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筋肉か、それともニンニクか
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俺達は駅前に戻ってバスに乗り込んだ。
「次はどこへ行くんだ?」
「佐取峡。ここの観光名所なんだ。」
佐取峡は地元の人達が自然を感じに行くくらいの地味な場所だった。俺もじいちゃん家に行ったときはよく連れて行ってもらった。それが最近、有名な風水師?だかなんだかがここをパワースポットとしてテレビで取り上げたことで一転。一気に知名度が上がった。パワースポットっていうくらいだから魔力も守備範囲内にしてくれないと困る。
バスを降りると、遊歩道の入り口には家族連れやカップルなどたくさんの人で賑わっていた。
「思ってたよりも人多いな…」
今日は高木先輩達に秘密で来ているわけでもちろん助けはない。トラブルに巻き込まれそうになったり、ラフェが魔法を使いそうになったら、俺一人でどうにかしないといけないんだ。そんなリスクを負っても今日に賭けていた。そのために色々と準備はしてきたつもりだ。
ラフェを見るとお気楽そうに周りを眺めている。
「すごいな! お店も人もたくさんだぞ!」
「そうだな。」
遊歩道の入り口近くには小さいお店がたくさん並んでいた。土産屋、蕎麦屋…お、ジェラート屋なんて洒落た店もある。俺が昔来ていた頃は団子屋くらいしかなかったのに。
「すいません、ちょっといいですか。」
目の前に三十代くらいの男の人が現れ、声をかけてきた。
「写真を一枚、お願いしたいんですが…」
その人の後ろを見ると、『佐取峡』と書かれた石碑の前に奥さんや子供達らしき数人が並んでいる。
「いいですよ。」
俺はラフェの方を向いた。
「すぐ戻ってくるから、ちょっと待ってて。」
「分かった。」
何枚か写真を撮ってカメラを返す。早くラフェのところへ戻らないと…
「すいません、次お願いします!」
声の方を振り返ると俺の後ろには何人も列になって並んでいた。先頭にいた大学生くらいの女子グループの一人が俺にスマホを手渡す。
「カメラはここを押すと撮れる…って、いつもやってるから今さらですよね! それじゃあ、何枚かお願いしまーす!」
「いや、俺っ…カメラマンじゃ…」
俺の抗議は届かず、仲間とポーズを取り始めた。
ああ…これはきっと「巻き込まれ」が始まってる。こうなったらさっさと写真を撮ってやった方が早い。ラフェの方を向くと、大人しく立って待っているみたいだ。それなら大丈夫か。
六組ほど写真を撮ってラフェのところへ戻ると、頬を膨らませながら睨みつけられた。
「遅い。」
「…ごめん。」
「私、ずっと放置されてた! 私のためのお出かけなのに!」
「悪かったって。ラフェの好きなもの買ってやるから。」
さて…蕎麦か、それともジェラートか。
「じゃあ、私あれやりたい。」
そう言って指を差したのは「貸ボート案内」と書かれた看板だった。
「へぇ…」
昔来た時はこんなの無かった。近くで看板を見てみると、三千円でボートを借りてそれに乗って佐取峡を下から楽しめるというものらしい。
何がきっかけで魔力がたまるか分からない。せっかくここまで来たんだ。手あたり次第やってみるしかない。
「分かった。乗ろう。」
「やった!」
ラフェは両手をあげて喜んだ。今回の計画、もちろん金銭的援助もない。今月の小遣いの約三割が消し飛んだ。
救命胴衣を装着し、船に乗り込む。船には一組のオールがついていて、一人が漕ぎ手になるみたいだ。
「後で代わってやる。」
「はいはい。」
交代することはなさそうだなと感じながらも俺はオールを手に取った。ひと漕ぎするごとに船が進んでいく。これは、なかなか面白いかもしれない。
水の音が心地いい。それに辺りを見回すと、両岸にそびえたつ岩肌や、新緑の木々が美しい。
「綺麗だな…」
ラフェが声を漏らす。
「ああ…そうだな。」
