159 / 170
番外編
エドワード視点2
しおりを挟む
「迷い人の名はなんという。彼に我が国を気に入って永住したいと言わせてみせよう。」
そうして、異世界からの迷い人であるマコトが我が国に来ることになった。
これが、私の判断ミスだったということは、この時にはまったく気づかなかった。
私は間違えたのだ。
権力と地位に固執して、何よりも大切なレイチェルを苦しませてしまうだなんてこの時には全く思っていなかった。
ただ、国が発展すれば、レイチェルがなに不自由なく暮らせるだろうと、ただただそればかりを思っていた。
大切なレイチェルを真綿に包むように大事にしたかったのだ。
傷つけぬように、困ることがないように、辛いことがないように、ただただレイチェルを守りたかった。
☆☆☆
「始めまして。マコトと申します。」
異世界からの迷い人として紹介されたのは、マコトと言う青少年だった。
柔らかそうなほんのりと茶色がかった黒髪は猫の毛のようにふわふわとしている。
理知的な瞳は大きくまるで少女のようにも見える青少年だった。
所作も綺麗で整っており、そこもまた青年というよりは少女を彷彿させた。
「ああ、私はエドワードだ。この帝国の皇太子でもある。よろしく頼む。」
私はにっこりと笑ってマコトに手を差し出す。
握手を求めたのだが、マコトのいた国では握手の習慣があまりないのか、ちょこんと首を傾げていた。
「握手は、知らないかい?」
そう笑って問いかければ、マコトは慌てて手を出してきて私の手を握った。
「すみません。私の国では握手はあまり一般的ではないのです。失礼いたしました。」
そう言って、軽く笑いながら私と握手をするマコトの手は、苦労を知らないのか豆もなく荒れてもいない綺麗な手だった。
ここにくる前は何不自由のない暮らしをしていたんだろうと思い浮かばれる。
話してみる限り、マコトは物腰が柔らかで頭が切れる人間だった。
ゆえに私は、すぐにマコトに気を許してしまった。
「私の婚約者を紹介したい。だが、決して手を出すなよ。」
「わかっております。どんな魅力的なお方でも決して手は出したりいたしませんのでご安心ください。」
そうして、私はレイチェルにマコトを紹介することにした。
だが、レイチェルにマコトが惚れてしまう可能性もあるので、そこはしっかりと釘を刺しておくことにする。
レイチェルはいずれ皇太子妃となる。
マコトとの距離もある程度は近づけた方がいいだろう。
マコトは色々な知識を持っている。
きっと、レイチェルの力になる。
そう考えて、私はマコトとレイチェルを引き合わすことにしたのだ。
そうして、異世界からの迷い人であるマコトが我が国に来ることになった。
これが、私の判断ミスだったということは、この時にはまったく気づかなかった。
私は間違えたのだ。
権力と地位に固執して、何よりも大切なレイチェルを苦しませてしまうだなんてこの時には全く思っていなかった。
ただ、国が発展すれば、レイチェルがなに不自由なく暮らせるだろうと、ただただそればかりを思っていた。
大切なレイチェルを真綿に包むように大事にしたかったのだ。
傷つけぬように、困ることがないように、辛いことがないように、ただただレイチェルを守りたかった。
☆☆☆
「始めまして。マコトと申します。」
異世界からの迷い人として紹介されたのは、マコトと言う青少年だった。
柔らかそうなほんのりと茶色がかった黒髪は猫の毛のようにふわふわとしている。
理知的な瞳は大きくまるで少女のようにも見える青少年だった。
所作も綺麗で整っており、そこもまた青年というよりは少女を彷彿させた。
「ああ、私はエドワードだ。この帝国の皇太子でもある。よろしく頼む。」
私はにっこりと笑ってマコトに手を差し出す。
握手を求めたのだが、マコトのいた国では握手の習慣があまりないのか、ちょこんと首を傾げていた。
「握手は、知らないかい?」
そう笑って問いかければ、マコトは慌てて手を出してきて私の手を握った。
「すみません。私の国では握手はあまり一般的ではないのです。失礼いたしました。」
そう言って、軽く笑いながら私と握手をするマコトの手は、苦労を知らないのか豆もなく荒れてもいない綺麗な手だった。
ここにくる前は何不自由のない暮らしをしていたんだろうと思い浮かばれる。
話してみる限り、マコトは物腰が柔らかで頭が切れる人間だった。
ゆえに私は、すぐにマコトに気を許してしまった。
「私の婚約者を紹介したい。だが、決して手を出すなよ。」
「わかっております。どんな魅力的なお方でも決して手は出したりいたしませんのでご安心ください。」
そうして、私はレイチェルにマコトを紹介することにした。
だが、レイチェルにマコトが惚れてしまう可能性もあるので、そこはしっかりと釘を刺しておくことにする。
レイチェルはいずれ皇太子妃となる。
マコトとの距離もある程度は近づけた方がいいだろう。
マコトは色々な知識を持っている。
きっと、レイチェルの力になる。
そう考えて、私はマコトとレイチェルを引き合わすことにしたのだ。
22
お気に入りに追加
7,865
あなたにおすすめの小説
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】
私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。
もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。
※マークは残酷シーン有り
※(他サイトでも投稿中)
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
妹に全部取られたけど、幸せ確定の私は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
恋愛
マリアはドレーク伯爵家の長女で、ドリアーク伯爵家のフリードと婚約していた。
だが、パーティ会場で一方的に婚約を解消させられる。
しかも新たな婚約者は妹のロゼ。
誰が見てもそれは陥れられた物である事は明らかだった。
だが、敢えて反論もせずにそのまま受け入れた。
それはマリアにとって実にどうでも良い事だったからだ。
主人公は何も「ざまぁ」はしません(正当性の主張はしますが)ですが...二人は。
婚約破棄をすれば、本来なら、こうなるのでは、そんな感じで書いてみました。
この作品は昔の方が良いという感想があったのでそのまま残し。
これに追加して書いていきます。
新しい作品では
①主人公の感情が薄い
②視点変更で読みずらい
というご指摘がありましたので、以上2点の修正はこちらでしながら書いてみます。
見比べて見るのも面白いかも知れません。
ご迷惑をお掛けいたしました
【完結】「君を愛することはない」と言われた公爵令嬢は思い出の夜を繰り返す
おのまとぺ
恋愛
「君を愛することはない!」
鳴り響く鐘の音の中で、三年の婚約期間の末に結ばれるはずだったマルクス様は高らかに宣言しました。隣には彼の義理の妹シシーがピッタリとくっついています。私は笑顔で「承知いたしました」と答え、ガラスの靴を脱ぎ捨てて、一目散に式場の扉へと走り出しました。
え?悲しくないのかですって?
そんなこと思うわけないじゃないですか。だって、私はこの三年間、一度たりとも彼を愛したことなどなかったのですから。私が本当に愛していたのはーーー
◇よくある婚約破棄
◇元サヤはないです
◇タグは増えたりします
◇薬物などの危険物が少し登場します
筆頭婚約者候補は「一抜け」を叫んでさっさと逃げ出した
基本二度寝
恋愛
王太子には婚約者候補が二十名ほどいた。
その中でも筆頭にいたのは、顔よし頭良し、すべての条件を持っていた公爵家の令嬢。
王太子を立てることも忘れない彼女に、ひとつだけ不満があった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる