賞に応募してみたいと思ってカテゴリー変えてみました。

神に同情された転生者物語

チャチャ
ファンタジー
ブラック企業に勤めていた安田悠翔(やすだ はると)は、電車を待っていると後から背中を押されて電車に轢かれて死んでしまう。 すると、神様と名乗った青年にこれまでの人生を同情された異世界に転生してのんびりと過ごしてと言われる。 悠翔は、チート能力をもらって異世界を旅する。

召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ
ファンタジー
転生する事になった俺は転生の時の役目である瘴気溢れる大陸にある大神殿を目指して頼れる仲間の召喚獣たちと共に旅をする カクヨムでも投稿してます

僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?

闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。 しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。 幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。 お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。 しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。 『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』 さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。 〈念の為〉 稚拙→ちせつ 愚父→ぐふ ⚠︎注意⚠︎ 不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

処理中です...