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スキルはゲームのソレな件について…

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『未受け取りの報酬があります。
獲得しますか?』


「YESっと」


『レベル10に上がりました』


『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』『条件を満たしました』…~


「ヒィイ…!」

「うおっ?」

「ん?」


頭の中に鳴り響く機械的な音声

視界の全てを覆い隠すほど大量の画面

体を駆け回る違和感

床に散らばる新たなカード達

何かが繋がったような感覚


もう訳がわからない。



「なんだ?何が起きたんだ?」
「え~っと…まずレベルがすごく上がりました」
「いくつだ?」
「5から10に」
「私も1つ上がったぞ」
「オレも上がったぜ」
「なっ!?私だけ上がっていない…」
「私も全くです」



補助スキルにあった経験値を分けるスキルが発動したのか



"自分視点で"あの戦いの中で共闘したのがザックさん、カムロさんで、アベルさんは完全に戦闘不能状態からのスタート、王女様は存在すら認識できていなかったから、今の配分で辻褄は合う。



アベルさんがまだ不満そうにしてはいるが、引き続いてレベルアップなどのボーナスで出たカードの確認をさせてもらう。


皆さんのお手をお借りして、散らばったカードを集めるとなんと98枚。今の手持ちと合計してしまえばすでにデッキ3つ分以上だ



……思ったより多かったので一旦後回し。


スキルの方をみよう。


新しく追加された職業スキルが3つ。

・カードガチャ

仲間フレンドカード使用

仲間フレンドカード生成




カードガチャはお金ではなく、モンスターを倒したりするともらえるポイントを対価にカードを得る、ゲームのポイント制ガチャまんまだ。



フレンドカードは人族、亜人種、魔族、モンスター問わず友好関係を築くことができれば"両者同意の上で"キャラカード、スキルカードが生成でき、バトルで使用できる。早い話がお助け機能だ。







早速ガチャから。


初回10連無料に加え、知らない間にレベルアップボーナスとかもありめっちゃ溜まっている。


一気に引いてみ…また散らばるのが怖いので10連ずつ行こう。




ゴロゴロゴロン…グルグルゥ…ピキィーーン!!



E、D、B、C、S、D、D、E、D、C




属性は6つ

赤いカードが火属性、青いのが水属性、黄色いのが地属性、緑が風属性、白が光属性、紫が闇属性だ。



Eが最低ランクでSランクが1番当たりのカードのようだが…




天空斬刀てんくうざんとう 風雷丸ふうらいまる

Sレア武装ウエポンカードで風属性か…
さっきゲットしたグリフォンと相性良さそうだ。

他は…
トカゲ、魚、天使、中型翼竜、犬、オオカミ、藁人形、スケルトン、ゴーレム。

効果とか気にはなるけど今のところはまぁこんなものかな


さっ!ある分全部回しますか!










「なぁ、ブツブツ言ってっけどコイツ大丈夫か?」

「確かに。ステータス画面を一度に複数表示して頭が痛くならないのか…」

「おいおい まだ札が増えてるぞ…」
「私語を避けなさい、彼に全てがかかっているのです。静かに待ちましょう。」

















「よしっ整理終わりました。」
「おっ?もういいのか?」
「はい。」




改めてスキルの内容をどうにかこうにか4人に説明する。



カードに属性がある事。


フレンド機能を使うことで新しい種類のカードが使えるようになること。


手持ちのカードだけでは単色デッキは作れないが2色なら何とかなるということまで。



「なるほどな。」
「んじゃ、チャチャっと作っか?」


スキルの示すがまま互いに手を握り、軽くリラックしてする。



『ザック
を仲間フレンドに認めますか?』

「YESっと」





『ケースケ・カミヤ
を仲間フレンドに認めますか?』


「おうっ!」



『両者の同意を確認。
仲間キャラカード、仲間魔法カードと共に仲間の証を作成します。』


自分達の胸から光が出てきて交わり、自分の手元に2つ、ザックさんの手元1つに分かれてされぞれカードに変わる。


「なんでオレにカードが来てんだ?」


ザックさんの所に行った仲間の証というカードは裏面はこっちのと共通だが、表面にはキャラデザも効果もなく、代わりに小さい魔法陣が3つと、あと何個か入りそうな空白があるだけ。


