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札とセイギが向かうサキ

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早速 里の広場に皆さんを集めてもらい、それぞれ見ていく。


聞いたところによると4番隊は30人ほどの1番規模の小さい中隊。


昔はもっと多かったそうなのだが旧騎士団のなんやかんやがアレして……ね。


1、2、3番隊はこれより全然多いらしいのだがここは実力主義の世界、即戦力は最前線に抜擢されるとのこと。



4番隊では、

『”ガチで“足並みが揃わない。』

『固有スキルが足手まとい』

そんな者をかき集め、育成するための2軍、3軍として機能させることになり、日々3番隊以上では対応しきれない中小規模の盗賊、王都周辺の災害などの対処を主にやっているんだそう。



結果

クセの強すぎる職業、固有スキル、性格持ち
         +
頑固者の後釜 with イケイケドンドン副隊長


ついたあだ名は
『ハズレの溜まり場』『余り物中隊』


それっぽく小隊ごとの連携に全振りしてはいるものの、やはり何名か問題児が出て止まない。

それについては自分が介入させてもらってよーく分かった。











「重戦士…っと。」

カキカキカキ

「えーーっと、メインのスキル構成が…」

カキカキ…カキカキカキカキ

「サブは…」

カキカキカキ


「おいそこ!静かにしろ!!」



ビクゥッ

イラッ
「……ん”ん“!

……固有スキルは…『限定重圧』 効果が、え~~っと…」


カキカキカキ


「ヘビー系のAタイプ。
はい、OKです。
お昼の後で小隊を組み直すので広場の近くで時間潰しててください」



「次!!!!」

ビクッ!


イラッ…!
「ん“っん”ん“!!失礼しました、お名前お願いします」

「ラズライト・マッカートだ」


ペラペラペラペラッ

「ええと…ラ~…ラ~…ラ~…」

「あっ 上の方」

「あった ありがとうございます」

「焦るな、落ち着いてやってくれたらいいぞ」

「はい 
それでは失礼します 『鑑定スキル』」









ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前:ラズライト・マッカート
種族:人族
年齢:29
性別:男
職業:騎士
レベル:21
称号:ヴィクトリア王国第4中隊 騎士

【職業スキル】

剣術:初級
火魔法:初級
闇魔法:中級
快眠:初級
精神攻撃耐性:初級

【補助スキル】

礼儀作法:初級
器用:中級
魔力増加:初級
体力上昇:中級
観察:中級
演算速度上昇:中級

【固有スキル】
『ストレスのジレンマ』
ストレスに比例してステータスが上昇する。
代償として状態異常:頭痛+倦怠感+集中力低下が発生、ストレス値に比例して上昇する




状態異常:頭痛:軽度+倦怠感:軽度+集中力低下:軽度


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





「あーあー…」

「ひどいだろ、オレの固有スキル」

「えーっと…」

「遠慮しなくていいぞ」

「そうですね…」




正直なところ精神系デメリットを無しにして言えば理想的なスキル構成。


逆に言えば職業の漢字が変わるほどの固有スキルが彼に蓋をしているのは明らかだ。


なんか見たことあるな…身も心もしっかりイケメンなのにやたらと排泄物を踏んだり水路に落ちたりする人。

この人もそっち系のタイプなんだろう。



ストレスをコントロールできれば固有スキルのデメリットを最小限にはできると思うんだけど…そんなことできるか?


何はともあれ、こういう人に理想的なドラゴンは…彼しかいないな。




「あっ ちょっと待ってもらえます?」

「ん?あぁ…」





「『シアン、いま大丈夫か?』」

『ど~したんジャ~ン?』

「『ちょっと見てあげてほしい人がいるんだけど大丈夫そうか?』」

『い~ジャンよ~』

「『今どこにいる?』」

『サンちゃん家の近くの川ジャンよ~』




「そこっ!私語を慎め!!」


イライラっ
「「…」」




『ど~したジャン?』

「『ごめんこっちの話。

それよりシアンのところってってケヴィンさんもいたよな?』」

『けびんならちょ~ど魚獲りしてるジャンよ』



ケヴィンさんはストレスを与えるタイプでは無かったはずだよな…

水の芸術のような彼のスタイルならラズライトさんと組んでもらっても体調は悪くならないだろう。



「『もう1人頼むな』」

『は~~~い』










「これからって時に情けないよな」

「そんなことはありませんよ、人によって環境に向き不向きがありますから。
それに…ほらっ ねっ? でしょ?」



自分達にしか分からないように黒目をある方向首と共に傾けて指し示す。


生真面目中隊長とイケイケドンドンな副隊長が常日頃あーだこーだ言いあい、挙句の果てにその仲裁にいつも駆り出されては痛い目を見る。

ただでさえ住んでいる種族がまるっきり違うドラグニアに連れてこられて大変だろうに毎日余計なストレスを与えられてさぞ辛かったろうな…


彼女なりに頑張っているであろう中隊長本人には悪いけど、ラズライトさんやアベルさんのような精神疲弊型の人が成長するのに理想的とは思えない。



現に今も…  おっと危ない、自分までストレスを共有するところだった…





「今の時点で自分から言えることは…無理すると良くないってことですね。

ラズライトさんにはこれから3日間くらい、水属性ドラゴンたちと過ごしてもらいます。

のんびりした性格のドラゴン達ばっかりなので、休養だと思ってゆっくりのんびり肩の力を抜いていってください。」

「はぁ…気遣わせて悪いな」

「その方が適切だと考えただけです、気にしないでください。」

「ありがとよ」

「そこの水路の流れを遡って行ってください。5、6分行けば見えると思います。」

「そうか」

「あっヤベっ!ちょっと待ってくださいっ まだ書けてないんで」


カキカキカキカキカキカキ…!!


「ふぅっ セーフ…」

「大丈夫か?」

「あっはい大丈夫です。」




「お大事になさってくださ~い」


「次!!」

「もぉ~……! ちょっとごめんなさいね。

フィーラさん!」

「なんだ」

「こんな近くで大声出さないでもらっていいですか」

「私がいては目ざわりか」

「見ててもらうことには問題ありませんし進行してもらえるのはありがたいんです

問題はそっちじゃなくて、“自分のことを嫌いなのは知ってますけど、ここでイライラしないで”って話です。

『耳元に怒号』は分かっていても1番恐いんで」

「別にイラついては…」

「そうですか、ならここ座ってください」

「は?」

「座ってください」

「何を」

「座って」

「…はい」




大きく息を吸ぅーーーーーーーーッ…

そして耳元でそっくりそのまま。


「次ぃいい!!」


特大のお返し砲弾を食らったこの人の頭が反射で逃げ、すぐに音の被弾をした耳に手が覆いかぶさる。




「けっ 貴様何をッ!」

「分かったでしょ
余計なストレスが皆さんにかかってるんです。

ラズライトさんは今のでも充分体調悪くなるんですから、少しは周りの視線を気にしてください」

「…悪かった」

「つぎは最後サンちゃんのカードきりますからね」

「くっ……」

「お待たせしました。お次の方お名前お願いします」









「うぉ~すげ フィーラ黙らせてやんの」

「副隊長」

「ん?」

「彼に対して隊長の怒り方が前よりマシになってるの気付いてますか?」

「そうか?」

「ほら、今まで「貴様!!」って真っ先に言ってたのに今「ケースケ」って言いかけたってことは…もうすぐ名前で呼び始めるってことですよね」

「かもな。けど」

「けど?」

「アイツの氷のカタマリは一筋縄じゃ解けねぇよ」

「そうですかね…」

「そーゆーもんだ。
ふぁ~~~…んじゃ もう一眠りすっからなんかおもしろそーなんあったら起こしてくれ」




その後はストレスもなく一応順調に進んだものの、確かにややこしい人ばかりだった。



A)武器の適性に問題がある人

B)固有スキルがユニークすぎる人

C)性格的に足並みの揃わない人

D)非戦闘系の職業の人



そりゃあ仕事しながらだから全員は見れないのもわかる。

〇〇剣士 〇〇戦士 〇〇騎士

9割型ひとひねり以上あって何度数えても被っている人が本当にいないんだもの。


3名いる魔法使いも湯、泥、花しか出せないというなかなかのつらーーい縛り人生。






戦闘系ではない非戦闘系職業の人達も結構いて、

呪術師
支援魔法使い
剣磨士
道具士
鍛治師
機関士
アイテム技士
料理人
神官

なぜ戦闘系バリバリの騎士になったのかすら訳がわからない。

まぁほとんどがお家の関係なんだろうがそこまでは流石に踏み込まないでおこう。




加えてカタカナ漢字問題。

・魔剣士だと思いきや剣磨士

・闇騎士ではなく病み騎士

・重戦士と獣戦士が各1名


など口と耳で聞いただけでは絶対に分からない違いの職業がちょこちょこいる。




全体から見て半分が使い方次第の固有スキル、もう半分が残念なスキル持ち。

とても放ったらかして王都に送り返せたものではない。





















「『鑑定スキル』


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


名前:ザック
種族:人族
年齢:32
性別:男
職業:戦士
レベル:41
称号:ヴィクトリア王国第4中隊副隊長
   騎士団で最もガサツな騎士
   ドラゴン族の救世主その2
   不屈の騎士
   救世主

【職業スキル】

剣術:中級
槍術:初級
盾術:初級
格闘:中級
身体強化
腕力強化:中級
快眠:初級
物理攻撃耐性:中級


【補助スキル】

縮地:中級
脚力増加:初級
体力上昇:中級
勘:上級
幸運:中級


【固有スキル】
『体力超回復』
毎分体力の最大値の15%を回復する

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「レベル40超えたんですね」

「へ~、そんなにいってやがったか
まっ、こないだのきったねぇ雲ので上がったんだろ。ダンナ達ん時と違ってもろともぶった斬ったし。」

「自覚ない系ですか」

「それしか思い当たるもんもねぇしな。
毎日戦ってるわけでもなけれりゃ、オレが字ぃ書いてて経験値なんて入るわけねーからよ」

「そうなんですね…」



戦闘職全体のレベル平均が20くらいだとは聞いたことがあるが、軽く倍超えてしまった

あれ、出会ったばかりの時って30いってなかったよな…

「上がっちまったもんはしゃーねぇんじゃねぇか?高くて困るこたぁねーだろうしよ。だろフィーラ」


ポカーーーン…
「…」

「どうしたんだおめぇ 猿にハナクソほじられてるみてぇな顔しちまって」

「…なっ、なんでもない…
ってなんだその例え!!」

「どう見たってその顔だぞ。
レベル上げられんのがそんな嫌か?」

「そんなことは…」

「じゃあなんなんだよ」

「私はただ…年に1か2上がれば御の字とされていたレベルがそんなに上がっていいものか疑問に…」



ボソ…
「簡単…か…」



「ん?なんか言ったかケー」


ボソッボソボソボソ…


「おいどーした…?なんかこえーぞ…?」

「フィーラさん」

「な…なんだ」

「ハァ…いえなんでもありません
…お昼にします」




スタスタスタスタスタスタスタ…




「急にどうしたと言うんだ」

「分かんねぇけどめっちゃ落ち込んでんぞ」

「なぜだ…?私は何か変なことを言ったか?」



「チッ クソ完全にやってんな」

「言っちゃいけないこといちゃったでありまスル」

「なんで怒らせちまうの分がんねぇんだが」


「クロ、シロ、サンちゃん」

「ヒィッ!?」
ガクガクガクガクガクッ…!

「おいフィーラ、オメェにはヒトの心っでモンがねえんが?

ケーが夜なべしでまであれら4人の1番いぢばん合う戦い方さがしで、あれらに合う武器モンをっつって何べんもカードつぐって、やっとでぎたタマモンを簡単だぁ?

オメ、ケーの一日いぢにぢの過ごし方しらねぇがらそんなこと言えるだ。」



ガシィッ
「来いっ!教えてやるだ」

「いやッ…!
掴まなくてもついていきますから…」

「いまさら文句言うでねぇ」



ズルズルズルズルズルズル…



「待てよ」

「んだ?」

「おいクソゴミ テメェ、他人にされてクソ困ることをしといて、他人怒らせといて、クソ平気な顔がなんでできんだ」

「へ、平気な顔なんかしてな…」

「んじゃ何か?

テメェにゃ目の前が都合のいいように映るスキルでもあんのか?」

「あ、いや…」

「アイツのことが本当に気に入らねぇなら知ったこっちゃねぇ。

ダンナ達は鍛えてやるからテメェだけさっさとこの里出てくか」




「死ねよ」

「………」

「連れてけ」

「んだ。行くだどーーー」






「…言い過ぎでありまスル」

「ならケーのこと1番近くで見てるオメェならなんて言いやがる?

アイツぁスキルだか職業だかレベル以前に元々持ってるもんはクソ弱ぇ。
アタマが効くおめぇかオレが守りはってねぇと気づかねぇうちに壊されんだぞ

ケーの奴がクソ人間のクソ駒に取られちゃこの里の将来だって危ねえ。
ドラゴン族なんて戦の道具、ペット、食いもん、素材としか見られなくなんぞ。


『弱ぇ奴は死に方も選べなけりゃ、何も守れねぇ。』


里出てったクソ親父が残した言葉の意味がクソほどよく分かるっつーの。」

「それも分かるでありまスルが、疑い過ぎなところもありまスル。

そもそもこの里には人間はケーを含め2人しか出入りできない上に、外の世界が滅んでしまっては祠もこの里も維持できなくなってしまうでありまスル。

今後騎士団の皆サマは王都に帰り、憎き救世会の対応を視野に入れると思われまスル、その際に力を借りれる唯一の存在であるドラゴン族をわざわざ挑発スルような真似はしないと思われまスル。」

「逆に言や、クソみてぇなことするような奴らしかいねぇから大賢者が祠のセキュリティ作って今もこうしてあんだろ

アイツとダンナは何千万とか何億いる中の1人でしかねぇ、他の90何パーはドラゴンをそこらの魔物としか見れねぇクソ頭の悪い連中ばっかだ。

仮にこの後も救済とかいうメチャクチャを阻止したにしろ、それのついでにって戦力だ報復だっつって昔の二の舞だ

里から出ても真っ先に来るのは挨拶じゃなくて迎撃の方だったろ。」

「それは…800年の間からドラゴンと呼ばれるようになったトカゲや野生化したはぐれドラゴンの影響でありまスル

時間をかければきっと手を取り合うこともできるでありまスル!」

「その間に何人のドラゴン族の血が流れると思ってんだ?

…ダンナと外の酒飲めるようになんのはクソ魅力だけどよ、ガキどもの将来考えてやったらクソ人間が大賢者をこき使いまくって心壊した事実とアイツに対してこないだのクソゴミの言葉が現実だろ

…ハァ…クソアッタマ痛え…

…確かに極端かもしんねぇし、一旦は静かにしといてやっけど、オメェの得意分野のアタマもうちょい使えよ」

「分かってるでありまスル…」










ズルズルズルズルズルズル…



「ほれ」





「はーい みんな並んで並んでー
でなきゃアタイが食うちまうっしょ」

ズラーーーーーーーーッ





トトトトトトトトトトトトトトンッ


グツグツグツ…コトコトコト…


グ~ル グ~ル 混~ぜ 混~ぜ


ジュ~~ッ ジュ~~ッ


「あちっ」

「野菜炒めできたメラ」

「メラ、火を強めてくれ」

「はいメラ えいっ」

ボアアアアアア!!

「ほっ!と危ない アツっ! メラ~っ」

「ごめんメラ 弱めるメラ」

ボァシュン…
「うん、さっきよりは弱くなった」


「消えたし…  まぁ今ので焦げない程度に火は通ったみたいだしいいか。」




「みんな配り始めて」

『「はいよっ」』








「食事を奴がドラゴン族と共に作ってることならこれまでに何度も」

「ケーの手元をよーぐ見ろい。

分がるか?」

「里で採れた野菜と外の魔獣の肉を栄養バランスよく使って皆の健康に気を配ってるようにしていることなら…」

「惜しいだ。
汁の鍋を数えるだ。」

「大きい鍋2つと小さい鍋が1つあるくらいですが…それに何の意味が…」

「好き嫌いがあるモンもいるだが、物によって食べると体調が悪ぐなるモンがいるだ。

エネルギーっつったが?」

「エネルギー…? アレルギーでは?」

「そいづだ。
メシが苦になっちゃ何にも楽しめねぇ。
ケーはそこらへんも考えで、ちゃんとうまく食えるメシを作ってるだ」

「……」


ガシッ

「ほれ、次行くだど」

「だから引きずるのはァァァーーー~」




ズルズルズルズルズルズル…






場所は移って如月邸。
大賢者が住んでいた当時のまま家具が揃っていて2人目の日本人がそのまま住居兼、図書館として利用している。


「これを見るでありまスル」


そこに先回りし、待ち構えていた白い付き人が誘導する先には、机の上に置かれたタイプライター、ペンとインク、整理された紙の束、何枚ものカード、机の上だけでなく床に落ちた塗りつぶしだらけクッシャクシャの紙の球、




