24 / 42
6 杏奈ちゃんの蕎麦
6 杏奈ちゃんの蕎麦(3)
しおりを挟む
三十分ほどすると、みんなはバーベキューコンロに戻ってきた。
下準備してきたタンドリーチキンやハンバーグ、野菜を焼いていく。
野菜は見栄えがよくて女性陣が喜びそうなカラフルなものを用意した。赤と黄色のパプリカやズッキーニ、紫キャベツにヤングコーン。
叔父さんが釣ったヤマメも焼いた。
杏奈ちゃんが好きかもしれないと、フランクフルトや焼きそばも用意しておいた。
「このタンドリーチキン、味がよくしみこんでておいしいですね」
須賀田君に褒められてほっとする。彼は肉を焼くのを途中から手伝ってくれた。
彼は人当たりがいいだけでなく、仕事の手際がいい。しかも丁寧だ。
藤堂はいい人材を選んだ。僕よりずっとお店に貢献できているだろう。
「おーい、先輩、食べてます?」
七尾が焼きそばを頬張りながら僕に手を振っている。
軽く手を振り返して、僕も少し食べることにした。
タンドリーチキンに齧りつきながら、視線のはしっこで杏奈ちゃんの様子をうかがう。
長い髪を二つに結んだ彼女は、白いフード付きのトップスにベージュのズボンがよく似合っている。
目はくりっとしているが、鼻筋が通っているのでシャープな印象だ。
彼女は令子さんの隣に座っておとなしくフランクフルトを齧っている。あっという間に食べ終えると、令子さんになにか囁いて腰を上げた。
令子さんの顔が曇る。
「川は危ないからやめておきなさい」
杏奈ちゃんの顔が不満げにこわばる。
「大丈夫よ」と美津子さんが間に割って入った。
「杏奈ちゃん、おばあちゃんと行きましょうか」
それでも令子さんの表情は曇ったままだ。
「目を離さないから大丈夫だって」
美津子さんがぽんと令子さんの腕を叩く。
「川は怖いのよ。おばあちゃんと一緒でも絶対入っちゃだめだからね。たとえ何かを落としても、入っちゃだめ」
わかってるよ、とうるさそうに杏奈ちゃん。
「せっかくキャンプに来たんだから、ちょっとぐらいしたいようにさせてあげましょ」
そう言って美津子さんは杏奈ちゃんの手を引いて川の方へ歩いていった。
二人の後ろ姿を令子さんは腕組みしてじっと見ている。
「じゃ、ここからは大人だけで楽しみましょうや。令子さん、ビールいっちゃう?」
ビールを一人で飲んでいた叔父さんが令子さんに缶ビールを差し出す。
久しぶりに飲んだせいか、既にけっこう酔っぱらっているようだ。
「だめだよ、叔父さん。令子さんと須賀田君は車の運転があるから飲めない」
僕がそう言うと、叔父さんは七尾を見た。
「僕もお酒は弱い方なんで遠慮しときます」
七尾も断ると、叔父はのけぞった。
「嘘だろ。みんなで飲めると思って楽しみにしてたのに……新は?」
「みんなが飲まないんだから、僕もやめときます」
しょんぼりした叔父さんだったが、僕がどんどん料理を食べさせると、満腹になったのかうとうとしはじめた。
やがてみんなも食べ終えると、七尾と須賀田君はトイレに行った。
僕は後片付けに取りかかる。
「おいしかった」
いつの間にか令子さんが隣に来て、余った野菜などをタッパに戻しはじめた。
「杏奈ちゃんもたくさん食べてくれてましたね」
彼女はすまなそうな顔をした。
「さっきはごめんなさい。川で……びっくりしたでしょ」
僕が口を開こうとした時、叔父さんが唸りながら身を起こした。寝ぼけた目をこすってから僕をじっと見る。
「トイレ、どこだ? ビール飲み過ぎた……」
あっちんほうですよ、と指さすと、叔父さんはふらつきながら立ち上がり、よろよろ歩いていった。
令子さんはみんなが使った紙皿やコップ類をゴミ袋に集めている。
僕はバーベキューコンロの汚れに水をたらし、ブラシこすり落とした。
「僕もよく親と喧嘩しましたから」
そう僕が笑うと、令子さんは振り向いて小さく笑った。
「でもあの子、いつもはあんなふうじゃないの。おとなしくていい子過ぎるくらい。……本当は知らない人とのキャンプは気乗りがしなかったみたい」
考えてみれば、当たり前だ。
十歳の女の子にしてみれば、母親の行きつけの居酒屋の人間たちとキャンプに行くなんて、気が重いに決まってる。
しかも全員男だ。
「僕のほうこそ、そういうことに気づかず誘っちゃってごめんなさい」
「新君のせいじゃないよ。誘ってもらってすごく嬉しかったもん。でも、自分ばっかりで、杏奈の気持ちを無視してた」
彼女はゴミ袋の口をぐっときつく結ぶと、チェアをたたみはじめた。
「私ね、川で杏奈を叱っちゃったの。挨拶をもう少しきちんとしないとだめだよって。それで、あの子の不満が爆発しちゃったみたい。私が行きたがってたから気を使ってついて来たのに、いい子でいることまで強要されて頭にきたのね」
杏奈ちゃんははじめて会った時、ちゃんと僕らに挨拶していた気がする。でも、親である令子さんには、声が小さいとか、目を合わせないとか、そういう細かいところが気になったのかもしれない。
「令子さんも杏奈ちゃんも悪くないですよ。仲直り、できたんでしょ?」
「一応ね。今度、あの子が好きなパフェをおごる約束させられたけど」
令子さんがいつもみたいに笑ったので、僕は安心した。
「前に杏奈、駅前の大きな公園でピクニックしたいって言ったの。それを私、キャンプの方が喜ぶだろうって勝手に決めつけちゃった。杏奈にしたら、お弁当持って公園で食べるだけでよかったのかも」
「じゃあ今度、ピクニックに行ったらいいですよ。今日のキャンプだって、大人になって思い返したらそう悪くないって思えるかもしれないし」
バーベキューコンロはきれいになり、令子さんもチェアを畳み終えた。
「そうだね。私、杏奈をどこにも連れていってないことが、ずっと気にかかってたの。だから、今日あの子を連れてきたのは、自分のエゴだったのかも」
「そんなことないですよ。そんなふうに思わないでください」
令子さんはズボンのポケットから檸檬味の飴を取り出した。
それを一つ口に含み、僕にもくれた。
「私、小さい時に親にどこかへ連れて行ってもらったことがないの。うちの父親は、私が小学生の時に病気で亡くなって、母親は仕事で忙しくて子供にかまってる暇はなかった。杏奈には思い出を作ってあげたいんだ」
ちょっと歩いてくるね、と令子さんは言ってすっと立ち去った。
僕はうまく令子さんを励ますことができなかった。
ぼうっと彼女との会話を思い返していると、七尾と須賀田君が戻ってきた。
「わぁ、先輩、全部きれいに片付けてくれたんですね。すみませーん」
「令子さんと一緒にね」
「令子さんは?」
「散歩に行った」
「一人で? 僕も一緒に行きたかったなぁ……、あ、いまね、焚火しようって話してたんです」
七尾の言葉に須賀田君が感じのいい笑顔でうなずく。
「焚火でマシュマロ焼きましょうよ」
「いいね。杏奈ちゃんも喜ぶんじゃないかな」
「焚火は意外と大人のほうが夢中になりますよ」
須賀田君は焚火の準備に取りかかった。
「叔父さんもさっきトイレ行ったんだけど、会った?」
七尾に訊くと、会いましたよーとのんきな返事が返って来た。
「そのうち戻ってくるんじゃないですか」
焚火を囲みながら三人でコーヒーを飲んでいると、美津子さんが一人で戻ってきた。
「あれ? 杏奈ちゃんは?」
驚いてたずねると、彼女は笑った。
「岡谷さんがついてくれてます。私、トイレに行きたくなっちゃって。二人もじきに戻ってくるはずですよ」
そう言って、焚火を囲む椅子に腰をおろす。
叔父さんはかなり酒に酔っていたけど大丈夫だろうか。
心配になり、僕は腰を上げた。
「迎えにいってきますね」
僕は小走りで川に向かった。
少し風が出てきて、肌寒く感じる。
杏奈ちゃんは上着を着ていっただろうか。
さっき杏奈ちゃんと令子さんがいたあたりに向かうと、そこに小さい影が見えた。
杏奈ちゃんが一人で川のほとりに佇んでいる。
長いおさげ髪が風にあおられて、二匹の蛇みたいに泳いでいた。
「杏奈ちゃん!」
驚かせるのもかまわずに叫んでいた。
彼女はびくっと肩を震わせる。
