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しおりを挟む「へえ~。私の命を狙ってたんだ?誰からの依頼なのかな?」
マコト様の言葉をうけて、エドワード様の視線が鋭くなった。
その姿はとても温厚な皇太子の姿には見えない。
まるで今にも切り裂かれてしまいそうなほどの鋭さがその視線にはあった。
ぞくり。と背中が粟立つ。
エドワード様は同業の暗殺者よりも殺気を放っているのではないかと思う。
「そ、それは………。」
もう、依頼だからと言ってエドワード様を暗殺する気にもなれない。
だから、依頼人を言ってしまっても良いのに身体が硬直してしまいうまく言葉がしゃべれない。
「私には言えないのかい?」
すぅっとエドワード様の目が細くなり、いっそうの殺気を放つ。
ガクガクと震える身体。
うまく動かせない唇。
「大丈夫ですよ。ライラさん。ほら、落ち着いてください。」
ポンポンッと温かいマコト様の手が私の背中を優しく叩く。
触れられた場所から温かい体温が伝わってきて、ガチガチと震えていた身体が解れていくようだった。
「依頼人はヤックモーン王国の第二王子ナーオットです。」
マコト様から力を貰った私は、すんなりとエドワード様を暗殺しようとした人物の名を告げる。
そう、エドワード様を狙っているのは、私の祖国のヤックモーン王国の第二王子だ。
だが、第二王子と言っても王位継承権は持っていない。なぜならば養子だからだ。
どういった経緯で養子になったのかはわからないが、王国内で第二王子が養子だというのは周知の事実だった。
王家の血を引いていない第二王子は、他に直系の第一王子がいるので、無用な権力争いを避けるために養子になったのにもかかわらず、王位継承権は持っていないのだ。
「ナーオット殿下………ですか?」
「ふむ。」
ナーオット殿下の名を出すと、エドワード様もマコト様も一様に考え込んでしまった。
確かにナーオット殿下がエドワード様を暗殺しようとしても、利になることがないだろう。
むしろ、他国の皇族を暗殺したとあっては、王族から追放され流刑されても仕方ないかもしれない。
確かに私も不思議ではあった。
ナーオット殿下がエドワード様を暗殺する理由がわからないのだ。
しかし、依頼人が何を考えて暗殺を依頼するのかなど、今まで考えたことなどなかった。
仕事だからとわりきっていたのだ。
今はそれが悔やまれる。
「ナーオット殿下。ナーオット………ナオト。………まさか。いや、そんなバカなこと………。」
何やらブツブツとマコト様は呟き始めた。その表情は暗かった。
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