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HO3.あなたの一番のユーザー(5話)
4.海中の氷山
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「お気に入りのイラストレーターさんが自分に優しくしてくれないのは間違っている。間違った判断から『救済』してあげよう、と言うわけですね」
笑顔で喋っているのは、主にシスターだ。もう一人、「上司」と言う感じのスーツの男性、そして、自分よりすごい「使命」を受けているらしい青年。
その「青年」から感じる圧力は変わらない。
「昼はどうも。椎木さん、でしたっけ。あなた、僕の顔を見て何かに驚いていましたね。僕が、あなたと異なる『使命』を持っていることに気付いたんじゃないですか?」
しまった。あのとき、彼の顔を見て自分が動揺したことに気付かれていたのか。この人は一体何なんだろう。
「それにしても、どうやらインターネットでの繋がりのようですが、実際に会いに行くのはやり過ぎではないですか?」
シスターが言う。香菜美はむっとして、
「救ってあげるんだから、ちゃんと会ってあげないと駄目です」
「この人、電車の中で人の話を盗み聞きして、それで私がお目当ての人だと思い込んでるんですよ。警察の人ですか? なんとかなりません?」
「犀東かやこ」が迷惑そうに言う。その一言一言が、香菜美の心に突き刺さった。
「警察ではありません」
スーツの男が言った。
「我々は文部科学省の者です。椎木さん、でしたね。あなたに『使命』を授けた『天啓』とやらは、あなたの心身を蝕んでいる。早くしないと大変なことになります」
「文部科学省?」
心身を蝕んでいる? 何でそんなことを、文部科学省の人が言いに来るんだろう。少し考えて、香菜美はうっすらと笑みを浮かべた。何だ、簡単なことじゃないか。
「──ああ、文部科学省、そういうこと。クリエイターのわがままを叶えてあげに来たんだ。私みたいな奴に絵を描いて貰う資格はないって言いに来たんですね。国もグルなんだ」
「そうではありません。我々は宇宙対策室の者で──」
「さっきから何なんだよ。どう考えてもおかしいのはあんたの方でしょ」
そこで、「犀東かやこ」が声を荒げた。
「犀東さん?」
「だから違うって言ってる。文部科学省つったって色々あるんだよ。クリエイターに接触するなら文化庁から人寄越しそうなもんじゃない。ちょっと考えればわかるでしょ」
何でここまで言われないといけないんだろう。
私の何が間違ってるって言うんだろう。
「馬鹿すぎるし、大体、私がお目当ての絵描きだったとしても、盗み聞きして尾行してくるとか」
「気持ち悪いよ」
全身の血液が沸騰したような心地になった。
(思い込み激しいんだよね)
背中が熱い。
「う……わあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
身体が割かれるような苦痛と、全人格を否定されるような絶望に襲われて、香菜美は悲鳴を上げた。
椎木の背中から、あの有機体が捻れた角の様に幾本も飛び出した。まるでハリネズミだ。「犀東かやこ」と間違われた女性は目を丸くして、口をあんぐりと開けて絶句している。
「えっ」
テータは何も言わずに、いつもの様に、有機体の翼を広げて突っ込んで行った。正面の女性を睨んでいた椎木は、後ろからテータに飛びつかれると、驚いて振り返った。
「何するの!」
針のようだ、と形容されそうな形の有機体だが、元々あの柔らかな筒である。ぐにゃり、と歪むと、鞭の様にしなって、強かにテータの肩を打ち据えた。
「浪越さん!」
杏は思わず叫んだ。布と皮膚と肉の裂ける音、そして血しぶきを覚悟したが、轟いたのはゴツッ! と言う、何か固い者を叩いた音。テータは僅かによろめいたが、血は流さなかった。
「え……」
杏は哲夫と顔を見合わせる。哲夫は口を固く閉じて目を見開いていた。自分も似たような顔をしているのだろう。
「あなた、何?」
二人よりももっとショックを受けているのは、椎木だった。無理もない。
「化け物」
呆然として、呟く。
よろめいた表紙に俯いて、そのままの姿勢でいるテータが、有機体の翼を羽ばたかせた。ほんのりと温かい風が広がる。
「天使?」
女性が問うた。
「いいえ」
テータは顔を上げる。背中を杏たちに向けているので、その表情は見えない。
「私は人間ですよ」
その声は変わらず穏やかだ。
「自分の星のね」
(本当の私は皆さんとは似ても似つかない怪物……というのはちょっと大袈裟だし言われると悲しいですけど)
杏の脳裏に、自分の姿について語るテータの姿が蘇った。
私は人間ですよ。
それは……被害者たちが「天啓」によって常軌を逸した行動を取ってしまう、地球社会の「怪物」になってしまうことと、根っこにあるものは同じものであるように思えた。
杏は目を瞬かせる。
その間に、テータは椎木を押し返していた。
決着はいつものようにあっという間についた。有機体そのものは、鞭にすれば強いかもしれないが、そもそもはさみで切れる程度の強度しかない。テータは自分を叩いたそれを引きちぎってから、椎木をねじ伏せて、残りも背中から少し長さを残してちぎった。椎木はずっと暴れていた。哲夫は救急車を手配している。途中、通りすがりが何人か様子を見ていたが、すぐにその場を立ち去った。「警察呼びますか?」と聞いてくれる人もいたが、哲夫が断った。
「大丈夫ですか?」
哲夫が、青くなりながらも椎木を凝視している女性に尋ねた。
「ええ、私は何も。ありがとうございました。天使さんも」
「浪越と申します」
テータは女性を見上げてにこりと笑った。
「それで、あなたのペンネームは何ですか? あなたもクリエイターさんなんですよね?」
哲夫が尋ねた。
「そうです。インターネットの、そういう依頼を受けるサイトがあるんですけど、そこに登録しています。私のマイページはこれです」
女性は自分のスマートフォンの画面をタップして何かのマイページを表示させる。杏も見せて貰った。「クリエイター管理画面」と題されたそこには、「ユーザー名:来栖ユーリ」と表示されていた。活動ジャンルは「小説」だ。
「犀東かやこさんではないですね。小説家さんなんですね」
「商業で本出してるわけじゃないですけどね」
「嘘だッ!」
椎木が叫んだ。
「この人は犀東かやこなんだ!」
「違うって言ってんじゃん! 犀東かやこくらい絵が描けるんだったらそうなりたいよ!」
「狭い業界なんですね……」
どうやら、来栖も犀東かやこというイラストレーターのことは知っているらしい。哲夫は手を振って、来栖にスマートフォンをしまわせた。
「だって、私のことヤバイい人だって言った! 気持ち悪いって言った! だからこの人は犀東かやこなんだよ!!!!! 認めてよ! 私が言っていることを!」
「犀東かやこも変なのに好かれてるな……」
来栖は小さな声で言った。
クリエイターとクライアントのもめ事なんてものは日常茶飯事……とは行かなくても、創作の依頼を受けていれば誰でも一度は経験すること、程度の頻度では起こるのだろう。
「えーっとね、それは犀東さんが表に出さないだけで、あれだけ依頼受けてたら絶対リテイクの件数がトータル一件なんてあり得ないと思う。守秘義務って言うか、クライアントとの個別のやりとりについてクリエイター側から公開しないって言うのは正しいと思うけど」
来栖は頭を抱えながら言う。
「基本的にリクエストから掘り下げるって、リクエストに書いてないことをやるってことだから、やりすぎて外すとやっぱ嫌がられるし。そう言うので解釈違いだった人も、文句言うほどじゃないけどもう頼まなくていいやって離れてるだけだと思う。そういう、氷山の一角ならぬ海中の氷山ってもんはあるわけ。見えてないだけで」
完全に嫌気の差した顔になる。更に何か言おうとしていたが、彼女は自発的に口を閉ざした。哲夫を見て、
「私、もう行っても良いですか? いない方がいい気がするんです」
「そうですね……構いませんが、念のため連絡先を。これ、自分の名刺です。こちらにあなたのお名前と電話番号を」
来栖は哲夫から名刺を二枚受け取ると、片方に自分の本名と連絡先を書いた。受け取った哲夫は眉を上げただけで、それを読み上げなかった。杏はそれを横から覗き込む。
『斎藤伽椰子 080-XXXX-XXXX』
「えっ」
「よくあることですよ」
来栖ユーリは……斎藤伽椰子は小声で言って、肩を竦めた。
「じゃあ、私はこちらで」
彼女はすたすたと去って行く。哲夫はすぐに名刺をしまい込んだ。
「……それで、名前呼ばれてびっくりしたり、誰と間違えられてるかわかって納得してたんですね」
杏は、香菜美と相対した伽椰子の表情の変化に納得した。それと同時に、香菜美が誤解を深めるだろうとも。
「思い込みが起こるのは、その方が楽だからだ。全ての可能性を検討した上の、正しい判断をし続けられるほど、俺たち人間は上手に考えられないし、強くない」
哲夫はどこか重たい声で言う。
「これまでの『天啓』被害者たちもそうだが、俺たちも例外じゃない。思い込みは起こる。『天啓』なんかなくても」
「はい……」
「月並みだが、気をつけような」
「はい」
哲夫の、どこか労るような表情に、杏はこくりと頷いたのだった。
笑顔で喋っているのは、主にシスターだ。もう一人、「上司」と言う感じのスーツの男性、そして、自分よりすごい「使命」を受けているらしい青年。
その「青年」から感じる圧力は変わらない。
「昼はどうも。椎木さん、でしたっけ。あなた、僕の顔を見て何かに驚いていましたね。僕が、あなたと異なる『使命』を持っていることに気付いたんじゃないですか?」
しまった。あのとき、彼の顔を見て自分が動揺したことに気付かれていたのか。この人は一体何なんだろう。
「それにしても、どうやらインターネットでの繋がりのようですが、実際に会いに行くのはやり過ぎではないですか?」
シスターが言う。香菜美はむっとして、
「救ってあげるんだから、ちゃんと会ってあげないと駄目です」
「この人、電車の中で人の話を盗み聞きして、それで私がお目当ての人だと思い込んでるんですよ。警察の人ですか? なんとかなりません?」
「犀東かやこ」が迷惑そうに言う。その一言一言が、香菜美の心に突き刺さった。
「警察ではありません」
スーツの男が言った。
「我々は文部科学省の者です。椎木さん、でしたね。あなたに『使命』を授けた『天啓』とやらは、あなたの心身を蝕んでいる。早くしないと大変なことになります」
「文部科学省?」
心身を蝕んでいる? 何でそんなことを、文部科学省の人が言いに来るんだろう。少し考えて、香菜美はうっすらと笑みを浮かべた。何だ、簡単なことじゃないか。
「──ああ、文部科学省、そういうこと。クリエイターのわがままを叶えてあげに来たんだ。私みたいな奴に絵を描いて貰う資格はないって言いに来たんですね。国もグルなんだ」
「そうではありません。我々は宇宙対策室の者で──」
「さっきから何なんだよ。どう考えてもおかしいのはあんたの方でしょ」
そこで、「犀東かやこ」が声を荒げた。
「犀東さん?」
「だから違うって言ってる。文部科学省つったって色々あるんだよ。クリエイターに接触するなら文化庁から人寄越しそうなもんじゃない。ちょっと考えればわかるでしょ」
何でここまで言われないといけないんだろう。
私の何が間違ってるって言うんだろう。
「馬鹿すぎるし、大体、私がお目当ての絵描きだったとしても、盗み聞きして尾行してくるとか」
「気持ち悪いよ」
全身の血液が沸騰したような心地になった。
(思い込み激しいんだよね)
背中が熱い。
「う……わあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」
身体が割かれるような苦痛と、全人格を否定されるような絶望に襲われて、香菜美は悲鳴を上げた。
椎木の背中から、あの有機体が捻れた角の様に幾本も飛び出した。まるでハリネズミだ。「犀東かやこ」と間違われた女性は目を丸くして、口をあんぐりと開けて絶句している。
「えっ」
テータは何も言わずに、いつもの様に、有機体の翼を広げて突っ込んで行った。正面の女性を睨んでいた椎木は、後ろからテータに飛びつかれると、驚いて振り返った。
「何するの!」
針のようだ、と形容されそうな形の有機体だが、元々あの柔らかな筒である。ぐにゃり、と歪むと、鞭の様にしなって、強かにテータの肩を打ち据えた。
「浪越さん!」
杏は思わず叫んだ。布と皮膚と肉の裂ける音、そして血しぶきを覚悟したが、轟いたのはゴツッ! と言う、何か固い者を叩いた音。テータは僅かによろめいたが、血は流さなかった。
「え……」
杏は哲夫と顔を見合わせる。哲夫は口を固く閉じて目を見開いていた。自分も似たような顔をしているのだろう。
「あなた、何?」
二人よりももっとショックを受けているのは、椎木だった。無理もない。
「化け物」
呆然として、呟く。
よろめいた表紙に俯いて、そのままの姿勢でいるテータが、有機体の翼を羽ばたかせた。ほんのりと温かい風が広がる。
「天使?」
女性が問うた。
「いいえ」
テータは顔を上げる。背中を杏たちに向けているので、その表情は見えない。
「私は人間ですよ」
その声は変わらず穏やかだ。
「自分の星のね」
(本当の私は皆さんとは似ても似つかない怪物……というのはちょっと大袈裟だし言われると悲しいですけど)
杏の脳裏に、自分の姿について語るテータの姿が蘇った。
私は人間ですよ。
それは……被害者たちが「天啓」によって常軌を逸した行動を取ってしまう、地球社会の「怪物」になってしまうことと、根っこにあるものは同じものであるように思えた。
杏は目を瞬かせる。
その間に、テータは椎木を押し返していた。
決着はいつものようにあっという間についた。有機体そのものは、鞭にすれば強いかもしれないが、そもそもはさみで切れる程度の強度しかない。テータは自分を叩いたそれを引きちぎってから、椎木をねじ伏せて、残りも背中から少し長さを残してちぎった。椎木はずっと暴れていた。哲夫は救急車を手配している。途中、通りすがりが何人か様子を見ていたが、すぐにその場を立ち去った。「警察呼びますか?」と聞いてくれる人もいたが、哲夫が断った。
「大丈夫ですか?」
哲夫が、青くなりながらも椎木を凝視している女性に尋ねた。
「ええ、私は何も。ありがとうございました。天使さんも」
「浪越と申します」
テータは女性を見上げてにこりと笑った。
「それで、あなたのペンネームは何ですか? あなたもクリエイターさんなんですよね?」
哲夫が尋ねた。
「そうです。インターネットの、そういう依頼を受けるサイトがあるんですけど、そこに登録しています。私のマイページはこれです」
女性は自分のスマートフォンの画面をタップして何かのマイページを表示させる。杏も見せて貰った。「クリエイター管理画面」と題されたそこには、「ユーザー名:来栖ユーリ」と表示されていた。活動ジャンルは「小説」だ。
「犀東かやこさんではないですね。小説家さんなんですね」
「商業で本出してるわけじゃないですけどね」
「嘘だッ!」
椎木が叫んだ。
「この人は犀東かやこなんだ!」
「違うって言ってんじゃん! 犀東かやこくらい絵が描けるんだったらそうなりたいよ!」
「狭い業界なんですね……」
どうやら、来栖も犀東かやこというイラストレーターのことは知っているらしい。哲夫は手を振って、来栖にスマートフォンをしまわせた。
「だって、私のことヤバイい人だって言った! 気持ち悪いって言った! だからこの人は犀東かやこなんだよ!!!!! 認めてよ! 私が言っていることを!」
「犀東かやこも変なのに好かれてるな……」
来栖は小さな声で言った。
クリエイターとクライアントのもめ事なんてものは日常茶飯事……とは行かなくても、創作の依頼を受けていれば誰でも一度は経験すること、程度の頻度では起こるのだろう。
「えーっとね、それは犀東さんが表に出さないだけで、あれだけ依頼受けてたら絶対リテイクの件数がトータル一件なんてあり得ないと思う。守秘義務って言うか、クライアントとの個別のやりとりについてクリエイター側から公開しないって言うのは正しいと思うけど」
来栖は頭を抱えながら言う。
「基本的にリクエストから掘り下げるって、リクエストに書いてないことをやるってことだから、やりすぎて外すとやっぱ嫌がられるし。そう言うので解釈違いだった人も、文句言うほどじゃないけどもう頼まなくていいやって離れてるだけだと思う。そういう、氷山の一角ならぬ海中の氷山ってもんはあるわけ。見えてないだけで」
完全に嫌気の差した顔になる。更に何か言おうとしていたが、彼女は自発的に口を閉ざした。哲夫を見て、
「私、もう行っても良いですか? いない方がいい気がするんです」
「そうですね……構いませんが、念のため連絡先を。これ、自分の名刺です。こちらにあなたのお名前と電話番号を」
来栖は哲夫から名刺を二枚受け取ると、片方に自分の本名と連絡先を書いた。受け取った哲夫は眉を上げただけで、それを読み上げなかった。杏はそれを横から覗き込む。
『斎藤伽椰子 080-XXXX-XXXX』
「えっ」
「よくあることですよ」
来栖ユーリは……斎藤伽椰子は小声で言って、肩を竦めた。
「じゃあ、私はこちらで」
彼女はすたすたと去って行く。哲夫はすぐに名刺をしまい込んだ。
「……それで、名前呼ばれてびっくりしたり、誰と間違えられてるかわかって納得してたんですね」
杏は、香菜美と相対した伽椰子の表情の変化に納得した。それと同時に、香菜美が誤解を深めるだろうとも。
「思い込みが起こるのは、その方が楽だからだ。全ての可能性を検討した上の、正しい判断をし続けられるほど、俺たち人間は上手に考えられないし、強くない」
哲夫はどこか重たい声で言う。
「これまでの『天啓』被害者たちもそうだが、俺たちも例外じゃない。思い込みは起こる。『天啓』なんかなくても」
「はい……」
「月並みだが、気をつけような」
「はい」
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