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4 七尾のオムライス
4 七尾のオムライス(4)
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「うまそう! いただきます!」
七尾は夢中で餃子を食べはじめた。
令子さんや叔父さんも、黙々と餃子を頬張り、ビールで流し込んでいく。
料理人にとって一番嬉しいことは、賞賛の言葉をもらうよりも、ひたすら食べることに没頭する姿を見ることかもしれない。
三人は見事に僕のことを忘れて、食べ続けた。
二人前の餃子と大盛りごはんをぺろりと胃におさめた七尾は、満足そうに息をついて天井を仰いだ。
「先輩、うますぎました」
「そりゃよかった。満足した?」
「大大大満足です。また先輩の餃子が食べられて感無量です」
どういうわけか七尾の目はすこし潤んでいる。
困ったなと思いながら、むいておいた洋ナシを彼に差し出した。
「口の中がさっぱりするよ」
令子さんや叔父さん、そして自分にも用意する。
しゃりしゃりと洋ナシを食べていると、七尾がしみじみといった様子で話しだした。
「さっき聞いた、思い出のいまいち飯のことなんですけど……僕もあったかなって考えてたんです。それでオムライスのことがぱっと頭に浮かんだんですよね」
いまいち飯とか勝手に名付けている。
「僕ね、両親が共働きだったんで、小さい時からけっこう食事とか自分で作ってたんです。でも料理がうまいわけじゃなかったから、手抜きというか、変な料理しかできなくて」
「何歳ごろの話?」と令子さん。
「小学校高学年ぐらいですかね。本当はハンバーグとかカレーライスとか洋食系が食べたかったんですけど、僕にはまだ難しくて……そういうときによく作って食べてたのがオムライスなんです。ただのケチャップごはんを卵で包んだだけのものなんですけどね」
「意外とおいしいんだよな」
僕がそう言うと、七尾はぱっと表情を明るくした。
「そうなんです! 言葉にするといまいちっぽいんですけど、実際作って食べると想像を超えておいしいんです。ケチャップって超スーパー万能調味料ですよね。僕、小さい頃はなんでもケチャップつけて食べてました。おかずがない時は、ごはんにかけたりもして」
七尾はぱっと立ち上がった。
「そうだ! ちょっと作ってみてもいいですか?」
「え、オムライスをいまから?」
「はい」
「いいけど……」
驚いている僕たちをよそに、七尾はカウンターの中に入ってくると、手を洗いはじめた。
慌てて僕は卵やごはんを用意する。もちろんケチャップも。
フライパンを握ると七尾も料理人の顔になる。ご飯を軽くいためたらすぐにケチャップを投入。わきに寄せて空いたところにといた卵をいれて軽くまぜる。器用にケチャップご飯を卵の上に移動させ、フライパンにのせた皿ごと裏返したら完成。
数分たらずでできる、七尾の思い出オムライス。
「僕はいつもケチャップでこう書いてたんですよ」
そう言って、オムライスの上にケチャップで、(ゆう)と書いた。
「そのまんまじゃん」
「サインみたいな。一応僕の作品なんで」
なるほどね、と令子さんが微笑む。
「食べてみてください」
七尾に促されて、僕らは一口ずつ味見をした。
シンプル過ぎるオムライスなのに、想像よりずっとおいしい。
想像のハードルが低いからおいしく感じられるのだろうか。
いや、単純においしいからおいしいんだろう。
「あれ、おいしい。 なんで?」
そう言った令子さんは自分の言葉に笑ってしまう。
「なんでって失礼か。でも、不思議。ほんとにおいしいね」
「でしょ!」
令子さんの感想に七尾のテンションは上がりまくり。
「うんめ」
叔父さんも気に入ったらしく、ばくばく食べはじめている。
「なんとなく高い材料使ってるものがおいしいって思い込みがあるけど、そんなことはないよね。卵かけごはんとかも最高においしいし」
令子さんの言葉に叔父さんも大きくうなずく。
「それを言うなら、飯にかつおぶりのっけて醤油たらすだけで最高にうまいよ」
「あと、炊きたてご飯で作る塩むすびとかも」
