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5 陽太さんの酢豚
5 陽太さんの酢豚(4)
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「やさしい味ですね。しっかりした味付けだけど、後味は軽い。料理人が作ったグラタンなのに、家族が作ってくれたような温かさもある」
「気に入ってくれたならよかった。石川のために作ったんだから」
彼女はまた一口食べてうなずく。
「今日がお誕生日だったらよかったな」
「誕生日、近いの?」
「来月です。誕生日にまたこのグラタン食べたいな」
「いいよ。来る日を教えてくれれば用意しておくよ」
本当ですか、と石川が目を輝かす。
「私の誕生日は六月二十日です。忘れないでくださいね」
「了解。書いておく」
店の壁に貼ったカレンダーに(石川誕生日)と書き込む。
「誕生日も仕事?」
「いえ、休みをもらいます」
「デートとかはしないの?」
石川は少しだけ表情をかたくする。
「彼氏はいないって言いましたよね」
「そうだけど、デートぐらいする相手はいるのかなって……」
「デートだけする相手ってなんですか。私、そういう半端な付き合いはしません。先輩がデートしてくれるなら話は別ですけど」
ごめんごめん、とすぐに僕は謝った。
「石川、もてそうだと思ってさ」
彼女は驚いた顔をした。
「私が? そう思います?」
「普通に可愛いからもてるでしょ」
「可愛い……先輩がそんなこと言ってくれたのはじめてですね」
陽太さんは寝て、叔父さんが奥に引っ込んだせいだろうか。話がややおかしな方向にいっている気がする。
「先輩はいま、彼女いないんですよね?」
「いないけど」
「好きな人は?」
「いない」
即答なんだ、と石川は複雑な表情を浮かべる。
「もしかして石川、酔ってる?」
白ワインがきいてきたのかもしれない。
「私、全然酔ってません。むしろ冴えてます。私、なんかおかしい言動してますか?」
「いや……」
そのとき、店の戸ががらがらと音をたてて開いた。
ひょこっと顔を覗かせたのは七尾だ。
僕と石川をちらりと見くらべて、にんまりする。
「先輩、おつかれさまです! 来ちゃいました!」
来ちゃいましたって……狙って来たんだろうが。
でも、今夜ばかりは七尾の邪魔に助けられた気がした。
これで、酔った石川の妙なからみから解放される。
「怒ってませんよね?」
後ろでに戸を閉めながら僕の顔色をうかがう七尾。
「お客に怒る店員がいるか」
「ですよねぇ。あ、失礼します」
七尾は石川の隣に腰をおろし、ぶしつけな視線を彼女に向ける。
可愛い、という心の声が漏れ出ててるような顔をして。
「彼は前の職場の後輩の七尾優。お調子者だから適当にあしらってくれていいよ」
僕の紹介にむっとしながらも、七尾は石川にぺこぺこ頭を下げた。
「はじめまして、七尾です。優って呼んでください」
呼ぶか。
「で、彼女が料理学校の後輩の石川月菜。その隣がお兄さんの陽太さん」
石川は七尾のことを興味深そうに見つめて、会釈した。
「藤堂の……」
「ええ、そうなんですよ。先輩にはたくさんお世話になりまして。いまは親友って感じです」
いつから親友になったんだ。
「なに食べ……」
「あ! おしいそうなグラタン!」
僕の言葉を遮って七尾が無邪気に声を上げる。
「僕もこれ食べたいです! あとビール!」
グラタンを皿に盛り、白ワインをグラスに注ぐ。
「白ワイン開けたから飲みな」
「そんなしゃれたもんがここで出るとは」
「うるさいよ」
七尾の登場でうるさくなったからか、陽太さんが唸りながら顔をあげた。
目をこすりながら、まわりを見る。
僕や石川を見て、いま自分がどこにいるか思い出したような顔をした。
七尾が陽太さんに向かって手を振る。
「はじめまして、お兄さん! 七尾優といいます! 新先輩の後輩です!」
お兄さんてなんだ。
どうも、と陽太さんはまだ目をこすりながら、七尾に軽く頭を下げる。それから鼻をくんくんした。
「この匂いは……」
「先輩が作ってくれたグラタンだよ。お兄ちゃんもいただく?」
