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偶然の出逢い 2011
vol.3 【後悔】
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12月25日
会う約束をしていた訳でもないけれども
それでも今年のクリスマスは1人ではない。そんな気持ちでいた。
まさかこんな当日を迎えようとは考えもしなかった…
何度メッセンジャーを開いても夏美から返信が来ることはなかった。
12月26日
思い出したようにメルネコを開いてみた。
夏美と出会った頃の懐かしいやりとりを眺めていた。
あの頃はこんなに続くとは思っていなかったし、こんな気持ちになるとも思っていなかった。
ダメ元でメルネコからも夏美にメールを送ってみた。
「見てますか?お返事ください」
しばらく待ってみたが、当然返事が来ることはなかった。
放置していた間にも色々メールは来ていたが、どれもつまらないものだった。
夜中まで待ってみたが夏美から返事が来ることはなかった…
12月27日
次の日も仕事の合間にメルネコを開いてみたが、夏美から返事はなかった。
仕事を終え、家に帰ってからもメルネコを眺めていた。
夏美からのメールはなく、来るのはつまらないメールばかり。
諦めようと思いつつ、他にやることもないし気が付けばメルネコを開いていた。
そんな時に気になる1通のメールが届いた。
差出人は男性からだった。
「しぐれサン。見てたら返事をください」
メルネコで使っている自分のハンドルネームは「しぐれ」だが、そんなに珍しい名前ではない。
そう思いつつも、そのメールに返信してみた。
「私はHNしぐれです。何かご用でしょうか?」
返事はすぐに返ってきた。
「夏美さんという方をご存知ですか?」
!!?
「はい!知ってます!」
「良かった~。夏美さんがあなたを探してるんですよ」
「そうなんですか…どうしたらいいですかね?」
「あなたのメッセンジャーを教えて貰えたら、夏美さんに渡しますよ」
メルネコには友達登録という機能がないので、
偶然メールが来た人としか会話ができないアプリなのだ。
「わかりました。・・・・・・これが私のメッセンジャーです」
今にして思えば、夏美とまた話せるかもしれないということに気持ちが昂り過ぎて、
相手の素性も分からないままにホイホイとメッセンジャーを晒してしまっていた。
「了解です。夏美さんに伝えますね」
「ありがとうございます。ちなみにあなたは夏美の友達とかですか?」
「いいえ、そういう訳ではないですよ。私のところに夏美さんからメールが飛んできたんですよ。
しぐれさんを探しています。知ってる人いませんか。って」
「そうだったんですか…それでわざわざ探してくれたんですね。ありがとうございます」
「いえいえ。見つかってホントに良かった」
「何かお礼をしたいんですが…」
「そんなこといいですよ。2人のお役に立てて良かった。では、私はこれで…」
「本当にありがとうございました」
こうしてその恩人は再び2人を出会わせてくれて、すぐに去っていった。
メッセンジャーに夏美からメッセージが来たのはそのすぐ後だった。
「しぐれサン!やっと見つかった~」
「夏美。今までどうしてたの?」
「実はトイレにスマホ落としちゃって…w」
「そうだったのか~」
「メッセンジャーも消えちゃってさ…スマホ新しいのにしてもダメだったの」
「なるほどね~。納得だよw」
「ゴメンね…」
「ううん。また会えたからいいんだよ」
「うん!メッセンジャーが使えないからさ、メルネコ!って思ったんだけどね。
メルネコも消えちゃってたから、もうしぐれサンにはメール送れなくてさ」
「うんうん」
「だから、毎日メルネコでメールバラ撒いてさ、しぐれサン探してたw」
「そっか…ありがとう…」
この時、私は心底自分勝手だった態度に後悔した。
メッセージが来ないのを夏美のせいにして、自分で探すこともしないで…
悲劇のヒーローみたいな顔して自分に浸っていただけ。
その間に夏美は何百人、何万人いるか分からないネットの世界の中から
私を見つけようと一生懸命探してくれていたのだ。