七尾の言葉にも全員納得。
令子さんが店をあとにすると、七尾はあれこれ彼女のことを訊き始めた。
「へ~、三十五歳なんですか。見えないなぁ。二十代ぐらいかと思いました。美人ですよねぇ、令子さん」
叔父さんは黒烏龍茶を飲みながらにやにやする。
「ひとめぼれ?」
「ええっ。やだな、叔父さんてば」
なんなんだこのやりとりは。
皿を洗いながら、僕は七尾に釘をさした。
「令子さんには娘さんがいるんだから、いい加減なことするなよ」
七尾はむっとした。
「どういうことですか。僕は誰の事もいい加減にしたことないですよ」
「アプリで会う女の子たちとは違うって話」
「ひどいじゃないですか、そういう言い方」
七尾はむすっと口を引き結んだ。さすがに怒ったようだ。
だが大事な常連である令子さんに迷惑がかかっては申し訳ない。
「アプリってなんだ?」
僕と七尾は叔父さんの質問をスルーした。
「どうせ、僕なんて誰も相手してくれませんよ。前に話した告白だってだめでしたし」
そうだったのか。
「友達ならいいけど、付き合うことはできないってはっきり言われました」
ふられて傷心中なのに明るくふるまってたのか。
「ごめん、言い過ぎた」
七尾は軽く僕を睨んだ。
「僕だって傷つきますから」
「わかったよ、ごめん」
本当に悪かったと思ってる。
「今日は全部おごるよ。それで許して」
七尾の顔がぱっと変わった。
「え、本当ですか。じゃあまあ……許します」
「じゃあ、仲直りな。コーラ飲むか?」
「はい!」
すぐに機嫌がなおるところは七尾のいいところだ。
「令子さんの娘さんて何歳なんですか?」
「十歳」
「名前は?」
「杏奈ちゃん。令子さんのお母さんと三人で暮らしてるんだよ」
ふうん、とうなずく七尾に冷えたコーラを出す。
「どうして離婚したんですか?」
「知らない」
「訊いてないんですか?」
「お客さんのプライベートを根掘り葉掘り訊く料理人がいるか?」
七尾は少し考えて、「それもそうか」と呟いた。
「でも、ずいぶん仲良さそうだったんで、友達感覚なのかなあって」
「友達ではないよ。令子さんはうちの大事なお客さん」
そのとき、ポケットに入れているスマホが鳴り始めた。
「ちょっとごめん」
僕は店の外に出て電話に出た。
相手は石川だった。
『先輩、いま大丈夫ですか?』
「うん、どうかした?」
『明後日、お店やってますか?』
「やってるけど。来るの?」
『実は兄が先輩の居酒屋に行ってみたいって言ってるんです。連れていってもいいでしょうか?』
陽太さんがわざわざうちの店に。でもなにしに?
「いいけど……お兄さんには説明してある? 狭くて古い居酒屋だって」
電話の向こうで石川は小さく笑った。
『ええ。昔ながらの居心地がいいお店だとは話してます』
「陽太さんて居酒屋とか行くの? 口に合うものを出せるかな……」
『どうぞ気を使わないでください。兄はただ、先輩ともうちょっと話してみたいだけなんだと思います』
「そっか……わかった。じゃあ席を用意しとくよ」
電話を切って振り返ると、すぐそこに七尾がぼーっと立っていた。
うわっと声が出るほど驚いた。
「な、なんだよ」
「先輩、彼女いたんですね」
「はあ? ばーか。違うよ」
「いまの、女の子でしょ。お兄さんがどうとかって、もう家族ぐるみの付き合いまで進んでるんですか」
「だからただの後輩だって」
それでも七尾は疑いの目つきでじとっと見てくる。
「学校の後輩で、仕事の話をもってきてくれただけ」
神楽坂のお店の話を簡単に説明した。
七尾はぽかんとしている。
仕事関係だとは思いもよらなかったようだ。
「なんだ。先輩ちゃんと新しい職場決まってたんですね」
「まだ本決まりじゃないけど」
「でも、その線で話が進んでるんでしょ?」
僕が答えないのを、イエスと解釈したようだ。
七尾はぱあっと表情を輝かせた。
「なあんだ、そうだったんだ。実は僕、すっごく心配してたんですよ。でも安心しました。で、その後輩ちゃんは可愛いんですか?」
僕は無視して店に戻った。
皿を洗いはじめると横に来て、勝手に拭きはじめる。
叔父さんはトイレでも行っているのか姿が見えない。
「彼女、明後日来るんですね。ここに」
僕は七尾を睨んだ。
「お前は来るなよ」
「来ませんて」
そう言って七尾は悪い目で笑った。
七尾は夢中で餃子を食べはじめた。
令子さんや叔父さんも、黙々と餃子を頬張り、ビールで流し込んでいく。
料理人にとって一番嬉しいことは、賞賛の言葉をもらうよりも、ひたすら食べることに没頭する姿を見ることかもしれない。
三人は見事に僕のことを忘れて、食べ続けた。
二人前の餃子と大盛りごはんをぺろりと胃におさめた七尾は、満足そうに息をついて天井を仰いだ。
「先輩、うますぎました」
「そりゃよかった。満足した?」
「大大大満足です。また先輩の餃子が食べられて感無量です」
どういうわけか七尾の目はすこし潤んでいる。
困ったなと思いながら、むいておいた洋ナシを彼に差し出した。
「口の中がさっぱりするよ」
令子さんや叔父さん、そして自分にも用意する。
しゃりしゃりと洋ナシを食べていると、七尾がしみじみといった様子で話しだした。
「さっき聞いた、思い出のいまいち飯のことなんですけど……僕もあったかなって考えてたんです。それでオムライスのことがぱっと頭に浮かんだんですよね」
いまいち飯とか勝手に名付けている。
「僕ね、両親が共働きだったんで、小さい時からけっこう食事とか自分で作ってたんです。でも料理がうまいわけじゃなかったから、手抜きというか、変な料理しかできなくて」
「何歳ごろの話?」と令子さん。
「小学校高学年ぐらいですかね。本当はハンバーグとかカレーライスとか洋食系が食べたかったんですけど、僕にはまだ難しくて……そういうときによく作って食べてたのがオムライスなんです。ただのケチャップごはんを卵で包んだだけのものなんですけどね」
「意外とおいしいんだよな」
僕がそう言うと、七尾はぱっと表情を明るくした。
「そうなんです! 言葉にするといまいちっぽいんですけど、実際作って食べると想像を超えておいしいんです。ケチャップって超スーパー万能調味料ですよね。僕、小さい頃はなんでもケチャップつけて食べてました。おかずがない時は、ごはんにかけたりもして」
七尾はぱっと立ち上がった。
「そうだ! ちょっと作ってみてもいいですか?」
「え、オムライスをいまから?」
「はい」
「いいけど……」
驚いている僕たちをよそに、七尾はカウンターの中に入ってくると、手を洗いはじめた。
慌てて僕は卵やごはんを用意する。もちろんケチャップも。
フライパンを握ると七尾も料理人の顔になる。ご飯を軽くいためたらすぐにケチャップを投入。わきに寄せて空いたところにといた卵をいれて軽くまぜる。器用にケチャップご飯を卵の上に移動させ、フライパンにのせた皿ごと裏返したら完成。
数分たらずでできる、七尾の思い出オムライス。
「僕はいつもケチャップでこう書いてたんですよ」
そう言って、オムライスの上にケチャップで、(ゆう)と書いた。
「そのまんまじゃん」
「サインみたいな。一応僕の作品なんで」
なるほどね、と令子さんが微笑む。
「食べてみてください」
七尾に促されて、僕らは一口ずつ味見をした。
シンプル過ぎるオムライスなのに、想像よりずっとおいしい。
想像のハードルが低いからおいしく感じられるのだろうか。
いや、単純においしいからおいしいんだろう。
「あれ、おいしい。 なんで?」
そう言った令子さんは自分の言葉に笑ってしまう。
「なんでって失礼か。でも、不思議。ほんとにおいしいね」
「でしょ!」
令子さんの感想に七尾のテンションは上がりまくり。
「うんめ」
叔父さんも気に入ったらしく、ばくばく食べはじめている。
「なんとなく高い材料使ってるものがおいしいって思い込みがあるけど、そんなことはないよね。卵かけごはんとかも最高においしいし」
令子さんの言葉に叔父さんも大きくうなずく。
「それを言うなら、飯にかつおぶりのっけて醤油たらすだけで最高にうまいよ」
「あと、炊きたてご飯で作る塩むすびとかも」
七尾の言葉にも全員納得。
令子さんが店をあとにすると、七尾はあれこれ彼女のことを訊き始めた。
「へ~、三十五歳なんですか。見えないなぁ。二十代ぐらいかと思いました。美人ですよねぇ、令子さん」
叔父さんは黒烏龍茶を飲みながらにやにやする。
「ひとめぼれ?」
「ええっ。やだな、叔父さんてば」
なんなんだこのやりとりは。
皿を洗いながら、僕は七尾に釘をさした。
「令子さんには娘さんがいるんだから、いい加減なことするなよ」
七尾はむっとした。
「どういうことですか。僕は誰の事もいい加減にしたことないですよ」
「アプリで会う女の子たちとは違うって話」
「ひどいじゃないですか、そういう言い方」
七尾はむすっと口を引き結んだ。さすがに怒ったようだ。
だが大事な常連である令子さんに迷惑がかかっては申し訳ない。
「アプリってなんだ?」
僕と七尾は叔父さんの質問をスルーした。
「どうせ、僕なんて誰も相手してくれませんよ。前に話した告白だってだめでしたし」
そうだったのか。
「友達ならいいけど、付き合うことはできないってはっきり言われました」
ふられて傷心中なのに明るくふるまってたのか。
「ごめん、言い過ぎた」
七尾は軽く僕を睨んだ。
「僕だって傷つきますから」
「わかったよ、ごめん」
本当に悪かったと思ってる。
「今日は全部おごるよ。それで許して」
七尾の顔がぱっと変わった。
「え、本当ですか。じゃあまあ……許します」
「じゃあ、仲直りな。コーラ飲むか?」
「はい!」
すぐに機嫌がなおるところは七尾のいいところだ。
「令子さんの娘さんて何歳なんですか?」
「十歳」
「名前は?」
「杏奈ちゃん。令子さんのお母さんと三人で暮らしてるんだよ」
ふうん、とうなずく七尾に冷えたコーラを出す。
「どうして離婚したんですか?」
「知らない」
「訊いてないんですか?」
「お客さんのプライベートを根掘り葉掘り訊く料理人がいるか?」
七尾は少し考えて、「それもそうか」と呟いた。
「でも、ずいぶん仲良さそうだったんで、友達感覚なのかなあって」
「友達ではないよ。令子さんはうちの大事なお客さん」
そのとき、ポケットに入れているスマホが鳴り始めた。
「ちょっとごめん」
僕は店の外に出て電話に出た。
相手は石川だった。
『先輩、いま大丈夫ですか?』
「うん、どうかした?」
『明後日、お店やってますか?』
「やってるけど。来るの?」
『実は兄が先輩の居酒屋に行ってみたいって言ってるんです。連れていってもいいでしょうか?』
陽太さんがわざわざうちの店に。でもなにしに?
「いいけど……お兄さんには説明してある? 狭くて古い居酒屋だって」
電話の向こうで石川は小さく笑った。
『ええ。昔ながらの居心地がいいお店だとは話してます』
「陽太さんて居酒屋とか行くの? 口に合うものを出せるかな……」
『どうぞ気を使わないでください。兄はただ、先輩ともうちょっと話してみたいだけなんだと思います』
「そっか……わかった。じゃあ席を用意しとくよ」
電話を切って振り返ると、すぐそこに七尾がぼーっと立っていた。
うわっと声が出るほど驚いた。
「な、なんだよ」
「先輩、彼女いたんですね」
「はあ? ばーか。違うよ」
「いまの、女の子でしょ。お兄さんがどうとかって、もう家族ぐるみの付き合いまで進んでるんですか」
「だからただの後輩だって」
それでも七尾は疑いの目つきでじとっと見てくる。
「学校の後輩で、仕事の話をもってきてくれただけ」
神楽坂のお店の話を簡単に説明した。
七尾はぽかんとしている。
仕事関係だとは思いもよらなかったようだ。
「なんだ。先輩ちゃんと新しい職場決まってたんですね」
「まだ本決まりじゃないけど」
「でも、その線で話が進んでるんでしょ?」
僕が答えないのを、イエスと解釈したようだ。
七尾はぱあっと表情を輝かせた。
「なあんだ、そうだったんだ。実は僕、すっごく心配してたんですよ。でも安心しました。で、その後輩ちゃんは可愛いんですか?」
僕は無視して店に戻った。
皿を洗いはじめると横に来て、勝手に拭きはじめる。
叔父さんはトイレでも行っているのか姿が見えない。
「彼女、明後日来るんですね。ここに」
僕は七尾を睨んだ。
「お前は来るなよ」
「来ませんて」
そう言って七尾は悪い目で笑った。
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