皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚

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「ライラさんが僕を気にかけてくれるだなんて、僕は感激です。」

マコト様はそう言って少し恥ずかしそうにはにかみながら笑った。

だから、そんな表情を見せるから女性だと間違えてしまうのよねぇ。

「でも、僕は大丈夫ですよ。そんな噂なんてなんてことありません。それに、もし噂になったとしてもライラさんがずっと僕と一緒にいてくれればいいんですから。」

「えっ・・・。」

照れたように頬を右手の人差し指で掻きながら言うマコト様の言葉に、胸がドキッと跳ね上がる。

ずっと一緒にということは、結婚ということ・・・?私が、暗殺者だと知っているのに、マコト様はそう思ってくれているのかと、嬉しい気持ちが広がる。

「な、なんでもありませんっ。聞かなかったことにしてください。それよりも、食事にしましょう。」

思わず笑みが溢れてしまった。すると、その笑みを見たのか、マコト様の顔が耳まで真っ赤になった。

そうして、マコト様は私から慌てて目を逸らすと同時に話もそらしてきた。

そんなマコト様の姿が可愛らしくて、思わず口から笑いが溢れた。

さらに顔を真っ赤にしたマコト様に連れられて、ダイニングに用意されていた食事を食べる。

実は、この食事マコト様が作ったのだ。

一緒に暮らしはじめてから毎食、マコト様が食事の準備をしてくれる。

それも、私がマコト様を本物の女性だと勘違いする要因にもなっていた。

「アックドーイ公爵の処刑には立ち会いますか?」

食事を終えたところでマコト様が急に切り出してきた。

正直、教会と孤児たちを脅かす存在のアックドーイ公爵の処刑については興味はある。

私が、暗殺しようとしていた人であるし。

しかし、それよりも私にはやらなければならないことがある。

「いいえ。処刑はちゃんとに行われるのでしょう?それならば、私は立ち会わないわ。それよりも、レイチェルを元の身体に戻してあげたいの。」

そう。私の身体の中にあるレイチェルの魂を元の身体に戻してあげたいのだ。

だって、エドワード様と仲違いしたままではいけない。ちゃんとに話し合って欲しい。

それに、彼らの子供もいることだし。子供のためにも、良い母親になって欲しい。

「ええ。アックドーイ公爵の件に関してはご安心ください。レイチェル様のこと、ちゃんと考えてくださりありがとうございます。今浜だ訳あってエドワード様が本格的に動くことができませんが、貴女と僕とでレイチェル様をもとに戻す手掛かりを探しましょう。」

こうして、私たちは一緒にレイチェル様を元の身体に戻すための方法を探し始めた。
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