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番外編
アレキサンドライトの誕生日プレゼント1
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「もう、アレキサンドライトも3歳になるのね。」
「ああ。そうだな。早いものだね。」
エドワード様とソファーに座って語り合う。
エドワード様は執務で忙しくて私との時間は政務を除けば夜しかない。
私は私で日中は、アレキサンドライトに付きっきりだ。
本来王室の育児は乳母が主体で侍女がサポートという形をとるのが普通だが、私は少しでもアレキサンドライトの側にいたいと、乳母に手伝って貰っている。
もちろん外交や執務で乳母に任せっきりになってしまう日はあるけれど。
「最近忙しくてアレクには会えてないな。私のこと忘れてないだろうか。」
アレクというのは、アレキサンドライトの愛称だ。
エドワード様は最近特に忙しくてなかなかアレキサンドライトに会うことが出来ないでいる。
それもこれも、王都の外れに強い魔物が出たことで、その対処に忙殺されているのだ。
「アレクがエドワード様のことを忘れるわけないじゃないですか。ちゃんと覚えてますよ。」
私はにっこりと笑った。
「そうだと、いいが。最近はやんちゃぶりに磨きがかかったと聞いているよ。」
「ふふっ。そうですわね。お父様の真似をするんだーって言って木刀を振り回しておりますわね。そろそろ剣の練習をさせた方がいいのかしら。」
「そうだね。木刀を振り回しているなら、アレクの負担にならない程度の練習はさせてみるか。良さそうな師をみつけておくよ。」
「ええ。お願いします。」
アレキサンドライトは、いろんなことに興味を持つ年齢だ。特に父親であるエドワード様の真似をするのが、最近のアレキサンドライトのお気に入り。
でも、ただ闇雲に木刀を振り回すので怪我が心配になってくる。
少しずつ剣の扱いを覚えて行ったほうがいいのではないかと思うのだ。
「それから、アレクの誕生日には何も予定を入れないでいるから、皆でアレクの誕生日を祝おう。」
「エドワード様!よろしいんですの!」
エドワード様の提案に私は嬉しくなる。
「ああ。一日くらい時間をとっても大丈夫だろう。王都の外れの魔物も討伐してくれるという冒険者が名乗りをあげてくれた。もうすぐカタがつくだろう。」
「そう。よかった。よかったわ。」
私は嬉しくなって手を合わせた。
エドワード様がそんな私の手に触れる。
「私もレイチェルとの時間が取れるようになるよ。」
「エドワード様……。」
エドワード様の綿菓子のように甘い目が私を見つめる。
私はなにも言わずにゆっくりと目を閉じてエドワード様の体温を全身に感じた。
「ああ。そうだな。早いものだね。」
エドワード様とソファーに座って語り合う。
エドワード様は執務で忙しくて私との時間は政務を除けば夜しかない。
私は私で日中は、アレキサンドライトに付きっきりだ。
本来王室の育児は乳母が主体で侍女がサポートという形をとるのが普通だが、私は少しでもアレキサンドライトの側にいたいと、乳母に手伝って貰っている。
もちろん外交や執務で乳母に任せっきりになってしまう日はあるけれど。
「最近忙しくてアレクには会えてないな。私のこと忘れてないだろうか。」
アレクというのは、アレキサンドライトの愛称だ。
エドワード様は最近特に忙しくてなかなかアレキサンドライトに会うことが出来ないでいる。
それもこれも、王都の外れに強い魔物が出たことで、その対処に忙殺されているのだ。
「アレクがエドワード様のことを忘れるわけないじゃないですか。ちゃんと覚えてますよ。」
私はにっこりと笑った。
「そうだと、いいが。最近はやんちゃぶりに磨きがかかったと聞いているよ。」
「ふふっ。そうですわね。お父様の真似をするんだーって言って木刀を振り回しておりますわね。そろそろ剣の練習をさせた方がいいのかしら。」
「そうだね。木刀を振り回しているなら、アレクの負担にならない程度の練習はさせてみるか。良さそうな師をみつけておくよ。」
「ええ。お願いします。」
アレキサンドライトは、いろんなことに興味を持つ年齢だ。特に父親であるエドワード様の真似をするのが、最近のアレキサンドライトのお気に入り。
でも、ただ闇雲に木刀を振り回すので怪我が心配になってくる。
少しずつ剣の扱いを覚えて行ったほうがいいのではないかと思うのだ。
「それから、アレクの誕生日には何も予定を入れないでいるから、皆でアレクの誕生日を祝おう。」
「エドワード様!よろしいんですの!」
エドワード様の提案に私は嬉しくなる。
「ああ。一日くらい時間をとっても大丈夫だろう。王都の外れの魔物も討伐してくれるという冒険者が名乗りをあげてくれた。もうすぐカタがつくだろう。」
「そう。よかった。よかったわ。」
私は嬉しくなって手を合わせた。
エドワード様がそんな私の手に触れる。
「私もレイチェルとの時間が取れるようになるよ。」
「エドワード様……。」
エドワード様の綿菓子のように甘い目が私を見つめる。
私はなにも言わずにゆっくりと目を閉じてエドワード様の体温を全身に感じた。
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