さっと振り返ると、静かな表情で僕を見た。
そのまなざしは、僕を拒絶していた。
なぜ拒絶するのか、僕にはわかった。
彼女は母親に近づこうとしている男を警戒しているのだ。
「ごめんなさい」
杏奈ちゃんはそう言うと、目を伏せた。
「いや……ひとり? 叔父さんは?」
彼女はすっと左の方を指さした。
振り返ると、叔父さんが膝を抱えて座りながら、こちらにのんびりと手を振っている。
目に入らなかったが、最初からそこにいたらしい。
「焚火でマシュマロ焼くけど、食べる?」
「はい」
杏奈ちゃんは小さく頭を下げてから、テントがある方へ向かって軽やかに駆けていった。
風がもっと強くなってきて、叔父さんがかぶっていた帽子が飛ばされた。
テントに戻ると、雨雲が広がりはじめた。
焼いたマシュマロをみんなで食べているうちに、細かい雨が風に交じりはじめ、僕らは慌てて帰り支度をした。
杏奈ちゃんから紙風船をもらえないまま、キャンプは終わった。
*
下準備してきたタンドリーチキンやハンバーグ、野菜を焼いていく。
野菜は見栄えがよくて女性陣が喜びそうなカラフルなものを用意した。赤と黄色のパプリカやズッキーニ、紫キャベツにヤングコーン。
叔父さんが釣ったヤマメも焼いた。
杏奈ちゃんが好きかもしれないと、フランクフルトや焼きそばも用意しておいた。
「このタンドリーチキン、味がよくしみこんでておいしいですね」
須賀田君に褒められてほっとする。彼は肉を焼くのを途中から手伝ってくれた。
彼は人当たりがいいだけでなく、仕事の手際がいい。しかも丁寧だ。
藤堂はいい人材を選んだ。僕よりずっとお店に貢献できているだろう。
「おーい、先輩、食べてます?」
七尾が焼きそばを頬張りながら僕に手を振っている。
軽く手を振り返して、僕も少し食べることにした。
タンドリーチキンに齧りつきながら、視線のはしっこで杏奈ちゃんの様子をうかがう。
長い髪を二つに結んだ彼女は、白いフード付きのトップスにベージュのズボンがよく似合っている。
目はくりっとしているが、鼻筋が通っているのでシャープな印象だ。
彼女は令子さんの隣に座っておとなしくフランクフルトを齧っている。あっという間に食べ終えると、令子さんになにか囁いて腰を上げた。
令子さんの顔が曇る。
「川は危ないからやめておきなさい」
杏奈ちゃんの顔が不満げにこわばる。
「大丈夫よ」と美津子さんが間に割って入った。
「杏奈ちゃん、おばあちゃんと行きましょうか」
それでも令子さんの表情は曇ったままだ。
「目を離さないから大丈夫だって」
美津子さんがぽんと令子さんの腕を叩く。
「川は怖いのよ。おばあちゃんと一緒でも絶対入っちゃだめだからね。たとえ何かを落としても、入っちゃだめ」
わかってるよ、とうるさそうに杏奈ちゃん。
「せっかくキャンプに来たんだから、ちょっとぐらいしたいようにさせてあげましょ」
そう言って美津子さんは杏奈ちゃんの手を引いて川の方へ歩いていった。
二人の後ろ姿を令子さんは腕組みしてじっと見ている。
「じゃ、ここからは大人だけで楽しみましょうや。令子さん、ビールいっちゃう?」
ビールを一人で飲んでいた叔父さんが令子さんに缶ビールを差し出す。
久しぶりに飲んだせいか、既にけっこう酔っぱらっているようだ。
「だめだよ、叔父さん。令子さんと須賀田君は車の運転があるから飲めない」
僕がそう言うと、叔父さんは七尾を見た。
「僕もお酒は弱い方なんで遠慮しときます」
七尾も断ると、叔父はのけぞった。
「嘘だろ。みんなで飲めると思って楽しみにしてたのに……新は?」
「みんなが飲まないんだから、僕もやめときます」
しょんぼりした叔父さんだったが、僕がどんどん料理を食べさせると、満腹になったのかうとうとしはじめた。
やがてみんなも食べ終えると、七尾と須賀田君はトイレに行った。
僕は後片付けに取りかかる。
「おいしかった」
いつの間にか令子さんが隣に来て、余った野菜などをタッパに戻しはじめた。
「杏奈ちゃんもたくさん食べてくれてましたね」
彼女はすまなそうな顔をした。
「さっきはごめんなさい。川で……びっくりしたでしょ」
僕が口を開こうとした時、叔父さんが唸りながら身を起こした。寝ぼけた目をこすってから僕をじっと見る。
「トイレ、どこだ? ビール飲み過ぎた……」
あっちんほうですよ、と指さすと、叔父さんはふらつきながら立ち上がり、よろよろ歩いていった。
令子さんはみんなが使った紙皿やコップ類をゴミ袋に集めている。
僕はバーベキューコンロの汚れに水をたらし、ブラシこすり落とした。
「僕もよく親と喧嘩しましたから」
そう僕が笑うと、令子さんは振り向いて小さく笑った。
「でもあの子、いつもはあんなふうじゃないの。おとなしくていい子過ぎるくらい。……本当は知らない人とのキャンプは気乗りがしなかったみたい」
考えてみれば、当たり前だ。
十歳の女の子にしてみれば、母親の行きつけの居酒屋の人間たちとキャンプに行くなんて、気が重いに決まってる。
しかも全員男だ。
「僕のほうこそ、そういうことに気づかず誘っちゃってごめんなさい」
「新君のせいじゃないよ。誘ってもらってすごく嬉しかったもん。でも、自分ばっかりで、杏奈の気持ちを無視してた」
彼女はゴミ袋の口をぐっときつく結ぶと、チェアをたたみはじめた。
「私ね、川で杏奈を叱っちゃったの。挨拶をもう少しきちんとしないとだめだよって。それで、あの子の不満が爆発しちゃったみたい。私が行きたがってたから気を使ってついて来たのに、いい子でいることまで強要されて頭にきたのね」
杏奈ちゃんははじめて会った時、ちゃんと僕らに挨拶していた気がする。でも、親である令子さんには、声が小さいとか、目を合わせないとか、そういう細かいところが気になったのかもしれない。
「令子さんも杏奈ちゃんも悪くないですよ。仲直り、できたんでしょ?」
「一応ね。今度、あの子が好きなパフェをおごる約束させられたけど」
令子さんがいつもみたいに笑ったので、僕は安心した。
「前に杏奈、駅前の大きな公園でピクニックしたいって言ったの。それを私、キャンプの方が喜ぶだろうって勝手に決めつけちゃった。杏奈にしたら、お弁当持って公園で食べるだけでよかったのかも」
「じゃあ今度、ピクニックに行ったらいいですよ。今日のキャンプだって、大人になって思い返したらそう悪くないって思えるかもしれないし」
バーベキューコンロはきれいになり、令子さんもチェアを畳み終えた。
「そうだね。私、杏奈をどこにも連れていってないことが、ずっと気にかかってたの。だから、今日あの子を連れてきたのは、自分のエゴだったのかも」
「そんなことないですよ。そんなふうに思わないでください」
令子さんはズボンのポケットから檸檬味の飴を取り出した。
それを一つ口に含み、僕にもくれた。
「私、小さい時に親にどこかへ連れて行ってもらったことがないの。うちの父親は、私が小学生の時に病気で亡くなって、母親は仕事で忙しくて子供にかまってる暇はなかった。杏奈には思い出を作ってあげたいんだ」
ちょっと歩いてくるね、と令子さんは言ってすっと立ち去った。
僕はうまく令子さんを励ますことができなかった。
ぼうっと彼女との会話を思い返していると、七尾と須賀田君が戻ってきた。
「わぁ、先輩、全部きれいに片付けてくれたんですね。すみませーん」
「令子さんと一緒にね」
「令子さんは?」
「散歩に行った」
「一人で? 僕も一緒に行きたかったなぁ……、あ、いまね、焚火しようって話してたんです」
七尾の言葉に須賀田君が感じのいい笑顔でうなずく。
「焚火でマシュマロ焼きましょうよ」
「いいね。杏奈ちゃんも喜ぶんじゃないかな」
「焚火は意外と大人のほうが夢中になりますよ」
須賀田君は焚火の準備に取りかかった。
「叔父さんもさっきトイレ行ったんだけど、会った?」
七尾に訊くと、会いましたよーとのんきな返事が返って来た。
「そのうち戻ってくるんじゃないですか」
焚火を囲みながら三人でコーヒーを飲んでいると、美津子さんが一人で戻ってきた。
「あれ? 杏奈ちゃんは?」
驚いてたずねると、彼女は笑った。
「岡谷さんがついてくれてます。私、トイレに行きたくなっちゃって。二人もじきに戻ってくるはずですよ」
そう言って、焚火を囲む椅子に腰をおろす。
叔父さんはかなり酒に酔っていたけど大丈夫だろうか。
心配になり、僕は腰を上げた。
「迎えにいってきますね」
僕は小走りで川に向かった。
少し風が出てきて、肌寒く感じる。
杏奈ちゃんは上着を着ていっただろうか。
さっき杏奈ちゃんと令子さんがいたあたりに向かうと、そこに小さい影が見えた。
杏奈ちゃんが一人で川のほとりに佇んでいる。
長いおさげ髪が風にあおられて、二匹の蛇みたいに泳いでいた。
「杏奈ちゃん!」
驚かせるのもかまわずに叫んでいた。
彼女はびくっと肩を震わせる。
さっと振り返ると、静かな表情で僕を見た。
そのまなざしは、僕を拒絶していた。
なぜ拒絶するのか、僕にはわかった。
彼女は母親に近づこうとしている男を警戒しているのだ。
「ごめんなさい」
杏奈ちゃんはそう言うと、目を伏せた。
「いや……ひとり? 叔父さんは?」
彼女はすっと左の方を指さした。
振り返ると、叔父さんが膝を抱えて座りながら、こちらにのんびりと手を振っている。
目に入らなかったが、最初からそこにいたらしい。
「焚火でマシュマロ焼くけど、食べる?」
「はい」
杏奈ちゃんは小さく頭を下げてから、テントがある方へ向かって軽やかに駆けていった。
風がもっと強くなってきて、叔父さんがかぶっていた帽子が飛ばされた。
テントに戻ると、雨雲が広がりはじめた。
焼いたマシュマロをみんなで食べているうちに、細かい雨が風に交じりはじめ、僕らは慌てて帰り支度をした。
杏奈ちゃんから紙風船をもらえないまま、キャンプは終わった。
*
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。
すこやか食堂のゆかいな人々
山いい奈
ライト文芸
貧血体質で悩まされている、常盤みのり。
母親が栄養学の本を読みながらごはんを作ってくれているのを見て、みのりも興味を持った。
心を癒し、食べるもので健康になれる様な食堂を開きたい。それがみのりの目標になっていた。
短大で栄養学を学び、専門学校でお料理を学び、体調を見ながら日本料理店でのアルバイトに励み、お料理教室で技を鍛えて来た。
そしてみのりは、両親や幼なじみ、お料理教室の先生、テナントビルのオーナーの力を借りて、すこやか食堂をオープンする。
一癖も二癖もある周りの人々やお客さまに囲まれて、みのりは奮闘する。
やがて、それはみのりの家族の問題に繋がっていく。
じんわりと、だがほっこりと心暖まる物語。

溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話
猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。
バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。
『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか?
※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です
※カクヨム・小説家になろうでも公開しています
伊緒さんのお嫁ご飯
三條すずしろ
ライト文芸
貴女がいるから、まっすぐ家に帰ります――。
伊緒さんが作ってくれる、おいしい「お嫁ご飯」が楽しみな僕。
子供のころから憧れていた小さな幸せに、ほっと心が癒されていきます。
ちょっぴり歴女な伊緒さんの、とっても温かい料理のお話。
「第1回ライト文芸大賞」大賞候補作品。
「エブリスタ」「カクヨム」「すずしろブログ」にも掲載中です!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる