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しおりを挟むライムちゃんたちがいる部屋のドアをトントントンッと軽くノックをする。
だが、中から返事はない。
でも、部屋の中の気配をうかがうと確かに数人の子供の気配がする。
「ライラちゃん。メリルちゃん。カエデくん、いるの?」
中にいる気配がざわっと動くのを感じる。
そして、ドアがゆっくりと開かれる。
細い子供の手がドアから見える。少しだけ開かれたドアの隙間から、カエデくんの警戒する瞳が目にはいった。
「カエデくん。私よ、ライラよ。」
楓くんの目線に合わせてにっこりと微笑めば、ドアがバンッと勢いよく開き、カエデくんが私に向かって飛び込んできた。
「ライラっ!!」
小さな身体がぎゅっと私に抱きつく。
カエデくんは、この教会にいる孤児たちの中で一番年長の上、男の子だ。
きっと他の孤児の子たちを守らなきゃいけないと気をはっていたのだろう。
私の姿が見えたことで安心して、カエデくんはボロボロと涙をこぼし始めた。
よっぽど怖かったようだ。
「大丈夫だよ。もう、大丈夫だからね。みんなもいる?」
「うん・・・。みんな大丈夫。部屋の中にちゃんといるよ・・・。」
「カエデくん。みんなを守ってくれてありがとう。」
カエデくんの柔らかな髪を優しく撫でるとほわっとカエデくんが安心したように微笑んだ。
こんな可愛い子たちを怖がらせるなんて、アックドーイ侯爵許せない。
マコト様が叩けば埃がでるっていっていたけど、もしかしたらまたすぐに、教会にやってくるかもしれない。
それに、あの人たちの目的の中には私も含まれている。
それならば、私があの人たちの元にいけば、この教会に手をださないでいてくれるかしら。
マコト様のことを信頼していないわけではない。でも、いつになるのかわからないのであれば、私が動かなければ。この子たちのためにも。
「お姉ちゃん・・・。」
「ライラお姉ちゃん・・・。」
ライムちゃんを筆頭に孤児の子達がわらわらと部屋から出てきて私に抱きつく。
どの子も怖かったようで、目に涙を浮かべている。
この子たちが幸せに暮らせるようにしなければ。
私は決意を胸に、子供たちに微笑んだ。
「大丈夫だからね。悪い人たちは私がなんとかするから。」
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