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急ぎ足でたどり着いたのは、やはり教会でした。
でも、なんだかいつもとは様子が違って見える。
いつもだったら、ライムちゃんとカエデ君が迎えに来てくれるはずなのに。
今日は迎えに来ていない。
もしかして、メリルちゃんになにかあったのだろうか。それとも、シスターになにかあった?
思わずマコト様と繋いでいる手に力をこめてしまう。
私の緊張に気づいたのか、マコト様がこちらをチラリと見た。そして、大丈夫だよというように、握っている手に力がこもる。
「行くよ。」
そう言って前を見たマコト様の表情はいつもの柔和な表情とは異なりとても真剣だった。
教会の内部に入るがやはり、誰も出てこない。声をかけても誰も出てくる気配がなかった。
「一足、遅かったか………。」
「えっ?」
マコト様の口から出た不穏な言葉に不安を覚える。遅かったとは、どういうことだろうか。
教会で何があったのだろうか。
「応接室に行くよ。」
手を取られ、マコト様の後を追うように教会内の応接室に向かう。
すると、だんだんと誰かの話し声が聞こえてきた。
「………よかった。どうやら、間に合ったようだ。」
マコト様はノックをすることもなく無作法に応接室のドアを開け放った。
普段礼儀正しいマコト様だけに、その行動に違和感を覚える。
「誰だっ!?」
応接室の中にはシスターが二人と初老の男性と壮年の男性がいた。
男性たちは、今まで見たこともない人たちだった。
シスターは私たちに、気づき目を丸くしているが、その顔には覇気がなかった。
「………なにを、しているのかしら?」
「こんなところまで外部の人間が入ってきては行けないわ。さあ、お帰りなさい。」
シスターがいつもとは違う表情で、私を拒むのを感じた。
拒絶された。
そう感じた私は、軽い絶望を覚える。
「彼女は関係者ですよ。それに、貴女方だけでは子供たちを守りきれないし、ライラさんも守りきることは難しいと思いますよ。」
マコト様の言葉にシスターたちは、唇を噛みうつ向いてしまう。
私と子供を守るため?そのためにシスターは私に出ていけと言ったの?
「そうか!その女か!」
壮年の男の瞳が私を射抜く。
「きゃっ!」
男は素早く動くと私の肩を乱暴に掴んだ。
力強くつかまれて肩が痛む。
「女性に乱暴を、はたらくものではありませんよ。」
「なにを!」
男はマコト様の言葉に苛立ったのか、私から手をはなし、マコト様に殴りかかる。
「マコト様っ!!やめてっ!!」
「「きゃっ!」」
私とシスターたちの悲鳴が上がった。
でも、なんだかいつもとは様子が違って見える。
いつもだったら、ライムちゃんとカエデ君が迎えに来てくれるはずなのに。
今日は迎えに来ていない。
もしかして、メリルちゃんになにかあったのだろうか。それとも、シスターになにかあった?
思わずマコト様と繋いでいる手に力をこめてしまう。
私の緊張に気づいたのか、マコト様がこちらをチラリと見た。そして、大丈夫だよというように、握っている手に力がこもる。
「行くよ。」
そう言って前を見たマコト様の表情はいつもの柔和な表情とは異なりとても真剣だった。
教会の内部に入るがやはり、誰も出てこない。声をかけても誰も出てくる気配がなかった。
「一足、遅かったか………。」
「えっ?」
マコト様の口から出た不穏な言葉に不安を覚える。遅かったとは、どういうことだろうか。
教会で何があったのだろうか。
「応接室に行くよ。」
手を取られ、マコト様の後を追うように教会内の応接室に向かう。
すると、だんだんと誰かの話し声が聞こえてきた。
「………よかった。どうやら、間に合ったようだ。」
マコト様はノックをすることもなく無作法に応接室のドアを開け放った。
普段礼儀正しいマコト様だけに、その行動に違和感を覚える。
「誰だっ!?」
応接室の中にはシスターが二人と初老の男性と壮年の男性がいた。
男性たちは、今まで見たこともない人たちだった。
シスターは私たちに、気づき目を丸くしているが、その顔には覇気がなかった。
「………なにを、しているのかしら?」
「こんなところまで外部の人間が入ってきては行けないわ。さあ、お帰りなさい。」
シスターがいつもとは違う表情で、私を拒むのを感じた。
拒絶された。
そう感じた私は、軽い絶望を覚える。
「彼女は関係者ですよ。それに、貴女方だけでは子供たちを守りきれないし、ライラさんも守りきることは難しいと思いますよ。」
マコト様の言葉にシスターたちは、唇を噛みうつ向いてしまう。
私と子供を守るため?そのためにシスターは私に出ていけと言ったの?
「そうか!その女か!」
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「きゃっ!」
男は素早く動くと私の肩を乱暴に掴んだ。
力強くつかまれて肩が痛む。
「女性に乱暴を、はたらくものではありませんよ。」
「なにを!」
男はマコト様の言葉に苛立ったのか、私から手をはなし、マコト様に殴りかかる。
「マコト様っ!!やめてっ!!」
「「きゃっ!」」
私とシスターたちの悲鳴が上がった。
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