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しおりを挟む「こっちに来て・・・。」
「教会に仲間がいるんだけど、事故で怪我してからずっと寝たきりなんだ・・・。」
ライムちゃんと男の子に手を引かれて、街の教会に連れていかれる。
帝都には、教会が3つほど建っている。そのうちの一つだ。
連れていかれた教会は3つのうちでも一番古い教会で、帝国が建国された当初から存在する由緒ある教会である。
「ここに、寝たきりのお友だちがいるの?」
「うん。早く早く!」
ライムちゃんと男の子に急かされて教会の内部にはいる。そして、教会の建物には入らず、教会の脇にある細い道を進んでいく。
こんな方にまで入ったことなかった・・・。
教会の敷地内にはもう一つ建物が建っていた。こちらも古い建物のようで、ところどころ建物にヒビが入っている。
その建物に躊躇することなく、ライムちゃんと男の子が入っていく。
「シスターただいま。お客様を連れてきたよ。」
「メリルを治してもらうの。」
「おかえりなさい。ライムちゃん、カエデくん。」
そう言って出迎えてくれたのは、年配の女性だった。
そのシスターは、私を見ると困惑したように視線をさ迷わせる。
「申し訳ございません。この子たちが連れてきてしまって・・・。どうぞ、おはいりください。」
私はシスターに促されて、建物の内部に足を踏み入れた。
そうして、案内されたのは応接室だった。
こちらもだいぶ年期がいっている。
調度品の数々はどれも質の高いものだったが、年代を感じさせる代物だった。
丁寧に手入れがされているのが見受けられる。
部屋自体も古い感じは否めないが、手入れは行き届いているようで汚れてはいなかった。
「どうぞ、お座りください。」
「失礼します。」
私がソファーに座ると、別のシスターがお茶を運んできてくれた。
ただ、このシスターも年配の方だった。
「あの・・・メリルというのは?」
「失礼しました。あの子達の戯言です。お気になさらずに。」
シスターはそう言って悲しげに微笑んだ。なにか、じじょうがあるのだろうか。
「ライムちゃんたちから、事故に遭ってから寝たきりの子がいるとうかがいました。」
「そう、あの子達そんなことを言ったの。仕方ないわね・・・。」
そういいながらも、シスターは柔らかい笑みを見せた。
「確かに事故に遭って寝たきりの少女がおります。ただ、治癒師に見せるだけのお金がないのです。ごらんの通り、こちらは帝都でも一番古い教会です。みな、新しい教会に行ってしまい寄付金だけではこの子達を毎日食べさせていくだけでやっとなんです。とても、治癒師に見ていただくだけのお金がないんです。なので、せっかく来ていただいて申し訳ないのですが、お帰りください。私たちにはメリルを治していただいてもお支払するものがないのです。」
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