155 / 170
番外編
その後のマコト4
しおりを挟む翌日、早々に荷物をまとめたマコト様はエドワード様の皇太子宮を出て行った。
エドワード様も私も引き留めることはしなかった。
だって、これはマコト様が決めた道だから。
だけれども、マコト様を見捨てるということではない。
マコト様が困っている時は全力でサポートする予定だ。
そう、私たちはマコト様と約束をした。
「マコト様・・・行ってしまいましたね。」
「・・・ああ。寂しくなるなぁ。」
「そうですね。」
マコト様を送り出した日、私はエドワード様と一緒にソファに隣り合って座っていた。
思い出すのはマコト様の優しい笑顔。
「でも、そのうち落ち着いたら顔を出すといっていたな。」
「そうですね。」
「ダンジョンってどんなところなんだろうなぁ。マコトだったら勇者の一行になれるかもしれないが心配だな。」
「マコト様ですものね。」
マコト様の実力はわかっています。
数々の魔道具をつくり、様々な役立つ知識を持っているマコト様はとても強い味方となるでしょう。
だから、きっと勇者の一行に迎え入れられるはずです。
「ああ。そう言えば、ヤークッモ王国でレイチェルについていた侍女のマルゲリータも勇者一行に加わるようだよ。」
「えっ!?マルゲリータさんがっ!?」
エドワード様の言葉にしんみりしていた気持ちが一気に驚きへと変化した。
マルゲリータさんが勇者一行に加わるだなんて初めて聞いたのだ。
というか、マルゲリータさんが勇者一行に加われるほど強いとは思ってもみなかった。
「彼女は隠密に長けているそうだ。だから、罠だって解除できるようだ。その腕は隣国一だそうだよ。」
「そうなんですか、マルゲリータさんが・・・。知らなかったですわ。」
そう言えば、マルゲリータさんは時々姿を消していたような気がする。
言われてみるまで気が付かなかった。
「あと、ユキ殿も勇者一行に加わるそうだ。聖女として。」
「聖女っ!?」
「ああ。ユキ殿の治癒の魔法はすごいだろう。どんな傷でも一瞬で治すからな。規格外だ。」
「そ、そうですか。」
ユキ様が聖女かぁ。
ちょっと信じられないような気もするけれども確かにユキ様の治癒の力はすごかったからなぁ。納得かも。
「勇者の元にみんな集まるんですね。エドワード様も混じりたいのでは?」
「ははっ。そうだな。私も冒険というものをしてみたかったな。」
そう言って笑うエドワード様は夢を見ているような瞳をしていました。
一国の皇太子という役割がなければきっとマコト様と一緒に世界を旅していたのかもしれません。
「またいつか会える日に土産話をいっぱい聞かせてもらおう。」
「そうですね。」
その後、マコト様は無事に勇者一行に加わることができたという風の便りがあった。
そうして、勇者一行が無時にダンジョンを踏破できたという噂も伝わってきた。
30
お気に入りに追加
7,845
あなたにおすすめの小説
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
旦那様に離婚を突きつけられて身を引きましたが妊娠していました。
ゆらゆらぎ
恋愛
ある日、平民出身である侯爵夫人カトリーナは辺境へ行って二ヶ月間会っていない夫、ランドロフから執事を通して離縁届を突きつけられる。元の身分の差を考え気持ちを残しながらも大人しく身を引いたカトリーナ。
実家に戻り、兄の隣国行きについていくことになったが隣国アスファルタ王国に向かう旅の途中、急激に体調を崩したカトリーナは医師の診察を受けることに。
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
いじめられ続けた挙げ句、三回も婚約破棄された悪役令嬢は微笑みながら言った「女神の顔も三度まで」と
鳳ナナ
恋愛
伯爵令嬢アムネジアはいじめられていた。
令嬢から。子息から。婚約者の王子から。
それでも彼女はただ微笑を浮かべて、一切の抵抗をしなかった。
そんなある日、三回目の婚約破棄を宣言されたアムネジアは、閉じていた目を見開いて言った。
「――女神の顔も三度まで、という言葉をご存知ですか?」
その言葉を皮切りに、ついにアムネジアは本性を現し、夜会は女達の修羅場と化した。
「ああ、気持ち悪い」
「お黙りなさい! この泥棒猫が!」
「言いましたよね? 助けてやる代わりに、友達料金を払えって」
飛び交う罵倒に乱れ飛ぶワイングラス。
謀略渦巻く宮廷の中で、咲き誇るは一輪の悪の華。
――出てくる令嬢、全員悪人。
※小説家になろう様でも掲載しております。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
【完結】婚姻無効になったので新しい人生始めます~前世の記憶を思い出して家を出たら、愛も仕事も手に入れて幸せになりました~
Na20
恋愛
セレーナは嫁いで三年が経ってもいまだに旦那様と使用人達に受け入れられないでいた。
そんな時頭をぶつけたことで前世の記憶を思い出し、家を出ていくことを決意する。
「…そうだ、この結婚はなかったことにしよう」
※ご都合主義、ふんわり設定です
※小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる