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第23話 絶望の最強モンスター
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嶋達が地下4階に到着した時、日本中がクーデターの話題で炎上していた。
特にナナ達が自衛隊を無力化した配信動画の視聴数は数百万にものぼっていた。
「これって、ヒメカちゃんのぬっこだろ!」
夏菜がメイドやeスポーツで使ってるハンドルネームは、ヒメカ。
そのヒメカの『モンスター・スレイヤー』プロチームが、ぬっこニャンニャーズ。
『ぬっこがクーデター?じゃあロシアと中国攻撃にも参加?』
『ロシアと中国は独裁国家だから仕方ねぇけど、アメリカは?次は日本?
なんでだ?』
日本国民のほとんどはアメリカは正義で、同盟国の日本も正義だと信じ、ロシアや中国を滅ぼした軍は、アメリカが遂に独裁国家に鉄槌を振り下ろしたと思っていた。
2020年代初頭、ロシアが隣国のウクライナに攻め込み、民間人の大虐殺を行い、中国がロシア側に付き世界核大戦勃発寸前までに陥ってしまった。
ギリギリの所で大戦は回避されたが、それ以来アメリカ、日本、ヨーロッパを含めた西側連合と、ロシア中国を中心にした東側連合との間で世界は分断され、第二次冷戦に突入していた。
日本の国民のほとんどは、謎の無敵の軍勢はアメリカの特殊軍だと思っていた。
《シマー》軍が中国を滅ぼした時に世界へ宣戦布告した事は、一部の反乱軍であり更にアメリカに攻め込んだのは、その反乱軍だと思っていた。
巨大軍事国家が滅ぼされても尚、日本人は戦争を対岸の火事の様に思い、日本が攻め込まれる事など有り得ない事だと思っていた。
また別の配信では、真一達『コール・ザ・ショット』の影虎チームが同じ様に自衛隊を迎撃していた。
『影虎が自衛隊と戦闘だ!』
『さっきはヒメカのぬっこが自衛隊迎撃してた!』
『ヒメカちゃんと影虎がクーデター派?』
『ロシアと中国攻撃にも?』
ネットでは様々な憶測が飛び交い、同時にモニター上に無数の言葉が流れていた。
『でも、どっちも殺してないよ!気絶させただけ!』
『ロシアや中国は違うんじゃね?』
『テレビ見ろ!アキバの田中社長が議事堂で銃乱射してる!
でも総理のおっさん死なねぇ!』
国会議事堂へ突入した嶋達は地下4階へ到着し、到着と同時に自動小銃を総理や議員達に向けて威嚇無しで乱射を始めた。
総理や議員達、経済界のリーダー達は既にナノマシンの身体となっていた為、自動小銃の9ミリ弾では、傷一つ付ける事は出来なかった。
「なんでお前らは死なねぇんだ?(笑)」
傷があるとは言え基本的には嶋と同じナノマシンに、銃など効かない事はわかっていた。
『フェイクじゃねぇの?』
『グラフィックだろ?』
ほとんどの者達は精巧なコンピュータグラフィックでのフェイクと思っていたが、少数の意見ではあるが中国やロシアを消滅させた軍団との関連を指摘していた。
『ヒメカちゃんと影虎がさ、クーデター前に中国とロシア攻撃したのは《シマー》ユーザーだっつってたし!
俺も《シマー》持ってっけど、途中からカオスになって変な工作員みたいなのが声かけて来たりさ、気味悪いからそれから入ってねぇけど…。』
『《シマー》が次に狙うのが日本だって!』
『じゃあ、自衛隊も《シマー》側なの?』
『影虎とヒメカ信じるなら、そう言う事だわな?
どっちを信じるよ?』
ネット上では、様々な憶測が飛び交っていた。
それはゲームプレイヤーやネット民だけではなく一般社会、特にIT関連エンジニア達は衝撃を受けていた。
日本が世界に誇るスーパーコンピューター『昇陽』の管理を任されている山川は、モニターの映像を声も上げれず見入っていた。
ーーー田中さんが何故?と言うことは、飯塚社長も?ーーー
モニターに飯塚は居なかったが、【田中】と飯塚は一緒に行動していると、山川は確信していた。
【田中学】のセキュリティーウォール販売を、飯塚が手がけている事と、『昇陽』のメンテナンスに同行していた事からも、【田中】と飯塚の繋がりは深いと想像出来たからだ。
ーーー『昇陽』の基幹部位には【IIZUKA NANO DEVICES】のシムテムが組み込まれていた。
組み込まれていたと言うよりは、飯塚のシステムがなければ、『昇陽』運用は数十年先だったかもしれない。
そのシステムも、もしかしたら【田中】さんのシステム。ーーー
その【田中学】が自動小銃を手に、総理や閣僚達、経済界の重鎮達に無差別に発砲しているが、誰一人死亡するどころか傷ひとつ、怪我もなくただ逃げ惑っている。
銃が本物で実弾が発射すれているのは、テーブルが備品が砕け散り、壁に穴が空いている事からも理解出来た。
ーーー機関銃で撃たれて、なんで無傷なんだ?
謎の軍勢も、近代兵器が効かなかったて言うし…
総理達も謎の軍勢と同じ?
ならクーデターは【田中】さん達じゃなく、日本政府?ーーー
モニターの向こうでは、【田中】が数百発の弾丸を撃ち尽くしていた。
『わはははっ!なんでお前ら死なねぇんだ?怪我もしねぇし、弾丸全部避けたのか?(笑)
そんなワケねぇよな?お前らアレだろ?ロシアと中国滅ぼした奴等と同じ身体だろ?
て事は、奴等とグルだろ?(笑)』
モニターの向こうの【田中学】は、『昇陽』メンテナンス時の柔らかく低い物腰と打って変わってアウトロー的な口調だったが、山川には不思議とモニターの向こうの【田中】にも好感が持てた。
ーーー自分を信じて俺はここまで来た!ならそのまま自分を信じて、田中さんを信じる!ーーー
山川はパソコンのキーボードを叩いた。
同じ頃、クーデター派の装甲車の中の美保子は、『アリサ』の創り出すバーチャル世界と《シマー》のバーチャル世界を繋げる事に成功していた。
「《シマー》と繋がりました!」
美保子がそう通信した瞬間、『アリサ』に異変が起きていた。
ーーーマスター、異常なエネルギーを感知しました!私では抑え切れません!現実世界に出てしまいます!ーーー
『アリサ』が抑え切る事が出来ない程のエネルギー。
そのエネルギーは、嶋の創り出したナノマシをもコントロールし実体を造り上げ、バーチャル世界から現実世界へと飛び出した。
瓦礫の山と化した秋葉原のビルから飛び出し、霞ヶ関方面に猛スピードで飛んで行った。
吹き飛ばされた瓦礫の山は、周囲を封鎖していた機動隊員達に降り注いだ。
「退避ーっ!」
機動隊員達は即座に周りのビルの陰や建物内に退避した。
『アリサ』は美保子や夏菜、真一達にも通信を繋ぎ
ーーー繋がったバーチャル世界からクリーチャーが一体、ナノマシをコントロールし現実へ飛び出しそちらへ向かいました!
また、別の大きなエネルギーがもう一体現実世界へ出ようとしています!
私では抑え切れません!警戒を!ーーー
『アリサ』の通信と同時にアリサが
「来た!ママ、来たよ!行こっ!
ママ、行こっ!」
アリサは興奮して喜び、美保子の手を握り装甲車の外へ引っ張って行った。
「ちょっとアリサ、危ないからお外はダメ!」
「やーっ!行くの!」
アリサは引き止める美保子の手を離し、霞ヶ関方面へ駆け出した。
「アリサちゃん、来ないで!」
夏菜は叫ぶ様にアリサに通信した。夏菜の全身のナノマシが警告を発していたからだ。
それは夏菜のチームメンバーも、真一達も同じだった。
[巨大なエネルギーの何かが来る!]
ナノマシンの全身に鳥肌が立つ様な感覚が、夏菜達と真一達に最大の警告を発し、それを受けて夏菜達は武器を構えた。
「自衛隊のみなさんは、退避を!」
夏菜は武器を構え、冷や汗を流しながら叫んだ!
[勝てないかもしれない…]
恐怖で後ずさる。しかし闘志はなえずかろうじてその場に踏みとどまっていた。
その巨大なエネルギーは、耳を塞ぎたくなる咆哮と同時に、霞ヶ関交差点中央に降り立った。
夏菜達は、驚きと畏怖で動けなかった。
「レオ・テスカポリ!」
その巨大なエネルギーは、『モンスター・スレイヤー』内で神龍と言われる最強のモンスターだった。
全長10メートル程で、神龍の中では小型ではあるが、神龍の中でも最強のモンスターだった。
ライオンの様な体躯に額から2本のうねった巨大な角。背中には巨大な翼。
全身を金色に輝かせながら、その『レオ・テスカポリ』はゆっくりと辺りを見回し、夏菜を視界に捕らえると、再び巨大な咆哮をあげた。
「ナナ、どうする?レオだよ!それも金色レオ!
ウチらも討伐出来ない個体だよ!」
金色レオ・テスカポリは、『モンスレ』内で最強の神龍と言われ、『モンスター・スレイヤー』に登場してから10数年、討伐記録は0だった。
夏菜達も『モンスレ』内で討伐に挑んだが、あらゆる属性を使い、特に雷と炎の同時攻撃に、何度も返り討ちにあっていた。
「どうするって…ヤルしかないでしょ!
ここで止めないと、レオ一体で日本が沈む!」
レオ・テスカポリは、夏菜達を品定めする様にゆったりと歩きながら、全身に小さな電撃をスパークさせながら近づいていった。
夏菜達は動けず、無意識に後退りしそうになりながらでも、闘志は切らさずにいた。
レオはその巨体の割りに足音はなく、ただ電撃のスパーク音だけを響かせていた。
「影虎くん達、社長、私達がヤラれたら、何とかレオを止めて下さい!」
夏菜達は意を決してレオに向かって飛び込んだ。
レオ・テスカポリは一瞬体躯を沈め身構えたが、何かの気配に気づき夏菜達から視線をそらし後方へと意識を向けた。
そのレオ・テスカポリの行動に夏菜達は
「舐めてくれてんじゃないよ!」
4人同時に飛び掛かったが、レオ・テスカポリは夏菜達に一瞥もせず、翼の羽ばたきひとつで4人を吹き飛ばした。
夏菜達は受け身も取れず、アスファルトの地面に叩きつけられた。
あまりの衝撃と威力に、追撃に身構える事も出来ずに『死』を覚悟した。
だか追撃は来ず、レオ・テスカポリはまだ後方を見ていた。
「ウチらは眼中なしか…」
それでも4人は、衝撃で軋む身体を立ち上がらせ武器を構えた。
「ウチらがヤラれたら、日本が沈む…。負ける訳にいかねぇんだよ!」
夏菜は納刀状態で、鞘内に攻撃エネルギーを溜め始めた。
他の3人も最大攻撃力を引き出す為の溜め準備に入った。
属性攻撃ではなく、純粋な物理攻撃力。
すべての属性を操るレオ・テスカポリには、属性攻撃はまったく効果が無かったからだ。
『待って!攻撃ストップ!レオの先にアリサちゃんと美保子さんが!』
議事堂中央塔の狙撃チームのスナイプから通信が入った。
夏菜はただ1人構えを解き、レオ・テスカポリの視線の先のアリサと美保子に向けて走り出した。
[2人を守る!私の命に変えても!]
走り出した夏菜の目の前に、別のモンスターが降り立った。
レオ・テスカポリの背後を守る様に、それは夏菜の前に立ち塞がった。
「ユウナ・テスカポリ!」
雌個体のテスカポリ。雄個体のレオ・テスカポリよりも強いと噂されており、夏菜達も姿を見たのは初めてだった。
ユウナ・テスカポリは銀色に光る体毛に、額から1本の角が生えていた。
レオ・テスカポリと同じくすべての属性を操るだけで無く、翼から放たれる羽毛の棘には猛毒があり、雄個体よりも危険と言われていた。
[ユウナまで…]
夏菜は絶望感に立ち止まってしまった。
ユウナ・テスカポリとレオ・テスカポリの向こう、駆け寄ってくるアリサを見て涙を流し
「ごめん、アリサちゃん…守れなかった…」
夏菜は絶望の涙を流し、力無く膝を着いた。
他の3人達も。
「にゃんにゃ~ん!」
「待ちなさい、アリサ!危ないでしょ!」
夏菜達の絶望感とあまりにも違いすぎるアリサと美保子の声。
夏菜達は涙を流しながら、危機感のカケラも無い2人に、哀しい笑顔を浮かべていた。
[2人とも、ごめんなさい。守れなかった…]
膝を着き涙を流す夏菜の目の前のユウナ・テスカポリは、レオ・テスカポリに向けて走るアリサに標的を変え、レオ・テスカポリとアリサの間へと移動した。
その時、夏菜達も思いも寄らなかった行動にレオ・テスカポリが出た。
アリサに敵意を持って立ち塞がったユウナ・テスカポリに、レオ・テスカポリが攻撃を仕掛けたのだ。
巨大な咆哮をあげ、ユウナ・テスカポリの首を、太く逞しい前脚で押さえつけたのだ。
ユウナ・テスカポリは逞しい前脚で押さえつけられ、牙と爪を剥き唸り声を上げていた。
レオ・テスカポリは再度咆哮を上げると、ユウナ・テスカポリは牙と爪をしまい、全身の力を抜いて恭順の意思を示した。
それを見てレオ・テスカポリは、ユウナ・テスカポリを押さえていた前脚の力を抜き、それからアリサへ向けて走り出した。
『にゃ~ん!』
黄金に輝く体毛と、美しい翼、力強いうねった2本角のレオ・テスカポリが、子猫の様な可愛い鳴き声を上げた。
「「「「は?」」」」
絶望していた夏菜達は、驚いて理解が出来なかったが、アリサに目をやると、アリサは満面の笑顔で両手をレオ・テスカポリに向けていた。
そしてレオ・テスカポリに呼びかける様に
「にゃんにゃ~ん!(笑)」
レオ・テスカポリはそれに応える様に再度
『にゃ~ん!』
と答えて、寝転がって仰向けになりアリサを迎えた。
「「「「???」」」」
夏菜達は訳がわからずにいたが、アリサはレオ・テスカポリの顔に抱きつき、レオ・テスカポリは喜ぶ様にアリサの顔に頬擦りしていた。
そのアリサとレオ・テスカポリの前に美保子もやって来ていた。
「あら?にゃんにゃん?大きくなったわねぇ(笑)ふふふっ(笑)」
「「「「にゃんにゃん?」」」」
夏菜達は更に意味がわからなかったが、アリサと美保子の様子から、レオ・テスカポリは少なくとも2人の敵ではない事は理解出来ていた。
夏菜は涙を拭いて立ち上がり、アリサと美保子の側に向かった。
ユウナ・テスカポリは伏せたまま
夏菜を睨み、低い唸り声を上げていたが、夏菜に攻撃を加える様子は無かった。
レオ・テスカポリも夏菜に一瞥をくれたが、アリサが夏菜に笑顔で手を振った事から、夏菜への警戒はすぐに解いた。
「あの、美保子さん。にゃんにゃんて…?」
レオ・テスカポリに抱きつくアリサを見ながら夏菜は聞いた。
他の3人も武器をしまい、側に来ていた。
美保子は夏菜達4人に一度笑顔を見せて
「にゃんにゃんは、バーチャル世界でアリサが見つけた子猫なの。
こんなに小さかったのよ(笑)」
美保子は水をすくう様に両手を合わせて見せた。
「こんなに小さかったのに、大きくなったわねぇ(笑)
何を食べたらこんなに大きくなるんだろ?ふふふっ(笑)」
美保子もレオ・テスカポリを撫でようと手を出すと、レオ・テスカポリはゴロゴロと喉を鳴らして、美保子に撫でてもらいたい様に頭を下げた。
「ふふふ。にゃんにゃん、ほんとに大きくなったわねぇ(笑)
あの子は、にゃんにゃんのお嫁さんなの?」
美保子はレオ・テスカポリの頭を撫で、ユウナ・テスカポリを見ながらたずねた。
レオ・テスカポリはユウナ・テスカポリを見て静かに唸ると、ユウナ・テスカポリは立ち上がり、ゆっくりと近寄って来て、再び地面に伏せた。
「あなたが、にゃんにゃんのお嫁さん?
可愛いお嫁さんね(笑)」
[[[[可愛いい?怖すぎなんですけど!]]]]
夏菜達4人は声には出さなかったが、全員驚きの表情をしていた。
夏菜達だけでなく、モニター越しにその様子を静かに見ていた大衆達もだった。
特にナナ達が自衛隊を無力化した配信動画の視聴数は数百万にものぼっていた。
「これって、ヒメカちゃんのぬっこだろ!」
夏菜がメイドやeスポーツで使ってるハンドルネームは、ヒメカ。
そのヒメカの『モンスター・スレイヤー』プロチームが、ぬっこニャンニャーズ。
『ぬっこがクーデター?じゃあロシアと中国攻撃にも参加?』
『ロシアと中国は独裁国家だから仕方ねぇけど、アメリカは?次は日本?
なんでだ?』
日本国民のほとんどはアメリカは正義で、同盟国の日本も正義だと信じ、ロシアや中国を滅ぼした軍は、アメリカが遂に独裁国家に鉄槌を振り下ろしたと思っていた。
2020年代初頭、ロシアが隣国のウクライナに攻め込み、民間人の大虐殺を行い、中国がロシア側に付き世界核大戦勃発寸前までに陥ってしまった。
ギリギリの所で大戦は回避されたが、それ以来アメリカ、日本、ヨーロッパを含めた西側連合と、ロシア中国を中心にした東側連合との間で世界は分断され、第二次冷戦に突入していた。
日本の国民のほとんどは、謎の無敵の軍勢はアメリカの特殊軍だと思っていた。
《シマー》軍が中国を滅ぼした時に世界へ宣戦布告した事は、一部の反乱軍であり更にアメリカに攻め込んだのは、その反乱軍だと思っていた。
巨大軍事国家が滅ぼされても尚、日本人は戦争を対岸の火事の様に思い、日本が攻め込まれる事など有り得ない事だと思っていた。
また別の配信では、真一達『コール・ザ・ショット』の影虎チームが同じ様に自衛隊を迎撃していた。
『影虎が自衛隊と戦闘だ!』
『さっきはヒメカのぬっこが自衛隊迎撃してた!』
『ヒメカちゃんと影虎がクーデター派?』
『ロシアと中国攻撃にも?』
ネットでは様々な憶測が飛び交い、同時にモニター上に無数の言葉が流れていた。
『でも、どっちも殺してないよ!気絶させただけ!』
『ロシアや中国は違うんじゃね?』
『テレビ見ろ!アキバの田中社長が議事堂で銃乱射してる!
でも総理のおっさん死なねぇ!』
国会議事堂へ突入した嶋達は地下4階へ到着し、到着と同時に自動小銃を総理や議員達に向けて威嚇無しで乱射を始めた。
総理や議員達、経済界のリーダー達は既にナノマシンの身体となっていた為、自動小銃の9ミリ弾では、傷一つ付ける事は出来なかった。
「なんでお前らは死なねぇんだ?(笑)」
傷があるとは言え基本的には嶋と同じナノマシンに、銃など効かない事はわかっていた。
『フェイクじゃねぇの?』
『グラフィックだろ?』
ほとんどの者達は精巧なコンピュータグラフィックでのフェイクと思っていたが、少数の意見ではあるが中国やロシアを消滅させた軍団との関連を指摘していた。
『ヒメカちゃんと影虎がさ、クーデター前に中国とロシア攻撃したのは《シマー》ユーザーだっつってたし!
俺も《シマー》持ってっけど、途中からカオスになって変な工作員みたいなのが声かけて来たりさ、気味悪いからそれから入ってねぇけど…。』
『《シマー》が次に狙うのが日本だって!』
『じゃあ、自衛隊も《シマー》側なの?』
『影虎とヒメカ信じるなら、そう言う事だわな?
どっちを信じるよ?』
ネット上では、様々な憶測が飛び交っていた。
それはゲームプレイヤーやネット民だけではなく一般社会、特にIT関連エンジニア達は衝撃を受けていた。
日本が世界に誇るスーパーコンピューター『昇陽』の管理を任されている山川は、モニターの映像を声も上げれず見入っていた。
ーーー田中さんが何故?と言うことは、飯塚社長も?ーーー
モニターに飯塚は居なかったが、【田中】と飯塚は一緒に行動していると、山川は確信していた。
【田中学】のセキュリティーウォール販売を、飯塚が手がけている事と、『昇陽』のメンテナンスに同行していた事からも、【田中】と飯塚の繋がりは深いと想像出来たからだ。
ーーー『昇陽』の基幹部位には【IIZUKA NANO DEVICES】のシムテムが組み込まれていた。
組み込まれていたと言うよりは、飯塚のシステムがなければ、『昇陽』運用は数十年先だったかもしれない。
そのシステムも、もしかしたら【田中】さんのシステム。ーーー
その【田中学】が自動小銃を手に、総理や閣僚達、経済界の重鎮達に無差別に発砲しているが、誰一人死亡するどころか傷ひとつ、怪我もなくただ逃げ惑っている。
銃が本物で実弾が発射すれているのは、テーブルが備品が砕け散り、壁に穴が空いている事からも理解出来た。
ーーー機関銃で撃たれて、なんで無傷なんだ?
謎の軍勢も、近代兵器が効かなかったて言うし…
総理達も謎の軍勢と同じ?
ならクーデターは【田中】さん達じゃなく、日本政府?ーーー
モニターの向こうでは、【田中】が数百発の弾丸を撃ち尽くしていた。
『わはははっ!なんでお前ら死なねぇんだ?怪我もしねぇし、弾丸全部避けたのか?(笑)
そんなワケねぇよな?お前らアレだろ?ロシアと中国滅ぼした奴等と同じ身体だろ?
て事は、奴等とグルだろ?(笑)』
モニターの向こうの【田中学】は、『昇陽』メンテナンス時の柔らかく低い物腰と打って変わってアウトロー的な口調だったが、山川には不思議とモニターの向こうの【田中】にも好感が持てた。
ーーー自分を信じて俺はここまで来た!ならそのまま自分を信じて、田中さんを信じる!ーーー
山川はパソコンのキーボードを叩いた。
同じ頃、クーデター派の装甲車の中の美保子は、『アリサ』の創り出すバーチャル世界と《シマー》のバーチャル世界を繋げる事に成功していた。
「《シマー》と繋がりました!」
美保子がそう通信した瞬間、『アリサ』に異変が起きていた。
ーーーマスター、異常なエネルギーを感知しました!私では抑え切れません!現実世界に出てしまいます!ーーー
『アリサ』が抑え切る事が出来ない程のエネルギー。
そのエネルギーは、嶋の創り出したナノマシをもコントロールし実体を造り上げ、バーチャル世界から現実世界へと飛び出した。
瓦礫の山と化した秋葉原のビルから飛び出し、霞ヶ関方面に猛スピードで飛んで行った。
吹き飛ばされた瓦礫の山は、周囲を封鎖していた機動隊員達に降り注いだ。
「退避ーっ!」
機動隊員達は即座に周りのビルの陰や建物内に退避した。
『アリサ』は美保子や夏菜、真一達にも通信を繋ぎ
ーーー繋がったバーチャル世界からクリーチャーが一体、ナノマシをコントロールし現実へ飛び出しそちらへ向かいました!
また、別の大きなエネルギーがもう一体現実世界へ出ようとしています!
私では抑え切れません!警戒を!ーーー
『アリサ』の通信と同時にアリサが
「来た!ママ、来たよ!行こっ!
ママ、行こっ!」
アリサは興奮して喜び、美保子の手を握り装甲車の外へ引っ張って行った。
「ちょっとアリサ、危ないからお外はダメ!」
「やーっ!行くの!」
アリサは引き止める美保子の手を離し、霞ヶ関方面へ駆け出した。
「アリサちゃん、来ないで!」
夏菜は叫ぶ様にアリサに通信した。夏菜の全身のナノマシが警告を発していたからだ。
それは夏菜のチームメンバーも、真一達も同じだった。
[巨大なエネルギーの何かが来る!]
ナノマシンの全身に鳥肌が立つ様な感覚が、夏菜達と真一達に最大の警告を発し、それを受けて夏菜達は武器を構えた。
「自衛隊のみなさんは、退避を!」
夏菜は武器を構え、冷や汗を流しながら叫んだ!
[勝てないかもしれない…]
恐怖で後ずさる。しかし闘志はなえずかろうじてその場に踏みとどまっていた。
その巨大なエネルギーは、耳を塞ぎたくなる咆哮と同時に、霞ヶ関交差点中央に降り立った。
夏菜達は、驚きと畏怖で動けなかった。
「レオ・テスカポリ!」
その巨大なエネルギーは、『モンスター・スレイヤー』内で神龍と言われる最強のモンスターだった。
全長10メートル程で、神龍の中では小型ではあるが、神龍の中でも最強のモンスターだった。
ライオンの様な体躯に額から2本のうねった巨大な角。背中には巨大な翼。
全身を金色に輝かせながら、その『レオ・テスカポリ』はゆっくりと辺りを見回し、夏菜を視界に捕らえると、再び巨大な咆哮をあげた。
「ナナ、どうする?レオだよ!それも金色レオ!
ウチらも討伐出来ない個体だよ!」
金色レオ・テスカポリは、『モンスレ』内で最強の神龍と言われ、『モンスター・スレイヤー』に登場してから10数年、討伐記録は0だった。
夏菜達も『モンスレ』内で討伐に挑んだが、あらゆる属性を使い、特に雷と炎の同時攻撃に、何度も返り討ちにあっていた。
「どうするって…ヤルしかないでしょ!
ここで止めないと、レオ一体で日本が沈む!」
レオ・テスカポリは、夏菜達を品定めする様にゆったりと歩きながら、全身に小さな電撃をスパークさせながら近づいていった。
夏菜達は動けず、無意識に後退りしそうになりながらでも、闘志は切らさずにいた。
レオはその巨体の割りに足音はなく、ただ電撃のスパーク音だけを響かせていた。
「影虎くん達、社長、私達がヤラれたら、何とかレオを止めて下さい!」
夏菜達は意を決してレオに向かって飛び込んだ。
レオ・テスカポリは一瞬体躯を沈め身構えたが、何かの気配に気づき夏菜達から視線をそらし後方へと意識を向けた。
そのレオ・テスカポリの行動に夏菜達は
「舐めてくれてんじゃないよ!」
4人同時に飛び掛かったが、レオ・テスカポリは夏菜達に一瞥もせず、翼の羽ばたきひとつで4人を吹き飛ばした。
夏菜達は受け身も取れず、アスファルトの地面に叩きつけられた。
あまりの衝撃と威力に、追撃に身構える事も出来ずに『死』を覚悟した。
だか追撃は来ず、レオ・テスカポリはまだ後方を見ていた。
「ウチらは眼中なしか…」
それでも4人は、衝撃で軋む身体を立ち上がらせ武器を構えた。
「ウチらがヤラれたら、日本が沈む…。負ける訳にいかねぇんだよ!」
夏菜は納刀状態で、鞘内に攻撃エネルギーを溜め始めた。
他の3人も最大攻撃力を引き出す為の溜め準備に入った。
属性攻撃ではなく、純粋な物理攻撃力。
すべての属性を操るレオ・テスカポリには、属性攻撃はまったく効果が無かったからだ。
『待って!攻撃ストップ!レオの先にアリサちゃんと美保子さんが!』
議事堂中央塔の狙撃チームのスナイプから通信が入った。
夏菜はただ1人構えを解き、レオ・テスカポリの視線の先のアリサと美保子に向けて走り出した。
[2人を守る!私の命に変えても!]
走り出した夏菜の目の前に、別のモンスターが降り立った。
レオ・テスカポリの背後を守る様に、それは夏菜の前に立ち塞がった。
「ユウナ・テスカポリ!」
雌個体のテスカポリ。雄個体のレオ・テスカポリよりも強いと噂されており、夏菜達も姿を見たのは初めてだった。
ユウナ・テスカポリは銀色に光る体毛に、額から1本の角が生えていた。
レオ・テスカポリと同じくすべての属性を操るだけで無く、翼から放たれる羽毛の棘には猛毒があり、雄個体よりも危険と言われていた。
[ユウナまで…]
夏菜は絶望感に立ち止まってしまった。
ユウナ・テスカポリとレオ・テスカポリの向こう、駆け寄ってくるアリサを見て涙を流し
「ごめん、アリサちゃん…守れなかった…」
夏菜は絶望の涙を流し、力無く膝を着いた。
他の3人達も。
「にゃんにゃ~ん!」
「待ちなさい、アリサ!危ないでしょ!」
夏菜達の絶望感とあまりにも違いすぎるアリサと美保子の声。
夏菜達は涙を流しながら、危機感のカケラも無い2人に、哀しい笑顔を浮かべていた。
[2人とも、ごめんなさい。守れなかった…]
膝を着き涙を流す夏菜の目の前のユウナ・テスカポリは、レオ・テスカポリに向けて走るアリサに標的を変え、レオ・テスカポリとアリサの間へと移動した。
その時、夏菜達も思いも寄らなかった行動にレオ・テスカポリが出た。
アリサに敵意を持って立ち塞がったユウナ・テスカポリに、レオ・テスカポリが攻撃を仕掛けたのだ。
巨大な咆哮をあげ、ユウナ・テスカポリの首を、太く逞しい前脚で押さえつけたのだ。
ユウナ・テスカポリは逞しい前脚で押さえつけられ、牙と爪を剥き唸り声を上げていた。
レオ・テスカポリは再度咆哮を上げると、ユウナ・テスカポリは牙と爪をしまい、全身の力を抜いて恭順の意思を示した。
それを見てレオ・テスカポリは、ユウナ・テスカポリを押さえていた前脚の力を抜き、それからアリサへ向けて走り出した。
『にゃ~ん!』
黄金に輝く体毛と、美しい翼、力強いうねった2本角のレオ・テスカポリが、子猫の様な可愛い鳴き声を上げた。
「「「「は?」」」」
絶望していた夏菜達は、驚いて理解が出来なかったが、アリサに目をやると、アリサは満面の笑顔で両手をレオ・テスカポリに向けていた。
そしてレオ・テスカポリに呼びかける様に
「にゃんにゃ~ん!(笑)」
レオ・テスカポリはそれに応える様に再度
『にゃ~ん!』
と答えて、寝転がって仰向けになりアリサを迎えた。
「「「「???」」」」
夏菜達は訳がわからずにいたが、アリサはレオ・テスカポリの顔に抱きつき、レオ・テスカポリは喜ぶ様にアリサの顔に頬擦りしていた。
そのアリサとレオ・テスカポリの前に美保子もやって来ていた。
「あら?にゃんにゃん?大きくなったわねぇ(笑)ふふふっ(笑)」
「「「「にゃんにゃん?」」」」
夏菜達は更に意味がわからなかったが、アリサと美保子の様子から、レオ・テスカポリは少なくとも2人の敵ではない事は理解出来ていた。
夏菜は涙を拭いて立ち上がり、アリサと美保子の側に向かった。
ユウナ・テスカポリは伏せたまま
夏菜を睨み、低い唸り声を上げていたが、夏菜に攻撃を加える様子は無かった。
レオ・テスカポリも夏菜に一瞥をくれたが、アリサが夏菜に笑顔で手を振った事から、夏菜への警戒はすぐに解いた。
「あの、美保子さん。にゃんにゃんて…?」
レオ・テスカポリに抱きつくアリサを見ながら夏菜は聞いた。
他の3人も武器をしまい、側に来ていた。
美保子は夏菜達4人に一度笑顔を見せて
「にゃんにゃんは、バーチャル世界でアリサが見つけた子猫なの。
こんなに小さかったのよ(笑)」
美保子は水をすくう様に両手を合わせて見せた。
「こんなに小さかったのに、大きくなったわねぇ(笑)
何を食べたらこんなに大きくなるんだろ?ふふふっ(笑)」
美保子もレオ・テスカポリを撫でようと手を出すと、レオ・テスカポリはゴロゴロと喉を鳴らして、美保子に撫でてもらいたい様に頭を下げた。
「ふふふ。にゃんにゃん、ほんとに大きくなったわねぇ(笑)
あの子は、にゃんにゃんのお嫁さんなの?」
美保子はレオ・テスカポリの頭を撫で、ユウナ・テスカポリを見ながらたずねた。
レオ・テスカポリはユウナ・テスカポリを見て静かに唸ると、ユウナ・テスカポリは立ち上がり、ゆっくりと近寄って来て、再び地面に伏せた。
「あなたが、にゃんにゃんのお嫁さん?
可愛いお嫁さんね(笑)」
[[[[可愛いい?怖すぎなんですけど!]]]]
夏菜達4人は声には出さなかったが、全員驚きの表情をしていた。
夏菜達だけでなく、モニター越しにその様子を静かに見ていた大衆達もだった。
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