情けないような…申し訳ないような…そんな気持ちでいっぱいだった。
「夏美。ホントにありがとうね」
「うん!」
会う約束をしていた訳でもないけれども
それでも今年のクリスマスは1人ではない。そんな気持ちでいた。
まさかこんな当日を迎えようとは考えもしなかった…
何度メッセンジャーを開いても夏美から返信が来ることはなかった。
12月26日
思い出したようにメルネコを開いてみた。
夏美と出会った頃の懐かしいやりとりを眺めていた。
あの頃はこんなに続くとは思っていなかったし、こんな気持ちになるとも思っていなかった。
ダメ元でメルネコからも夏美にメールを送ってみた。
「見てますか?お返事ください」
しばらく待ってみたが、当然返事が来ることはなかった。
放置していた間にも色々メールは来ていたが、どれもつまらないものだった。
夜中まで待ってみたが夏美から返事が来ることはなかった…
12月27日
次の日も仕事の合間にメルネコを開いてみたが、夏美から返事はなかった。
仕事を終え、家に帰ってからもメルネコを眺めていた。
夏美からのメールはなく、来るのはつまらないメールばかり。
諦めようと思いつつ、他にやることもないし気が付けばメルネコを開いていた。
そんな時に気になる1通のメールが届いた。
差出人は男性からだった。
「しぐれサン。見てたら返事をください」
メルネコで使っている自分のハンドルネームは「しぐれ」だが、そんなに珍しい名前ではない。
そう思いつつも、そのメールに返信してみた。
「私はHNしぐれです。何かご用でしょうか?」
返事はすぐに返ってきた。
「夏美さんという方をご存知ですか?」
!!?
「はい!知ってます!」
「良かった~。夏美さんがあなたを探してるんですよ」
「そうなんですか…どうしたらいいですかね?」
「あなたのメッセンジャーを教えて貰えたら、夏美さんに渡しますよ」
メルネコには友達登録という機能がないので、
偶然メールが来た人としか会話ができないアプリなのだ。
「わかりました。・・・・・・これが私のメッセンジャーです」
今にして思えば、夏美とまた話せるかもしれないということに気持ちが昂り過ぎて、
相手の素性も分からないままにホイホイとメッセンジャーを晒してしまっていた。
「了解です。夏美さんに伝えますね」
「ありがとうございます。ちなみにあなたは夏美の友達とかですか?」
「いいえ、そういう訳ではないですよ。私のところに夏美さんからメールが飛んできたんですよ。
しぐれさんを探しています。知ってる人いませんか。って」
「そうだったんですか…それでわざわざ探してくれたんですね。ありがとうございます」
「いえいえ。見つかってホントに良かった」
「何かお礼をしたいんですが…」
「そんなこといいですよ。2人のお役に立てて良かった。では、私はこれで…」
「本当にありがとうございました」
こうしてその恩人は再び2人を出会わせてくれて、すぐに去っていった。
メッセンジャーに夏美からメッセージが来たのはそのすぐ後だった。
「しぐれサン!やっと見つかった~」
「夏美。今までどうしてたの?」
「実はトイレにスマホ落としちゃって…w」
「そうだったのか~」
「メッセンジャーも消えちゃってさ…スマホ新しいのにしてもダメだったの」
「なるほどね~。納得だよw」
「ゴメンね…」
「ううん。また会えたからいいんだよ」
「うん!メッセンジャーが使えないからさ、メルネコ!って思ったんだけどね。
メルネコも消えちゃってたから、もうしぐれサンにはメール送れなくてさ」
「うんうん」
「だから、毎日メルネコでメールバラ撒いてさ、しぐれサン探してたw」
「そっか…ありがとう…」
この時、私は心底自分勝手だった態度に後悔した。
メッセージが来ないのを夏美のせいにして、自分で探すこともしないで…
悲劇のヒーローみたいな顔して自分に浸っていただけ。
その間に夏美は何百人、何万人いるか分からないネットの世界の中から
私を見つけようと一生懸命探してくれていたのだ。
情けないような…申し訳ないような…そんな気持ちでいっぱいだった。
「夏美。ホントにありがとうね」
「うん!」
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