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おまけ:第4話別キャラクターバージョン(※性描写あり)
ロニア編
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「……おや? いや失礼、誰かが」
「怪物」組織のスパイであったロニアは、電話の最中に、廃屋を出ようとした綾音の気配に気付いたようだった。
「また掛けます」
電話を切り、入り口に向かってくる。綾音は咄嗟に、出て行こうとした身体を反転させて、まるでこれから入ろうとするかのように見せかけた。
「あ……」
綾音は正面から相手の顔を見た。透き通る様な白い髪、青灰色の目。どこか素朴な雰囲気。
(この人が……『怪物』組織のスパイ……?)
あまりスパイのイメージにない印象だ。だからスパイなのだろうが。
「あなたは?」
「あっ、えっと、私、あなたのことが気になって……でもさっき他の人と、その、してたみたいだし……どうしようかなって思ったんですけど、やっぱり気になっちゃって……」
と、まるで、彼を誘いたくて追ってきたかの様に見せかける。
「そうでしたか」
人造人間は、電話を邪魔されたことよりも、求められたことの方が嬉しいようで、表情を綻ばせた。
「自分たちは構いませんよ。求められたら応じる。それが存在意義ですから。中央ホテルに戻りますか?」
「えっと……」
綾音はもじもじしたフリをした。否、半分はフリだが半分は本気だ。
「せっかくだし、ここも雰囲気があるから……あなたが良ければここで……」
ベッドに並んで腰掛けると、ロニアは自分の名前を綾音に伝えた。
「ロニアさん、ですか?」
「はい。どうぞロニアと呼んでくださいね。それで……」
ロニアは屈託のない微笑みを浮かべて、綾音の頬を撫でた。
「どんな風にされたいんですか?」
なし崩しに始まった行為だったが、触れるだけのキスを何度も繰り返していると、綾音の全身が熱を持ち始めた。最初は、適当なところで腹痛でも装うかと思っていたが、優しく、柔らかに触れられ続けていると、段々物足りなくなってくる。もっと、激しいことがしたい。来たときに、既に身のうちに燻っていた火種はすっかり大きく燃え上がって、欲望の天井を舐め、焼き尽くそうとしている。
「はぁ……」
悩ましげな吐息を漏らす。ロニアはその吐息ごと掬い上げるようにまた口づけた。
「わ、私……こういう所に来るの初めてで……」
「そう言う方はたくさんいます。でも怖がらないで。あなたが嫌がることはしませんから。心の準備がまだなら、今やめたって良い」
「そ、そうなの?」
「ええ。自分たちは人間に奉仕するものですから。人間が嫌がるなら何もしません」
嫌なのではない。綾音は今すぐにでも、ロニアを押し倒してしまいたかった。けれど、今まで付き合ったどの男性も、彼女にベッドでの主導権を渡したがらなかった。だから、少し自信がない。
「むしろ、あなたがしたいことを自分にしてくださっても良いんですよ」
「本当に……?」
「もちろんです。どんなことでも……あなたの欲望を教えてください」
ロニアをベッドの上に押し倒し、覆い被さって激しく口づける。とにかく、自分から男の身体に触ってみたかった。ひとしきり彼の口の中を蹂躙すると、今度はロニアのベルトを外し、ズボンと下着をずり下げる。自分の下着も下ろして、スカートをめくり上げると、ロニアが綾音の手首を掴んだ。
「待って」
「い、嫌なの……?」
「ううん。とんでもない。でも、そのまま入れては、あなたの中が傷ついてしまいます」
ポケットからローションの小瓶が出てきて、綾音は目を丸くした。
「持ち歩くようにと言われていて」
「そ、そうなんですか……」
「あなたが自分の身体で満足できるように、少しだけ自分に手伝わせてくれませんか?」
ロニアの膝に乗る形で座らされ、スカートも汚さないように取り去れらた足の間。そこで、ロニアの指がうごめいていた。
「ああ……」
「もうこんなに熱かったんですね……こんなに欲しがられているのが自分だなんて、嬉しいです」
耳元で甘く囁かれる。吐息が耳殻をくすぐり、欲望が膨れ上がる。
それでなくとも、だらしなく綻び始めていた蕾は、すっかり開ききって、蜜をこぼしている。ロニアの指は、まるで綾音にその場所を教えるように、花唇の奥、彼の蕊を届かせたいところをこすり上げていた。そのせいで、綾音は快感の生殺し状態にあり、彼の腕の中でぴくぴくと震えていた。
「あっ、ロニア……もう……」
「ええ、大丈夫だと思います。さあ、どうぞ。自分の身体を好きにして」
夢中になってロニアをベッドに組み敷く。その顔には歓喜の表情が見えていた。綾音が自分を求めて、荒っぽくむしゃぶりついてくるのが嬉しくてたまらないと言わんばかりに。
いつの間にか屹立していたロニアのそれを、綾音は自分の中に招き入れた。
「うっ、くぅ……うう……ああーっ……!」
ロニアが腰を押さえて、その先端を、隘路のそこへこすりつけた。爆発寸前だった欲求はそこで火を噴き、綾音は挿入だけで背中を反らして震えた。
でも、まだ足りない。波が引いて、呼吸を整えると、根元まで飲み込んだロニアを中に感じながら、前後に腰を揺する。ロニアの手がそれを支え、綾音が快感を見つけられずに迷い始めると、正しい道へ連れて行き、震わせた。
「ううっ……あう……」
まるで苦しんでいるようなうめき声が喉から漏れるが、綾音が感じているのは間違いなく快楽のそれで、苦痛は一つもなかった。ロニアの導きで絶え間なく与えられる刺激は、濃密な快感を彼女の心に注ぎ込む。その濃さにうめくのだ。
「はぁ、う……ん……」
綾音は目を閉じて、息を吐く。
「……気持ちいい……」
「良かった」
ロニアは安堵したように囁いた。
快感の奔流に流されて、綾音は深い絶頂の渦に沈んでいった。
「怪物」組織のスパイであったロニアは、電話の最中に、廃屋を出ようとした綾音の気配に気付いたようだった。
「また掛けます」
電話を切り、入り口に向かってくる。綾音は咄嗟に、出て行こうとした身体を反転させて、まるでこれから入ろうとするかのように見せかけた。
「あ……」
綾音は正面から相手の顔を見た。透き通る様な白い髪、青灰色の目。どこか素朴な雰囲気。
(この人が……『怪物』組織のスパイ……?)
あまりスパイのイメージにない印象だ。だからスパイなのだろうが。
「あなたは?」
「あっ、えっと、私、あなたのことが気になって……でもさっき他の人と、その、してたみたいだし……どうしようかなって思ったんですけど、やっぱり気になっちゃって……」
と、まるで、彼を誘いたくて追ってきたかの様に見せかける。
「そうでしたか」
人造人間は、電話を邪魔されたことよりも、求められたことの方が嬉しいようで、表情を綻ばせた。
「自分たちは構いませんよ。求められたら応じる。それが存在意義ですから。中央ホテルに戻りますか?」
「えっと……」
綾音はもじもじしたフリをした。否、半分はフリだが半分は本気だ。
「せっかくだし、ここも雰囲気があるから……あなたが良ければここで……」
ベッドに並んで腰掛けると、ロニアは自分の名前を綾音に伝えた。
「ロニアさん、ですか?」
「はい。どうぞロニアと呼んでくださいね。それで……」
ロニアは屈託のない微笑みを浮かべて、綾音の頬を撫でた。
「どんな風にされたいんですか?」
なし崩しに始まった行為だったが、触れるだけのキスを何度も繰り返していると、綾音の全身が熱を持ち始めた。最初は、適当なところで腹痛でも装うかと思っていたが、優しく、柔らかに触れられ続けていると、段々物足りなくなってくる。もっと、激しいことがしたい。来たときに、既に身のうちに燻っていた火種はすっかり大きく燃え上がって、欲望の天井を舐め、焼き尽くそうとしている。
「はぁ……」
悩ましげな吐息を漏らす。ロニアはその吐息ごと掬い上げるようにまた口づけた。
「わ、私……こういう所に来るの初めてで……」
「そう言う方はたくさんいます。でも怖がらないで。あなたが嫌がることはしませんから。心の準備がまだなら、今やめたって良い」
「そ、そうなの?」
「ええ。自分たちは人間に奉仕するものですから。人間が嫌がるなら何もしません」
嫌なのではない。綾音は今すぐにでも、ロニアを押し倒してしまいたかった。けれど、今まで付き合ったどの男性も、彼女にベッドでの主導権を渡したがらなかった。だから、少し自信がない。
「むしろ、あなたがしたいことを自分にしてくださっても良いんですよ」
「本当に……?」
「もちろんです。どんなことでも……あなたの欲望を教えてください」
ロニアをベッドの上に押し倒し、覆い被さって激しく口づける。とにかく、自分から男の身体に触ってみたかった。ひとしきり彼の口の中を蹂躙すると、今度はロニアのベルトを外し、ズボンと下着をずり下げる。自分の下着も下ろして、スカートをめくり上げると、ロニアが綾音の手首を掴んだ。
「待って」
「い、嫌なの……?」
「ううん。とんでもない。でも、そのまま入れては、あなたの中が傷ついてしまいます」
ポケットからローションの小瓶が出てきて、綾音は目を丸くした。
「持ち歩くようにと言われていて」
「そ、そうなんですか……」
「あなたが自分の身体で満足できるように、少しだけ自分に手伝わせてくれませんか?」
ロニアの膝に乗る形で座らされ、スカートも汚さないように取り去れらた足の間。そこで、ロニアの指がうごめいていた。
「ああ……」
「もうこんなに熱かったんですね……こんなに欲しがられているのが自分だなんて、嬉しいです」
耳元で甘く囁かれる。吐息が耳殻をくすぐり、欲望が膨れ上がる。
それでなくとも、だらしなく綻び始めていた蕾は、すっかり開ききって、蜜をこぼしている。ロニアの指は、まるで綾音にその場所を教えるように、花唇の奥、彼の蕊を届かせたいところをこすり上げていた。そのせいで、綾音は快感の生殺し状態にあり、彼の腕の中でぴくぴくと震えていた。
「あっ、ロニア……もう……」
「ええ、大丈夫だと思います。さあ、どうぞ。自分の身体を好きにして」
夢中になってロニアをベッドに組み敷く。その顔には歓喜の表情が見えていた。綾音が自分を求めて、荒っぽくむしゃぶりついてくるのが嬉しくてたまらないと言わんばかりに。
いつの間にか屹立していたロニアのそれを、綾音は自分の中に招き入れた。
「うっ、くぅ……うう……ああーっ……!」
ロニアが腰を押さえて、その先端を、隘路のそこへこすりつけた。爆発寸前だった欲求はそこで火を噴き、綾音は挿入だけで背中を反らして震えた。
でも、まだ足りない。波が引いて、呼吸を整えると、根元まで飲み込んだロニアを中に感じながら、前後に腰を揺する。ロニアの手がそれを支え、綾音が快感を見つけられずに迷い始めると、正しい道へ連れて行き、震わせた。
「ううっ……あう……」
まるで苦しんでいるようなうめき声が喉から漏れるが、綾音が感じているのは間違いなく快楽のそれで、苦痛は一つもなかった。ロニアの導きで絶え間なく与えられる刺激は、濃密な快感を彼女の心に注ぎ込む。その濃さにうめくのだ。
「はぁ、う……ん……」
綾音は目を閉じて、息を吐く。
「……気持ちいい……」
「良かった」
ロニアは安堵したように囁いた。
快感の奔流に流されて、綾音は深い絶頂の渦に沈んでいった。
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【初回完結日2020.05.25】
【修正開始2023.05.08】
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