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二十八 赤鴉宮-薄暮(五)
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「悪い意味でしか気になりません」
いったいなんの話だ、と蓮花は混乱してきた。
次第に稜雅がなにを訊きたいのかわからなくなってきた。
「ふうん。本当に?」
「本当です」
なぜそこを追及しようとするのか、稜雅の真意がはかりかねた。
これまでの話の流れからすると、もし蓮花が会稽に同情したとしたら場合によっては会稽が稜雅から王位を奪う足がかりになる、ということらしい。
(……らしいのだけど、そういう感情がわたしには一切ないのに、なぜか誤解が生まれているような気がするのよね)
「もし、会稽が死んだらどう思う?」
「そうですねぇ。お気の毒に、と思うくらいでしょうか」
今日初めて会った相手だが、一応は話をした相手なので、死んだと聞けばそれなりに「そうか、死んだのか」くらいは思うはずだ。
「会稽が俺を討とうとして返り討ちに遭ったと聞いたら?」
「…………自業自得じゃないでしょうか」
今日会った会稽の体格を見る限り、稜雅に剣で勝てる相手には見えない。
多分、瞬殺されるだろう。
そうとわかっていながら挑む方が無謀なのだ。
「そのていどか?」
「そうですね。――薄情だと思いますか?」
思わず素直に本音で答えてしまった蓮花は、正直過ぎたか、と反省した。
妃である以上、王族の死には涙の一粒くらい流してみせるべきなのかもしれない。ただ、そういう演技はできないので、芹那に玉葱を用意してもらって無理矢理泣き真似をするしかないだろう。
「いや――――それならいいんだ」
安心した様子で稜雅は答えた。
(え? ……いいの?)
妃としてはよくないだろう、といまさらながらに思ったが、蓮花は黙ることにした。
取り繕ってもどうしようもない。
「陛下、そろそろ――」
扉の向こう側から侍従の声が響いた。
どうやら稜雅は仕事の合間を縫って蓮花の様子を見に来てくれたらしい。
「わかった」
ため息をひとつついて、稜雅は椅子から立ち上がった。
「とりあえず、会稽のことはできるだけ無視するようにしてくれ」
蓮花の頭をぽんと撫でると、稜雅は背中を向けて自分で扉を開けて出て行ってしまった。
「……なんかいま、子供扱いされなかった?」
扉が閉まり、稜雅たちの足音が聞こえなくなってから、蓮花は芹那に尋ねた。
「そうですね」
芹那は茶器を片付けながら感情の籠もらない口調で答えた。
「甯々はどう思う?」
まだ抱きしめたままだった甯々にも蓮花は尋ねたが、こちらは大きな口を開けてあくびをするばかりだ。
「日没と同時に眠そうな顔をしている蓮花様を見たら、誰だって子供扱いをするんじゃないんですか?」
「だって眠かったんだもの。でも、陛下と話をしていたらちょっと目が冴えてきたわ」
芹那が新しく淹れてくれた茶を飲みながら、蓮花は嬉々と答えた。
「会稽殿について、もうすこし詳しく知りたくなったの」
「……さきほど、陛下に会稽殿と関わらないように釘を刺されたばかりではないですか」
じろりと蓮花を睨んで芹那が注意する。
「別に会稽殿と関わろうとしているわけではなくて、会稽殿が――暝天衆となにか関係があるんじゃないかと思って」
最後は小声で蓮花が囁くと、芹那は眉を顰めた。
「関係があるとすれば、ますます関わるべきではないですよ」
芹那が言うと、甯々も同意を示すようにぐるぅと唸った。
「明日、また透兄様がここに来るでしょうから、そのときに会稽殿についてもうすこし詳しく話を聞こうと思うの。どうも陛下は会稽殿の話題がお嫌いなようだから、これ以上あれこれと尋ねるのは難しそうなのよね」
「あれはただの嫉妬ですよ。会稽様が蓮花様の興味を引いてるってことに妬いてるだけです」
「嫉妬?」
稜雅がいったいなぜ会稽に嫉妬するのか、蓮花にはまったく理解できなかった。
「蓮花様はいまの陛下にあまり御興味がおありではないようですから、陛下としては釣った魚がつれない態度なので気を揉んでいるんですよ」
「興味……」
「蓮花様は後宮には興味があっても、陛下には御興味が薄いではないですか。まぁ、蓮花様がそういう態度だから、陛下の気を引いているのかもしれませんが。あたしには男女の駆け引きなんて縁がないのでわかりませんけれどね」
「わたしも縁がないからわからないわ」
「蓮花様! ご結婚された御自覚はおありですか!?」
「自覚……は、ないわけではない……わ」
「御自覚は薄いというわけですね。それもこれも、後宮がなくて、蓮花様と陛下の寵を競う相手がいないからですわ!」
ぐるぅ、と甯々が芹那に同意を示す。
たまに甯々は蓮花よりも芹那を支持することがある。
やはり、食事の世話をするのが芹那だからなのか、それとも父として娘を応援しようという気持ちなのからなのか。
「陛下の寵愛を他の妃に奪われる心配がないものだから、蓮花様は陛下様よりも謎が多い会稽様が気になるのですよ。陛下はどちらかといえば隠し事ができない性格のようですし、浮気なんていまのところしそうにないですし、蓮花様に手を出すのだって躊躇うほどに初心な感じですし」
国王に対してそこまであけすけに言うのはどうだろう、とさすがの蓮花も思ったが、少年の頃の稜雅を知っているのは芹那も同じなので、容赦がないのだろう。
「わたしのことよりも、この王宮で芹那の夫にふさわしい人が見つかるといいなってわたしは思っているのだけど。甯々もそう思うでしょう?」
蓮花が話をそらすと、甯々は首を傾げるような素振りをした。
どうやら話題が娘の結婚に移ったことで、複雑な心境らしい。
「あたしのことはどうでもいいんです! あたしは蓮花様が立派に王妃のお役目を果たされて、国母となられることが一番の願いなんですから! 蓮花様が国母になられたら、あたしはこの王宮で蓮花様の侍女として一生安泰に暮らせるんですから!」
「芹那だって良い人がいたら結婚したいと思うかもしれないでしょう?」
「蓮花様のように、結婚の約束をした初恋の相手が立派になって迎えに来るなんて御伽話のようなことは現実には早々起きないんですよ」
「芹那も初恋の人と結婚したいの?」
蓮花が尋ねると同時に、甯々がかっと目を見開いた。
「甯々。その顔はやめてちょうだい。化け猫のようでちょっと怖いわ」
さすがに眉を顰めた蓮花が注意する。
「もってなんですか!? もって!?」
珍しく取り乱した様子で芹那な声を張り上げる。
「一昨日、博兄様が芹那と似たようなことを言っていたのよね。博兄様って理論派ぶってるけど、けっこう恋愛に対しては夢想家なところがあるから」
「なんで博様の名前が出てくるのかまったくわかりません!」
「博兄様も初恋の相手と結婚したいんですって。でも、それならまず告白するところから始めるべきなんじゃないかしらって言った途端に、黙って自分の部屋に籠もってしまったのよね。黙っていては実る恋も実らないと思うのだけど、博兄様って頭でっかちで行動が伴わない性格だからなかなかわかっていても動けないんでしょうね」
「あたし、子供の頃、陛下に対して『あなたのことが好きだから結婚して』と告白していた蓮花様を、いまではすっごく尊敬していますよ」
遠い目をして芹那が呟いた。
「そんなことを言ったこともあったわねぇ。好きなものは好きと言わないと手に入らないとお母様に教えられたものだから、とりあえず好きなものは好きと言うようにしていたのよね」
その結果、なぜか王妃になってしまった。
かなり思い描いていた結婚と違っている。
果たしていまは結婚したと言える状態なのだろうかと自分でも疑問に思うような状況だ。