トラブルを起こさないようにしよう、とか、早く魔界へ帰さないと、とか、そんな不安や焦りが溶けていくみたいだ。ずっとこの穏やかな時間を過ごしていたい…
「おい! お前らおっそいんだよ!」
その時、この美しい場所に似つかわしくない罵声が聞こえた。声の方を見ると、俺達の船のすぐ近くに、いかにもガラの悪そうなカップルが乗った船がきていた。
船でも煽られることってあるんだ…でも別の船に乗ってる分、殴られたりとか財布を取られたりとか、そういう心配はなさそうだ。
俺は男を見据えた。
「別に順番とかないんですから、先に行ったらどうですか。」
「ああ? お前らが邪魔で進めねえんだよ! さっさと行けよ!」
男はイラついたようにオールを水面に打ち付ける。なるほど、漕ぐのが下手くそだから俺達の船を避けていけないんだ。
彼女らしい女がいらだつ男にすり寄った。
「この坊や、力がなくて早く漕げないんじゃなぁい。ほら、あんなに『もやし』みたいな腕して。たっくんみたいに筋肉がないから無理なのよぉ。」
たっくん、と呼ばれた男は機嫌を取りもどして笑った。
「がはは! 確かにそうだな!」
…別に俺が何て言われたっていい。今までだって、こういうことはよくあった。巻き込まれて、罵倒されて…だからそれに対して腹を立てることも面倒になっていた。
その時、船が大きく揺れた。見るとラフェが腕を組んで仁王立ちしていた。
「筋肉だかニンニクだか知らんが、日生をバカにしているのは許せない! お前ら、日生に謝れ!」
「ああ?」
男がラフェを睨みつける。
「なぁにこの子。マジで怒っちゃってかーわいい。」
女は馬鹿にしたようにクスクスと笑う。
「言葉じゃ理解できないようだな。なら仕方ない。」
ラフェは胸の前で指をクロスさせた。
「~~~~セレ」
ぶわっと音がして、鋭い風の束がカップルのボートに直撃する。
「うおっ!」
「あぁぁ!」
情けない声をあげ、二人の船はジェットボート並みのすごい勢いで川を進んでいった。
「ふんっ、ざまぁ。」
ラフェは姫らしからぬ悪人顔で船を見送った。
その時、魔法で生み出した強風の余波で船が大きく揺れた。
「うわぁ!」
「ラフェ!」
バランスを崩したラフェを支えようと手を伸ばす。しかし船はさらに大きく揺れて、俺達は川に落ちた。
「次はどこへ行くんだ?」
「佐取峡。ここの観光名所なんだ。」
佐取峡は地元の人達が自然を感じに行くくらいの地味な場所だった。俺もじいちゃん家に行ったときはよく連れて行ってもらった。それが最近、有名な風水師?だかなんだかがここをパワースポットとしてテレビで取り上げたことで一転。一気に知名度が上がった。パワースポットっていうくらいだから魔力も守備範囲内にしてくれないと困る。
バスを降りると、遊歩道の入り口には家族連れやカップルなどたくさんの人で賑わっていた。
「思ってたよりも人多いな…」
今日は高木先輩達に秘密で来ているわけでもちろん助けはない。トラブルに巻き込まれそうになったり、ラフェが魔法を使いそうになったら、俺一人でどうにかしないといけないんだ。そんなリスクを負っても今日に賭けていた。そのために色々と準備はしてきたつもりだ。
ラフェを見るとお気楽そうに周りを眺めている。
「すごいな! お店も人もたくさんだぞ!」
「そうだな。」
遊歩道の入り口近くには小さいお店がたくさん並んでいた。土産屋、蕎麦屋…お、ジェラート屋なんて洒落た店もある。俺が昔来ていた頃は団子屋くらいしかなかったのに。
「すいません、ちょっといいですか。」
目の前に三十代くらいの男の人が現れ、声をかけてきた。
「写真を一枚、お願いしたいんですが…」
その人の後ろを見ると、『佐取峡』と書かれた石碑の前に奥さんや子供達らしき数人が並んでいる。
「いいですよ。」
俺はラフェの方を向いた。
「すぐ戻ってくるから、ちょっと待ってて。」
「分かった。」
何枚か写真を撮ってカメラを返す。早くラフェのところへ戻らないと…
「すいません、次お願いします!」
声の方を振り返ると俺の後ろには何人も列になって並んでいた。先頭にいた大学生くらいの女子グループの一人が俺にスマホを手渡す。
「カメラはここを押すと撮れる…って、いつもやってるから今さらですよね! それじゃあ、何枚かお願いしまーす!」
「いや、俺っ…カメラマンじゃ…」
俺の抗議は届かず、仲間とポーズを取り始めた。
ああ…これはきっと「巻き込まれ」が始まってる。こうなったらさっさと写真を撮ってやった方が早い。ラフェの方を向くと、大人しく立って待っているみたいだ。それなら大丈夫か。
六組ほど写真を撮ってラフェのところへ戻ると、頬を膨らませながら睨みつけられた。
「遅い。」
「…ごめん。」
「私、ずっと放置されてた! 私のためのお出かけなのに!」
「悪かったって。ラフェの好きなもの買ってやるから。」
さて…蕎麦か、それともジェラートか。
「じゃあ、私あれやりたい。」
そう言って指を差したのは「貸ボート案内」と書かれた看板だった。
「へぇ…」
昔来た時はこんなの無かった。近くで看板を見てみると、三千円でボートを借りてそれに乗って佐取峡を下から楽しめるというものらしい。
何がきっかけで魔力がたまるか分からない。せっかくここまで来たんだ。手あたり次第やってみるしかない。
「分かった。乗ろう。」
「やった!」
ラフェは両手をあげて喜んだ。今回の計画、もちろん金銭的援助もない。今月の小遣いの約三割が消し飛んだ。
救命胴衣を装着し、船に乗り込む。船には一組のオールがついていて、一人が漕ぎ手になるみたいだ。
「後で代わってやる。」
「はいはい。」
交代することはなさそうだなと感じながらも俺はオールを手に取った。ひと漕ぎするごとに船が進んでいく。これは、なかなか面白いかもしれない。
水の音が心地いい。それに辺りを見回すと、両岸にそびえたつ岩肌や、新緑の木々が美しい。
「綺麗だな…」
ラフェが声を漏らす。
「ああ…そうだな。」
トラブルを起こさないようにしよう、とか、早く魔界へ帰さないと、とか、そんな不安や焦りが溶けていくみたいだ。ずっとこの穏やかな時間を過ごしていたい…
「おい! お前らおっそいんだよ!」
その時、この美しい場所に似つかわしくない罵声が聞こえた。声の方を見ると、俺達の船のすぐ近くに、いかにもガラの悪そうなカップルが乗った船がきていた。
船でも煽られることってあるんだ…でも別の船に乗ってる分、殴られたりとか財布を取られたりとか、そういう心配はなさそうだ。
俺は男を見据えた。
「別に順番とかないんですから、先に行ったらどうですか。」
「ああ? お前らが邪魔で進めねえんだよ! さっさと行けよ!」
男はイラついたようにオールを水面に打ち付ける。なるほど、漕ぐのが下手くそだから俺達の船を避けていけないんだ。
彼女らしい女がいらだつ男にすり寄った。
「この坊や、力がなくて早く漕げないんじゃなぁい。ほら、あんなに『もやし』みたいな腕して。たっくんみたいに筋肉がないから無理なのよぉ。」
たっくん、と呼ばれた男は機嫌を取りもどして笑った。
「がはは! 確かにそうだな!」
…別に俺が何て言われたっていい。今までだって、こういうことはよくあった。巻き込まれて、罵倒されて…だからそれに対して腹を立てることも面倒になっていた。
その時、船が大きく揺れた。見るとラフェが腕を組んで仁王立ちしていた。
「筋肉だかニンニクだか知らんが、日生をバカにしているのは許せない! お前ら、日生に謝れ!」
「ああ?」
男がラフェを睨みつける。
「なぁにこの子。マジで怒っちゃってかーわいい。」
女は馬鹿にしたようにクスクスと笑う。
「言葉じゃ理解できないようだな。なら仕方ない。」
ラフェは胸の前で指をクロスさせた。
「~~~~セレ」
ぶわっと音がして、鋭い風の束がカップルのボートに直撃する。
「うおっ!」
「あぁぁ!」
情けない声をあげ、二人の船はジェットボート並みのすごい勢いで川を進んでいった。
「ふんっ、ざまぁ。」
ラフェは姫らしからぬ悪人顔で船を見送った。
その時、魔法で生み出した強風の余波で船が大きく揺れた。
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