「いただきたい」
僕は笑いながら、陽太さんにもグラタンをよそった。
「覚えてる? お母さんが昔作ってくれた、しゃばしゃばの失敗グラタン」
陽太さんは水を一口飲んでから、しゃばしゃばグラタン……と口の中でつぶやいた。
「ああ……そういえば、そんなこともあったね。飲むグラタンみたいになってたっけ」
「そうそう」
二人はそのときのことを思い出したようにおかしそうに笑いはじめた。
陽太さんはグラタンを食べ、こくこくうなずく。
「うん、うまいですよ」
僕に向かって親指を上げてみせる。
「寝起きでも全然いける」
七尾はお腹が空いているらしく、あっという間にグラタンをたいらげた。物欲しそうに残りのグラタンを見ているので、仕方なく叔父さんの分を彼にあげる。
「母さん、酢豚も失敗してなかった?」
完全に目が覚めたらしい陽太さんが頬杖をつきながら石川に言う。
「酢豚?」
「母さん好きで、よく作ってくれたじゃない。でも、僕らは肉だけ食べて他は残した」
「そうだった?」
石川はよく覚えていないようだ。おなじものを食べていても、記憶に強く残っている料理は違うようだ。
「なんでだと思います?」
陽太さんはいきなり七尾にそう訊ねる。
当然七尾はびっくりして、変な音を喉の奥から出した。
「うぇ……な、なんでしょお」
陽太さんはにんまり笑う。
「それは野菜が固かったから。うちの母親、野菜の素揚げを省いてたんです。『私、酢豚を作るの全然苦じゃないのー』って得意げに言ってたけど、酢豚の作り方を知らなかったんですよね。具材を炒めてあんにからめて終わり。そりゃすぐできるけど、酢豚じゃないし、いろいろまずい」
石川は思い出してきたのか、顎の先を人差し指でぐいと押した。
「そういえば、人参とタマネギがかたくて苦くてやばかった記憶が……」
「酢豚の野菜は大きめに切るから、火が通ってないと悲惨だ」と陽太さん。「でも、肉はおいしかったんだよ。不思議だよなぁ。あんの味も悪くなかった」
ティッシュペーパーで口を拭きながら、石川が笑みを浮かべる。
「お兄ちゃん、次にここに来た時、酢豚が出てくるかもよ」
彼女は僕にちらりと視線をよこす。
今度は酢豚か。
「どういうシステムなの?」
陽太さんは笑いながら僕と石川を見る。
「お客さんの思い出の味を聞くと、なんか作りたくなっちゃうんですよね」
「そういうこと」陽太さんは豪快に笑った。「じゃあ、またすぐに来ないと」
「ぜひ来てください。いつでも大歓迎ですので」
突然、陽太さんは太くてたくましい腕を僕に差し出した。
「今夜は楽しかった。ありがとうございました」
僕はびっくりして一瞬ためらったけど、すぐにその手をしっかり握った。
「こちらこそ楽しかったです。またいろいろ話しましょう」
陽太さんはうなずいて、思い出したように照れ笑いを浮かべた。
「次はカウンターで寝ないようにしますよ」
*
その夜、仕事が終わったのは十二時。
店を閉めて叔父さんと別れると、二十四時間営業のスーパーに立ち寄った。
カゴに商品を入れていきながら、総菜コーナーの前で令子さんのことを思い出した。
今夜、彼女はここに来たんだろうか。
なに買ったのかな。
この前、令子さんを家まで送って、彼女のアパートを見た。
二階建てのこぎれいな建物。
あそこで女三人、身を寄せ合って暮らしている。
令子さんはすごく頑張っているはずだ。
弱音を吐けるような人は誰かいるんだろうか。
あの夜から、ずっと考えてることがある。
令子さんに店で作ったお惣菜をあげたい、と。
仕事帰りにでも寄ってもらって手渡せたらいいんだけど。
でも、こんな申し出、彼女はきっと遠慮するだろう。
余計なことをすれば、店にも来なくなってしまうかもしれない。
憐みや同情を受けたような気がして、気分を害する恐れもある。
陽太さんが気にしていた、二年通ってくれて突然来なくなったお客さん。
彼みたいに令子さんが突然店に来なくなったら、本当に悲しいだろう。
いや、悲しいだけじゃない。
僕は彼女の家まで訪ねて行って、「大丈夫ですか?」と様子をうかがいかねない。
そんなの、たぶん普通じゃない。
僕はため息を吐いて、首を横に振った。
こんなこと考えるなんて今夜はかなり疲れている。
陽太さんが店に来て、やっぱり緊張したんだろう。
令子さんが買っていたポテトサラダをカゴに入れて、とぼとぼとレジに向かった。
「気に入ってくれたならよかった。石川のために作ったんだから」
彼女はまた一口食べてうなずく。
「今日がお誕生日だったらよかったな」
「誕生日、近いの?」
「来月です。誕生日にまたこのグラタン食べたいな」
「いいよ。来る日を教えてくれれば用意しておくよ」
本当ですか、と石川が目を輝かす。
「私の誕生日は六月二十日です。忘れないでくださいね」
「了解。書いておく」
店の壁に貼ったカレンダーに(石川誕生日)と書き込む。
「誕生日も仕事?」
「いえ、休みをもらいます」
「デートとかはしないの?」
石川は少しだけ表情をかたくする。
「彼氏はいないって言いましたよね」
「そうだけど、デートぐらいする相手はいるのかなって……」
「デートだけする相手ってなんですか。私、そういう半端な付き合いはしません。先輩がデートしてくれるなら話は別ですけど」
ごめんごめん、とすぐに僕は謝った。
「石川、もてそうだと思ってさ」
彼女は驚いた顔をした。
「私が? そう思います?」
「普通に可愛いからもてるでしょ」
「可愛い……先輩がそんなこと言ってくれたのはじめてですね」
陽太さんは寝て、叔父さんが奥に引っ込んだせいだろうか。話がややおかしな方向にいっている気がする。
「先輩はいま、彼女いないんですよね?」
「いないけど」
「好きな人は?」
「いない」
即答なんだ、と石川は複雑な表情を浮かべる。
「もしかして石川、酔ってる?」
白ワインがきいてきたのかもしれない。
「私、全然酔ってません。むしろ冴えてます。私、なんかおかしい言動してますか?」
「いや……」
そのとき、店の戸ががらがらと音をたてて開いた。
ひょこっと顔を覗かせたのは七尾だ。
僕と石川をちらりと見くらべて、にんまりする。
「先輩、おつかれさまです! 来ちゃいました!」
来ちゃいましたって……狙って来たんだろうが。
でも、今夜ばかりは七尾の邪魔に助けられた気がした。
これで、酔った石川の妙なからみから解放される。
「怒ってませんよね?」
後ろでに戸を閉めながら僕の顔色をうかがう七尾。
「お客に怒る店員がいるか」
「ですよねぇ。あ、失礼します」
七尾は石川の隣に腰をおろし、ぶしつけな視線を彼女に向ける。
可愛い、という心の声が漏れ出ててるような顔をして。
「彼は前の職場の後輩の七尾優。お調子者だから適当にあしらってくれていいよ」
僕の紹介にむっとしながらも、七尾は石川にぺこぺこ頭を下げた。
「はじめまして、七尾です。優って呼んでください」
呼ぶか。
「で、彼女が料理学校の後輩の石川月菜。その隣がお兄さんの陽太さん」
石川は七尾のことを興味深そうに見つめて、会釈した。
「藤堂の……」
「ええ、そうなんですよ。先輩にはたくさんお世話になりまして。いまは親友って感じです」
いつから親友になったんだ。
「なに食べ……」
「あ! おしいそうなグラタン!」
僕の言葉を遮って七尾が無邪気に声を上げる。
「僕もこれ食べたいです! あとビール!」
グラタンを皿に盛り、白ワインをグラスに注ぐ。
「白ワイン開けたから飲みな」
「そんなしゃれたもんがここで出るとは」
「うるさいよ」
七尾の登場でうるさくなったからか、陽太さんが唸りながら顔をあげた。
目をこすりながら、まわりを見る。
僕や石川を見て、いま自分がどこにいるか思い出したような顔をした。
七尾が陽太さんに向かって手を振る。
「はじめまして、お兄さん! 七尾優といいます! 新先輩の後輩です!」
お兄さんてなんだ。
どうも、と陽太さんはまだ目をこすりながら、七尾に軽く頭を下げる。それから鼻をくんくんした。
「この匂いは……」
「先輩が作ってくれたグラタンだよ。お兄ちゃんもいただく?」
「いただきたい」
僕は笑いながら、陽太さんにもグラタンをよそった。
「覚えてる? お母さんが昔作ってくれた、しゃばしゃばの失敗グラタン」
陽太さんは水を一口飲んでから、しゃばしゃばグラタン……と口の中でつぶやいた。
「ああ……そういえば、そんなこともあったね。飲むグラタンみたいになってたっけ」
「そうそう」
二人はそのときのことを思い出したようにおかしそうに笑いはじめた。
陽太さんはグラタンを食べ、こくこくうなずく。
「うん、うまいですよ」
僕に向かって親指を上げてみせる。
「寝起きでも全然いける」
七尾はお腹が空いているらしく、あっという間にグラタンをたいらげた。物欲しそうに残りのグラタンを見ているので、仕方なく叔父さんの分を彼にあげる。
「母さん、酢豚も失敗してなかった?」
完全に目が覚めたらしい陽太さんが頬杖をつきながら石川に言う。
「酢豚?」
「母さん好きで、よく作ってくれたじゃない。でも、僕らは肉だけ食べて他は残した」
「そうだった?」
石川はよく覚えていないようだ。おなじものを食べていても、記憶に強く残っている料理は違うようだ。
「なんでだと思います?」
陽太さんはいきなり七尾にそう訊ねる。
当然七尾はびっくりして、変な音を喉の奥から出した。
「うぇ……な、なんでしょお」
陽太さんはにんまり笑う。
「それは野菜が固かったから。うちの母親、野菜の素揚げを省いてたんです。『私、酢豚を作るの全然苦じゃないのー』って得意げに言ってたけど、酢豚の作り方を知らなかったんですよね。具材を炒めてあんにからめて終わり。そりゃすぐできるけど、酢豚じゃないし、いろいろまずい」
石川は思い出してきたのか、顎の先を人差し指でぐいと押した。
「そういえば、人参とタマネギがかたくて苦くてやばかった記憶が……」
「酢豚の野菜は大きめに切るから、火が通ってないと悲惨だ」と陽太さん。「でも、肉はおいしかったんだよ。不思議だよなぁ。あんの味も悪くなかった」
ティッシュペーパーで口を拭きながら、石川が笑みを浮かべる。
「お兄ちゃん、次にここに来た時、酢豚が出てくるかもよ」
彼女は僕にちらりと視線をよこす。
今度は酢豚か。
「どういうシステムなの?」
陽太さんは笑いながら僕と石川を見る。
「お客さんの思い出の味を聞くと、なんか作りたくなっちゃうんですよね」
「そういうこと」陽太さんは豪快に笑った。「じゃあ、またすぐに来ないと」
「ぜひ来てください。いつでも大歓迎ですので」
突然、陽太さんは太くてたくましい腕を僕に差し出した。
「今夜は楽しかった。ありがとうございました」
僕はびっくりして一瞬ためらったけど、すぐにその手をしっかり握った。
「こちらこそ楽しかったです。またいろいろ話しましょう」
陽太さんはうなずいて、思い出したように照れ笑いを浮かべた。
「次はカウンターで寝ないようにしますよ」
*
その夜、仕事が終わったのは十二時。
店を閉めて叔父さんと別れると、二十四時間営業のスーパーに立ち寄った。
カゴに商品を入れていきながら、総菜コーナーの前で令子さんのことを思い出した。
今夜、彼女はここに来たんだろうか。
なに買ったのかな。
この前、令子さんを家まで送って、彼女のアパートを見た。
二階建てのこぎれいな建物。
あそこで女三人、身を寄せ合って暮らしている。
令子さんはすごく頑張っているはずだ。
弱音を吐けるような人は誰かいるんだろうか。
あの夜から、ずっと考えてることがある。
令子さんに店で作ったお惣菜をあげたい、と。
仕事帰りにでも寄ってもらって手渡せたらいいんだけど。
でも、こんな申し出、彼女はきっと遠慮するだろう。
余計なことをすれば、店にも来なくなってしまうかもしれない。
憐みや同情を受けたような気がして、気分を害する恐れもある。
陽太さんが気にしていた、二年通ってくれて突然来なくなったお客さん。
彼みたいに令子さんが突然店に来なくなったら、本当に悲しいだろう。
いや、悲しいだけじゃない。
僕は彼女の家まで訪ねて行って、「大丈夫ですか?」と様子をうかがいかねない。
そんなの、たぶん普通じゃない。
僕はため息を吐いて、首を横に振った。
こんなこと考えるなんて今夜はかなり疲れている。
陽太さんが店に来て、やっぱり緊張したんだろう。
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