「いまは、それほど陛下のことが好きではないということですか?」
「そういうわけではなくて、陛下が稜雅だという実感が伴わないのよ」
いったいなんの話だ、と蓮花は混乱してきた。
次第に稜雅がなにを訊きたいのかわからなくなってきた。
「ふうん。本当に?」
「本当です」
なぜそこを追及しようとするのか、稜雅の真意がはかりかねた。
これまでの話の流れからすると、もし蓮花が会稽に同情したとしたら場合によっては会稽が稜雅から王位を奪う足がかりになる、ということらしい。
(……らしいのだけど、そういう感情がわたしには一切ないのに、なぜか誤解が生まれているような気がするのよね)
「もし、会稽が死んだらどう思う?」
「そうですねぇ。お気の毒に、と思うくらいでしょうか」
今日初めて会った相手だが、一応は話をした相手なので、死んだと聞けばそれなりに「そうか、死んだのか」くらいは思うはずだ。
「会稽が俺を討とうとして返り討ちに遭ったと聞いたら?」
「…………自業自得じゃないでしょうか」
今日会った会稽の体格を見る限り、稜雅に剣で勝てる相手には見えない。
多分、瞬殺されるだろう。
そうとわかっていながら挑む方が無謀なのだ。
「そのていどか?」
「そうですね。――薄情だと思いますか?」
思わず素直に本音で答えてしまった蓮花は、正直過ぎたか、と反省した。
妃である以上、王族の死には涙の一粒くらい流してみせるべきなのかもしれない。ただ、そういう演技はできないので、芹那に玉葱を用意してもらって無理矢理泣き真似をするしかないだろう。
「いや――――それならいいんだ」
安心した様子で稜雅は答えた。
(え? ……いいの?)
妃としてはよくないだろう、といまさらながらに思ったが、蓮花は黙ることにした。
取り繕ってもどうしようもない。
「陛下、そろそろ――」
扉の向こう側から侍従の声が響いた。
どうやら稜雅は仕事の合間を縫って蓮花の様子を見に来てくれたらしい。
「わかった」
ため息をひとつついて、稜雅は椅子から立ち上がった。
「とりあえず、会稽のことはできるだけ無視するようにしてくれ」
蓮花の頭をぽんと撫でると、稜雅は背中を向けて自分で扉を開けて出て行ってしまった。
「……なんかいま、子供扱いされなかった?」
扉が閉まり、稜雅たちの足音が聞こえなくなってから、蓮花は芹那に尋ねた。
「そうですね」
芹那は茶器を片付けながら感情の籠もらない口調で答えた。
「甯々はどう思う?」
まだ抱きしめたままだった甯々にも蓮花は尋ねたが、こちらは大きな口を開けてあくびをするばかりだ。
「日没と同時に眠そうな顔をしている蓮花様を見たら、誰だって子供扱いをするんじゃないんですか?」
「だって眠かったんだもの。でも、陛下と話をしていたらちょっと目が冴えてきたわ」
芹那が新しく淹れてくれた茶を飲みながら、蓮花は嬉々と答えた。
「会稽殿について、もうすこし詳しく知りたくなったの」
「……さきほど、陛下に会稽殿と関わらないように釘を刺されたばかりではないですか」
じろりと蓮花を睨んで芹那が注意する。
「別に会稽殿と関わろうとしているわけではなくて、会稽殿が――暝天衆となにか関係があるんじゃないかと思って」
最後は小声で蓮花が囁くと、芹那は眉を顰めた。
「関係があるとすれば、ますます関わるべきではないですよ」
芹那が言うと、甯々も同意を示すようにぐるぅと唸った。
「明日、また透兄様がここに来るでしょうから、そのときに会稽殿についてもうすこし詳しく話を聞こうと思うの。どうも陛下は会稽殿の話題がお嫌いなようだから、これ以上あれこれと尋ねるのは難しそうなのよね」
「あれはただの嫉妬ですよ。会稽様が蓮花様の興味を引いてるってことに妬いてるだけです」
「嫉妬?」
稜雅がいったいなぜ会稽に嫉妬するのか、蓮花にはまったく理解できなかった。
「蓮花様はいまの陛下にあまり御興味がおありではないようですから、陛下としては釣った魚がつれない態度なので気を揉んでいるんですよ」
「興味……」
「蓮花様は後宮には興味があっても、陛下には御興味が薄いではないですか。まぁ、蓮花様がそういう態度だから、陛下の気を引いているのかもしれませんが。あたしには男女の駆け引きなんて縁がないのでわかりませんけれどね」
「わたしも縁がないからわからないわ」
「蓮花様! ご結婚された御自覚はおありですか!?」
「自覚……は、ないわけではない……わ」
「御自覚は薄いというわけですね。それもこれも、後宮がなくて、蓮花様と陛下の寵を競う相手がいないからですわ!」
ぐるぅ、と甯々が芹那に同意を示す。
たまに甯々は蓮花よりも芹那を支持することがある。
やはり、食事の世話をするのが芹那だからなのか、それとも父として娘を応援しようという気持ちなのからなのか。
「陛下の寵愛を他の妃に奪われる心配がないものだから、蓮花様は陛下様よりも謎が多い会稽様が気になるのですよ。陛下はどちらかといえば隠し事ができない性格のようですし、浮気なんていまのところしそうにないですし、蓮花様に手を出すのだって躊躇うほどに初心な感じですし」
国王に対してそこまであけすけに言うのはどうだろう、とさすがの蓮花も思ったが、少年の頃の稜雅を知っているのは芹那も同じなので、容赦がないのだろう。
「わたしのことよりも、この王宮で芹那の夫にふさわしい人が見つかるといいなってわたしは思っているのだけど。甯々もそう思うでしょう?」
蓮花が話をそらすと、甯々は首を傾げるような素振りをした。
どうやら話題が娘の結婚に移ったことで、複雑な心境らしい。
「あたしのことはどうでもいいんです! あたしは蓮花様が立派に王妃のお役目を果たされて、国母となられることが一番の願いなんですから! 蓮花様が国母になられたら、あたしはこの王宮で蓮花様の侍女として一生安泰に暮らせるんですから!」
「芹那だって良い人がいたら結婚したいと思うかもしれないでしょう?」
「蓮花様のように、結婚の約束をした初恋の相手が立派になって迎えに来るなんて御伽話のようなことは現実には早々起きないんですよ」
「芹那も初恋の人と結婚したいの?」
蓮花が尋ねると同時に、甯々がかっと目を見開いた。
「甯々。その顔はやめてちょうだい。化け猫のようでちょっと怖いわ」
さすがに眉を顰めた蓮花が注意する。
「もってなんですか!? もって!?」
珍しく取り乱した様子で芹那な声を張り上げる。
「一昨日、博兄様が芹那と似たようなことを言っていたのよね。博兄様って理論派ぶってるけど、けっこう恋愛に対しては夢想家なところがあるから」
「なんで博様の名前が出てくるのかまったくわかりません!」
「博兄様も初恋の相手と結婚したいんですって。でも、それならまず告白するところから始めるべきなんじゃないかしらって言った途端に、黙って自分の部屋に籠もってしまったのよね。黙っていては実る恋も実らないと思うのだけど、博兄様って頭でっかちで行動が伴わない性格だからなかなかわかっていても動けないんでしょうね」
「あたし、子供の頃、陛下に対して『あなたのことが好きだから結婚して』と告白していた蓮花様を、いまではすっごく尊敬していますよ」
遠い目をして芹那が呟いた。
「そんなことを言ったこともあったわねぇ。好きなものは好きと言わないと手に入らないとお母様に教えられたものだから、とりあえず好きなものは好きと言うようにしていたのよね」
その結果、なぜか王妃になってしまった。
かなり思い描いていた結婚と違っている。
果たしていまは結婚したと言える状態なのだろうかと自分でも疑問に思うような状況だ。
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