(報告書はさっき受け取ったが、ヤツは何を…)




整理された方の紙の束を一枚一枚目を通していくと、下手くそな剣や弓の絵、横にアレやコレやと特徴だのを思うがままに書き殴っては線で塗りつぶしたり丸で囲まれている。


その特徴にはわずかながらに見覚えがあった。



(コレはベクターが持っていた気味の悪い盾?こっちも見た目が少し違うが…

確か報告書に似たようなものが…)


ペラペラペラペラッ


(あった『シールドクロ』と『残念な聖剣』)


『残念な聖剣
最大魔力量を40%削減する代わりに魔力以外のステータスを最大値の30%上昇する。
超低確率でさらに全ステータス最大値の50%上昇する』


『シールドクロ
装着中、ランダムで動物霊を1体寄せ付け、敵味方問わず半可視化し、寄せ付けた動物霊のステータスの1割を加算する』


(こんなデメリットしかない武器をわざと作って渡したと言うのか)


[ベクターサン_ノ_ユニークスキル_ト_ウエポンカード_ノ_ブキミナ_ミタメ_ガ_カミアウ_コト_デ_ハッセイ_スル、『ギャク_アンラッキー』_ト_ウエポンカード_キョウカ_ガ_ヒキダサレル_トイウ_カセツ_ヲ_タテ…]



(そんなことが可能と言うのか
いや、それが実現したからこそ常識外の速度でレベルが上がったということか…ん?)


もう一度机の上に残ったカードが目に映る。
剣や盾、ランスなどが映ったもの、身体の一部が武器になった魔物のカードが何十枚と散らばっている。


さらに気になってクシャクシャにされた紙を広げ、目を通す。

読めない未知の文字を書き殴り、きったない絵でありったけの情報を詰め込み、所々寝倒れたであろうインク痕も度々入ったカードのデザイン画であると言う仮説は簡単に立った



どのカードもどのデザインもお世辞にも美しいとは言えず、書き主の仮説通り、集団のどこにいようとも見た目で悪目立ちし、悪運を呼び込むほど溢れ出る部下のいい人間っぷりを全否定していた。


(それにしても多いな)


「そのカードのうちの何枚かは自ら経験値を削って合成したものでありまスル。」

「え…」

「本当なら大恩人サマのレベルも4人の騎士同様に上がっていたでありまスル。

手持ちのカードでは合わず、新しく手に入れたものもどこか違うと、不運の騎士用のカードを作るために何度もドラゴン族の魔法を正面から受け止めては傷つき、できたカードも惜しげもなく合成して…。

成功が確認できた頃にはせっかく上がった経験値は振りだしどころかカード合成ができるレベルよりも下に戻っていたでありまスル。

レベルやそれに伴う魔力などが足りないが故に、我々ドラゴン族を1人だって召喚できなければ、仲間の支援を満足にできないでありまスル。

それに、レベルが上がっては下がってを繰り返している以上、ステータスの上下差で精神的に負担がかかっているかもしれないでありまスル」

「何っ!?」

「また、4人の騎士について行き、1番近くで夕陽が落ちる寸前までモンスターと戦い、帰ってきてはすぐに里やドラゴン、騎士団の面倒を見るために食事の準備や観察、今後の種族間の関わり合いをどの程度に調整すれば良いか常に頭を悩ませ、夜は騎士達が1番伸びやすいように一人一人別々のメニューを組んで成長を見守っているでありまスル。



大賢者のように奪い合われるかもしれない存在の自分に利なんて一つもないのに、嬉々としてでありまスル。」



バン!!!

机に手を力強く振り落とすと同時に乳白色だった顔が真っ赤に染まる。


「ヤツは…ケースケ・カミヤは…今どこにいる…」

「メシの後は1人でどっかにいるだ。
今日は当分広場にいるんでねぇが?」

「そこにいなければ自分で探すでありまスル」













「え~っと…ケヴィンさんとラズさんはペアにしなきゃだから~属性を考えて…ここかな。


ジードさんは目立つ前衛の人が居なきゃだから…

あの人は…~…       この人は…~…

5人×6小隊にするとあ~なって…
6人×5小隊にするとこ~なるから…」


「なぁなぁ!私はどこになるんだ?」

「この武器は一体どんな効果が?」

「ちょちょちょ…待ってくださいね…」

「おいおめぇらな、いっぺんに聞いてやんなよ」

「あ…どこまでかわかんなくなっちゃった…」

「ほら頭こんがらがっちまったじゃねぇか

今コイツはとんでもねぇ数の何かしらをあーしてこーしてってやってんだから邪魔すんじゃねぇ ほら散った散った」

「「え~?」」

「悪り、こっちは気にしねぇでいいからよ、ボチボチやってくれ」

「はい えっとどこからだっけ…」




そこから数時間、召喚しては人間パズル、頭を抱えては召喚し、里の空が夜に染まるまででは分からない部分などもあり時間が足りず、半分以上を残して明日へ持ち越しとなった。


「もう夜か…」

「まだやってたのか」

「お疲れ様で……」

「…」

「…」


「……何か用ですか」

「大した用事はない」

「…」

「…」

「…」

「…」

「すまなかった。」

「…!」

「貴様には並々ならないほど世話になっていたというのに私にはそれが見える視野がなかった」

「…」

「今思えば貴様には刃を向けていたのにそれを水に流したような対応をされて、仮の住居も飲み食いも全て世話されて。

感謝の一言も言えてない私は人として最低だな」

ボソ
「…最低…~…ね」

「すまん、なんと言った…?」

「伸び代があるならいいじゃないですか」

「どういうことだ」

「周りが見えていなかったならちょっとでも見るようにすればいい、感謝してなかったならこれから少しずつ伝えるようにすればいい。

最低だと気付けたならまず身近なところからちょっとずつ最高になるために頑張ればいい。

成長ってそういうものじゃないですか」





「自分なんて…レベルが上がるのが…成長するのが怖くなってきたところなのに」

「え…?」

「どうせドラゴルドかヴァイスかネロに聞いた頃でしょうから言いますけど、自分はちょっと前よりレベルが下がってしまってます。

ドラゴンで言えばグレンか風属性の双子ちゃんのうちの誰か1人、人間でも王女様は呼べるかどうか。
きっと今王都に殴り込みに行ってもどっかの頭の固ーーい女性隊長に切り殺されるでしょうね。」

「10レベル代前半の頃か」

「そうです。」

「私はこれでもレベル31だったのだが、それを相手に剣を折った。

伸ばせば世界一強い者にだって余裕でなれるだろ」

「だから怖いんです。」

「なぜだ?力があって使わなくていい分なら困ることなんてないだろ。」

スッ
「コレ、何か分かります?」

「ん?竜巻の札だろ」

「そうです。こんな小さな物が街の1つや2つ吹き飛ばす大竜巻に変わると言えます。」

「だろうな」

「危機感なしですか…?
救世会のノドから手が出るほど欲しがる物ですよ?疑うのが当然だと思ってましたが」

「貴様が救世会の手の者どうかは既に何千度も考えたが

王家の一員として様々なものをご覧になっている王女殿下

騎士としての経験で充分な判断ができるカムロ

預言者見習いのような察知の能力を持ったアベル

馬鹿な割に勘だけはアベル並…それ以上のザック

4人揃っていてそんな事態をカケラも察知できないとは想像できなかったのでな。
つまり貴様は救世会の連中でもなければどこかしらの刺客でもない正真正銘の世界級迷子と言うことだ。

3日寝ずに受けた伝承と貴様の言っていることが完全に一致し、ドラゴン達の敵意もないと分かった今、わざわざ貴様の裏の顔まで疑うのは無駄な労力だという結論に至っただけだ。」

「疑うのを諦めちゃったんですか…?」

「ああ。」




背中越しに聞こえる声が言葉よりくっきりと考えていることを具現化したものに感じれた。


今のこの人には嘘はない。
元々嘘を好むタイプではないのだろうが、あの時の警戒も殺気の塊も今のこの人の利き手にない




「召喚士という職業が太古にいたとか言う程度のレア職なら確認できても国に1人いるかどうかの確率。

以前、私の懐に入れた札の場所をノーヒントで言い当てたな。」

「なんとなくそういうのは。
まぁ、召喚したモンスターや仲間から状況把握することができるということでしょうね」

「なら答えは簡単だ。仮に盗まれたとて容易に悪用は出来ないだろ。

万が一のことがあれば我々4番隊が貴様ごと叩っ斬る。多少の犠牲を払ってもな」

「犠牲…」

「そうだ。我々騎士団はヴィクトリア王国のために命を捧げる勇敢な者達の集まりだ。

私たちは正義のためならば死して本望だ」





「だとしたら…自分は…騎士にはなれません。」







「レベルが上がれば魔力量が増えて、ザックさん達やドラゴルド達を召喚できるようになってしまいます。

それってつまり仲間を少なからず危険に晒さなきゃいけないんですよね」

「そうだろうな」

「そうなれば…自分の能力に仲間の命を賭けなければならなくなって、自分の戦略ミスで人が死ぬようになるんですよ…」

「それが…戦いというもの」

「それだけじゃありません!」

「っ!」

「過去に大賢者が戦力や政治利用のため、彼の意志に反して戦が起こされ、出る必要のない犠牲が出たと。

…人が死ぬのだけが正義ですか?
犠牲になりに行くのが騎士なんですか…?」

「…違う!!」

ビクッ!!

「人は皆生きる権利を有している、その中で戦える民がいれば、戦えない民だって当然いる!

我々騎士団は!私達騎士は!略奪や破壊のかぎりを尽くす外道や魔物から戦えない国民の命を守るために、国の刃として、また国民の盾として自らの命をかけて戦う組織だ!

確かに1人2人の犠牲と何百、何千、何万の命とでは後者の方を選ばなければならない。
だが当然騎士一人一人にだって守られるべき命がある!生活がある!家族がいる!

初めから死んで本望な人間なんているわけがないだろ!」



ガシッ!!

「ケースケ・カミヤ!貴様にもその権利はある!

…800年も昔だろうが王家がそんな行いをしたのは紛れもない事実だろう。そんな戦いが二度も現代において起きるべきでないのも確かだ。

あの邸宅に、ドラゴン族の記憶に、貴様の存在やスキルにそれを回避する手がかりや方法、札の千や万きっとあるはずだ。

貴様やドラゴン族がヴィクトリア王国の脅威にならないよう、手を貸してやる。

心配なら騎士団の権限で違う名の名義の1つ、いつでも用意してやる。

命を預かるのが怖いというなら札のモンスターの100や200くらい私が許可するし、それでも足りない時はその重圧くらい私やザックが受け止めてやる。

だから…」




フィーラさんの顔つきが変わって見えた。

今まで満足に合わせた事ないはずの目がしっかりとこちらを向き、自分になるべく触りたくなかった手が、首を絞めない力で自分のシャツを握り寄せて





「強くなることに躊躇はするな」





「…はい」

ハッ…!ポイっ

「あわたたたた…!?」
スッテーーーーーン

「ま、まぁ…急には無理な話だ、私は貴様のことは嫌いで、貴様も私のことを受け入れられていない。

ひとまず先のことは置いておいて、今回の調査と原因である救世会のアジトの摘発までの協定ということでいいだろ。」

「そうですね」













そこからしばらく互いに目が同じ極の磁石のように合わなくなり、心地の悪いわけではない沈黙が20分ほど続く。

何もしないのも落ち着かない自分は進むはずのない人選パズルをただ眺めていた…が、突然紙を置いた板が手から消えた




「ちょっまだ途中っ!」

「どうせ手は動かないだろ。」

「そうですけど…」




プルプルプルプルプル…!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴォォォォォ…!

「………おい……!ふざけているのか……!?」




「はい…?」

「「はい?」じゃない!なんで私のいる小隊の欄にサンディ殿がいる!なんの当てつけだ!!」

「それはフィーラさんが他のドラゴンと相性が悪いからですよ」

「どういうことだ!分かるように説明しろ!」

「ドラゴルドはフィーラさんの言ってることが理解できませんし、シアンはラズライトさんがいるから絶対一緒にできませんし、ネロはフィーラさんのことを嫌ってるみたいなので無理。

グレンとトーネルとブラスクはロリショタ判定でフィーラさんセクハラ三昧でしょ?
危なくて一緒にできませんんよ。

あとはサンちゃんしか残ってないんです」

「ちょっと待て!まだシロがいるだろ!」

「ヴァイスも綺麗好きがどうのの件でフィーラさんのことをあまり良く思ってないんですもん。」

「頼む…!綺麗にするから…!どうかあの方とだけは…!」

「そう言われても…」

「頼む!!なんとかしてくれぇぇ!!」

「えぇ…?」
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「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
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 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
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アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

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〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
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2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
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 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

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