魔法陣は連絡とバトル周りの計3つだけだがレベルが上がれば機能が増えるのだろう。


また、自分が持っているカードと違い免許証やキャッシュカードを2枚分くらいに厚い。デッキに入れる用ではないのか



「まっ コイツ持ってりゃいいんだろ?」
「そうですね。
では…」
「次は私でいいか?」




残り3名も順当に作成はできたが、所詮5人と+運頼りの獣達。



追手が何人かも、何隊いるのかも分からない。


普通に一国の暗部とかが動くなら数十人とかが基本…?




ヤッバいなぁ…無理ゲーか?















「あったぞ!ヴィクトリアの馬車だ!」




「もう見つかってしまったか」
「2対8…1人で4人か」


「フンッ 無駄だ。貴様らに勝ち目などこれっぽっちもない。
だがっ!大人しく王女を渡して我々に忠誠を誓えば命だけは助けてやらんこともないぞ?」

「そんなことするわけがないだろう!!」
「王女様は命をかけて御守りするっ!!」

「こんな状況でも威勢だけはいいようだな
そんなに死にたいなら望み通り…殺れ!」


「『ソニック・ヘッジホッグ』
『マロン・ヘッジホッグ』
『犬山 ワン五郎』
『キジ野 ケン太』
『猿渡 キー介』GO!」


茂みから武装したキジとサル、犬。木の上からハリネズミ×2が現れ、馬車を挟むように立ち塞がる追手共をこれまた外から挟む。



「なんだ!?」
「コイツらの従魔か!?」



そしてイヌ、サル、キジときたら忘れてはいけない男が来る。



「ピーチボーイ、出番だぞー」

「桃太郎なんですけど…」

「オラァっ!!」



追手の死角になった背後から放たれた男の横一振りで2人が倒れた。


圧倒的な戦力差に対して完全にナメ腐り、敵が最も油断したタイミングに、最大戦力を叩き込む。

古くから伝わる奇襲作戦のひとつらしい。






敵の意識が桃太郎と愉快すぎるくらいな仲間たちに向いてる間に、馬車の護衛に専念すべくカムロさんとアベルさんは下がり、フォーメーションは完成。


ヘッジホッグ達がゴロゴロ駆け回りながらその身の針で敵の急所を狙い撃ち。


犬サルキジが寄ってたかって奇襲攻撃。


ピーチボーイことザックさんは風と雷を纏った刀を振り、文字通り敵を一刀両断していく。



2対8がわずか2秒で8対5に…あっ更新。5対5…2人になっちゃった



逆転完了。


あとはそこら辺に生えてる蔦をかき集めて、生き残った追手の動きを封じてもらえば完全勝利っと




「よっこらせっと。ふん縛るの終わったぞー」
「お疲れ様です。ではカムロさん」
「ああ。コイツらは私達が責任を持って見張っておこう。
本来なら王家暗殺未遂の罪でこの場での死罪は確定だがな、コイツら以外に内情を探るすべがないのも事実。間違えても死なせないようにしないとな。」


「アベルさん、どうですか?」
「少し待ってくれ…4団体いるな。どれが通行人でどれが追手かまではわからんがな。」
「そうですか…ならドラゴンの方は何かわかりますか?デカいのは当然として、色とかオーラとか」
「何度もやっているが…すまない」



うーん…全員で力合わせるにしてもなぁ…
身分やレベル、スキルの性能が高いせいか必要な魔力が多い上に、4人のカードの属性が違うのだ。


ザックさんが風、アベルさんが地、カムロさんが光、エリーゼ王女が光と水の2属性カード。

これでは手札が事故ってしまう。




まぁ、単色デッキに2色目3色目となる低コスト魔法カードを2、3枚入れたところで大した問題はまず起きないし、むしろデッキの弱点対策としてはよくあることだが、カードの枚数の都合上で作れるのは2色デッキ。

当然それでも事故る時は事故る。


そこに必要コストの高い他色を2種×2人分を混ぜるのは危険すぎる。

・必要なカードがある

・召喚、使用に魔力が足りない
・手札にない
・効果の指定範囲外

召喚、使用、配置できない

その間に詰む

GAME OVER=全滅






そのことを伝えると今度はちゃんと全員の顔が曇る。


当然だ。みんなで力を合わせようって言ったばかりで「半分は邪魔」って言われたら誰だって萎える。



そもそもの話として、「王女様を守らなければ!!」って言っている状況なのに戦闘の場に出すなんて考える馬鹿は5人の中で1人だっていない。



「どっちにしろ八方塞がりじゃね…?」
「王女様とアベルさんのキャラカードだけ入れずに風と光で組めばギリギリなんとかなるかもしれません。」



これまた当然のことだが護衛3人ともを王女様から離すわけにもいかない。


ザックさんは既に確定としているので召喚時の魔力削減のために連れて行くとして残り2人は王女様のお側にいてもらなくてはならない。


となるとザックさんには申し訳ないけどかなり負担リスクを背負ってもらうしかないが…


「何度も言わせんな。こっちぁ最初っからそんつもりだっつーの。
ほら、ちゃちゃっと行くぞ。」
「…はい!」

























カムロさん達にデッキには入れないモンスターカード、数枚の装備カードを託し、ザックさんと2人で先に進む。

「なあ、おめえのスキルってオレらのこと、どこまで無理矢理動かせんだ?」
「さぁ…分かりませんけど、スキルの適用範囲に限界はあると思いますよ。」



モンスターカードとフレンドキャラカードにはそれぞれ一長一短ある。



モンスターカードは物理的に可能である限り言うことはなんでも聞いてくれる。

元々死んでいるのを魔力で仮の命を与えているだけなので倒されても影響はないが、攻撃や防御を基本とする何らかのアクションのたびに疲労状態となり、一定時間動けなくなる。




対してキャラカードには召喚と強化できるレベル、職業レベル、スキルの名前だけは書いてあるが詳細までは書いていない。

1人あたり10~20あるスキルの詳細まで書いていたら欄が足りないからか。

そして強化をするかどうか以外、召喚士の意志のみですることができない。
カードの作成はもちろん、召喚、送還、召喚士の指示が応じるかどうかもフレンド本人次第だ。

そして生きている者を呼び出すので当然怪我や死のリスクが常につきまとう。







「それこそスキルだのレベルだのよりは信頼とか人望の問題…みたいな?」
「なんだそりゃ
どうすりゃあいいんだよ」
「基本的にはザックさんに合わせます。上位種の方は鑑定スキルで解析しないとですけど、何パターンか対処法はあるので死ぬ気で生き残ってください」
「メンドくせぇ作戦を立てられるよりやりやすいってもんだ。」











そこから数分歩いていると遠くに茶色いウロコがビッシリ敷き詰められた尻尾が見え、それと同時にザックさんの重たい腕によって茂みの中に押し込まれた。




茶色い鱗の持ち主は普通のドラゴンと比べると全然小さく、例えるならばコモドオオトカゲをもう少しドラゴン顔にした感じだ。





「あれがレッサーな」
「なるほど『鑑定スキル 発動』」


「どうだ?」
「レッサードラゴンが18、ノーマルが4、例のバケモンが1番奥にいるようです。

レッサードラゴンならザックさん1人でも余裕を持って倒せるようなのでガンガン行っちゃって大丈夫です。

援護するので準備できるまではレッサーで暇つぶしててください。」
「おっしゃ。」


















「行きます…!

『バトル…スタート!!』」
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